昨年5月2日、高知競馬第1レースで落馬負傷し、長期療養中だった宮川実騎手が、約1年ぶりに復帰を果たしました!
顔面複雑骨折・左目失明という大きな怪我からの復活には、度重なる手術とハードなリハビリがあったそうです。
試練を乗り越えて1歩踏み出した宮川騎手に、お話を伺いました。
:まずは復帰、おめでとうございます!
「ありがとうございます。乗る前には恐怖心もあったけど、レースになったら10年間体に沁みついた感覚がありました。
どれくらい冷静に周りを見られるかと思ってたけど、天候や色々な条件が揃って良かったです」
:復帰当日は、高知のジョッキーや福山の楢崎功祐騎手、JRAの武豊騎手の協賛レースが並びましたね。
「本当にありがたいです。
自分がしたいことしてるだけなのに...。もしかしたら、他のジョッキーに対して危ないことになるかもしれないのに...。目に見えたハンデを持った僕を温かく迎えてくれて、嬉しかったです」
:復帰にあたっては、相当なご苦労があったと思いますが、どんな道のりだったんですか?
「そうですね。まず怪我した当日のことは、朝の攻め馬が終わって、調整ルームに戻って来た辺りから覚えていないです。
怪我した当時は、すぐにでも乗りたくて乗りたくて...。
その週に名古屋と園田への遠征が決まっていて、やっとこれから県外に行って色んな勉強が出来ると思ってた矢先でしたから...
本当にショックでしたね。
何も考えたくなかったし、とにかくキツかったです」
:色々なことを考えたと思いますが。
「考える時間はいっぱいありましたから、本当に色々考えましたね。
でも、『引退』の2文字は全くなかったんです。
もう1度レースに乗るまでは引退できないと思いました。
レースの感覚を味わった上で、それなりに乗れないなら仕方ないけど、とにかくもう1度乗るまではと思ってました」
:調教はかなり早くから行っていたそうですね。
「はい。3ヶ月くらいで戻りました。その後も何度も手術したりしてましたけど。
5月に入って模擬レースに乗って、騎乗へのゴーサインが出ました」
:そして復帰2日目に勝利!この勝利の味はいかがでした?
「いや、本当にありがたいです。
こんなに早く勝っていいのかな...という気持ちもありました。
いい馬に乗せていただいて、期待に応えられない騎乗はしたくなかったし、レース前は不安や恐怖心がありました。
この馬は高知初出走で、装鞍所とかもちょっと元気いっぱいだったんですけど、返し馬の時に馬に対して一緒に走りたいことを伝えて、馬もそれに応えてくれる感じだったので...信じて乗りました。
乗せてくれた関係者と、僕と一緒に走ってくれた馬のお陰で、いいスタートを切ることができました」
:復帰、そして1勝を挙げました。今後の目標は?
「やるからには、1番を目指したいですが、今はとにかく目の前のことをしっかりとやって行きたいです。
とにかく1歩踏み出せたので、これからですね。
怪我をしてから、本当に周りに支えられてるなと実感しています。
特に兄(浩一騎手)は、普段あまり見せないけど、すごく心配してくれていますね。
5月10日に、高知で福永洋一記念があったじゃないですか。
あの時の表彰式を見てて、すごく感動したんです。
洋一さんがファンに向かって大きな声で叫んだ時...鳥肌立ちましたね。
俺、まだまだ小さいな~と思いました」
大きな試練を乗り越えて、一回りも二回りも強くなって戻って来た宮川騎手。
今後の活躍に期待しています。