金沢のエムティアンジェは、門別未勝利勝ちからの移籍後は重賞のみ4戦して3勝。唯一2着に負けたのは兼六園ジュニアカップだが、勝ったのは北海道のエンリルで、その後は兵庫ジュニアグランプリJpnIIで5着に入った実力。ラブミーチャン記念では、園田プリンセスカップを制していた北海道のグラーツィアを4コーナーでとらえると直線で3馬身突き放して圧勝、地元笠松のドミニクにはさらに4馬身差をつけた。今回は距離短縮の1400メートルとなるが、一度経験しているコースなら心配ないだろう。
アマクミナイデヨは、北海道から名古屋への移籍初戦で8馬身差圧勝。門別時代は重賞のフルールカップで3着、エーデルワイス賞JpnIIIでは着順こそ8着だが、勝ち馬と1秒差という実力なら、ここでも勝ち負けまで期待できる。
ラブミーチャン記念で3着だったドミニクは、名古屋のゴールドウィング賞では4コーナー5番手という位置から豪快に差し切りを決めた。地元笠松での重賞制覇にも期待だ。
金沢のボサノヴァは北海道から移籍後、重賞を中心に使われ5戦オール連対。金沢プリンセスカップ、金沢ヤングチャンピオンはエムティアンジェの2着だったが、エムティアンジェ不在の金沢シンデレラカップを勝った。成長次第ではいずれ逆転の可能性も。
ゴールドウィング賞では4着だったミトノオオイだが、名古屋1400メートルでは6戦4勝、2着1回。笠松コースは初めてだが、距離短縮の1400メートルで巻き返しなるか。
ラブミーチャン記念4着だったシャローナも連下争いなら。
◎5エムティアンジェ
○9アマクミナイデヨ
▲4ドミニク
△7ボサノヴァ
△11ミトノオオイ
△3シャローナ
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イオンはばんえい大賞典以来勝ち星がないものの、近走は積極的に動いている。ばんえい菊花賞は最初に仕掛けてサクラヒメとほぼ同時に障害を降りたが、失速したのは、サクラヒメより10キロ重いトップハンデでのもの。ばんえいオークスは第2障害で一瞬息を入れただけでほとんど直行で仕掛けて障害ひと腰。サクラヒメには交わされたものの2着には粘った。そして前走オープンとの混合でも軽い馬場とはいえ障害直行。ゴール寸前で止まってしまったが、オープン馬相手に今回と5キロしか変わらない重量を経験したこと大きい。
サクラヒメは5連勝で、ばんえい菊花賞、ばんえいオークスも楽勝。その勢いならここも楽に突破という可能性は十分。ただイオンが重量を経験しているのに対して、ばんえい菊花賞からの30キロ増がどうか。
イレネー記念を制したオーシャンウイナーは、トップハンデのばんえい大賞典でも2着に好走。その後、結果は出ていないが、前走A1特別で僅差4着なら◎○とも差はない。
ばんえいオークスは第2障害で座り込んでしまったミソギホマレだが、黒ユリ賞2着、イレネー記念3着、ばんえい菊花賞2着という重賞実績ならここでも上位争いの可能性は十分。
1月に翔雲賞を制したタカナミもここに来て自己条件3連勝と上昇。2歳シーズン三冠すべて2着のネオキングダム、ばんえい菊花賞3着のアバシリサクラらも上位を狙える。
◎10イオン
○1サクラヒメ
▲9オーシャンウイナー
△2ミソギホマレ
△3タカナミ
△4ネオキングダム
△6アバシリサクラ
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地方競馬の新種牡馬ランキングでトップに立っているコパノリッキーの第1号の産駒として生まれたのがファーストリッキー。中央では3戦して勝てなかったものの、高知に移籍して無敵の4連勝。2着馬との着差は、8馬身、大差、5馬身、8馬身と一方的なレースばかりで、ここも通過点。いずれ、全日本2歳優駿JpnI挑戦(13着)でここは不在となったマリンスカイとの直接対決が楽しみだ。
グットクレンジングは門別3戦1勝から転入後、3戦2勝、2着1回。先着されたのはファーストリッキーで5馬身差をつけられた。しかしながら前走では抜群のスタートからハナに立つと、ぴたりと追ってきた2頭が着外に沈んだように、スピードはかなりのものがあるし、レースぶりもよくなってきた。
2頭の間に割って入る可能性は、マオノウイッシュかリュウノアンジェラ。前者は7戦2勝でマリンスカイの2着が2回。後者は、黒潮ジュニアチャンピオンシップがマリンスカイの2着で、1400メートルで1分31秒台の持ちタイムはファーストリッキーとこの馬だけ。
デルマバロールはデビューから3戦1勝だが、まだ底を見せていない感じ。フィールマイラヴはデビュー戦を勝ったのみだが、1300メートルで1分26秒0という持ちタイム最速。
2歳のこの時期だけに、成長力次第で伏兵の2着3着食い込みはありそう。
◎6ファーストリッキー
○3グットクレンジング
▲10マオノウイッシュ
△9リュウノアンジェラ
△8デルマバロール
△11フィールマイラヴ
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ドゥラリュールは中央2勝クラスから転入して負けなしの6連勝。7月の佐賀王冠賞ではパイロキネシストにクビ差で食い下がられたものの、それ以外はまったく危なげのないレース。安定している1800メートルの舞台なら負けられないところ。
ただ相手を絞るのが難しい。
中央オープンから転入したコンカラーは、5戦して3着以内を外したのは一度だけ。九州大賞典の2500メートルは特異な舞台だが、それ以外の4戦では、5着に負けた由布岳賞も含めて、今回のメンバーで先着されたのはドゥラリュールだけ。ここは相手の筆頭。
タイセイレオーネは、前走久住山特別では1番人気で8着に沈んだが、先行3頭前残りの展開で見せ場をつくれなかった。それを度外視すれば、3走前はドゥラリュールの3着、2走前の九州大賞典はグレイトパール独壇場の2着なら、ここでも上位争いは可能。
ゲットワイルドは4月以降勝ち星から遠ざかっているが、中距離のトップクラスとの対戦で2着3着はたびたびあり、前走宝満山賞ではドゥラリュールにぴたりとついていって、向正面半ばからは徐々に離されたものの、うしろにいた馬たちを封じて2着に粘ったレースぶりは価値がある。
グレイトパールは2500メートルの九州大賞典3連覇は見事だったが、近走それ以外のレースでは見せ場までがやっと。今回も連下争いまで。
パイロキネシストは佐賀王冠賞でクビ差2着と、ドゥラリュールを脅かした唯一の馬だが、休み明けの秋2戦がいまひとつ。復調あれば上位争いも。
◎9ドゥラリュール
○7コンカラー
▲4タイセイレオーネ
△3ゲットワイルド
△1グレイトパール
△8パイロキネシスト
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平地の競馬は大レースが集中する年末にクライマックスを迎えるが、ばんえい競馬は3月末のばんえい記念に向けて、いよいよ佳境を迎える。
牝馬が強い3歳世代
世代ごとのチャンピオン決定戦もこれから順次行われ、まず12月29日には3歳三冠目のばんえいダービーが行われる。
今年の3歳世代は、二冠目のばんえい菊花賞(11月7日)で上位3着まで牝馬が独占したように、牝馬が強い。そのばんえい菊花賞を制したサクラヒメは、続くばんえいオークス(12月5日)も勝って目下5連勝。遡ると6月28日の勝利以降では11戦8勝、2着2回、3着1回という成績で、夏以降急激に力をつけてきた。
3歳一冠目のばんえい大賞典(8月1日)を勝ったイオンも牝馬で、黒ユリ賞に続いて重賞2勝目、ばんえいオークスでもサクラヒメの2着だった。ばんえい菊花賞3着のアバシリサクラも2歳時には一冠目のナナカマド賞を制しており、この世代は2歳シーズンから牝馬中心に上位陣の争いが展開されてきた。
牡馬では2歳シーズン三冠目のイレネー記念を制したオーシャンウイナーが、ばんえい大賞典で2着と好走した。
2歳馬はイレネー記念に向けて
ばんえいダービーの翌日、30日に行われるヤングチャンピオンシップは、2歳シーズンの二冠目。このレースは出走条件がやや特殊で、5地区に分けられた生産地ごとの予選が行われ、その1、2着馬(計10頭)に出走資格がある。
今年の2歳馬は、一冠目のナナカマド賞(10月17日)を制したキングフェスタがここまで8勝を挙げて抜けた存在。同2着だったヘッチャラもここまで5勝を挙げ、2着6回、3着1回で、3着以内を外したのは一度だけという上位安定の成績を残している。
ナナカマド賞3着でここまで4勝のヤマカツエース、同じく4勝を挙げているトワイチロが続く存在。トワイチロは去勢されているが、それ以外の3頭は牡馬。
牝馬では3勝を挙げているニシキマリン、同じく3勝のサウスグリンらが牡馬相手に上位を狙う。
2歳世代(明け3歳)はこのあと牡馬の翔雲賞(2月6日)、牝馬の黒ユリ賞(2月13日)、を経て、3月19日に行われる三冠目のイレネー記念に向けての争いとなる。
4歳シーズン最後の一冠を制するのは?
ばん馬はサラブレッドに比べて成長がゆっくりなため、4歳シーズンにも三冠が設定されている。その三冠目(明け5歳)が1月3日の天馬賞。
4歳一冠目の柏林賞(7月4日)を勝ったのはゴールドハンター。昨年(2020年)12月にデビューして新人らしからぬ活躍を見せている金田利貴騎手はこの勝利が重賞初制覇でもあった。ゴールドハンターは2歳時には障害を避けてコース外に走っていってしまうなど激しい気性もあり、レースでは第2障害の手前まで金田騎手がそりの上に座っているのも特徴的だ。
二冠目の銀河賞を制したのが、柏林賞3着だったヤマトタイコー。3歳時にはばんえいダービー2着の実績もあり、デビュー12年目の渡来心路騎手とともに重賞初制覇となった。
しかしながらこの世代の中心的存在といえるのはキョウエイリュウ。2歳時には、ナナカマド賞、ヤングチャンピオンシップ、3歳時にはばんえい菊花賞、ばんえいダービーと、それぞれ二冠を制した。ここまで4歳シーズンの二冠は重いハンデに苦戦しているが、定量で争われる天馬賞で最後の一冠を狙う。
2歳シーズン(明け3歳)にイレネー記念を制し、3歳ではばんえい大賞典を勝ったコマサンダイヤは、4歳の今シーズンはクラスの壁に苦しんでいるが、銀河賞2着であらためて世代上位の能力を見せた。
世代交代で混戦の古馬戦線
古馬戦線は、オレノココロ、コウシュハウンカイというツートップが昨シーズン限りで引退。ばんえい記念を制したホクショウマサルも死んでしまい、世代交代が一気に進んだ。
ばんえい記念に向けてもっとも重要な前哨戦となるのが、1月2日の帯広記念。
現役馬として唯一ばんえい記念(2019年)を制している9歳のセンゴクエースは、今シーズンは旭川記念(7月18日)を制した。
古馬戦線に本格参入の5歳2強が、ばんえい十勝オッズパーク杯(5月2日)と北見記念(10月31日)を制したアオノブラックと、ばんえいグランプリ(8月15日)を制したメムロボブサップ。
昨シーズンの帯広記念でオレノココロに僅差で2着だった7歳のメジロゴーリキは、岩見沢記念(9月19日)を制した。
同じく昨シーズンの帯広記念3着、ばんえい記念2着で台頭してきた6歳のキタノユウジロウは北斗賞(6月20日)を勝利。
ドリームエイジカップ(11月28日)では10歳の古豪シンザンボーイが2019年の北見記念以来の重賞制覇を果たした。
今シーズンの古馬戦線は、ここまで複数の重賞を制したのがアオノブラックのみと、世代交代のシーズンらしく混戦となっている。