ばんえい十勝オッズパーク杯は、雪で軽くなった馬場でカネサブラックの勝ちタイムが1分13秒1という冗談のような決着で、ばんえい競馬としての面白味があまりなかった。さらにここしばらくは週末になると雨が続いて同じような馬場でのレースが続いたが、今週はようやく少しは乾いた馬場になりそうだ。
そのばんえい十勝オッズパーク杯での賞金で、カネサブラックのみがプラス10キロでの出走。この馬の今の安定度なら、そのプラス10キロも問題にしないだろう。
とは思うのだが、ここはある程度馬場が乾くことを想定してフクイズミを狙ってみたい。前走レーシングカップはこれまた8.8%という軽い馬場で、カネサブラックが第2障害も止めずに1分4秒1という、これまた冗談のようなタイムで圧勝。これでは末脚自慢のフクイズミにとっては勝負にならなくても仕方ない。今回、藤本匠騎手への乗り替りにも期待したい。
相手には当然カネサブラック。ばんえい十勝オッズパークを3連覇してるだけに、一昨年も昨年もプラス10キロで出走し、7、5着と敗れている鬼門のレース。ただやはり、めったに連対をはずことがないこの馬の安定感は抜群だ。
連覇を狙うナリタボブサップだが、対カネサブラックのレースぶりを見ていると、最近はどうにも分が悪い。ゴール前でどうしても末が甘くなるので、第2障害ではカネサブラックにかなり差をつけて越えたところなのだが。
おそらくこの3頭の争いだろうが、一発の可能性があるとすればホクショウダイヤ。ばんえい十勝オッズパーク杯では2着のナリタボブサップからほとんど差がない4着に加え、前走レーシングカップでもカネサブラックの2着と好走している。
週間予報では好天が続くようだが、もし雨が降って馬場が極端に軽くなればフクイズミを3番手に下げる。
◎フクイズミ
○カネサブラック
▲ナリタボブサップ
△ホクショウダイヤ
アグリヤングは遠征した東海ダービーは残念ながら10着だったとはいえ、地元に戻ればやはり断然の存在。初対戦の馬でこれといった上がり馬もなく、ここまで同世代同士の重賞で5戦全勝は文句のつけようがない。
逆転の可能性があるとすればマルサンジョイ。福山ダービーでは3〜4コーナーでアグリヤングとの差を詰め、食い下がったといえるレースをしたのはこの馬だけ。今回は前に行きたい馬が多く速い流れになりそうで、断然人気のアグリヤングが早めにそれらを捕えに行くようなら、中団からまくってくるこの馬にチャンスが生まれる。前走で古馬B4特別を快勝していることもあり、この馬をアタマにした馬単はちょっと買ってみたい気がする。
3番手にモエロナツコ。逃げ馬らしく勝つか負けるかがはっきりした馬で、今回も直線どこまで粘れるか。
ムツミイングランドは3歳になってからの重賞で2、2、3着は安定した成績ともいえるが、福山ダービーでも1秒5も離されているように、ここのところ勝ち馬から離されているレースが多いのが気にかかるところ。
重賞初挑戦組で期待できそうなのはヒメキミ。3歳1組、古馬C5と連勝中で、特にその前走は逃げ切りで7馬身差の圧勝。ここにきて急激に力をつけている可能性はある。
気になるのが高知から遠征のイルトロヴァトーレ。中央から転厩して10戦連続連対で、7戦連続2着というのは、すごいというか何というか。特にここ2戦は福山に遠征しての連携シリーズ。そのシリーズで勝ちまくっている雑賀正光厩舎の勢いに乗る手もありそうだが、今回の上位メンバーは古馬に編入されて勝ち負けしている馬ばかり。3歳2組で勝ちきれないレースぶりでは厳しそうだ。
◎アグリヤング
○マルサンジョイ
▲モエロナツコ
△ムツミイングランド
△ヒメキミ
東海ダービー1、2着のダイナマイトボディとトウホクビジンが、すでにジャパンダートダービーJpnIの選定馬となっていて、ここには不在。ならば、その東海ダービーでは1番人気に推されながら雨の不良馬場で前をとらえられず3着だったカキツバタロイヤルに注目が集まりそうだ。しかし気になる点がある。カキツバタロイヤルは、新緑賞、駿蹄賞連勝と距離延長で台頭したが、それまで1400メートルでは7戦2勝と、いまひとつ安定感に欠けていた。
ならばシルバーウインドの巻き返しに期待したい。1番人気に支持された駿蹄賞は4着、東海ダービーは7着と大敗だったが、デビュー3戦目で初勝利を挙げて以降で凡走はその2戦のみ。注目すべきは距離適性で、デビュー2戦目こそ1400メートルで大敗しているが、その後1400〜1600メートルでは連対を外していない。1800メートル戦ではあるが、古馬A級3組という高いクラスで善戦しているのはメンバー中でもこの馬だけ。父はJBCスプリントを制したサウスヴィグラス。1400メートルという距離だけに、この馬に賭けてみたい。
距離適性という点では、重賞初挑戦ではあるが、トミノペガサスに魅力を感じる。デビュー戦(800メートル)以外は一貫して笠松1400メートル戦を使われてきた。中央挑戦では惨敗だったが、前々走の3歳1組特別を3馬身差で快勝したときの1分28秒1は、メンバー中の持ちタイムで最速。
中央から笠松に移籍後3連勝中のエーシンビッグシーにも一発の可能性はある。
ゴールドジュニアを勝ったブラックポイントや、2歳時に重賞2連勝があるニュースターガールも、距離は短いほうがほさそう。
◎シルバーウインド
○カキツバタロイヤル
▲トミノペガサス
△エーシンビッグシー
△ブラックポイント
△ニュースターガール
出走馬10頭中、7頭が西森鶴さんの所有馬。高知に限らず、規模がそれほど大きくない地方都市の競馬は、こうした馬主さんに支えられていると言ってもいいだろう。
中心は、当然その西森さんの所有馬で、グランシング。黒潮皐月賞は、逃げていたガーランドを早めにとらえると、直線は楽に突き放して3馬身差の圧勝。中1週で遠征した九州ダービー栄城賞でも、勝てはしなかったものの、4コーナーでは断然人気のギオンゴールドに並びかける見せ場をつくっての2着。高知に戻ればその力は断然。すでに4月に古馬B2特別を勝っているという実績も抜けている。2冠制覇の可能性はかなり高い。
相手筆頭は、やはり黒潮皐月賞2着のガーランド。その黒潮皐月賞では、グランシングに目標にされる厳しい展開も、3着以下は完封している。古馬D級勝ちという格付けもグランシングに続くもの。
新興勢力で一発があれば、1戦1勝のリワードブライトン。そのデビュー戦は、タイム的にもレース内容もまだ褒められたものではないが、今回、赤岡修次騎手を起用してきたというのが気になる。
黒潮皐月賞3着のベルエキップも、地元では近6走で3着を外さない安定ぶり。上位を脅かせるかどうか。
◎グランシング
○ガーランド
▲リワードブライトン
△ベルエキップ
3歳牝馬の重賞、フロイラインカップ。
ここ10年ほどでホッカイドウ競馬に新設された重賞は、カタカナ名が多い。それゆえ、どれがどういう条件のレースなのか、いまだに覚えられない。単にぼくの頭の中がオヤジ化してるだけなのかもしれないが。
で、フロイラインとはなんぞや?
Yahoo!辞書によると、「未婚女性に対する敬称。令嬢。お嬢さん。姓または姓名の前に付ける」だそうだ。しかも、ドイツ語。知らんて、そんなの。
しかしなるほど、それで3歳牝馬のレース名にしたわけね。
というわけで、15頭のお嬢様方による1200メートルの重賞。実績からはウィナーズダンスが断然。2歳時から重賞に顔を出していて、シーズン終了後は中央に移籍。その中央では2歳500万クラスで3着が最高で、ホッカイドウ競馬のシーズン開始とともに戻ってきた。そして3歳オープン戦を2連勝中。3歳重賞戦線でもっとも好成績をおさめているのが、北斗賞でやや離された3着のモルフェキイでは、やはりこの馬が中心だろう。
そのモルフェキイがここで一発と言う場面もあまり想像できないので、ならば未知の魅力ということでスティッチを2番手に。2歳時はフレッシュチャレンジ1戦(3着)のみで、今シーズンは3歳未勝利からのスタートとはいえ、2、1、2、1着という安定した成績。門別1000メートルが1分2秒0ではちょっと足りないかもしれないが、このメンバーに入ってタイムを縮められれば。
ビービールミナスは、北斗賞7着、北海優駿6着だが、牝馬同士のここで巻き返したいところ。
未知の魅力という意味では、地方では一度も3着を外していないタマキチャンにも可能性はありそう。
◎ウィナーズダンス
○スティッチ
▲モルフェキイ
△ビービールミナス
△タマキチャン