24日、福山競馬最後の開催が終了しました。
当日は朝からたくさんのファンが詰めかけ、福山最後のレースを見届けました。
最終的な発表では1万237人の来場者だったということで、改めて、福山競馬が愛されていたこと、潜在的な競馬ファンはたくさんいるということを教わりました。
第1レースに騎乗した藤本三郎騎手は9着だったけれど、レース後スタンド前まで戻って、ファンにステッキを投げました。
突然の出来事に、一瞬みんな驚いていたけれど、その後はステッキの争奪戦。
馬から降りた藤本騎手は、
「騎乗する全部のレースでステッキ投げるよ。今日はそのつもりやったから」
と、少し照れ臭そうに笑いました。
その言葉通り、騎乗した5レースすべてにおいて、使用したステッキを客席に投げ入れ、ファンからは、
「さぶちゃ~ん!!」「ありがとう!!」
と、大きな声援を受けていました。
藤本騎手はこの日で騎手を引退し、これからはミッドウェイファームで馬を育てて行くそうです。
「最後のレース、気持ちよう乗れた」
ファンに愛されたさぶちゃんは、満面の笑みで勝負服を脱ぎました。
門別から期間限定で福山にやって来た下村瑠衣騎手は、その後正式に福山所属となりました。
この日の第7レース、2着という成績で福山での騎乗を終えました。
「今日は悔いの残らないレースをしようと思ってました。
勝てなかったのは悔しいけど、でも今の自分の全力が出せたと思います。
やれることはやれたので、気分的にはスッキリしてます。
ゴールした後、スタンド前まで行って『ありがとうございました!』ってファンの方々に言えました。
本当は勝ってウィニングランしたかったですけど。
福山では、本当に楽しいことばっかりであっという間でした。
門別から福山に来た日に、廃止って新聞に載ったのでびっくりしたんですけど。
その頃は、騎手を続けようか悩んでいたので...とにかく24日まで、精一杯頑張ろうって思ったんです。
でも実際に今日の日が近づいてきたら...もっともっと乗りたくなって、騎手を続けたい!って思うようになりました。
今になってみると、門別でももっと頑張れたのかもしれません。自分の努力が足りなかった、考えが甘かったんです。
ここに来て、いろいろな方に出会って、わたし自身の考え方も変わりました。
福山に来ることが出来て、本当に幸せです。
この後は高知で乗るんですけど、30日31日は福山所属として乗って、4月から高知所属になるのでそこからは新しい勝負服にして、心機一転頑張ります」
福山最後のレースは、ファン投票を実施した『ファイナルグランプリ』。
その実況中には、このレースに挑んでいる馬たちと騎手の名前、さらに、騎乗していない騎手たちの名前も登場しました。
2013年3月24日 福山ファイナルグランプリ
福山の最後に相応しい、素晴らしい実況でした。
『ファイナルグランプリ』を制したのは、昨年末に門別から移籍して来た【ビーボタンダッシュ】。
勝った【ビーボタンダッシュ】だけでなく、みんなでウィニングラン。
大きな大きな拍手で迎えられました!
馬主の村上卓史さんによると、この後は再び門別に戻るとのこと。
福山最後の勝利を飾った馬として、今後の活躍にも期待したいですね。
そして、一番最後に福山のゴール板を駆け抜けたのは...ファン投票第1位の【クラマテング】でした。
長きに渡って福山競馬を支え続けてくれた馬。
復活を託しての、ファン投票1位だったと思います。
結果は大差のしんがり負けでしたが...
ゴールに入った時、場内から大きな拍手が沸き起こり、【クラマテング】の頑張りをみんなで称えました。
この光景を目の当たりにしたら、競馬をただのギャンブルだなんて、誰も言えないと思います。
競馬とは...馬を愛し、人を愛し、関係者とファンとで一緒に作るもの。
その舞台である福山競馬場が無くなってしまったことは、本当に残念です。