有吉辰也が青山周平に前節のリベンジ
3連単オッズの人気からは青山周平・絶対のムードはなく、むしろ有吉辰也の7枠を首位に採った車券の方が人気20傑には多かった。
青山周・中村雅人とともに今節3戦全勝で迎えた有吉は、まず青山周よりスタート先行。そして1周回2コーナーで荒尾聡の内が空いたところをすり抜けて4番手へ。対照的に青山周は1周回3コーナーで荒尾の内を狙ったが入れず6番手のまま。ここの展開が勝敗のキーポイントとなった。
0ハン牧野貴博を叩いた小椋華恋の逃げに大木光が離れて追走する隊列を、有吉が1車ずつ捌いて3周回で先頭へ。青山周は差を詰めたがゴールでは1車身ほど届かず準優勝。
前節の伊勢崎G1シルクカップで、優勝した青山周の後塵を拝する4着だった有吉が今回雪辱を果たし、昨年10月ぶりの今年の初優勝は通算66度目のVとなった。そして通算勝利数は987勝に。1000勝の大台へまた一歩近づいた。
文/鈴木
来月の浜松SGへ繋げたい鈴木圭一郎
2024年SG優勝なしの状態で臨んだ年末のSS王座決定戦を優勝し、青山周平を逆転して賞金王にも輝いた鈴木圭一郎が、年明けは浜松デイレース2節に出場しながらどちらの節も優勝できず、最高の流れという雰囲気ではない。その2節とも予選~準決勝戦はオール1着(1節目はスーパーハンデ)。しかし決勝戦はいずれも後輩若手のハイペースに敗れる展開だった。
浜松デイレース『G2ウィナーズカップ』は2018年に初めて制覇。そして翌年から2023年の前回までの5大会とも優出はしているが優勝はできなかった。年によって開催時期が四季の全てにわたる稀有な大会であるのも、エンジンを完璧に仕上げることを難しくしているのかも解らないが、この大会に初めて優出したのは冬季12月に開催された2016年であり、目下のエンジン状態も決して悪くないので、地元グレードレースで2025年の初笑い(初優勝)を挙げて、2節後の浜松SG『全日本選抜』への良い流れも作りたい。
SS王座決定戦のスタートを大きく遅らせてしまい7着に沈んだ黒川京介は、直後のお正月開催4日制を全勝して完全Vと勢いを取り戻した。続く伊勢崎デイレースG1『シルクカップ』は準決勝戦どまりだったものの、試走タイムは5日間とも3.2秒台、本走タイムも3.36秒台を複数回マークしていたので、高いスピードを備えて今節を迎えられる。
浜松は、1級車に乗り換わってわずか4か月でSG『オールスター』に優出、2023年には前回のこのウィナーズカップを制覇、先月にはG1『スピード王決定戦』も好走して、とても相性が良い走路。黒川も当然、全日本選抜への出場を控える身であり、まずは今回、地元エースにして全国ランキングS1の鈴木圭を倒して、2冠目のSGを狙う態勢を整えたいはず。
佐藤励は地元川口1月2日のレースを身体不良で欠車、そのまま開催から早退したので、浜松ぶっつけでの今年緒戦となるが、昨年末は川口デイレース『SSシリーズ戦』を5日間無敗で前年に続く2連覇。決勝戦は池田政和の内枠から先行して振り切った。
浜松は、2022年に1級車へ乗り換えてから遠征した2節は成績ふるわなかったが、昨年は2月のデイレース一般開催で試走24秒の本走330秒、SSシリーズ戦の直前に参戦した先月の一般開催は試走26秒の本走353秒を計時していて、持ち前の高いスピード能力を冬季の浜松でも存分に発揮できている。
佐藤摩弥は、ランキングS級に定着し始めた時期とちょうど重なる2019年4月から、浜松グレード戦で上位の着順に入るケースが格段に増加。さらに2022年9月以降は浜松グレード戦へ出場した際に優出する頻度が高まっている。2023年2月には全日本選抜、11月には日本選手権と、SGレースに2度も優出した。
近況の推移は、昨年11月に浜松の一般開催とG1のデイレース2節で9走して6勝。年末はSSトライアルを勝ち抜いて王座決定戦まで進むと、中団発進から最後尾まで後退しながら4着まで挽回してみせた。そして今年はシルクカップにも優出し、10メートルオープン戦の6枠から4枠の三浦康平に続く2番手発進。青山周には捌かれたが有吉辰也の追撃を防御して3着と好走した。
2024年の金子大輔は復権を果たした1年といえそうだ。2023年の暮れ、3年ぶりにSS王座決定戦まで進出すると、直後の川口お正月開催に優勝。そして翌月の全日本選抜で9年ぶりにSGタイトルを獲得したのだ。6月には浜松アーリーレース2節に7連勝して連続V。12月はG1開催2節とSS王座決定戦を含む4節すべてに優出。今年最初の1節も初日から3連勝で優出。決勝戦こそ5着だったが予選中の動きは非常に鋭かったので、今大会も有力な1車と評価できる。
試走も本走も他者と比較して速いタイムが出ることが多くない印象のある佐藤貴也が、昨年11月~12月から数字的にスピードアップ。その車速を生かしてSSトライアルも好走したが4日目に他落。ところが翌日の王座決定戦は0メートルオープン戦の8枠という厳しい位置から3着に突っ込むと、今月17日の浜松デイレース決勝戦でも同期の金子大輔に道中で競り勝ったのち、栗原佳祐を退けて2着まで追い上げた。不屈の闘志、逆境にも諦めないファイトを大いに発揮して、2022年の前々回大会いらい3度目のウィナーズカップ制覇をもくろむ。
鈴木宏和は先月にグレード覇者の仲間入りを果たしたばかり。その後に挑んだスーパースターも含めて、今年度に開催された4つのSG開催すべてに優出するという目下の充実ぶりが遂に結実したわけだ。全国ランキングは前期が全国4位、今期はS15と順位を下げたが、伊藤信夫と木村武之に対しては現在3期連続で上位のランクを維持している。
ようやく射止めたグレードレースの優勝トロフィー。となれば次に狙うのはSGの冠と名誉だ。来月の全日本選抜にも優出すれば、2024年度SG優出フルコンプとなる。もちろん目指すのは「優出」でなく「優勝」の2文字だ。その大目標へ向けて今大会は武器のスタートにも磨きをかけていきたい。
ここ浜松では今年早くも、若い芽が次々と台頭している。
6日~8日の浜松デイレースは、この1月から1級車へ乗り換わったばかりの吉林直都が優勝。決勝戦で2着にくだした相手はスーパーハンデでスタート位置が30メートルも離れていたとはいえ、あの鈴木圭一郎である。前日の準決勝戦は自身最高の本走タイム3.367秒で渡辺篤らをチギって圧勝している。
14日~17日の今年3節目の浜松は、35期の西翔子がV。本走タイム441秒で5着となった初日から一転、2日目は本走375秒で佐藤貴也を引き離して独走。3日目の準決勝戦も鈴木宏和に同じくらいの差をつけて勝利すると、決勝戦では、浜松お正月開催に優勝するなど充実ぶりを誇っていた栗原佳に対する車間をレース後半に拡げていく快速の逃げで3連勝。鈴木圭を今年初めての着外にくだす結果ともなった。
この3節を終えた時点で吉林は最重ハンの10メートル前まで出世しており、優勝した西も吉林と並ぶハンデ位置へ重化するケースを想定しておきたいが、この両名ともポテンシャルの高さ、今の勢いと充実度をもってすれば、G2の大舞台へステージを移しても活躍する可能性が大いにある。その活躍は今節にとどまらず今後のSG戦線へつながるものともなるだろう。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
吉林 直都〔浜松 A-157(36期)〕
西 翔子〔浜松 A-151(35期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-11(31期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-13(26期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-32(34期)〕
野本 佳章〔伊勢崎 A-23(34期)〕
長田 恭徳〔山陽 A-232(32期)〕
文/鈴木
26期勢の追い込みとなりそう
2024年の大みそか優勝戦を制した篠原睦が今回も動き冴えており、飯塚ミッドナイト連続Vへ好視界。久門徹がスピードに乗った走りを見せていて、篠原よりスタート先行から道中も前の位置を保ったまま先にゴールへ飛び込むか。
イン抑え込みもアウト突っ張りもなかなかに上手い高橋絵莉子が35期2車の追撃を防御するが、コメントから車の状態に手応えを得た様子の中村颯斗が後続勢の来る前に先頭へ抜け出せるとハイペースで逃げるケースもある。
準決勝戦1着の浜野翼がフライングで失権したことにより繰り上がりで優出キップを手にした佐久間健光は、このチャンスをものにできるか。
◎ 7 篠原睦
○ 6 久門徹
△ 2 中村颯斗
▲ 1 高橋絵莉子
穴 4 佐久間健光
おすすめの買い目
7=6-214
穴なら
4=7-621
文/鈴木
青山周平が2節連続で完全優勝を狙う!
一般開催ながら豪華な優勝戦メンバーとなった。実力ナンバー1の青山周は、20線に6車並んだ大外。ここからカマシ気味に行ければ楽勝ムードだが、内枠勢に突っ張られると波乱もある。まず逃げるのは牧野貴。現状の仕上がりなら上がり390を出せる状態だが、後続はもっとタイムを出してくるので逃げ切るまではいかないか。小椋が道中で交わして逃げに入るかも。その小椋にしても準決以上のタイムを出したいところ。
青山周は内枠勢をカマシ切るまではいかなくても、何車か置いて出そうだ。そこからは周回をゆっくり使って先頭まで浮上する。準決で青山周と変わらない伸びを見せていたのは若井。20線勢の中でも内枠に置かれているので、スタートをしっかり切れば勝負になる。道中の攻めが的確なのは中村雅と有吉。人気薄になるようなら狙ってみたいのが小椋。
◎ 8 青山周平
○ 4 若井友和
△ 6 中村雅人
△ 7 有吉辰也
▲ 2 小椋華恋
おすすめの買い目
8-2467-2467
別線は好位置の小椋
2-4678
苦しい展開から丹村飛竜が巻き返してV!
0ハン単騎の青木隆がマイペースで逃げ、直後に付けた角は準決同様に交わせない状態でレース中盤まで経過していた。20線は大外から長田稚がスタート決め、丹村飛は最後方からのレースになってしまったが、混戦のインに切り込み番手を上げる。やがて2番手に立つと、逃げる青木隆を冷静に交わして先頭を奪取。そのまま押し切った。中盤までは仕掛けどころがなかった山本翔だが、レース後半にかけては動きが軽快になり青木隆を差して準優勝。長田稚はスタートこそ切れたものの、序盤の攻めが決まらなかった。それでも最後は追い上げ3着入線。
スタート直後の位置取りからして丹村飛は厳しいレースになりそうだった。しかし、試走一番時計の機力を後押しに、道中は落ち着いて攻めていけていた。この優勝戦ではランク的に下になる長田稚の内枠に置かれたことも発奮材料になったかも。38期新人の藤本悠仁を弟子に迎え入れた丹村飛は、再び山陽エースの座を取り戻すべく、2025年を好発進で始動させた。