サクラヒメが第2障害2番手からほとんど持ったままで圧勝したレディースカップの再戦というメンバーだが、そのときとは重量設定が大きく変化した。レディースカップは710~730kgでサクラヒメは720kgだったが、今回サクラヒメはそこから100kg増(!)、前走天馬賞からも80kg増の820kg。レディースカップ2着だったミソギホマレも810kgで、昨年2着だったアーティウィングと、レディースカップ最下位だったシンエイボブは800kg。それ以外の6頭は770kgか780kg。さすがに牝馬同士で最大ハンデ差50kgで、しかも一気の重量増で勝ったら化け物か怪物級だ。
中心は、昨年4着で、今年も同じ780kgで出走するナカゼンガキタ。昨シーズンはB1からA1で快進撃があり、今回もA1戦を勝って望む一戦だ。
同じく780kgのニセコヒカルにも期待。レディースカップは、サクラヒメ、ミソギホマレと同重量で3着だったが、勝ったサクラヒメと12秒2差。それで今回40kg差がつけば逆転は十分可能だろう。
昨年760kgで2着だったアーティウィングは、その後、カーネーションカップを勝った。オープン格付けになって800kgなら相手関係的にもこなせそう。
サクラヒメは前述のとおりトップハンデ820kgでは、さすがに頭まではないだろう。
ヒメトラマジックはA2戦連勝で力をつけていると見る。
昨年の覇者フォルテシモは、その後勝ち星がないが、レディースカップで2着ミソギホマレからそれほど差のない4着ならここでも上位食い込みの可能性はある。
◎2ナカゼンガキタ
○3ニセコヒカル
▲4アーティウィング
△10サクラヒメ
△5ヒメトラマジック
△6フォルテシモ
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昨年、このレースでの7馬身差圧勝からダートグレード連勝という快進撃が始まったイグナイターが今年もここから始動。秋はJpnIに挑戦し、マイルチャンピオンシップ南部杯が4着、JBCスプリントが5着と、ともに見せ場があっての掲示板。地元の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIは5着だったが、それでもハンデ57kgを背負って、勝ったラプタスとはコンマ8秒差。NARグランプリでは全会一致で年度代表馬となった。今年は昨年以上が期待されるだけに、ここは負けられない一戦だ。
対する地元勢で筆頭はアメージングラン。昨年は建依別賞でダノングッドに1馬身差をつけて勝利し、年明けの大高坂賞では中央3勝クラスから転入したモダスオペランディに4馬身差をつけられたものの2着。中央時代から1400mを中心に使われ、それ未満の距離は中央時代も含めて初めてだが、距離延長となると不安はあるが、短くなるぶんには変わらず能力を発揮できそう。
中央3勝クラスから転入したアポロティアモは、ここまで重賞では結果がでていないが、その2戦とも1600m以上。一方で勝ち星はA-2の一般戦までだが、高知の1400mでは3戦3勝。この距離なら一発あるかもしれない。
昨年に続いて北海道から遠征のイダペガサス。昨年は4番人気で2着と健闘したが、7馬身差。その差をどこまで詰められるか。
大高坂賞こそ6着だったが、下級条件からクラスを上げてきたユニバーサルライト、大高坂賞は5着も距離短縮はプラスになりそうなジョウショーモードらも上位争いが期待できそう。
◎7イグナイター
○10アメージングラン
▲1アポロティアモ
△2イダペガサス
△4ユニバーサルライト
△9ジョウショーモード
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近年、地方競馬ではデビュー間もない新人騎手の活躍が全国的に目立っているが、昨年12 月にデビューして、いきなりトップジョッキーに匹敵するペースで勝ちまくっているのが、ばんえいの今井千尋騎手だ。
ばんえい競馬では売上が落ち込んだ2010年以降、新人騎手のデビューが途絶える時期もあった。しかし近年では売上も右肩上がりとなって、2019年以降は21年を除いて毎年新人騎手がデビューし、昨年12月には3名の新人がデビューした。そのひとりが今井騎手。
12月10日にデビューした今井騎手は、3戦目となった翌11日第9レースで初勝利。12日に2勝目を挙げると、19日には1日2勝、28日には1日3勝と勝ち星を重ね、そのデビュー月には43戦10勝という成績を残した。
12月11日、初勝利を挙げた今井千尋騎手(写真:ばんえい十勝)
その勢いは1月になっても衰えず、8日には1日4勝という記録も達成。この1月は、23日までに早くも16勝を挙げている。年が明けたばかりでリーディングというのもどうかと思うが、今井騎手は鈴木恵介騎手に2勝差をつけ、なんと2023年ばんえいリーディングのトップに立っている。
すごいのが、その勝率・連対率だ。今年ここまで74戦16勝、2着12回で、勝率21.6%、連対率37.8%はいずれもダントツ。勝率で2位が鈴木騎手で16.1%、連対率で2位が西謙一騎手で26.7%(6戦0勝、2着2回で連対率33.3%の林康文騎手は除く)だから、いかに今井騎手の数字が抜けているかがわかる。
冒頭でも触れたとおり、近年、地方競馬全体でデビューしたばかりの騎手の活躍が目立つが、もとは縦社会。かつて競馬の世界では、よほどの才能があるか、もしくはよほど何かに恵まれるでもない限り、デビューしたばかりの騎手が、トップジョッキーと同じように勝ちまくるということはほとんどなかった。
たとえばここ数年、ばんえいリーディングを争っている鈴木恵介騎手、阿部武臣騎手なども、デビューして何年かは目立たない存在だった。
ともにデビューは1998年(以下、勝利数はいずれも暦年でのもの)。そのデビュー年こそ減量の恩恵もあって、鈴木騎手28勝、阿部騎手35勝とそれなりの勝ち星を挙げたが、99年〜06年までの年間勝利数を順に記すと、鈴木騎手が38,16,17,23,25,55,71,107、阿部騎手が18,3,5,11,10,14,25,35。
鈴木騎手は年間10勝前後が続いて、はじめて100勝を超えてばんえいリーディングのトップ10に入ったのが9年目のこと。阿部騎手に至っては2年目以降、騎乗数自体が少なく、年間10勝前後という年が続いた。通算500勝到達は、鈴木騎手がデビューから10年、阿部騎手は14年もかかっている。
それゆえ、2020年12月にデビューした金田利貴騎手が、21年にいきなり94勝を挙げたときは、ばんえい競馬も時代が変わったと思わせるものだった。そして今井騎手は、それ以上のペースで勝ち星を重ねている。
果たして、今井騎手の勝率20%超という、ベテランのトップジョッキーのさらに上をいく快進撃はどこまで続くのだろうか。これにはデビューしたばかりのご祝儀的な騎乗依頼もあるだろうし、何より新人の10kg減に加え、女性騎手の10kg減という、計20kg減量の恩恵は大きい。平地の競馬では、新人の女性騎手は4kg減となるが、ばんえい競馬における20kg減は、平地の4kg以上に恩恵が大きいように感じる。加えて、この冬の異常なスピード馬場は、20kg減との相乗効果でさらに有利になっているかもしれない。
ばんえい競馬では通算50勝で10kgの減量がなくなる。今井騎手はこのペースで勝っていくと、今シーズン中(3月まで)に減量がなくなるかもしれない(女性騎手の10kg減は残る)。さすがに10kgの減量がなくなれば今のようなペースで勝ち続けることは難しいかもしれないが、それでもリーディング上位の争いにからんでいけるのかどうか、注目したい。
西日本地区の交流で、一昨年は名古屋から遠征のニジイロが勝ったが、昨年から2年連続で遠征馬がなく地元馬同士の争い。
門別デビューのサラキャサリンは、JRA認定ウィナーズチャレンジで差のない2着が2回という実績。転入初戦は直線独走となっての圧勝で、続く前走は2着だったが、勝ったニシケンボブは門別でウィナーズチャレンジを含め4勝という実績馬。3着ピーチクパーチクに6馬身差をつけた。その2戦とも園田1400メートル良馬場の走破タイム1分31秒台前半は、メンバー中最速。能力面で最上位といえそうだが、今年の姫路開催はラチ沿い数頭分を空けてレースが展開しているので1番枠がどうか。
エイシンレゲンダは門別のフルールカップで3着があり、北海道所属として臨んだ園田プリンセスカップは6着だったが、その後2カ月半のブランクがあって、転入後2連勝。前走が2着馬に2馬身半という着差以上の楽勝で、その勝ちタイムは1分31秒9。園田1400メートルで1分31秒台の持ちタイムは、サクラキャサリンとこの馬だけ。
マルグリッドも門別デビュー組で、転入初戦でJRA認定アッパートライを勝ち、続く前走でエイシンレゲンダの2着。使われての上昇があれば◎○に迫る場面まで。
イケノシイチャンは、佐賀に遠征したフォーマルハウト賞では4コーナーから後続を突き放して快勝。ただそれまで園田では勝ちきれないレースが多く、今回は相手も強くなった。
門別のJRA認定勝ちで転入したレスプレンドール、10月の兵庫若駒賞で2着だったジョイブラックらは、連下争いに食い込む余地があるかどうか。
◎1サラキャサリン
○9エイシンレゲンダ
▲5マルグリッド
△7イケノシイチャン
△10レスプレンドール
△2ジョイブラック
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兵庫の古馬戦線では中距離路線は年間を通して充実しているものの、1400メートルの路線は地元でローテーションを組めるほどには重賞がなく、したがって兵庫から有力4頭が遠征。2月23日のウインターカップ(姫路1400m)を視野に入れる面々と思われる。
岡部誠騎手が手綱をとるサンロアノークに期待する。一昨年秋に兵庫移籍後、馬券を外したのはかきつばた記念JpnIIIだけ。勝ったのは同じ兵庫のイグナイターだが、JRA勢に割って入り掲示板を確保する5着と健闘した。重賞タイトルにもあとひと息で、東海地区に遠征して名古屋・東海桜花賞、笠松・サマーカップでともに2着と好走。ライバルは同じ兵庫勢だが、今回のメンバーなら7歳にしての重賞初制覇も叶いそう。
昨年の兵庫ダービー馬バウチェイサーは、秋の3歳重賞戦線では精彩を欠いたが、古馬との対戦ではB1特別を7馬身差、A2B1特別を5馬身差で圧勝と力をつけた。そのパフォーマンスなら重賞でもチャンスはありそう。
メイプルグレイトは、昨年春に船橋から戻ったあと特別戦を2勝。一昨年には1700メートルの摂津盃で2着があったが、昨年は好走のほとんどが1230メートル以下。実績がないわけではない1400メートルであらためてどうか。
ここまで印上位は兵庫勢で、東海勢では名古屋のロッキーブレイヴに期待。昨年オータムカップを制し、大晦日の東海ゴールドカップで3着と笠松1900メートルで好走。1400メートルの笠松グランプリは6着だったが、南関東の重賞クラスが上位独占というメンバーだけに、評価を落とすことにはならない。
10歳になっての初戦、笠松A1特別を制したアドマイヤムテキ、もう1頭兵庫からの遠征で重賞初挑戦となるプレイヤーズハイらも、能力的にそれほど差はなさそう。
◎8サンロアノーク
○9バウチェイサー
▲7メイプルグレイト
△2ロッキーブレイヴ
△4アドマイヤムテキ
△10プレイヤーズハイ
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