東京オリンピックを目指し、競技とガールズケイリンの両方で活躍されている鈴木奈央選手(静岡110期)。近況と目標を中心に伺いました。
山口:近況はガールズケイリンはあまり走られていません。久々のレースの時はどう感じますか?
鈴木:ガールズケイリンはあまり走れていなかったんですが、競技での練習はしっかりしていたので特に不安はないです。
山口:ナショナルチームとの両立も長く続けていますが、その辺りはいかがですか?
鈴木:デビューしたばかりの時に比べたら慣れてきて、両方とも集中して走れるようにはなってきたんですが、最初はかなり難しくてうまくいかないことが多かったです。
山口:デビュー時はガールズケイリンもかなりの本数を走られていましたが、最近は調整して、という形ですか?
鈴木:デビュー時は競技よりもガールズケイリンを重視して走っていたので徐々に慣れていたんですが、東京オリンピックが近付いてきて今は競技をメインにしています。
だから、ガールズケイリンにはあまり出られないんですが、競技でしっかり鍛えつつ、ガールズの皆さんのレースを見て勉強しています。
山口:東京オリンピックが2年と迫ってきているのも大きいですね。
鈴木:そうですね。あと2年しかないので、しっかり集中しないとダメだなと感じます。世界の選手たちもみんな強いし、きっちりオリンピックに合わせて仕上げてくるので、自分もそこに照準を合わせてやっていきたいです。
山口:ガールズケイリンでも5月(松阪)ステファニー・モートン選手(オーストラリア)と対戦がありましたが、意識はしますか?
鈴木:私は競技は短距離(ケイリンなど)ではなく、中距離(スクラッチ、チームパーシュートなど)をしているので、そんなには意識はしませんでした。ただやっぱりとても強かったです!
山口:競技が違うんですね。その違いはいかがですか?
鈴木:自転車自体が違うので、今はあまりガールズケイリンで使う自転車ではメインの練習はしていません。そこが少し難しい部分です。
フレームやハンドルが違うので、どうしても違いは感じます。でも、自転車をこいで1着を目指すのはどの競技でも同じなので、自分の中ではあまり気にしないようにしています。
山口:競技は学生時代からされていたんですよね?
鈴木:そうですね。高校生の時にジュニアオリンピックカップという大会でタイムが出たので強化指定選手に選んでもらいました。
それからそのまま続けています。東京オリンピックまでは今のように競技メインになると思います。
私は静岡出身、地元でオリンピックの自転車競技が開催される(東京オリンピックの自転車・トラック競技会場は、静岡県『伊豆ベロドローム』に決まった)のは自分でもとても大きいことなので、それまでは頑張ろうと決めました。
山口:小林優香選手(福岡106期)などもオリンピックを目指されていますが、ガールズケイリン選手の中に同じ思いを持つ選手がいるのは心強いですか?
鈴木:心強いですね。ただ小林選手や太田りゆ選手(埼玉112期)などは短距離なので、練習のリズムとかは違うんですが、仲間がいるのはありがたいですね。
中距離では、今年デビューした橋本英也選手(岐阜113期)がいるので、二人で中距離の話や競輪の話をしながら頑張っています。
山口:メディアなどで見ているナショナルチームの練習は分刻みのように細かく決まっているイメージですが、息抜きはどうしていますか?
鈴木:基本的にはあまり休みがないんですが、ナショナルチームの仲間と夜にご飯を食べに行ったりするのが、今は息抜きですかね。
山口:ナショナルチームのコーチが変わって、環境も変わりましたか?
鈴木:海外での合宿が多くなりました。その点が一番変わったところですね。
海外の選手と一緒に練習する事はないんですが、ロードトレーニングなど日本では出来ないトレーニングに力を入れて、良い環境で練習をしています。
山口:意地悪な質問かもしれませんが、静岡は今年、KEIRINグランプリ、オッズパーク杯ガールズグランプリが開催されます。決定した時は、競技との両立は揺らいだりしませんでしたか?
鈴木:正直に言うと、最初は静岡のガールズグランプリに出たいという気持ちがありました。ただ小さい頃からオリンピックに出たいという気持ちが先にあったので、それはブレずにいます。
前のコーチに「オリンピックが自国で開催されるのは、もしかしたら生涯唯一かもしれないぞ」と言われたんです。その言葉が心に結構残っています。
静岡は今年グランプリなんですが、きっとまた誘致してくださると信じているので頑張っていただいて(笑)、また何年後かに静岡でグランプリが開催されるときに出られるように頑張りたいです。
山口:ガールズケイリンを走る機会は少ないですが、その時に重要視していることは何ですか?
鈴木:競技と違って競輪はお金を賭けていただいて成り立っているので、その部分でしっかり車券に貢献しないといけないと心掛けて走っています。
山口:競技の部分がガールズケイリンに活かされているなと感じるところはありますか?
鈴木:全然種目が違うんですが、アップの方法であったりは取り入れています。またコーチにもいつも「競技は中距離だが似ている中距離競技もある。その短いバージョンだと思って走ってこい」といつも言われるので、後手を踏まないようにするとか仕掛けるポイントは同じような所なのでそのような部分は意識をしています。
山口:お客様のご声援はいかがですか?
鈴木:競技でもたくさん応援の声をいただくんですが、ガールズケイリンを走る時もいつもたくさんご声援いただいて本当に嬉しいです。
私は声援が力に変わるタイプなので、名前を呼んでもらったりすると頑張ろうと思いますね。
走る時は応援していただけると嬉しいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
鈴木:競技もガールズケイリンも上で戦えるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
※写真提供:公益財団法人 JKA