コロナの影響はあるのだろう、他地区からの遠征が、ともに重賞タイトルがない兵庫のマイフォルテ、船橋のキャッスルクラウンの2頭だけ。昨年は1着1000万円、今年はさらに1200万円に増額されたが、例年に比べるとやや低調なメンバーとなった。
しばらく勝ち星から遠ざかっていたマイフォルテだが、昨年後半を休養したあと、年明け3連勝のパフォーマンスがすばらしい。昨年まで兵庫の古馬重賞では掲示板すらなかったが、ここ2戦では、古馬重賞で上位争いの経験があるマコトタリスマンを差し切っている。しかも他馬が仕掛けてから一呼吸置いての追い出しで差し切るというレースぶりは、いかにも長距離戦に向いている。今回、逃げ馬不在のメンバー構成だが、場合によってはこの馬が逃げて、後続勢が先に仕掛けるのを待ってから勝負に行くという展開もあるのではないか。
相手はまだ底を見せていないマコトネネキリマル。古馬一線級との対戦は名古屋大賞典JpnIII(6着)のみだが、その前のA2特別は楽勝、前走マグノリアオープンでは2着だったが、勝ち馬は典型的な人気薄の逃げ切りだった。能力的には間違いなく重賞級。経験の少ない距離に不安はあるが、父マコトスパルビエロは名古屋グランプリJpnIIを勝っているだけに血統的にはこなしてもおかしくない。
ニューホープは3歳ながら大晦日の東海ゴールドカップを制し、前走マーチカップではゴール前の混戦から抜け出した。ただ、東海ゴールドカップはメンバーに恵まれた感じで、マーチカップは先行勢総崩れの乱ペースという展開に恵まれた。とはいえ1900〜2000mのレースぶりを見ていると、距離延長はプラスになりそう。
船橋のキャッスルクラウンは昨年の東京記念で5着という結果もあるが、それも勝ち馬からは差があり、特にここ3戦は後方まま見せ場なくレースぶりがよくない。
アリオンダンスはニューホープが制したマーチカップで接戦の3着。前述のとおりの乱ペースで評価は難しい。
◎4マイフォルテ
○9マコトネネキリマル
▲10ニューホープ
△11キャッスルクラウン
△6アリオンダンス
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ばんえい十勝の苦難を支えたオッズパーク
4月24日、2020年度のばんえい競馬が無事に開幕した。ばんえいに限らず無観客ではあるものの、今は競馬が開催できること自体がありがたい。
それにしてもその開幕初日の売上には驚いた。1日の売上5億9233万8900円、メイン第10レースの売上1億1935万7400円は、帯広単独開催後の、1日、1レースのいずれもレコードだった。
メインのスプリングカップにはホクショウマサルを含めばんえい記念出走馬が5頭いたほか、昨年の3歳三冠馬メムロボブサップや、近走不振だが6歳世代最強と言われるメジロゴーリキなど、世代ごとのオールスターキャストが揃ったということもあったのかもしれない。1日の売上は従来のレコード(4億2725万円余り、2019年12月30日)を1億6千万円余りも上回った。
2007年度から帯広単独開催となったばんえい競馬では、『ばんえい十勝オッズパーク杯』がシーズン最初に行われる重賞として定着している。
なぜ"オッズパーク杯"なのか。帯広単独開催となってから13年も経過し、当時のことをあまりご存知でない方もいるのではないだろうか。
当時は地方競馬でいくつも競馬場が廃止になっていた時代。それまで帯広、旭川、岩見沢、北見の4競馬場で開催されていたばんえい競馬も、2006年度の開催中に存廃が取りざたされるようになった。
旭川競馬場では、その年の開催が6月12日に終了すると、間もなくばんえい用のコースの撤去が始まった。旭川市はこの時点で撤退を決めていたものと思われる。
ばんえい競馬が廃止されたときに経済的に影響が多いのは、重種馬生産の中心、十勝・帯広だ。帯広市は、北見市もしくは岩見沢市と2市で開催を続ける道を探った。
当初、岩見沢市との2市開催が実現しそうなところまでいったが、11月になって岩見沢市も撤退を表明。残す可能性は帯広市が単独で続けられるかどうかだった。
新聞には「ばんえい競馬廃止へ」という見出しが出るようになった。
(写真提供:小久保友香さん)
どこかの競馬の廃止が検討され始めると、それが決定したわけでもないのに、地元新聞には決まって廃止へと誘導するかのような記事が掲載されるようになる。
実際、その流れで廃止されてしまった競馬場もある。しかし廃止濃厚という雰囲気になっても生き残ったのが、笠松、岩手、そしてばんえい競馬だ。
売上が下がり続けているばんえい競馬を、帯広市が単独で支え続けるのは難しいのではないかと思われた。
平地の競馬なら、たとえいくつかの競馬場が廃止になっても、競馬そのものは続く。しかしばんえい競馬は世界でも北海道だけのもの。廃止となれば、ばんえい競馬そのものがなくなってしまう。
厩舎関係者や十勝の人々、マスコミ関係者など、存続を訴える運動は全国に広がった。
そこに救世主として手を上げたのが、オッズパークの親会社であるソフトバンクプレイヤーズ(現・SBプレイヤーズ株式会社)だった。
主催は帯広市だが、主催業務の一部を受託することで支援するというもの。2006年12月、急転直下の出来事だった。日本の競馬で民間企業が競馬の主催業務に直接関わるというのは初めてのこと。
そして『オッズパークばんえいマネジメント(OPBM)株式会社』が設立され、2007年4月、新生・ばんえい十勝がスタートすることとなった。
こうした経緯があり、2007年度にシーズン最初の重賞として新設されたのが、『ばんえい十勝オッズパーク杯』だった。
しかしながら、新生・ばんえい十勝の経営は厳しいものだった。
ばんえい競馬は、2007年度の年間総売得額が129億円余り、1日平均では8616万円余り。年を追うごとにその売上はじわじわと下がり、2011年度には年間で103億円余り、1日平均で6728万円余りにまで落ち込んだ。
オッズパークばんえいマネジメントは、2012年度限りでばんえい十勝の業務から撤退することとなった。
売上は2011年度を底に徐々に回復したが、それは地方競馬全体の流れでもあった。
2011年度、馬券の売上全体に占める電話・ネット投票の割合は、地方競馬全体で35.5%、ばんえい競馬では38.0%。
それまでネット投票といえばパソコンがほとんど。しかし携帯電話が徐々にスマホにとって代わり、それを国民のほとんどが所有するに至り、誰でもがネット投票に手軽に参加できるようになった。
2019年度、電話・ネット投票が売上全体に占める割合は、地方競馬全体で78.0%、ばんえい競馬ではじつに85.1%までになった。
これによって地方競馬のファンが全国に広がり、地方競馬の売上はV字回復した。
2011年度には前述のとおり1日平均で6728万円余りだったばんえい競馬の売上は、2019年度にはついに2億円を突破。年間総売得額でも、どん底だった2011年度の3倍以上、310億円余りになった。
ばんえい競馬が帯広市単独開催となったあと、ばんえい競馬が一番厳しかった時代を支えたのがオッズパーク。その象徴として、シーズン最初に実施されている重賞が、『ばんえい十勝オッズパーク杯』ということになる。
中央1勝クラスを勝ったあと転入したファストフラッシュは、金沢初戦となった休み明けの前走を逃げ切り勝ち。3コーナー手前で後続に迫られたものの、4コーナーから直線で再び差を広げた。タンクティーエー相手に快勝という内容なら、金沢の重賞戦線で中心的な存在になるかもしれない。
中日杯を5馬身差で圧勝したティモシーブルーは、遠征や他地区の有力勢相手となると分が悪いが、地元金沢同士ならまだ底を見せていない。冬休み明け初戦の前走もゴール前接戦でなんとか勝ったが、そこを使われての上積みは期待できそう。
タンクティーエーの前走は、逃げたファストフラッシュをみずからつかまえにいかなければならず、後続にもマークされてという展開的に厳しい競馬だった。金沢では古馬重賞初挑戦で、ここが試金石となりそう。
グルームアイランドの前走は、ゴール前一気に迫ったが、惜しくもティモシーブルーにアタマ差届かず2着。前3頭が競り合うという展開に恵まれた感じがあった。昨年末の中日杯でも2着だったが、勝ったティモシーブルーから5馬身差。ここは連下争いまで。
トライアルを勝ったエムザックヒーロー、中央から転入後のA2特別で善戦のコチョウジュニアらは、上記4頭との比較では一枚落ちる。展開の助けなどで馬券圏内があるかどうか。
◎7ファストフラッシュ
○11ティモシーブルー
▲9タンクティーエー
△3グルームアイランド
△8エムザックヒーロー
△6コチョウジュニア
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夏の時期は毎年休養しているキングプライドだが、春のこの時期は絶好調。このレースで一昨年に勝利し、昨年2着というだけでなく、2015年の3歳時以降、4月5月だけの成績をみると、15戦13勝、2着2回とほぼ完璧な成績。2度の2着は昨年で、そういう意味では年齢的な衰えはあるのかもしれない。ただ今年もはがくれ大賞典では4頭接戦の2着争いに1馬身半差をつけての完勝。2着は3連覇を狙ったエイシンニシパだった。今回も相手は強力だが連軸という意味での本命。
ウノピアットブリオはC級から8連勝で重賞初挑戦となった中島記念を制し、佐賀の頂点に立った。佐賀記念JpnIIIはさすがに相手が強く、前走志布志湾賞は着差はそれほどなかったがまずは完勝。雲仙岳賞でキングプライドを負かしているが、そのときのキングプライドとは違うだけに楽観視はできない。
グレイトパールは佐賀記念JpnIIIこそ地元最先着の6着だったが、昨年末の中島記念が6馬身差をつけられての2着、前走はがくれ大賞典が5着と案外だった。脚元の状態次第ということはあるのだろうが、万全の状態なら圧勝まであっておかしくない。ここまで3頭の勝負と見る。
オヤコダカは、このメンバーに入ると1800メートルは微妙に距離が長いように思う。
はがくれ大賞典で接戦の2着争いに加わって4着だったスウィフトハートは連下争いに加われるかどうか。
◎5キングプライド
○10ウノピアットブリオ
▲7グレイトパール
△9オヤコダカ
△8スウィフトハート
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グランダム・ジャパン3歳シーズンの一戦ということもあり、他地区から4頭の遠征があるが、コロナ感染リスクのためなのだろう、いずれも岩手所属騎手が手綱をとる。
ボンボンショコラは中央2戦1勝という成績で浦和に移籍すると、ユングフラウ賞、桜花賞では、ともにスタートからハナに立って直線を向いても先頭で、それほどバテることなくともに4着。南関東でも十分に勝負になりそうだが、距離適性面を考えてか、それともグランダム・ジャパンを狙うのか、ここに遠征してきた。輸送と初めての右回りがカギとなりそうだが、今回のメンバーに入ればパフォーマンスは抜けている。
レッドカードは門別のブロッサムカップが2着で、北海道在籍のまま川崎の特別戦に遠征し、5着、4着。とはいえそれぞれ勝ち馬は、その後に浦和・ニューイヤーカップで大差圧勝のグリーンロードと、雲取賞を制したゴールドホイヤー。ということを考えると、川崎での2度の敗戦もマイナスにはならない。3カ月半ぶりの実戦だが、成長があれば勝ち負けまで期待できそう。
ボルドーリブロンは北海道デビューで浦和を経由して前走あやめ賞が岩手転入初戦。そのあやめ賞では1番人気に支持されるも、スタートでダッシュがつかず中団からとなってなんとか4着という結果。とはいえ浦和の3歳特別勝ちという実力なら見直す必要はある。
グランダム・ジャパン狙いのミステリーベルンは前走、名古屋の若草賞が2着。勝ったステラモナークは別格として、それ以外の相手との比較で今回はメンバーのレベルがかなり上った。
あやめ賞を勝ったアンズビジンはこのメンバーに入ってどこまでやれるか。
◎10ボンボンショコラ
○6レッドカード
▲9ボルドーリブロン
△8ミステリーベルン
△12アンズビジン
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