GII若獅子杯開幕!
山陽で行われるGII若獅子杯は、29期~33期によるフレッシュバトル。若手によるスピードが競われることが多く、独走力のある選手が抜け出すと、たちまちタイムアタックと化する。4期連続で全国ランク1位の鈴木圭一郎がシリーズの核になりそうだが、各地で優勝直後の選手も多く、エンジンの仕上がり具合によっては伏兵陣にもチャンスが生まれるのがこの大会の特徴。はたして優勝の栄冠をつかみ取るのは誰か。
最も注目の存在は何といっても鈴木圭一郎。前走のSG全日本選抜では、初日からオール1着の完全優勝を決めた。今さらながら、その強さを述べる必要はないくらいだ。エンジンも乗り手も好調。抜群のスタートから速い仕掛けで、あっという間に先頭に躍り出そうだ。
その鈴木圭に最も闘志をむき出しにしそうなのは青山周平。期別としては1つしか違わず、ライバル意識は高いだろう。大舞台の優勝戦で何度も渡り合っている両者。近況では鈴木圭の方に分があるが、その時のエンジン状態によっては青山が勝つときもある。先のSGでは、やや不本意な結果に終わったので、今回は巻き返し、リベンジといきたい。
鈴木圭が優勝したSG全日本選抜の優勝戦で2着、3着だったのが佐藤貴也と金子大輔。この両者は同地区の同期で、デビュー時からライバル関係でもある。1級車に乗り替わってからは常に金子が一歩リードする形だったが、今年に佐藤貴がSGで初優勝してからはほぼ同格。互角の実力となった。両者にとって後輩にあたる鈴木圭の活躍に触発されてか、ここ数か月の動きは活発。佐藤貴は2009年以来の同大会優勝を目指す。金子は今年にこの大会を制しており、連覇がかかっている。
この若獅子杯と割と相性がいいのは伊勢崎の新井恵匠。過去、2014年と2016年に制している。更に新井は前走の飯塚で優勝。優勝戦では先頭に立った篠原睦をやり返しての優勝。これは価値がある。勢いがある状態、相性がいい大会等を考えると今回も優勝戦まで進んでくるかも。
前走で優勝して参戦となるのは他に佐藤摩弥と田中賢。佐藤摩は、その前のSGから好調だったが、前走の地元でも初日から成績をまとめると優勝戦に進出。そこでは同ハンに永井大介や中村雅人、若井友和などが控えていたレースでの優勝。道中では前を走る穴見和正を捲っていた。走りの幅が広がっており、対応できるレース展開も増えてきている。田中賢は完全復活。数か月前までは軽いスランプに入っていたが、徐々に良化の兆しは感じさせていた。それが前走で爆発。初日からオール1着の完全優勝を決めた。1度波に乗るとしばらく続くタイプで、今大会でも要注目の1車。
前走で優出しての参戦は藤岡一樹、渋沢憲司、辰巳裕樹、中尾貴志、阿部仁志、田中正樹などで、勢いが続く若手の部類なので、連続優出も十分ありえる。逆にS級でありながら現状エンジンの仕上がりに不安が残るのは鐘ヶ江将平、高宗良次、中村友和あたり。岩田裕臣、平田雅崇、早川清太郎、吉原恭佑、岩見貴史、渡辺篤などはマズマズ戦える状態にある。
今回出場する地元のS級は丹村飛竜のみ。近況の状態としては中堅上位で推移している。外来勢が強力なので、地元の牙城を守るのは厳しいかもしれないが、なんとか山陽勢を率いるような活躍を見せたい。
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主な出場予定選手
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丹村 飛竜〔山陽 S-13(29期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-2(29期)〕
金子 大輔〔浜松 S-9(29期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-4(31期)〕
鐘ヶ江 将平〔飯塚 S-34(31期)〕
岩田 裕臣〔川口 S-42(31期)〕
佐藤 摩弥〔川口 A-28(31期)〕
木村武之がシリーズを盛り上げそう!
前回の浜松はSG全日本選抜オートレースで、鈴木圭一郎の完全優勝で幕を閉じた。今回は3日間の一般開催で、鈴木圭は不在。SGで優出した木村武之や伊藤信夫が鈴木圭の留守を預かる形だ。
木村武之はSGで初日から成績をまとめて優出。優勝戦でも良い試走タイムを出し、好スタートを切ってみせたが道中ではズルズルと後退。結果的に7着になってしまった。試走の1周は良かったので、エンジンのポテンシャルはあるハズ。ゴールまで同じ手応えが続くようなセッティングを見つけられれば圧勝するシーンが連発しそうだ。
木村武と同様に伊藤信もSGでは存在感を示した。初日からオール車券に絡む結果を出し優勝戦に進出。そこでは8着になったが、SGの優勝戦まで進むのは約5年ぶり。かつてスピードキングと呼ばれた車速を完全に取り戻すのは簡単ではないが、復活の狼煙を上げかけている。上昇気流に乗って今回も活躍したいところ。
他に地元S級は青島正樹と松山茂靖。SGでは思うような結果を出せなかったが、今期からS級返り咲きとなったので、再び一般開催でも好成績を残し続けていきたい。
外来S級は5車の予定。いずれも前走はSGだったが、そこで優勝戦まで進んだ選手はいなかった。ただ、松尾啓史はあまり得意としないオープン戦でも鋭い追い込みを見せていたので、エンジン的には中堅上位ありそう。西原智昭はSGの2日目に反則妨害をしてしまったので、当面は無理な仕掛けができない状態。田中茂、岩崎亮一、岩田行雄はエンジン的に上積みが必要か。
A級では高橋義徳と田方秀和が、前走の伊勢崎で優出。準決は得意の重走路だったのもあるが、優出後なので乗り手のリズムは良い。攻撃的な走りが戻ってきた田中哲、一発力がある中畠哲也などにも注意したい。
B級では地元勢の大駆けに警戒。独走に入れると連絡みが増える鈴木啓示、戸塚茂。成績にムラあるが青嶋裕治や石田智之、インから抜かせない走りが巧い上村敏明、小松久二一などにも注目したい。
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主な出場予定選手
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木村 武之〔浜松 S-11(26期)〕
青島 正樹〔浜松 S-28(22期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-29(24期)〕
松山 茂靖〔浜松 S-36(26期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-17(26期)〕
岩崎 亮一〔山陽 S-26(25期)〕
西原 智昭〔伊勢崎 S-19(28期)〕
田中 茂〔飯塚 S-22(26期)〕
川口勢が層の厚さを見せ付けそうだ!
今回は各レース場から選手が参加するが、そのメイン層は地元勢。S級は川口所属が11人参戦予定で、外来は山陽からわずか2名。A級もB級も地元勢が大量あっせんとなる。
S級やA級の上位は前走がSG全日本選抜だった。今回出場する中で優勝戦まで進んだのは中村雅人と加賀谷建明。中村は初日から危なげないレース運びを見せ、準決も見事1着で通過。優勝戦で4枠の好位置を得られた。しかし、スタートでダッシュが付かず7番手発進。ここから追い込みを見せたが4着止まりだった。それでもSGの優勝戦で4着なら悪くない。予選道中も力強い走りを見せていたので、今回も優勝候補の一人に挙げられる。加賀谷もSGでは初日から完調の走りを見せていた。1着、1着、2着、1着で優出すると2枠に入り、スタートさえ行ければ面白い存在になり得た。しかし、優勝戦ではスタート行けず6番手発進。一旦は最後方にまで下がったが、そこから2人抜いて6着ゴールとなった。展開が厳しかっただけで、エンジン面はかなり高い位置にあるとみていい。
この10月から川口のランクトップを中村に譲る形になった永井大介は、SGの準決で3着になり優勝戦には進めなかった。ただ、他の4日間は1着3本、2着1本と安定感ある成績を残せていた。機力に関しては中村とそれほど遜色はなく、今回もシリーズの中心になりそうだ。
他にSGで動きが光っていたのは池田政和、岩田裕臣あたり。池田はここ数節、エンジンを中の上で保てており、好調時に近い走りができている。エンジンが安定しているだけあって、初日から好走を連発させることが多い。岩田は高いスタート力をバックに、速攻気味の仕掛けが決まっていた。
若井友和、大木光、佐藤裕二、平田雅崇などもある程度の成績は残せており、エンジン的に戦えないことはない位置にある。逆に、鈴木清、森且行などは立て直しが急務となる。
外来S級は佐々木啓と角南一如。佐々木はSGではいい所がなかった。ただ、SGの前まではそこまで悪くなかったし、セッティングを合わせる能力には定評があるので、早い段階で川口走路に合わせてくる可能性はある。角南はSGの初日に1着。その後は失速したが元々、オープン戦よりもハンデ戦で力が出せるタイプなので、今回のような一般開催の方が、角南の走法が生きてくるだろう。
A級では、初のSG戦線で揉まれてきた黒川京介の成長ぶりに注目したい。また、SGから乗り替わった車が良さそうなのは早船。前走の川口で準優勝だったのは篠崎実。牛沢和彦は前走の伊勢崎で優出してきた。力量的にはS級に匹敵する田村治郎、東小野正道、岡松忠の動向も注視したい。B級では前走の川口で活躍が目立った清水雄平、阿久津正夫、松永幸二らが今回も見せ場を作るかも。
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主な出場予定選手
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中村 雅人〔川口 S-3(28期)〕
永井 大介〔川口 S-8(25期)〕
若井 友和〔川口 S-12(25期)〕
大木 光〔川口 S-15(28期)〕
池田 政和〔川口 S-32(23期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-41(27期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-21(23期)〕
角南 一如〔山陽 S-40(27期)〕
篠原睦を中心に地元勢が総力挙げる!
浜松で行われたSG全日本選抜は鈴木圭一郎の優勝で幕を閉じたが、今回出場する中で、その時の優勝戦に乗っていたのは篠原睦のみ。今回の地元、飯塚のS級は荒尾聡が不参加だが、他のS級はほぼ参戦。SGで力を出せなかった選手にとっては巻き返しを図りたいシリーズ。
篠原のSG優勝戦は5着。しかし、予選道中は2勝を含むオール連対で通過しており、エンジン面も乗り手の面もマズマズ充実している。一時期は、やや調子を落としていたが、前走では自分の走りができていた。今回もスタート一気からの速攻が望めそうで、シリーズの核になるのは間違いない。
その篠原とともに外来勢を迎え撃つ地元S級陣。ランク的に次位は浦田信輔。ここ数ヶ月は調子を落としており、以前の迫力ある走りは影を潜めている。先のSGでも白星がないまま終わってしまった。それでも大きな着ばかりではなく、4回は車券に絡めていたので、今回のような一般開催なら十分通用するか。
SGで準決までいけたのは岩見貴史、別府敬剛。岩見はスタートが早いので、オープン戦では活躍の場が広がる。別府は展開が楽ではなかったが、渋太い走りで上位に食い込んでいた。
鐘ヶ江将平は近況、復調の兆しが出ている。SGでも3回は車券に絡めていた。久門徹と桝崎陽介はもう一息といった状態。重富大輔もSGではイマイチだったが、今年は地元GIで優勝しており、その時の感じが戻ればいい。
外来S級で動きが良いのは伊勢崎の新井恵匠。SGの準決は3着で優出を逃したが、それ以外の日もおおむね良い走りができていた。同地区の吉原恭佑は、いつもの果敢さが見られなかった。エンジンが並程度まで戻れば、攻撃的な走りで車券に絡んでくるハズ。
山陽からはS級が3人参戦。丹村飛竜はSGの初日に反則妨害。やや厳しい判定とも思えたが、早々と失権となってしまった。しかし、その後は1着を3本重ねていたようにエンジン面は問題なさそう。人見剛志と岡部聡はSGでは一息だったので、今回の一般開催でその時の分も取り返したい。
A級では井村淳一が前走のミッドナイトで優勝した。3日間開催をオール連対で優勝。メンバーが軽かったこともあるが、これで勢いに乗るのは間違いない。その優勝戦には田辺誠も乗っていた。こちらも好スタートからの仕掛けが決まっていた。他では辰巳裕樹が前走の川口で優出し3着。調子を上げている。B級では井上秀則と占部健太がミッドナイトで優出していた。
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主な出場予定選手
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篠原 睦〔飯塚 S-7(26期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-20(23期)〕
久門 徹〔飯塚 S-24(26期)〕
新井 恵匠〔伊勢崎 S-14(30期)〕
吉原 恭佑〔伊勢崎 S-16(32期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-13(29期)〕
人見 剛志〔山陽 S-30(28期)〕
岡部 聡〔山陽 S-46(19期)〕
鈴木圭一郎がSG全日本選抜3連覇を達成!
浜松で行われていたSG第32回全日本選抜オートレースは、地元の32期・鈴木圭一郎が制した。これでこの大会3連覇、更に初日からオール1着の完全優勝となった。
良走路で行われた優勝戦。試走タイムは鈴木圭が29でトップ。次いで木村武之が30。中村雅人、佐藤貴也、伊藤信夫が32。加賀谷建明、篠原睦、金子大輔が34と、やや数字を落とした。
肝心のスタート争いは6枠から木村が好ダッシュを決めるも、1コーナーでは鈴木圭が先に回り先頭に立つ。そこからは一人旅だった。2番手にいた佐藤貴と木村が競り合う形。これによって鈴木圭は、より楽にリードを作れていた。その後も鈴木圭はハイペースの独走で、結果的に上がりタイム3・355をたたき出し快勝。一番人気に見事、応えてみせた。
2番手争いは佐藤貴が木村に競り勝ち2着ゴール。3着には最後方からのレースになった金子が、ジワリジワリと追い上げて入線。中村や篠原は道中で伸びを欠き、4日目までエンジン仕上がっていた加賀谷はスタート行き切れず見せ場を作れなかった。
これで鈴木圭はSG7V。デビューして5年チョイでこの実績は半端ではない。当時とは時代背景が違うので単純比較はできないが、現在SG21Vの高橋貢でさえ、デビュー5年目はまだSG優勝の経験すらなかった。鈴木圭は若い上に、4期連続で全国ランク1位の実力。これからどこまでタイトルを積み上げていくのか。どこまで快進撃を続けていくのか。興味は尽きない。