ユメノホノオは黒潮ジュニアチャンピオンシップで展開的なところで4着に敗れて以降、ほとんど他馬を相手にせず5連勝。前走土佐春花賞では初対戦のデステージョとの力関係がどうかと思われたが、4コーナーで並びかけると直線であっさりと突き放した。今回、ほかにこれといった新興勢力もなく、ここもよほどアクシデントでもない限り負けることはないのではないか。大外枠はむしろ包まれる心配がなく、逃げるわけではないこの馬にとってはレースがやりやすい。
相手筆頭はやはりデステージョ。土佐春花賞ではユメノホノオに完敗だったが、3着以下には差をつけた。ライバル不在となった仙台屋桜特別では、スローの逃げに持ち込んで粘るマリンジェミナイをあっさりと3馬身突き放した。今回ユメノホノオとの再戦で、おそらくこの馬が先に仕掛けてどこまで粘れるかという展開になるだろうが、宮川実騎手がどこで勝負にいくかが見どころになりそう。
3番手にはヘニーレット。ユメノホノオとは2月の土佐水木特別で対戦して差のある5着。古馬との対戦で経験を積んだことで上積みがあれば上位を狙える。
枠順的にも逃げるであろうマリンジェミナイは、2歳10月以来となる永森大智騎手が手綱をとる。ノーマークの馬で思い切って逃げたときの永森騎手は怖い。
対抗格の有力馬がユメノホノオを負かしに行って崩れるような展開になれば、末脚温存のエムティドンに出番が巡ってきそう。
ミズワリヲクダサイは金の鞍賞で3着があり、その後勝ち星がないとはいえ、掲示板を外したのは古馬相手の一度だけ。1600メートル以上になるとよくないが、この距離なら上位食い込みも期待できる。
◎12ユメノホノオ
○2デステージョ
▲10ヘニーレット
△4マリンジェミナイ
△11エムティドン
△7ミズワリヲクダサイ
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ネオシエルは、佐賀転入後の大敗は中央馬相手のひまわり賞と全日本2歳優駿JpnIだけ。盛岡まで遠征した南部駒賞の3着は、先着されたのが門別オープン勝ちのエイシンケプラーに、船橋でデビューから3連勝というナイトオブバンドということでは、むしろ評価できる。3歳になってからの3戦でも、たんぽぽ賞は中央馬に割って入る2着で、前走1800メートルの古馬B級特別でも2着。混戦といえそうな世代の中で頭ひとつ抜けている。
ブレイブアモーレも3歳になってからの成績が安定していて、3着以内を外したのは900メートル戦だけ。2歳時の1800メートル戦、カペラ賞は7着だったが、それ以来の中距離戦となった前走川上峡特別では、中央から転入後2連勝中だったスーパームーンに直線だけで4馬身差をつけた。中距離の舞台であらためての期待だ。
2歳秋まで快進撃を続けたミヤノウッドリーは、一時期やや落ち込んだが、3歳になって佐賀若駒賞を勝利、花吹雪賞3着、ル・プランタン賞2着と、中距離で堅実に上位争い。今回は相手強化の一戦でどうか。
オンネマトカは、中央挑戦を除けば目下3連勝だが、距離延長に対応できるかどうか。
中央未勝利から転入したテクノゴールドは、佐賀の中距離の特別戦を2回使われて1着と2着。戦歴が浅いだけに伸びしろに期待だ。
◎3ネオシエル
○7ブレイブアモーレ
▲8ミヤノウッドリー
△5オンネマトカ
△11テクノゴールド
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シーズン最初のオープン戦、スプリングカップは、ばんえい記念と1~3着がまったく同じ結果。ばんえい記念で目一杯戦った上位馬が、すべて順調に新たなシーズンを迎えるということもめずらしいのではないか。そして最初の古馬重賞にもその面々が顔を揃えた。
ばんえい記念の結果からも、今後の古馬戦線はメムロボブサップ、アオノブラックという7歳2強が中心になって牽引していくものと思われる。そして馬券的な狙いは、その2強に食い込んでいく馬がいるのかどうか。
本命はどちらか迷うところだが、こちらのコラムでも触れたとおり、このレースはチャンピオン級の馬が2度3度と勝つケースが多い。ゆえにまずはアオノブラックの3連覇に期待する。今シーズンから乗り替った金田利貴騎手がどんなレースをするかも楽しみだ。
とはいえ成績が抜群に安定しているのはメムロボブサップ。3連単はアオノブラック1着が本線だが、メムロボブサップからアオノブラックを外した馬連複というのも買ってみたい。
そして今シーズン、古馬戦線で台頭してきそうなのが、同じ7歳世代のコマサンブラックとインビクタ。
コマサンブラックは、帯広記念で2強からそれほど差のない3着というレースぶりに見どころがあった。シーズン後半の高重量戦に期待だ。
インビクタは帯広記念こそ競走中止だったが、雨の岩見沢記念を第2障害先頭から押し切った。そして1分30秒台という速いタイムで決着したチャンピオンカップでも2着。こちらは馬場が軽くなったときが狙いとなりそう。
そしてオッズパーク杯当日のピンポイント予報(金曜日夜の時点)は、雨のち晴で降水確率90%。雨馬場ならインビクタ、メジロゴーリキの上位食い込みも考えたい。
◎4アオノブラック
○10メムロボブサップ
▲2コマサンブラック
△3インビクタ
△9メジロゴーリキ
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ミニアチュールは、門別から転入後、冬休みを挟んで4連勝で、重賞も3連勝。前走スプリングカップは1番枠からすんなりハナをとってマイペースで運べたこともあって、危なげなく逃げ切り。中央から戻ったフジラプンツェルが不在とあれば、ほとんど勝負付けが済んだといえるメンバー。唯一不安があるとすれば、はじめての盛岡左回りコース。
スプリングカップでミニアチュールに直線で唯一食い下がったといえるのがリッキーナイト。道中は内に閉じ込められ勝負どころで動くことができず、実質、競馬をしたのは直線だけ。それで1馬身1/4馬身差なら逆転のチャンスもありそう。
リスレツィオは門別未勝利から転入して4連勝。前走は3コーナーからまくって直線3頭の追い比べを振り切ったが、今回は一気の相手強化でどこまで。
中央未勝利から転入したスノーパトロールは、初戦となったあやめ賞がミニアチュールから1秒5の差をつけられての4着で、スプリングカップでは0秒6差の3着と差を縮めた。しかしながら好位の外目でスムーズに競馬をできたわりには直線で差を広げられただけに、逆転まではどうか。
ケープライトは、金杯、あやめ賞とミニアチュールに完敗という内容で、特にあやめ賞は馬体減が影響したよう。盛岡ダートコースは若鮎賞がフジラプンツェルの2着で、若駒賞を制した。盛岡コース替わりで馬体を戻していれば、あっと言わせる場面もあるかもしれない。
ダレカノカゼノアトは、あやめ賞でミニアチュールの2着。前走留守杯日高賞は遠征馬が上位独占で度外視でき、転入3戦目の上昇があれば上位食い込みも。
◎8ミニアチュール
○5リッキーナイト
▲7リスレツィオ
△4スノーパトロール
△11ケープライト
△2ダレカノカゼノアト
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ばんえい競馬も4月21日から新年度の開催が始まった。そして、シーズン最初に行われる重賞が、ばんえい十勝オッズパーク杯。
ばんえい競馬は、かつて旭川、帯広、岩見沢、北見の4競馬場で行われていたが、2006年度には廃止の危機があり、07年度からは帯広市が単独で開催することで存続したという経緯がある。帯広市単独開催となった"新生・ばんえい競馬"の初年度に新設されたのが、ばんえい十勝オッズパーク杯。なぜオッズパークが重賞のレース名になったかといえば、以前に詳しく書いたこちらをご覧いただきたい。
4月30日に行われるばんえい十勝オッズパーク杯の登録馬はすでに発表されているが、オープンのトップクラス勢揃いの豪華メンバーになりそうだ。
そもそも、開幕日のメインレースとして行われたスプリングカップからして、3月のばんえい記念の上位を占めた3強が揃って出走し、しかもばんえい記念と同じ着順での決着となった。
シーズン当初からこれほどトップクラスの有力馬が勢揃いとなるのはめずらしい。ばんえい記念は年にたった1度だけ、1トンという酷量のソリを曳くためその反動が大きく、例年であればシーズン当初は立て直しを図って休養する馬も少なくないからだ。
ばんえい十勝オッズパーク杯は、シーズン最初に行われる重賞だけあって、古馬(4歳以上)の重賞としては、もっとも軽い重量で争われる。ばんえい記念より300キロ近く軽いソリで争われるため、本来なら1トンで争われるばんえい記念とは求められる適性が異なるはずだが、過去の勝ち馬を見ると、ばんえい記念の勝ち馬・活躍馬が少なくないことに気付かされる。
ばんえい十勝オッズパーク杯の過去の勝ち馬は以下。
07:カネサブラック(牡5)
08:カネサブラック(牡6)
09:カネサブラック(牡7)
10:ナカゼンスピード(牡7)
11:カネサブラック(牡9)
12:ホッカイヒカル(牡8)
13:キタノタイショウ(牡7)
14:キタノタイショウ(牡8)
15:オレノココロ(牡5)
16:オレノココロ(牡6)
17:コウシュハウンカイ(牡7)
18:コウシュハウンカイ(牡8)
19:オレノココロ(牡9)
20:コウシュハウンカイ(牡10)
21:アオノブラック(牡5)
22:アオノブラック(牡6)
2022年のばんえい十勝オッズパーク杯。連覇を果たしたアオノブラック(右)に、2年連続2着のメムロボブサップ(左)/写真:ばんえい十勝
目立つのはリピーターが多いこと。そして2回以上勝っている馬は、いずれもばんえい記念を制しているか、もしくはばんえい記念で3着以内があるチャンピオン級の実力馬となっている。
第1回から3連覇を果たし4勝を挙げたカネサブラックは、11、13年にばんえい記念を制し、重賞通算21勝は当時の最多記録。
キタノタイショウは、オッズパーク杯2連覇を果たした14年度(15年3月)にばんえい記念を制した。
オレノココロは、17、18、20年とばんえい記念3勝。カネサブラックのばんえい重賞最多勝記録を更新し、その記録を25まで伸ばした。
コウシュハウンカイは、残念ながらばんえい記念制覇はなかったものの、6歳から11歳まで6年連続でばんえい記念に出走し3着が3回。重賞通算15勝は、立派なチャンピオン級と言っていい。
そしてアオノブラックは、先月のばんえい記念でメムロボブサップに接戦の2着。昨シーズン重賞4勝は単独最多だった。
さて、今年のばんえい十勝オッズパーク杯は、アオノブラックの3連覇なるのか。それとも、昨年のばんえい記念を制したメジロゴーリキか、今年制したメムロボブサップか。いずれにしてもこの3強を巡る争いとなりそうだ。