トゥルスウィーが花吹雪賞制覇も含めて佐賀で4連勝。さすがにホッカイドウ競馬で2歳オープンまで勝った実力だけのことはある。前走如月賞は古馬B-1組の準重賞。1周目のスタンド前から向正面まで、まるで包囲網のように内に閉じ込められる厳しい展開だったが、3コーナー手前で外に持ち出してからは余裕があった。そのレースぶりから距離も不問で、この時期の3歳馬で古馬B級の準重賞制覇は相当に評価できる。
花吹雪賞で直線ぐんぐん伸びて、ゴール前ではトゥルスウィーに3/4馬身まで迫ったのがプリマステラ。門別で未勝利だったことではトゥルスウィーと差があるが、10月18日以降は1800メートルのカペラ賞制覇も含めすべて3着以内と崩れることがなく、ここに来ての充実ぶりがうかがえる。今回もトゥルスウィーにどこまで迫れるか。
九州ジュニアチャンピオンを制したシュリーデービーだが、カペラ賞がプリマステラの8着で、その後12月の特別戦2戦でもトゥルスウィーに完敗。その後年明けに筑紫野賞、古伊万里賞と3歳の準重賞を圧勝といえる内容で連勝したが、その2戦は佐賀デビュー馬限定戦。今回も◎○に対しては胸を借りる立場。
マウイバークマンは昨年7月の新馬戦を勝っただけだが、カペラ賞でプリマステラの2着、筑紫野賞でシュリーデービーの2着と好走。連下争いにからめるかどうか。
テイエムサツマオーは、たんぽぽ賞では差のある4着だったが、勝ったイロエンピツが強すぎた。▲以下となら差はなさそう。
◎5トゥルスウィー
○8プリマステラ
▲7シュリーデービー
△1マウイバークマン
△2テイエムサツマオー
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門別で3勝を挙げ、ウィナーズチャレンジまで勝っているサラコナンの能力が断然と見る。笠松のゴールドジュニアが取止めになってしまったのは残念だが、兵庫移籍後2連勝。前走姫路1400メートル戦は、5頭立てとはいえ最後方追走で、直線だけで前の4頭を交わし去った。重馬場1分30秒2というのも好タイム。まだ遊びながら走っていて、まじめに走ったのは最後の直線だけという感じで、能力を発揮しきれていない感じ。そういう意味では将来的にも期待できそう。
エイシンイナズマは門別未勝利勝ちからの転入で、11月から12月にかけて2連勝のあと、年明けは中央未勝利との条件交流で連続2着。前走姫路の良馬場1分30秒8というのも好タイム。ここにきての充実ぶりが目立つ。
名古屋のニジイロは、前走姫路の兵庫クイーンセレクションで早め2番手から直線抜け出して完勝。今度は牡馬相手でどこまでやれるか。
同じく名古屋から遠征のドリームキャットは、前走新春ペガサスカップは差のある3着だったが、勝ったブンブンマルがますます充実していて強すぎた。ここは兵庫と名古屋の世代レベルの比較という意味でも試金石となりそうな一戦。
スマイルサルファーは兵庫若駒賞2着のあとアッパートライを勝ったが、今回はそれ以来4カ月ぶりで、3歳になっての初戦。リフレッシュ放牧明けでどこまで仕上がって、どこまで成長しているか。
姫路開催となって2戦のレースぶりがいいマンテーニャはさらなる上積みがあれば上位食い込みも。
◎9サラコナン
○6エイシンイナズマ
▲4ニジイロ
△7ドリームキャット
△3スマイルサルファー
△8マンテーニャ
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昨年10月にデビューしたばかりの飛田愛斗騎手の勢いがすごい。25日のたんぽぽ賞では、1番人気の中央馬の手綱を任され大差の圧勝。で、重賞初制覇。加えてその日は9戦6勝。この固め勝ちで、山口勲騎手を超えて佐賀リーディングに立った。そして通算では早くも50勝を超えた。
その飛田愛斗騎手が騎乗するのがドラゴンゲート。昨年大井から転入後、ここまで短距離の重賞3勝。吉野ヶ里記念では3着、佐賀オータムスプリントでは2着に敗れたが、そのとき先着された馬たちは不在。良馬場1400メートルでコンスタントに1分27秒台をマークしており、前走不良馬場を1分26秒8は、2着に8馬身差の圧勝だった。近走、そのタイムで走っている馬はいないだけに、ここは頭ひとつ抜けている。
相手筆頭には、中央2勝クラスから転入して6戦4勝のデータヴァリュー。前走では2着カクリョウに8馬身差の圧勝。ここに来て調子を上げてきた。とはいえこの馬でも1400メートルの持ちタイムは1分28秒台。どこまで食い下がれるか。
ジャングルキッドは、A1・A2特別で常に掲示板内の安定勢力。2走前の雲仙岳特別も1分28秒4という好タイムをマークした。前を見ながらレースができる外枠も味方になりそう。
ラブミーリッキーは、高知から転入してここまで4戦。○▲にあと一息という内容で、逆転まであるかどうか。
◎1ドラゴンゲート
○3データヴァリュー
▲8ジャングルキッド
△7ラブミーリッキー
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今シーズン限りでの引退が発表されているコウシュハウンカイ。ばんえい記念には6歳時の2016年から毎年出走して、3着、5着、3着、4着、4着。1トンでの争いではちょっと分が悪い。となれば、ここで有終の美となるかどうか。トップハンデのメムロボブサップ、オレノココロより20kg軽い830kgは断然有利。障害先頭から押し切る。
もう1頭、ハンデに恵まれたのがアオノブラック。天馬賞はメムロボブサップとの一騎打ちでわずかの差で2着に敗れたが、ここはそのメムロボブサップより30kgも軽い820kg。ドリームエイジカップも制しており、ここでも勝機十分だ。
メジロゴーリキは、北見記念を勝って、帯広記念ではオレノココロの2着だったように、高重量戦でこそと思われる。しかしここは820kgなら馬券圏内が期待できる。
トップハンデ850kgのオレノココロは、さすがにここが狙いではないだろう。
シーズン前半大活躍で、後半は重量に苦しんでいるミノルシャープだが、トップハンデと20kg差なら見せ場はあるかもしれない。
◎6コウシュハウンカイ
○4アオノブラック
▲2メジロゴーリキ
△7オレノココロ
△3ミノルシャープ
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少し前のことになるが、ばんえい競馬で今年度から新設された3歳牡馬の重賞、翔雲賞(1月31日)で、タカナミという馬が勝った。
血統を見ると、父が「(日輓)マルニセンプー」、母が「(ブル)后殊」とある。
(日輓)についてはあとで触れるが「日本輓系種」の略。(ブル)はブルトン種のこと。
昭和から平成中期頃のばんえい競馬では、血統表だけでなく実際にレースをしている馬にもしばしば純血種が見られたが、近年、ばん馬は日本でかなり改良が進み、純血種を見る機会は少なくなった。
ばんえい競馬の馬は、ブルトン(フランス・ブルターニュ地方原産)、ペルシュロン(フランス・ペルシュ地方原産)、ベルジャン(ベルギー原産)というおおむね3つの種類の大型馬(重種馬)の交配によって進化した。
重種馬ではほかに、クライスデール、シャイアーなどの種類がが有名で、これらを交配した馬も生産されたことがあるらしいのだが、結果的に重量物を曳くのに適した馬をつくる過程で淘汰され、結果的に先の3種が残った、ということになる。
サラブレッドでは父系の祖先を辿ると、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークの3頭いずれかに行き当たるが、これも最初に"3頭ありき"だったわけではない。改良・淘汰の過程でこの3頭の系統が残った。淘汰という意味では、主に3品種が残った、ばん馬も似ている。
大きな違いは、サラブレッドが究極のスピードを追求した改良であるのに対して、ばん馬は究極のパワーを追求した改良ということ。
かつてばん馬の血統表では、複数の品種が交配された馬には(半血)という記号が記されていた。現役馬でも、2代、3代と血統を遡ると、ほとんどがこの表記となっている。
この半血種の改良が進み、安定的に一定以上の頭数が生産されるようになったことから、日本固有の馬の品種として世界的に認められたのが日本輓系種。これが血統にある(日輓)で、2003年以降に生産された馬はこの表記となっている。
サラブレッドの生産でも、近親交配が進まないよう外国から新たな系統の種牡馬や繁殖牝馬を輸入するなどして、常に血の更新が行われているが、ばん馬でも同じことが行われている。
とはいえ重種馬の生産牧場は多くが家族経営という規模で、外国から馬を導入するなどは容易なことではない。そこでその役割を担っている機関が、独立行政法人・家畜改良センター十勝牧場だ。
近年のばん馬の血統にある純血種は、ここで生産もしくは輸入されたものが多いという。昨年12月の2歳重賞・ヤングチャンピオンシップを勝ったアルジャンノオーも母がペルシュロン種で、「(ペル)旭灼」となっている。
この牧場で品種改良の目的で生産され、競走経歴のない馬には漢字の馬名が付けられることが多い。
また2019年にデビューした2歳馬には、純血のペルシュロンで、その名もペルチャンという牝馬がいたのだが、なかなか勝つことができず、明けて3歳になった2020年3月24日、23戦目にようやく初勝利を挙げたのだが、それを最後に引退している。
ばん馬が日本で改良された証としてわかりやすいのが、馬体重。今のばん馬は、2歳のデビュー時はおおむね800~900kgだが、古馬になるとほとんどが1000kgを超える。ばんえい競馬では2019年まで、馬体重の重い馬ばかりを集めたビッグウエイトカップというレースが行われていたが、その出走馬の馬体重はだいたい1150kg前後。ときには1200kgを超える馬もいる。
しかしかつて昭和の頃のばんえい競馬では、古馬になっても馬体重が1000kgを超える馬はそう多くはなかったという。
今手元にある資料で、ばんえい競馬最大のレース、ばんえい記念(かつては農林水産大臣賞典)のいちばん古い1991(平成3)年の成績を見ると、出走馬10頭の馬体重は1003kg~1130kgで、平均は1046.6kg。一方で、昨年のばんえい記念の成績を見ると、7頭立てで馬体重は1077kg~1224kg、平均では1153.1kg。ばんえいの一流馬は、この30年で100kg以上も大型化したことになる。
ちなみに、ばんえい競馬の重賞最多勝記録を更新(25勝)し続け、ばんえい記念3勝を挙げている現役最強馬、オレノココロの最高馬体重は、2018年と2020年の帯広記念出走時の1225kgだった。これこそが、日本で改良された日本輓系種の、現在における最良の進化形といえるのだろう。
ばんえい競馬は「世界でひとつ」と言われるが、世界でひとつなのは、ばんえい競馬という競技だけでなく、日本輓系種という馬の品種も、世界中で(いまのところ)日本だけにしか存在しないものなのだ。
帯広記念(2021年1月2日)を制して重賞25勝目としたオレノココロ。このときの馬体重は1173kg(写真:ばんえい十勝)