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ばんえい名馬ファイル(10) サカノタイソン

不滅の連勝記録 サカノタイソン

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Photo●OPBM

 ばんえい競馬では、平地の競馬と比較して、絶対本命馬があっさりと敗れるという場面がそうめずらしいことではない。それはやはり一番の勝負どころである第2障害の存在が大きい。抜けた実力の馬でも、第2障害でひとつ歯車が狂って障害を越えられなければ、挽回不可能な差となってしまうからだ。

 それゆえ、ばんえい競馬では連戦連勝というのはなかなかに難しい。現役馬でいえばカネサブラックの安定感は誰もが認めるところだろうが、それにしても2着、3着に敗れることも少なくなく、条件クラスでの6連勝が最高だ。

 近年、ばんえいの連勝記録で注目を集めた馬にウィニングがいる。ばん馬としてはデビューがかなり遅く、4歳(1996年)の春。その4歳時、デビュー6戦目から10連勝を達成。これは当時のばんえい競馬の連勝記録だった。

 そのウィニングの記録をあっさりと、しかも大幅に更新する馬が現れた。それがサカノタイソン。

 サカノタイソンは、ウィニングと同じ1996年の2歳時にデビュー。ばん馬としてはゆったりとした間隔で使われ、年末までに無傷の7連勝。ウィニングの10連勝の記録を更新するかに思えたが、明け3歳となった初戦で2着に敗れ、連勝記録はストップした。

 しかし、冬季休催を挟んで4月の3歳シーズンから破竹の連勝が始まった。ウィニングの記録を更新したばかりか、その記録をじつに19連勝にまで伸ばした。

 その19連勝のなかには、4歳時の銀河賞、明けて5歳1月のポプラ賞などの重賞もあり、さらには古馬一線級と対戦したチャンピオンカップまで連勝街道を突っ走ったのだから驚きだった。

 ごく最近では、残念ながら先日死亡してしまったものの、マルミシュンキも連勝で注目を集めた馬だった。デビューから6連勝し、7戦目となったナナカマド賞(特別)で7着と初の敗戦。そこから再び連勝を続けたが、サカノタイソンの記録には遠く及ばず、11連勝で記録は途切れた。

 サカノタイソンとマルミシュンキには共通点があった。どちらも馬主が所有する施設、いわば"外厩"でも調教を積んでいたということ。それゆえ、両馬ともにばん馬にしてはかなり間隔をあけて使われることが多かった。つまりは、そうしてレースを選んで使わなければ、ばんえい競馬で連戦連勝というのは困難なことなのであろう。

 サカノタイソンの話に戻る。チャンピオンカップを制して連勝を19にまで伸ばしたサカノタイソンは、そのレースで4歳シーズン(明け5歳)を終える。どこまで連勝を伸ばすか期待されたものの、5歳シーズンの初戦(1999年6月)となったオープン戦であっさりと4着に敗れ、連勝記録はストップした。

 しかしそこまでは2着を一度挟んでいるだけで、デビューからチャンピオンカップ制覇まで27戦連続連対という記録も打ち立てたことになる。

 サカノタイソンに対しては当初、スピード馬とする見方も少なくなかった。しかしばんえい記念連覇を達成したことで、パワーも兼ね備えていることも示して見せた。

 ばんえい記念初挑戦は2001年。明けて7歳の2月だった。このときは、ばんえい記念史上初となる3連覇の期待がかかったシマヅショウリキが1番人気。早めに第2障害をクリアしたシマヅショウリキだったが、そこで力を使い果たしてしまったか、見せ場はそこまで。サカノタイソンと、9歳にしてばんえい記念初挑戦となったグレイトジャイナーの一騎打ちとなり、サカノタイソンがわずかの差でグレイトジャイナーを振り切った。

 このときサカノタイソンの手綱をとったのは、乗替りで初騎乗となった大河原和雄騎手。大河原騎手にとっても、ばんえい記念はこれが初制覇。サカノタイソンの主戦だった藤本匠騎手は、対するグレイトジャイナーの主戦でもあり、苦渋の選択が悔しい結果となった。

 しかし翌年、ばんえい記念連覇を果たしたときのサカノタイソンのソリの上には藤本匠騎手がいた。障害先頭は、これがばんえい記念初挑戦、6歳のスーパーペガサス。サカノタイソンが続いて坂を下ると、勢いそのままにスーパーペガサスを交わし、押し切って連覇達成。わずか1秒6差で2着に敗れたスーパーペガサスだが、その翌年からばんえい記念4連覇の金字塔を打ち立てることになる。

 19連勝。デビューから27戦連続連対。これらに加え、サカノタイソンにはデビューから43戦連続で単勝1番人気という記録もある。いずれもが、おそらくばんえい競馬では今後も破られることのない不滅の記録であろう。

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サカノタイソン引退セレモニー

 余談になるが、サカノタイソンはとにかくデカい馬でもあった。体高はオープン馬の中でも飛びぬけて大きく、青毛の黒光りする馬体も相まって、ひときわ威容を誇っていた。サラブレッドでも特に強い馬のことを"怪物"と表現することがあるが、サカノタイソンはその成績だけでなく、存在そのものが、まさに怪物だった。

文/斎藤修

(馬齢は、現在と同じ新年齢で表記)

サカノタイソン
1994年4月6日生 ペル系 牡 青毛
父 ペル・武潮
母 半血・サホロクイン
母の父 ベルジ・ジアンデユマレイ
北海道上川郡風連町 太田輝雄氏生産
競走成績/73戦50勝(1996~2002年)
収得賞金/66,355,000円
主な勝鞍/98年銀河賞(北見)、99年ポプラ賞(帯広)、チャンピオンカップ(帯広)、00年帯広記念(帯広)、01年ばんえい記念(帯広)、02年ばんえい記念(帯広)

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