デビューから一方的なレースばかりで5連勝のセブンカラーズが、準重賞の梅桜賞から中1週で出走してきた。地元同士なら断然だが、今回は浦和、高知からの遠征馬に加えて兵庫から移籍初戦という馬もいて、その力関係がどうか。
セブンカラーズに土をつけるなら、高知のデステージョと見る。2歳時は北海道所属として鎌倉記念は3着だったが、兵庫ジュニアグランプリJpnIIで3着。以前であればこのレベルの馬が高知に移籍することはなかったが、今の高知は賞金的にもレベル的にも南関東と同程度といっていいほど。前走古馬に格付けされたB-1選抜戦で後方2番手追走から3〜4コーナー大外からまくってくると、直線余裕を持って差し切るという大胆なレースを見せた。今の高知のB級選抜で、この時期の3歳馬が楽勝というのは相当な能力。そのレースぶりは、内を空けてレースが展開し、直線馬場いっぱいに馬群が広がって差しも決まる名古屋の馬場にも合っていそう。セブンカラーズとの一騎打ちが期待できそうだ。
リストンもデビューした門別で2歳オープン勝ちがあり、名古屋に移籍して2連勝で新春ペガサスカップを完勝。移籍後も期間限定騎乗で名古屋に来ていた阪野学騎手が騎乗していが、今回は丸野勝虎騎手が鞍上となる。新春ペガサスカップでは、セブンカラーズの2着3着が何度かあったエムエスドン相手に完勝しているだけに楽しみな存在だ。
浦和から遠征がサムタイムアゴー。ここまで南関東の重賞では5着が最高という成績で、鎌倉記念でも3着デステージョからやや差のある6着だっただけに、ここでも連下争いまで。
そのほか、前述エムエスドンや、兵庫3勝から転入初戦となるフィアスサーメットがどこまで。
◎7デステージョ
○8セブンカラーズ
▲10リストン
△4サムタイムアゴー
△3エムエスドン
△12フィアスサーメット
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NARグランプリ2022・年度代表馬となったイグナイターの父エスポワールシチーをはじめ、ホッコータルマエ、コパノリッキーなど、近年では日本のダートでチャンピオン級の活躍をした種牡馬の産駒が地方競馬を中心に活躍しているが、ダート血統の裾野が広がったぶん、ダート系マイナー種牡馬の活躍も興味深い。
1月22日の花吹雪賞(佐賀)を勝ったエイシンレミーの父エーシンモアオバーは、重賞初制覇が2012年、6歳時の名古屋グランプリJpnIIだが、このとき鞍上だった岡部誠騎手も、これがダートグレード初制覇となり、涙の勝利騎手インタビューが印象的だった。エーシンモアオバーは、その名古屋グランプリJpnIIと白山大賞典JpIIIで連覇を果たし、ダート長距離の逃げ馬として活躍した。
種牡馬となったエーシンモアオバーの産駒は2017年生まれが初年度産駒で、これまで血統登録された産駒は現3歳まで4世代でわずかに5頭。その数少ない産駒からエイシンレミーは重賞勝ち馬となった。母がエイシンベティー、生産が栄進牧場で、"エイシン(エーシン)"の平井一族の自家生産馬として育てられたからこその重賞勝利といえるだろう。
花吹雪賞を制したエイシンレミー(写真:佐賀県競馬組合)
中央から兵庫に移籍し、5連勝で今年1月3日の新春賞(園田)を制したアキュートガールも、父ワンダーアキュートの産駒としてここまで唯一の重賞勝ち馬。
ワンダーアキュートは中央でもダートグレード3勝を挙げているが、地方では6歳時のJBCクラシックJpnI(川崎)でGI/JpnI初制覇、7歳時に日本テレビ盃JpnII、8歳時に帝王賞JpnI、さらに9歳時にはかしわ記念JpnIを制するなど、息長く一線級で活躍した。
その父カリズマティックはアメリカからの輸入で、日本では平地のグレードを勝った産駒がワンダーアキュートのみだっただけに、ワンダーアキュート自身も種牡馬としてはあまり注目されることがなく、2017年の初年度産駒から現3歳世代まで、血統登録された産駒は53頭となっている。
昨年の湾岸スターカップなど名古屋で重賞4勝を挙げているブンブンマルは、ナムラタイタン産駒の唯一の重賞勝ち馬。
ナムラタイタンは、中央在籍時の重賞勝ちは武蔵野ステークスGIIIだけだが、岩手に移籍して1400mの岩鷲賞から2500mの北上川大賞典まで距離を問わず、約3年間で重賞12勝と、圧倒的な活躍を見せた。
2018年に生まれたブンブンマルが初年度産駒で、今年3歳の世代までで血統登録された産駒は33頭。2月23日に行われた、たんぽぽ賞(佐賀)で1番人気に支持されたゴーツウキリシマはブンブンマルの全妹で、これが勝てばナムラタイタン産駒として2頭目の重賞勝ち馬になるところだったが、残念ながら3着だった。
ナムラタイタンの父はダート種牡馬として大活躍したサウスヴィグラスだが、活躍した産駒には牝馬が多く、ナムラタイタンはここまでのところ唯一といえる後継種牡馬だった。しかし今年、ジャパンダートダービーJpnIを制してNARグランプリ2017の年度代表馬となったヒガシウィルウィンが浦河・イーストスタッドで種牡馬入り。その産駒の活躍にも期待だ。
また父ガルボは芝での活躍だったが、その産駒、ガルボマンボが昨年、高知二冠に加え、高知県知事賞を制するなど大活躍。今年2月にもだるま夕日賞を制した。
2017年生まれが初年度産駒で、今年3歳の世代までで血統登録された産駒は29頭という中から、ガルボマンボは今のところ唯一の重賞勝ち馬となっている。
同じく父シルポートは芝での活躍だったが、産駒のハクサンアマゾネスは、昨年まで金沢で重賞14勝という活躍。同産駒では、同じく金沢のハクサンフラワーが2018年に金沢プリンセスカップを勝っている。
マイナー種牡馬の活躍ということでは、少し古い話にはなるが、ほとんど注目されていないところから種付けが殺到するようになったエイシンサンディが忘れられない。
1993年生まれのエイシンサンディは、中央に入厩したものの不出走のまま引退。それでも種牡馬になれたのは、92年生まれの初年度産駒から大活躍したサンデーサイレンス産駒だったからと思われる。
エイシンサンディは96年の種付初年度には45頭と交配したが、その後、97年19頭、98年15頭、99年7頭と徐々に種付頭数が減った。しかしその初年度産駒のミツアキサイレンス(笠松)が、3歳になった2000年に兵庫チャンピオンシップ(当時GIII)を制すると、その直後から種付けの希望が殺到。なんと163頭と交配する人気種牡馬になった。
ミツアキサイレンスは、その後も佐賀記念GIII連覇に名古屋グランプリGIIを制するなど活躍。父のエイシンサンディは、種付頭数が増えたことによって、黒船賞JpnIII・3連覇などダートグレード9勝のセイクリムズンをはじめ、チューリップ賞GIIIを制したエイシンテンダー、北海道2歳優駿GIIIを制したエイティジャガー、プリンシパルSを制して日本ダービーに出走(9着)したベンチャーナインなどを出すに至った。
自身は不出走だった種牡馬が、たった1頭の産駒の活躍によって、復活どころか人気種牡馬として活躍するまでになった。
10頭立てではあるが、南関東から3頭の遠征があり、さしずめ地元兵庫VS南関東という様相の好メンバーが揃った。
中でも実績断然はベストマッチョ。1400メートルのダートグレードで2着が2回あり、昨年のこのレースでは直線で一旦は抜け出して勝ったかと思ったところ、ゴール前でインペリシャブルに差し切られて2着。秋は名古屋のゴールド争覇を制し、笠松グランプリでは南関東勢が3着内を独占したなかで半馬身+アタマ差で3着。明けて10歳でも衰えはなさそう。昨年の雪辱なるか。
昨年1番人気で3着だったのがサンロアノーク。その後は6戦して2勝、2着3回。唯一連対を外したのはJpnIIIのかきつばた記念で、勝ったイグナイターは別格としてもJRA勢相手に掲示板に食い込む5着は評価できる。年明け笠松の白銀争覇を制して、調子を上げて臨む一戦。昨年の雪辱を果たしたいところ。
昨年のサマーチャンピオンJpnIIIで2着に追込みあっと言わせたコウエイアンカだが、その後、園田チャレンジカップ、兵庫ゴールドカップでは、ともに1番人気に推されるも末脚不発。園田より直線の長い姫路コースで末脚を生かせる展開になるかどうか。
大井のマックスは佐賀に遠征したゴールドスプリントでは、直線外から差し切る勢いだったが、高知の11歳ダノングッドに半馬身及ばなかった。そしてさらに半馬身差3着がインペリシャブル。その2頭を物差しにすれば、このメンバーでも当然勝負になる。
兵庫ゴールドカップ2着のエイシンビッグボスに、連覇のかかるインペリシャブルは押し出される形で△まで。印の順番はつけたが能力は紙一重の混戦。
◎3ベストマッチョ
○4サンロアノーク
▲8コウエイアンカ
△1マックス
△10エイシンビッグボス
△9インペリシャブル
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クインザヒーローは昨年、名古屋の重賞で3着が2回あり、大晦日には笠松に遠征してA2特別(オッズパーク2022ファイナル)を制した。そして今年初戦となった梅見月杯は、勝ち馬からは離されての4着とはいえ、1、2着は他地区からの遠征馬で、地元馬では3着ウインユニファイドに先着されたのみ。後方からの脚質ゆえ展開次第という面もありそうだが、メンバーは楽になった。10歳での重賞初制覇となるかどうか。デビュー3年目の塚本征吾騎手にも重賞初勝利のチャンスだ。
ロッキーブレイヴは下級条件から順調に勝ち上がり、昨年笠松のオータムカップで重賞初制覇。その後は東海ゴールドカップでの3着が最高という成績だが、結果を残したその2戦が笠松1900メートル戦。今回の笠松1800メートルでも能力を発揮しそう。
イイネイイネイイネは、オータムカップ、東海ゴールドカップでは、ともにロッキーブレイヴとはやや差のある結果。ただ重賞入着実績があるのが半数以下というメンバーだけに、馬券圏内は狙えそう。
オータムカップ6着もA1特別では結果を残しているタイセイメガロス、中央オープンから転入して3戦目となるロジペルレスト、正月の名古屋記念4着のスズカゴウケツらに上位食い込みがあるかどうか。
◎2クインザヒーロー
○9ロッキーブレイヴ
▲5イイネイイネイイネ
△1タイセイメガロス
△10ロジペルレスト
△6スズカゴウケツ
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ネオシエルは九州産ながら門別デビューという珍しいパターン。その門別では3戦してアタックチャレンジを勝ったのみだが、さすがに能力は高く、佐賀移籍初戦でJRA小倉のひまわり賞に挑戦し、初めての芝ながら着順こそ8着だったが、勝ち馬と1秒2差は好走といっていいだろう。盛岡の南部駒賞にも遠征し、結果は3着だが、先着されたのは北海道、船橋からの遠征馬で、能力の高さは見せた。そして地元のカペラ賞は、3コーナーから一気にまくりきり、九州ジュニアチャンピオンを制していたイチノコマチに4馬身差をつける圧勝。年明け初戦のホワイトスター特別でも直線抜け出して完勝。その実力からは、昨年のタケノサイコウに続いて、地元馬の勝利を期待できそう。鞍上には、期間限定騎乗時に手綱を取っていた石川倭騎手が北海道から呼ばれた。
JRA勢では、トライアルのミヤマキリシマ特別を逃げ切って5馬身差圧勝のゴーツウキリシマが再び山口勲騎手で臨む。その勝ちタイム1分29秒9は、近年のたんぽぽ賞の勝ちタイム(1分28〜30秒台)と比べても遜色のないもの。最後は流すような感じで記録されたタイムだけに、さらなる上積みも期待できる。
さらにJRA勢では、ひまわり賞でネオシエルにクビ差先着しての7着だったオバケノキンタ。デビュー戦のダート1000メートル戦が大差の4着だっただけに、佐賀のダートをこなせるかどうか。
もうひとつのトライアル・ノカイドウ特別を制したのがセロンテソーロ。ただその勝ちタイムがゴーツウキリシマより1秒遅く、その差をどこまで詰められるか。
ノカイドウ特別で2着だったアネロイドは、続くたんぽぽ賞チャレンジトロフィーを勝ったが、ゴーツウキリシマのタイムと比べるとやはり物足りない。連下争いまで。
◎4ネオシエル
○9ゴーツウキリシマ
▲7オバケノキンタ
△1セロンテソーロ
△6アネロイド
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