5月2日に行われる予定が、震災の影響で延期して行われることになった留守杯日高賞。時期がずれたことで、グランダム・ジャパン3歳シーズンでもラス前の順番になったわけだが、ここでポイントを稼いで上位を狙えそうなのは、目下9ポイントで4位のクイーンオブシーのみ。
地元岩手生え抜きの馬たちにとってはわずか2週前に競馬が再開されたばかりでもあり、力関係の比較が難しい。
ここは順調に使われていて経験も豊富な船橋のリュウノキャンドルから。前走東京プリンセス賞は最下位13着だったが、これはさすがに相手が強すぎた。門別で2歳の最後にアタックチャレンジを勝って転入した南関東では、東京プリンセス賞までは3戦2勝、2着1回。今回は、地元岩手勢に加え、金沢、東海、兵庫からの遠征馬や、東海地区からの転入馬など相手はさまざまだが、各地区の重賞で勝ち負けをしていたというレベルの馬がほとんどいないだけに、実績的には胸を張れるものがある。
地元岩手勢は、とりあえず11月のプリンセスカップの結果が比較対象となりそうだ。それを勝ったセリトスガッテンが相手筆頭。続く寒菊賞は2着に敗れたが、先着されたシーグランディは、ベストマイヒーローを別格とすれば、岩手でトップを争う存在。開幕初戦の七時雨賞は6着だったが、さすがにベストマイヒーローでは相手が悪すぎた。2歳時の成績に限れば、3着を一度も外しておらず、今回のメンバーの中ではもっとも安定した成績を残している。ただこの時期、門別の北斗盃がそうであるように、休み明けのメンバー同士では2歳時の実績があまりあてにならないというのが難しいところなのだが。
ガッテンモントレーは、プリンセスカップは5着だったものの、続くJRA認定レースで、プリンセスカップ2着だったシュクモモコを逆転しての勝利。今季初戦は門別に遠征し、コスモバルク記念で古馬と対戦しているだけに、その経験が生かせればというところ。
シュクモモコは、七時雨賞では今回のメンバー中最先着の5着。6着のセリトスガッテンに4馬身差をつけた。
金沢から遠征のアンダースポットは、もともと岩手のデビューでJRA認定レースを勝っていた。その後南関東を経由して金沢へ。金沢初戦では、その後北日本新聞杯で大差圧勝を見せるエムザックハーツに半馬身差と迫る2着だった。前走、金沢の3歳A2戦を勝って臨む一戦で、岩手在籍時より確実に力をつけていると見るべきだろう。
◎リュウノキャンドル
○セリトスガッテン
▲ガッテンモントレー
△シュクモモコ
△アンダースポット
このレース連覇のかかるヒシウォーシイが断然。前々走の名古屋大賞典JpnIII4着を別とすれば、地方同士のレースは昨年3月のマーチカップから13連勝中。前走オグリキャップ記念も完勝で安定感をさらに増した印象。川西調教師によると、夏はあまりよくないとのことで、このレースが約1カ月繰り上がったのはこの馬にはさらに有利と。実績的にも負ける相手はいない。
相手には、タフに全国を駆け回るトウホクビジン。3走前の東海クラウンは、実は地元東海地区では初めてのオープン勝ちだった。福山は09年3月に若草賞を制して以来2年2カ月ぶりだが、レース数にしてみると、なんと60戦ぶりの福山競馬場。その数字こそがこの馬のすごさだ。ときに凡走もあるが、ダートグレードでも3着、4着の力を持っているだけに、ヒシウォーシイを負かすまでは難しいかもしれないが、それ以外の馬が相手なら展開次第であっさりの場面も。
エーシンエヴァンは4走前のマイル争覇で3着、3走前のマーチカップで2着と重賞でも常に上位争い。前々走の東海クラウンではトウホクビジンにやや離されての4着だったが、近走の実績を見れば見劣りはしない。この馬も2着は狙える。
グランプリサクセスは、中央から兵庫に転入して4戦。前走兵庫大賞典は8着だったが、その前走ではA1特別を制した。中央では準オープンで2着、3着があっただけに、ここでも通用する可能性は十分ある。
地元勢ではクラマテングだが、09年のこのレースでは7着だっただけに、地方同士でも交流となるとちょっと厳しい。地の利を生かしてどこまで迫れるか。
◎ヒシウォーシイ
○トウホクビジン
▲エーシンエヴァン
△グランプリサクセス
△クラマテング
ラブミールックは、北海道でアタックチャレンジ勝ちがあり、南関東でも入着賞金を稼いでの高知転入だけに、いきなりの古馬格付け。高知の同世代とは今回が初対戦となる。転入直後はC2でかなり離されての敗戦だったが、3戦目となった前走は6馬身差の圧勝。実力は一枚上と見る。
相手には、中央未勝利から転入して6戦5勝、2着1回と、まだ底を見せていないミストラル。ここ3戦は1300mを1分25秒前後の好タイムで走っており、常に持てる能力を発揮している。
そのミストラルを唯一負かしているのがコマンダオー。この馬も前走で古馬C2戦を勝った。郷間勇太騎手は先日の福永洋一記念で重賞初制覇を果たしており、勢いもある。
マイネリスペクトは、中央未勝利から転入して初戦は4着だったものの、その後5戦連続連対。ここ2戦はミストラルにそれほど差のない2着。逆転を狙える力はある。
コマンダオーがミストラルを負かしたレースでやや離れた3着だったのがメガファイヤー。この馬も3歳-1組戦での上位安定勢力だ。
◎ラブミールック
○ミストラル
▲コマンダオー
△マイネリスペクト
△メガファイヤー
昨年惜しくも2着だったアンペアの雪辱に期待したい。負けた相手はラブミーチャン。ラブミーチャンが逃げ粘るところ、アンペアはゴール前で猛追したものの、アタマ差届かず。それでも勢いでは差し切ってるようにも見えた。アンペアはその後、門別1200mのオープンで5戦して3着を外したのは1回だけという安定した成績。常に1分11~12秒台で走れる安定したスピードを持っていることからも、地元馬同士のここは堂々の中心。
相手筆頭には中央から転入初戦となるプリティゴールド。門別1200mでは、昨年6月と7月に条件交流に参戦して、ともに2着に1秒以上の差をつけて圧勝。特に2走目は稍重だったとはいえ1分11秒4という好タイムをマークしており、レース内容的にもアンペアに引けをとらない。
ラビットファレルは、約10か月ぶりの実戦となった北斗盃で2着。3歳馬とはいえ、今回50キロで出走できるのは相当有利だ。
スズカランクスは、昨年4月のデビュー以来、1000~1200mのみを使われて10戦8勝、2着3着各1回。戦った相手がB2までとはいえ、底を見せていない。今シーズン初戦も後続を寄せ付けず逃げ切って好調だ。
フレアリングローズは中央からの転入初戦となったB1戦を勝利したのみだが、53キロでの出走ならチャンスはあるかもしれない。
ミスティックダイヤは09年の道営スプリントを制した実績馬。昨年の同レースでは4着だったが、アンペア(5着)には先着した。今回は56キロの斤量を克服できるかどうか。
◎アンペア
○プリティゴールド
▲ラビットファレル
△スズカランクス
△フレアリングローズ
△ミスティックダイヤ
グランダム・ジャパン3歳シーズンの第4戦だが、このシリーズ初参戦となるナナクサに期待したい。道営未勝利から転入して7戦3勝で一度も3着を外していないという堅実な成績。菊水賞では4コーナーでホクセツサンデーに並びかけられ、そのまま後退するかと思ったが、直線半ばまで食い下がった。最後は2馬身差をつけられたが、エルウェーオージャには先着しての2着。前走はエルウェーオージャに2馬身半差の2着だったが、3着馬には6馬身の差をつけていた。牝馬同士のここなら十分勝負になる力はつけている。
重賞実績ならマンボビーンのほうが上だ。福山・若草賞2着に、佐賀・ル・プランタン賞を制して、グランダム・ジャパン3歳シーズンは目下22ポイントでトップ。15ポイントで2位のリジョウクラウンが出走してこなかったため、ここを勝てば総合優勝にかなり近づく。
重賞初挑戦だが、サマーパレスの上昇度にも注意したい。デビュー戦を勝った後はしばらく今ひとつの成績が続いていたが、ここ4戦は3着を外さず好走続き。特に今回と同じ1700mの前走は、2着に7馬身差をつける圧勝。まだまだ上が望めそうだ。
佐賀からは今回もヒシダイアナが遠征してきた。若草賞、ル・プランタン賞はともに3着と堅実にポイントを稼いだが、マンボビーンとの着差を見ると、やや実力に差がありそう。今回は遠征の負担もあるだけに、逆転までは難しいだろう。
マルヨパトリオットは、中央未勝利から転入後、4戦していずれも3着以内。前走では中央未勝利との条件交流を制した。初めての重賞でどこまでやれるか。
◎ナナクサ
○マンボビーン
▲サマーパレス
△ヒシダイアナ
△マルヨパトリオット