4月23日から新たなシーズンがはじまったばんえい競馬の古馬戦線が一気に世代交代した印象だ。
ばんえい競馬の重賞最多勝記録25勝のオレノココロ、そのライバルとして重賞15勝を挙げたコウシュハウンカイが、昨シーズン限りで揃って引退したことだけでも一時代が終わった感がある。
シーズン最初に行われる重賞、ばんえい十勝オッズパーク杯の昨年の出走馬を振り返ると、前記2頭にソウクンボーイと10歳馬が3頭いて、出走10頭の平均年齢は7.7歳だった。しかし今年の出走予定馬(この原稿を書いているのは枠順発表前)を見ると10歳馬はおらず、平均年齢は6.1歳と、一気に1.6歳も若返った。
そもそもこのばんえい十勝オッズパーク杯の過去の勝ち馬を見ると、過去6年でオレノココロ、コウシュハウンカイが3勝ずつ。そのうち2018年を除く5回で、この2頭のワンツーだった。そのことひとつをとっても、この年度替わりで勢力図が大きく変わったことがわかる。
ばんえい記念を制している馬で現役なのは、つい先月、10歳で制したホクショウマサルと、2019年のセンゴクエースの2頭だけ。ホクショウマサルは休養中ということで、今回のばんえい十勝オッズパーク杯には登録がなく、9歳のセンゴクエースのほかは7歳以下。今シーズン前半の古馬戦線では、若い世代からどの馬が台頭してくるかが注目となる。
センゴクエースは昨年11月からの3連勝でようやく復調したかに思えたが、結局昨シーズンは重賞タイトルがひとつもなかった。
昨シーズン前半、一気に台頭したのが今年7歳のミノルシャープ。北斗賞、旭川記念、さらにばんえいグランプリまで重賞3連勝は圧巻だった。ただばんえい競馬ではよくあることだが、前半に賞金を稼いでしまうと後半は常に重量を課せられることになり、その後は着外続きとなってしまった。それでも初挑戦だったばんえい記念は、雨の軽馬場になったこともあり、障害4番手から一旦は前に迫る場面があっての5着は見どころがあった。
同じ7歳世代では、メジロゴーリキが昨シーズン北見記念を制した。昨シーズンの勝ち星は、そのほかシーズン序盤に特別戦で挙げた1勝のみだったが、帯広記念での2着もあり、引き続き高重量戦での活躍が期待できそう。
6歳のキタノユウジロウも昨シーズンは12月まで勝ち星がなかった。しかし帯広記念で僅差の3着に好走すると、その後2着を挟んで3連勝。そして初挑戦となったばんえい記念では、勝ったホクショウマサルにわずか2.1秒差の2着と激走した。
若い世代での注目は、5歳のメムロボブサップとアオノブラック。メムロボブサップは昨年度4歳シーズン三冠を制し、アオノブラックがいずれも2着。しかしながらアオノブラックは、ドリームエイジカップ、チャンピオンカップ、ポプラ賞では、重量差があったとはいえ、そのいずれのレースでもメムロボブサップを負かして重賞3勝を挙げた。この5歳2強は、オレノココロ、コウシュハウンカイのようなライバル関係で、今後の古馬戦線の中心的存在となる可能性が期待できる。
昨年12月以降6戦5勝で、3着に負けたのが1400メートルの飛燕賞だけというトゥルスウィー。新興勢力といえる馬もなく、ほぼ勝負付が済んでいるメンバー、そして1800メートルが舞台となると、よほどのことでもなければ負けることはないのではないか。
トゥルスウィーが飛燕賞で先着された2頭のうち、シュリーデービーはやはり距離に難がありそう。一方、テイエムサツマオーは1400メートルまでしか経験がないが、走ったことがないだけに距離延長にも可能性を残す。ゆえにシュリーデービーよりテイエムサツマオーを上にとった。トゥルスウィーを負かす可能性があるとすればテイエムサツマオーだけ。
プリマステラは、飛燕賞5着、ル・プランタン賞6着と結果が出なかったが、花吹雪賞ではトゥルスウィーに3/4馬身差と迫っており、巻き返しがあるかどうか。
ムーンオブザボスは、年明け3連勝のあとの前走が、古馬B級に格付けされての準重賞・佐賀桜花賞が6着。それで評価を落とすことにはならないが、トゥルスウィーは古馬B-1を勝っているだけに、やはり力が違う。連下争いまで。
◎2トゥルスウィー
○10テイエムサツマオー
▲9シュリーデービー
△3プリマステラ
△1ムーンオブザボス
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トウショウデュエルはここまで重賞勝ちはないものの、昨年は百万石賞2着、中日杯2着と、主要古馬重賞で好走。前走JBCイヤー記念3着は明らかに距離不足で、おそらくここへ向けての叩き台だったのだろう。中日杯を制したハクサンアマゾネスが不在とあっては、9歳ながら重賞初制覇のチャンスが巡ってきた。
ファストフラッシュは、昨年のこのレースは5着だったが、その後、一度も掲示板を外さない好走を続けてきた。中日杯でも、2着のトウショウデュエルに半馬身+ハナ差の4着だからほとんど差はない。ただし好成績は1700メートル以下で、あらためて今回の1900メートルがどうか。
昨年の利家盃が重賞初制覇だったサノサマーは、この冬は佐賀に移籍。4戦して勝ち星こそなかったものの、1800〜2000メートルの準重賞では掲示板内を確保。今回、休み明け2戦目、3戦目という馬が多い中で、順調に使われてきたアドバンテージはありそう。
トップロイヤルは、昨年秋から、大井への一時移籍を含めて目下7連勝中。今回は初めての重賞挑戦に加え、1900メートルの距離も初めてでどこまでやれるか。
フジヤマブシは、3歳だった昨年、北日本新聞杯、MRO金賞を勝利。中日杯でも3着と好走し、冬休み明けの初戦はトップロイヤルの6着だったが、一戦使われての上積みがあれば上位入着も。
◎2トウショウデュエル
○5ファストフラッシュ
▲6サノサマー
△7トップロイヤル
△1フジヤマブシ
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大井のミラバーグマンは桃花賞で4着と好走したものの、戦歴も浅く賞金不足だったか浦和の桜花賞には出走せず、名古屋の若草賞に遠征。直線でパールプレミアを完全にとらえた場面もあったが、3/4馬身差で振り切られ2着だった。大井でのレースぶりとその若草賞の内容からもここは中心。2度目の名古屋コースで上積みも期待できる。
地元名古屋のニジイロは姫路に遠征した兵庫クイーンセレクションを快勝。浦和・桜花賞でも勝ち馬から差があったとはいえ5着。1600mの外枠で後方からの追走になってしまい、直線差を詰めただけという結果だった。好位がとれればもう少し見せ場があったはず。ミラバーグマンとの一騎打ちとみる。
ダイセンハッピーは、ゴールドウィング賞ではブンブンマルとの一騎打ちを制したが、3歳になってからはブンブンマルの充実ぶりに比べてやや物足りない印象。今回は牝馬同士で、◎○に対してどこまでやれるか。
高知のサンシェリダンは中央未勝利から転入後5連勝で佐賀・ル・プランタン賞に遠征、2着とはいえ初めての1800mもあって、トゥルスウィーには完敗だった。ここは再度の1800m戦だけにあらためて距離適性が試される。
金沢生え抜きのサブノタマヒメはここまで10戦8勝、2着2回と崩れることがない。ただ今回は初めての遠征で、重賞でも実績を残している他地区の強豪相手だけに勝ち負けまではどうだろう。
◎3ミラバーグマン
○9ニジイロ
▲2ダイセンハッピー
△12サンシェリダン
△6サブノタマヒメ
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中央3勝クラスから転入したショートストーリーは、ここまで高知に限れば4戦全勝。川崎、姫路、佐賀へと遠征し重賞では強敵相手に跳ね返されたが、前走はがくれ大賞典は、重賞13勝目となった兵庫のエイシンニシパに3/4+1/2馬身差で3着。ここは地元に戻って重賞初勝利のチャンス。距離的に地元1900メートルの舞台を待っていたのではないか。
一方スペルマロンは、重賞初挑戦で制した2019年の高知県知事賞から2年3カ月で重賞6勝。距離をオールマイティーにこなすのは成績をみればわかるとおりだが、高知県知事賞連覇に加え、昨年の珊瑚冠賞も制して高知の1900メートル以上では3戦3勝。この距離でこそというところはあり、ショートストーリーとの一騎打ちと見る。
ビービーデフィは、年明けから7連勝でA級まで勝ち上がった。今回は重賞初挑戦で一気の相手強化となるが、◎○相手にどこまでやれるか。
大高坂賞を勝って黒潮スプリンターズカップでも2着だったアイアンブルーは、距離延長がどうか。ただ門別では1800メートル戦での勝ち星があり、後半に脚を使える展開になればあっと言わせる場面はあるかもしれない。
モルトベーネは、2月から3月にかけてA-1特別を連勝したが、高知の重賞では昨年末の高知県知事賞での4着が最高という成績。今回も3着争いまでか。
南関東オープンから転入したグリードパルフェは、A-2の一般戦で2着、1着。そのレースぶりから重賞ではどうだろう。
◎5ショートストーリー
○4スペルマロン
▲10ビービーデフィ
△6アイアンブルー
△3モルトベーネ
△7グリードパルフェ
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