1600メートル戦ということで、マイル以下の短距離路線を使われてきた馬と、2000メートル前後の中距離路線を使われてきた馬との対戦が興味深い。
そうした中で、タイセイブラストは南関東時代はマイル前後の距離を使われ、昨年岩手に転入後は1600メートル以下を中心に使われてきた。岩手では昨年5月以降、12戦して3着以内を外したのは1000メートルの早池峰スーパースプリントだけ。12月から1月にかけては3戦連続で雪のため取止めとなって、白嶺賞、トウケイニセイ記念を使えなかったのは残念。冬休み明けの2戦も完勝という内容で、水沢1600メートルは3戦3勝。ここが今年初戦となる重賞実績馬もいるだけに、2戦使われているアドバンテージは大きい。
ヒガシウィルウィンは、船橋から転入した昨年、青藍賞、絆カップを制した。桐花賞こそエンパイアペガサスの2着に敗れたが、今回のメンバーで実績最上位は間違いない。
穴的に狙ってみたいのはサンキュー。大井ではA2以下の特別で1400メートル戦を勝ったが、2000メートル、1600メートルでは惨敗。中央では2勝クラスでダート1700メートル戦を勝っており、この距離がダメというわけではなさそう。前走、姫路に遠征した1400メートルの兵庫ウインターカップでは、勝ったナリタミニスターに1馬身半差の3着の好走なら、ここでも能力的には見劣らない。あとは距離がどうか。
再転入初戦の水沢1600メートル戦を制したチャイヤプーン、その2着だったヤマショウブラックらも、かつて岩手で重賞を勝っているだけに能力的には見劣らない。
◎4タイセイブラスト
○7ヒガシウィルウィン
▲3サンキュー
△6チャイヤプーン
△8ヤマショウブラック
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兵庫のナリタミニスターは、地元園田・姫路のほか名古屋、金沢で1400メートルの重賞を4勝。年明け初戦の兵庫ウインターカップは、前で競り合った2頭を直線でとらえての貫禄勝ち。今回は南関東から4頭が遠征してくるなど楽な相手ではないが、JpnIIIの兵庫ゴールドトロフィーではハンデに恵まれたとはいえ4着に好走した実力なら期待は大きい。
兵庫ウインターカップでは直線大外を伸び、勝ったナリタミニスターに半馬身差まで詰め寄ったのがトーセンレビュー。浦和の1400/1500メートルでも好成績を残しており、コーナー4つの1400メートルで能力を発揮する。鞍上が地元名古屋の岡部誠騎手ということでも期待だ。
昨年の名古屋・秋の鞍で、全日本2歳優駿JpnI以来10カ月ぶりに勝ち星を挙げたのが川崎のヴァケーション。今回はそのときと同じ名古屋1400メートルだけに、古馬になってもうひと花咲かせたいところ。
中央オープンから川崎に移籍したウインオスカーは、南関東ではまだ勝ち星こそないが、前走笠松グランプリでは8番人気の低評価ながら、直線で先頭に立ってそのまま押し切ったかと思ったところ、エイシンエンジョイに惜しくもハナ差とらえられた。ナリタミニスター(3着)に先着していだけに、能力的にも見劣らない。今回はそれ以来4カ月ぶりの実戦でどうか。
レッドラウダは中央3勝クラスから川崎に移籍し、南関東ではオープンで3戦して結果が出ていないものの、このメンバーなら上位食い込みも。
◎4ナリタミニスター
○2トーセンレビュー
▲9ヴァケーション
△11ウインオスカー
△10レッドラウダ
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門別から転入して4連勝中だったトゥルスウィーが、飛燕賞ではまさかの3着。ただ4戦ぶりの1400メートル戦で中団から追いかける形となって、最後は前2頭と脚色が一緒になって差を詰めることができなかった。牝馬同士で1800メートル戦なら巻き返すと見る。
今回他地区からの遠征は高知から1頭だけ。そのサンシェリダンは、中央未勝利から移籍して5連勝中。しかも初めて古馬に編入された前走でも、ほとんど追われるところがないまま2着に8馬身差をつける楽勝だった。ここもあっさりという可能性もおおいにあるが、中央時代にも経験していない初距離ということで対抗に下げた。
飛燕賞では、逃げ切ったテイエムサツマオーに直線で食い下り、半馬身差で2着だったのがシュリーデービー。3着のトゥルスウィーに2馬身半差をつけた。ただこの距離になるとトゥルスウィーのほうに分がありそう。
この3頭の勝負と見るが、どれかが崩れたときの3着候補として、花吹雪賞でトゥルスウィーに3/4馬身差で2着に食い下がった経験のあるプリマステラを押さえる。
◎9トゥルスウィー
○6サンシェリダン
▲11シュリーデービー
△3プリマステラ
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金杯で3着に7馬身差をつけて1、2着を争ったリュウノシンゲンとグランフォロミーが、ともに年明け初戦にはなるが、地元の同世代同士では能力的に抜けている。
寒菊賞の予想でも、金杯の予想でも、同じようなことを書いたような気がするが、リュウノシンゲンはここまで負けたのは2度だけ。芝の若鮎賞と、南部駒賞で先着された2頭は北海道勢。ダートでは地元馬に先着を許していない。今回は転入馬もいるが、すでに水沢コースを経験して能力はだいたい見えている。
その金杯は、3コーナー手前で先に抜け出したグランフォロミーをリュウノシンゲンがとらえにかかって一騎打ち。直線を向いたところで一旦はリュウノシンゲンが出て、グランフォロミーが差し返す場面もあったが、最後はリュウノシンゲンがアタマ差で振り切った。きわどい勝負だったが、着差以上にリュウノシンゲンが強いレースをした。とはいえ両馬とも3カ月の休み明け初戦。仕上がり具合や成長次第ではグランフォロミーの逆転という可能性もある。ただし馬券的には3着に人気薄でも狙わない限り、どちらを頭にするか絞る必要がありそう。
3番手はシラカミロード。10月の若駒賞でリュウノシンゲンの2着があり、冬休み明けの前走を勝った。仕上がり十分と見る。
転入初戦が案外だったシャノンアーサーだが、2歳時には笠松でラブミーチャン記念2着の実績。年末のライデンリーダー記念でも、着順こそ5着だが勝ち馬からはコンマ5秒差。移籍2走目の上積みを期待して連下で狙ってみる価値はありそう。
◎2リュウノシンゲン
○8グランフォロミー
▲9シラカミロード
△1シャノンアーサー
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首都圏では桜が満開となって、いよいよ春本番。競馬でも春を感じさせるものはいろいろあるが、ホッカイドウ競馬では4月14日の開幕を前に能力検査が行われている。
ここまで2歳馬の能力検査(800m)は、3月11、18、25日に行われた、11日は18レースに104頭が出走し全馬合格、18日は19レースに113頭が出走し110頭が合格、25日は6レースに34頭が出走し全馬が合格した。
気になる新種牡馬で目立ったのはコパノリッキー産駒。この3日間で新種牡馬としては最多の14頭の産駒が合格した。この世代の新種牡馬でもっとも種付頭数が多かったのはアメリカから輸入されたドレフォンの207頭だったが、生産頭数ではドレフォンの129頭に対してコパノリッキーの140頭が最多(種付頭数は194頭)だった。
ドレフォンは社台グループによって輸入され、セレクトセールで高額で取引される産駒も目立つため、その多くは中央でデビューすることになるのだろう。一方、ダートGI/JpnI・11勝を挙げ、国内のGI/JpnI最多勝記録を更新したコパノリッキーの産駒は、当然のことながらダートでの期待となる。
すでに合格した14頭の中で血統的な注目馬は、能力検査初日の第1レースに出走したラブミードール(牝)で、母が2012年のエーデルワイス賞JpnIIIを制したハニーパイ。その能力検査では2番目でのゴールだが50秒2の好タイムをマークした。母と同じ角川秀樹厩舎で、馬主はコパノリッキーと同じ小林祥晃氏。デビュー戦から注目となりそうだ。
ゴールドアリュール系の種牡馬では、エスポワールシチーがヴァケーション(全日本2歳優駿)、スマートファルコンがオーヴェルニュ(東海ステークス)というダートグレード勝ち馬をそれぞれ出しており、コパノリッキーもそれらに続く活躍が期待される。
ほかに新種牡馬の産駒では、ここまでの合格頭数が多い順に、ラニ11頭、ロゴタイプ5頭、イスラボニータ5頭、アメリカンペイトリオット4頭、ザファクター3頭、ディーマジェスティ、シルバーステート、ドレフォンが各1頭となっている。
初日はわりと速いタイムが出て、50秒を切った馬が5頭。最速の48秒9をマークしたのはスティールルージュ(牝、父マジェスティックウォリアー、母ディアユリアザミ、角川秀樹厩舎)で、スタート後から徐々に後続との差を広げ、直線で気合をつけられるとあっという間に後続に大差をつけた。
初日の第11レースで50秒0の好タイムをマークしたグレイテストワーク(牡、父グランデッツァ、角川秀樹厩舎)は、2017年のJBCレディスクラシック(大井)を制したララベルの半弟という注目の血統だ。また、続く第12レースで50秒2というこれまた好タイムをマークしたフォラステロ(牡、父ヘニーヒューズ、田中淳司厩舎)は、母のショコラヴェリーヌがララベルの全姉という血統だ。
ラブミードールと同じ初日第1レースに出走(51秒8)していたグリューフィア(牡、父ヘニーハウンド、桧森邦夫厩舎)は、母ハーミアが牝馬ながら戸塚記念を制した。
初日第7レースに出走(51秒1)したティーズグランツ(牡、父ホッコータルマエ、小野望厩舎)は、母が栄冠賞、東京プリンセス賞を制したティーズアライズ。現3歳世代が初年度産駒だったホッコータルマエからはすでに地方で2頭の重賞勝ち馬がおり、2020年の総合ダートおよび地方のファーストシーズンサイアーランキングで1位となった。ホッコータルマエの国内GI/JpnI・10勝という記録を更新したのがコパノリッキーで、現役時代に続いて種牡馬としての対決も興味深い。
そのほか、摂津盃などを制したエーシンアガペーの産駒エイシントゥラン(牝、父ヘニーヒューズ、田中淳司厩舎)、秋桜賞など東海地区で重賞4勝を挙げたシルバーウインドの産駒ヴァンダルジャン(牝、父スマートファルコン、角川秀樹厩舎)、園田ジュニアカップなど兵庫に所属して重賞3勝を挙げたトーコーポセイドンの半弟で父が新種牡馬ロゴタイプのハッチャキコク(牝、松本隆宏厩舎)などにも注目だ。
ホッカイドウ競馬にもいよいよ春が来た。ここで紹介した馬たちがデビューするJRA認定フレッシュチャレンジ競走が待ち遠しい。