山陽の回でも書きましたが、オートレーサーたちはとにかく横の繋がりを大切にしています。
フレームにエンジンを乗せる時や、急に雨が降ってきてタイヤを換える時など、仲間がいないと出来ないですからね。
この仲間精神が、一番わかりやすく現れているのが、レース後のお出迎え。
レースが終わるたび、ほとんどの選手が集まって来て、レースを終えた選手を労います。
この時、同期や後輩たちがバイクを受け取るのです。
しかも!
私が1番感激したのは、レースを終えた選手たち。
一緒に戦った選手それぞれ、「ありがとうございました」「ありがとうございました」って、握手しながら言い合うんですよ!!
これにはビックリしましたね。
レースを終えて、勝った時なら気分もいいから出来るけど、負けて悔しい時とかは、なかなか出来ることじゃないですよ。ホントに。
私なら出来ないもん。絶対出来ない。
一度自分のミスで負けた時、悔しくて悔しくて、検量室で馬具を放り投げてしまい、ものすんごく怒られたことがあったけど...
レース直後というのは、とにかく気が立っているものです。
オートレーサーたちの、この美しい戦いの後の姿。
ぜひともここまで中継カメラが入ればいいのにな~と思うのでした。
それでは選手の紹介に移りましょう。
この笑顔が眩しい方は、青木治親選手@川口。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この方は、ロードレース世界選手権で2連覇を達成した、世界チャンピオンなのであります!!
しかも群馬出身!
ロードレースの世界チャンピオンが、なぜにオート界に入って来たのでしょうか?
「ロードレースは選手寿命が短いし、第二の人生を考えた時に、昔から俺にはバイクしかなかったから。
普通は学校に入る年齢を超えていたんだけど、ロードレースで結果を出してたから、特別枠で入学出来たんです。27歳の時ですね」
:周りの方はビックリしたんじゃないですか?
「実は、誰にも相談しなかったんですよ。嫁さんにだけは言ったんですけど、「いいんじゃない」って言ってくれました」
:素敵なお嫁さんですね!だって、学校に行ってる間は10ヶ月間缶詰だし、収入もないわけでしょう?
「そうですよ。大人になってから学校入ったんで、けっこう辛かったですよ。今なら無理だね」
:わかります!私も2年缶詰でしたから。
「2年?!いや~それは無理だね。
同期(29期)はすごく仲がいいんですよ。みんな俺より年下だけど、そういうのは関係ない世界だから」
8歳年下の同期、岩見貴史選手@飯塚とパチリ☆
「俺、偉そうだと思われるじゃん!」by岩見選手。
29期の絆の強さは、そのバイク名にも現れています。
青木選手の愛車は、『キツネFOX』。
岩見選手は、『ニワトリチキン』。
他にも『トリバード』『イヌドッグ』『ネズミマウス』などなど...
「最初は浜松のやつらが言い出したんですよ。じゃー俺もってことで、なんか動物シリーズになりましたね。
普通は2年ごとくらいに新しい期が入って来るんだけど、29期の次の30期が入って来るまで6年かかったんですよ。
だから俺たち、一番後輩の時期がすごく長くてね。そういうこともあって、仲いいのかな。もちろん他の期の人たちも、みんな仲いいですよ」
:オートレースの世界に入って、ロードレースと違って驚いたことありますか?
「あります!一番ビックリしたのは、選手同士が情報交換すること!!
ロードレースはチームでやるから、仲間同士はもちろん情報交換するけど、他のチームには教えない。聞かないし、言わないの。
でもオートの世界はみんな聞くし、教えあうから。最初は、言っていいの~?って、かなりビックリでした。
あと難しかったのが、気持ちのコントロールですね。
ロードレースは週を通して気持ちを高めて行くけど、オートは1日1日。
みんなと話していて、レースになれば一気に集中して、終わればまたリラックスしてみんなと話す。
最初はその集中力を一気に上げることが難しくてね。
今はもう慣れて、レース前後はリラックス出来るようになりました。
きちんとリラックスして、精神を休めることも大切ですから」
:なるほど。レーサーの集中力は、ものすごいですもんね。
オートでは、車券を買う時にかなり試走タイムを重視していますが、みなさん本気で走ってるんですか?
例えば、あんまり速いタイム出すと他の選手の闘志に火が付くから、ちょっと抑え目にしようとか思うことないですか?
「いやいや。試走はね、タイム出さないと他の選手にナメられるから。そうすると、けっこう無理なとこ突っ込まれたりする原因にもなるから、みんな本気で走ってますよ」
:そうなんですか!ナメられるね。選手心理はそっちに働くわけですか。
「それに、試走タイムとレースのタイムの差があり過ぎると、制裁の対象になりますから」
:山陽の田方選手もそう仰ってました。
車券を買う時にかなりのウェートを占めているので、本当に本気で走ってるのか、つい気になって...
「確かにそうですよね。試走タイムは大切です。出ないとモチベーションも上がらないし。
ただやっぱりレースとは違うし、急に天気が変わったりするから、どうしてもお客さんに迷惑かけちゃうことがあるんですけどね。
あと、自分の持ちタイムや、周りの選手と比べて明らかに試走タイムが出てない時には、再試走をするんです。
命じられる時もあるし、自分の意思でやる時もある。なるべくお客さんに迷惑かけないようにね」
:ということは、やはり試走はかなりの確立で信じていい!ということですね。
LOTOだと試走を見る前に買うから、何を参考にしたらいいですか?
「難しいですね。う~ん...前日まで調子よくても、天気が晴れから雨になったらもう全然違うから。
まずは天気で判断するのがわかりやすいんじゃないかな」
ということでした!
LOTOを買う時は、天気を参考にしてみて下さいね。
選手それぞれのプロフィールには、良走路と雨走路の成績も載ってますから。