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3/23ばんえい記念回顧

トモエパワーばんえい記念連覇!

 23日(日)はばんえいの最高峰・ばんえい記念(4歳以上オープン)が行われ、トモエパワーが優勝。昨年に続く連覇を果たしました。

 馬場水分0.6%、そして1トンの酷量とあって、第1障害から各馬大苦戦。ナリタボブサップ、ミサイルテンリュウ、スーパークリントン、スターエンジェルといった順で第1障害を越えていきました。むろん道中は超スロー。進んでは止まり、進んでは止まって、一度広がった各馬の間隔も詰まりはじめました。ミサイルテンリュウ、ナリタボブサップの2頭が先行するなか、トモエパワーもこの一角。そして第2障害下へ先頭でたどり着いたのが、トモエパワーでした。この位置取りが、結果として大きく影響したと言えるでしょう。
 迎えた第2障害。各馬じっくりタメたのち、最初に仕掛けたのはトモエパワー。普段とは違い、ひと腰で天板近くまで上がる抜群の登坂力を発揮しました。この間にミサイルテンリュウ、シンエイキンカイも仕掛けますが苦戦。遅れて仕掛けたナリタボブサップも痛恨のヒザ折りと、壮絶なサバイバル戦の様相を呈してきました。と同時に、トモエパワーは天板まで登り切り、あとは荷物を引き上げるだけ。バイキで加重を前に乗せ、ついにこの難関を突破しました。それに続くかたちで、今度はミサイルテンリュウが天板へ。同じく加重を乗せて2番手で越えていきました。
 2頭の差はおよそ15メートルほど。トモエパワーとミサイルテンリュウの末脚を比較すれば、断然トモエパワーが有利で、ほぼセーフティーリードと言えるでしょう。20メートル付近で1回、10メートルで1回、そしてゴール直前でもう1回ストップしたトモエパワーでしたが、追うミサイルテンリュウも残り20メートルを切ってから脚いろが鈍化。最後は西弘美騎手もゆったり息を入れさせ、トモエパワーがしっかりとした脚いろでばんえい記念連覇のゴールを果たしました。
 ミサイルテンリュウは残り10メートル付近でもたつき、後方との差が詰まってきました。しかしなんとか立て直すとゴール線上までたどり着き、再度ストップしたものの2着を確保しました。障害4、5番手で越えたスターエンジェルとスーパークリントンによる3着争いは、結局スターエンジェルに軍配。障害3番手クリアのナリタボブサップは、しまいに力尽きるとシンエイキンカイにも先着を許し、6着に敗れました。

 勝ちタイムは5分35秒8。ばんえい記念が1トンで行われるようになってからの最高所要タイムでの決着(それ以前の記録は89年イエヤスが勝った際の5分32秒2)で、史上まれに見る激戦だったと言えるでしょう。そんなパワー勝負となったのであれば、トモエパワーの勝利というのも納得のひと言。高重量戦にめっぽう強く、時計が掛かれば掛かるほど好成績を挙げてきた同馬の真骨頂が、この大舞台で発揮されたことになります。スピード馬の台頭が目立つ昨今のばんえい界ですが、昔ながらの“力持ち”が天下を獲ったことは、ばんえい競馬の原点を思い起こさせるものでした。
 ミサイルテンリュウは昨年の3着から一歩前進。障害後この馬としてはしっかりとした脚取りを見せたのは収穫で、これまでの「障害でセーフティーリードを築いて……」というレースぶりとは一変。来年度は高重量戦での活躍も十分に期待できるでしょう。
 3着スターエンジェルは昨年の帯広記念2着、ばんえい記念5着など、高重量戦で好走実績。成績にムラがあるのは否めませんが、今後も高重量戦では注目する必要があるでしょう。

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