南関東から4頭、兵庫から2頭の遠征があり、中央元オープン馬もいるという高レベルで難解な一戦。
川崎のロードヴァンドールは、中央では重賞勝ちこそならなかったが、2000メートル以上の芝重賞で2着3着が計5回。昨年11月にもオープン特別(アンドロメダステークス)で勝ち馬からコンマ2秒差で4着という好走があり、今回のメンバーでは能力最上位。芝2400メートルという舞台も絶好だ。
兵庫から遠征のアップクォークは7歳だがまだキャリア22戦。昨年1月にはオープンの白富士ステークで3着の好走があり、その後は二桁着順が続いたが着順ほど負けてはいないレースもあり、兵庫移籍後に一戦叩かれて臨む一戦。芝であらためて期待できそう。今シーズン重賞で活躍が目立つ鈴木祐騎手にも期待だ。
船橋のキャッスルクラウンは、盛岡芝への遠征は今回で4度目。せきれい賞は、一昨年が2着で昨年が4着。今年はオグリキャップ記念で2着など実力は確かだが、今年は元中央のオープン馬が手強そう。
ブラックバゴも中央の芝でオープン勝ちの実績。大井移籍後は苦戦が続いているが、久々の芝でどうか。
地元勢ではコスモリョウゲツが昨年盛岡の芝で2勝。前走、OROターフ特別で2着に好走したが、昨年ほどの調子にあるかどうか。
3年前と2年前にこのレースを連覇したサンエイゴールド、昨年の勝ち馬ダイワリベラルは、どうも近走の成績が冴えない。好走まで望めるかどうか。
◎10ロードヴァンドール
○2アップクォーク
▲3キャッスルクラウン
△12ブラックバゴ
△8コスモリョウゲツ
△4サンエイゴールド
△7ダイワリベラル
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地方競馬の各地に根ざした重賞レース名について紹介する第3回は、岩手から(第1回はこちら、第2回はこちら)。
岩手競馬には、その地を象徴する重賞レース名が数多くある。
まずはJpnIのマイルチャンピオンシップ南部杯。現在の岩手県中部から青森県東部にかけての地域が江戸時代の盛岡藩で、その藩主が南部氏だったため南部藩とも呼ばれた。そこからの命名ということでは、まさしく岩手競馬を代表するレースにふさわしい。
かつて北関東以北の地方交流として水沢競馬場で行われていた時代は北日本マイルチャンピオンシップ南部杯だったが、1995年に中央との全国交流となって『北日本』ではなくなった。
中央との交流になっての2年目、1996年に現在の盛岡競馬場が開場し、その年から盛岡競馬場が舞台となった。中央との交流が進み、地方競馬がもっとも盛り上がっていた時期。南部杯の本馬場入場では、誘導馬の騎乗者が南部氏の家紋である『南部鶴』が描かれた旗を掲げていた。また南部氏の末裔にあたる現当主が来場し、表彰式ではまさに"南部杯"を優勝馬の馬主に授与していたのだが、それは今も続いているのだろうか。
そして馬産地としての岩手や岩手競馬に深く関わりがあるのが、一條記念みちのく大賞典。今年で48回目を迎えた伝統のあるレースで、かつては単に『みちのく大賞典』だったが、2001年から"一條記念"が冠された。
明治から大正期にかけて岩手の馬産発展に多大な貢献をした一條牧夫氏、その息子で戦後の岩手競馬の復興に貢献し、1995年まで使用されていた旧盛岡競馬場の設計にかかわった一條友吉氏を記念したもの。
さらに岩手を代表するレース名といえば、岩鷲(がんじゅ)賞。盛岡競馬場スタンド裏の先にその姿を望むことができる岩手山の別名が岩鷲山(巌鷲山とも)。春、雪解けの時期に山頂付近に現れる山肌が、羽を広げた鷲の形に見えることからそのように呼ばれるようになったようだ。
また、岩鷲賞のトライアルとなっている栗駒賞は、岩手、宮城、秋田にまたがる栗駒山から。
地元以外の人には知らないと読めないレース名が不来方(こずかた)賞。江戸時代、不来方と呼ばれていた地域が現在の盛岡市となった。また盛岡藩を治めていた南部氏の居城、盛岡城の別名も不来方城だった。
現在の盛岡競馬場の愛称『ORO PARK(オーロパーク)』から重賞レース名となっているのが、OROカップとOROターフスプリント。どちらも芝の重賞なのは、地方競馬ではめずらしい芝コースが盛岡競馬場の象徴でもあるからだろう。
北東北は、古くは金の産地であり、明治終盤から戦後まで開催されていた、現在の前の前の盛岡競馬場が黄金競馬場とも呼ばれていた。これは日本赤十字社総裁でもあった閑院宮殿下が名付けたと言われている。そして1996年に現在の盛岡競馬場が開場する際、黄金を意味するラテン語のOROが愛称として採用された。
またJRA東京競馬場では、盛岡競馬場との交換レースとして、毎年11月中旬にオーロカップが行われている。
絆カップが新設されたのは2011年。3.11に東日本大震災があり、第1回絆カップはその年の秋に行われた。特に被害が甚大だった東北地方では、復興を祈念して"絆"という言葉がさかんに使われたのは記憶に新しいところ。このレース名もまた、東北の象徴である。
大晦日に行われている伝統の重賞、桐花(とうか)賞は、岩手県の花となっているキリ(桐)の花から。岩手県のウェブサイトから引用すると、<本県産のキリは、材の光沢が強く淡紫色をおびて美しいので「南部の紫桐(むらさききり)」として知られています。>とのこと。岩手競馬では、かつてアラブ系の紫桐(しとう)杯という重賞も行われていた。
最後に余談になるが、JpnIIIのクラスターカップについて。新型コロナウイルスが日本でも蔓延すると、ネット上では競馬ファンの間で「クラスターカップはそのままのレース名でやるのか?」というようなコメントが見られた。
第1回クラスターカップが行われたのは、中央・地方の交流が進みはじめた1996年。当時、岩手競馬の重賞にはまだ短距離戦が少なく、新たな時代を見据え、短距離の番組も充実させようということから交流重賞として新設された。
当時の記事から引用すると、<中央競馬と地方競馬、岩手競馬をそれぞれ一つの星団(スタークラスター)に例え、互いの交流と発展を目指し、オーロパークが接点の場になることを願って名付けられた。>とある。つまり、このクラスターは星団のこと。間違ってもウイルスの集団感染のことではない。
今回で日本列島を縦断して最後にするつもりだったが、岩手競馬だけで長くなってしまった。ホッカイドウ競馬とばんえい競馬は次回に(つづく)。
大井から転入初戦となるグランメガスマイルは、3歳特別戦で2着のあと、古馬B3クラスでも3着に好走しての転入。しかもその2戦が今回と同じ1800メートル戦。経験を積んで状態を上げての移籍。重賞勝ち馬がいないメンバーの6頭立てならチャンスは大きい。
ピアノマンも船橋から転入2戦目。南関東の重賞は6着が最高という成績だったが、転入初戦の東北優駿は、ハイペースの先行勢が徐々に崩れていったところ、4コーナーで人気のグランコージーをとらえると直線先頭、ゴール前ではさらにうしろから来たフレッチャビアンカに交わされたものの1馬身差2着。南関東時代、グランメガスマイルとは雲取賞で対戦してグランメガスマイル8着に対してピアノマンは13着。舞台を盛岡に変え、あらためての対戦に注目だ。
カフジリブラは中央未勝利から転入して、目下5連勝中。前走も2着に7馬身差をつけての圧勝だったが、一気に相手強化のここでどんなレースを見せるか。
東北優駿で2着ピアノマンから1秒8の大差がついて3着だったのがレールガン。やはり後方追走から前崩れの展開で上位に進出した。その後の2戦も勝ち負けまではやや遠く、ここも連下争いまで。
◎4グランメガスマイル
○3ピアノマン
▲1カフジリブラ
△6レールガン
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3歳4月のデビューから4連勝という異例の臨戦過程で石川ダービーを制したハクサンアマゾネス。続く前走タチアオイ賞は、牝馬同士とはいえ古馬のB級クラスを相手に逃げ切り9馬身差圧勝。この時期の3歳馬が古馬B級をあっさり勝つというのは相当の能力。遠征馬相手でも、さらに連勝を伸ばすと見る。
一方で昨年12月から6連勝で東海ダービーを制したのが笠松のニュータウンガール。駿蹄賞、東海ダービーは、ともに2着に2馬身差だが、先頭に立つと遊ぶところがあるようで、あまり早くに先頭に立たないように我慢していただけに着差以上に強い勝ち方。3歳になってからはここまで名古屋コースのみ使われ、今度は初めての金沢遠征でどうか。1番枠からどう捌くかもポイントになりそう。
中央未勝利から名古屋に移籍したタイニーパワーは、4連勝のあと初めての特別戦で4着。それでも続く前走・孔雀特別では、軽く気合をつけられただけで2着馬に2秒8という大差をつけての楽勝。今回重賞初挑戦となるが、金沢、東海のダービーを制した2頭が相手でもヒケはとらない。
笠松・ゴールドジュニアを制した兵庫のガミラスジャクソン、石川ダービー3着も中央との条件交流を制したカガノホマレ、笠松・ぎふ清流カップを制した兵庫のコスモピオニールらも上位食い込みを狙えそう。
◎8ハクサンアマゾネス
○1ニュータウンガール
▲9タイニーパワー
△7ガミラスジャクソン
△2カガノホマレ
△6コスモピオニール
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年間15回開催のホッカイドウ競馬で、今週は第8回開催の後半。早いものでこのブリーダーズゴールドジュニアカップが、ホッカイドウ競馬のシーズンの折返しとなる。
栄冠賞では惜しくも2着だったスティールグレートだが、最内枠でラチ沿い馬群の中を追走し、直線、勝ったサイダイゲンカイが前に出たところで外に持ち出すと、そこから伸びて差を詰めた。半馬身差は枠順や展開のアヤと思える内容。距離延長さえこなせば能力最上位と見る。
中距離を経験している馬が少ない中で、1700メートルのアタックチャレンジで8馬身差圧勝を見せたのがブライトフラッグ。このレースが1700メートルになって一昨年のイグナシオドーロの勝ちタイムが1分52秒7(良)で、昨年のヨハネスボーイが1分49秒8(良)。門別コースは単純なタイム比較が難しいとはいえ、ブライトフラッグの前走勝ちタイム1分50秒4(重)は、例年の勝ち馬の水準にあるといってよさそう。
栄冠賞で4着だったノットリグレットだが、4コーナーほとんど最後方という位置から、メンバー中唯一37秒台の上りで勝ち馬とは1馬身半のところまで追い込んだ。距離延長にも対応できそうで、母は栄冠賞を勝って南関東でもロジータ記念を勝つなど重賞6勝を挙げたノットオーソリティという血統にも注目だ。
前走ウィナーズチャレンジが1番人気で11着だったトランセンデンスだが、スタートでとなりの馬にぶつけられ、最後方に下がってしまってのものだけに度外視。巻き返しに期待。
栄冠賞で5着だったハートプレイス、アタックチャレンジから2歳オープンを連勝したエイシンビッグボスらも素質はありそう。
◎5スティールグレート
○2ブライトフラッグ
▲11ノットリグレット
△9トランセンデンス
△10ハートプレイス
△6エイシンビッグボス
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