地元勢も東海勢も粒ぞろいのメンバーが揃った。
ここはこのレース連覇のかかるマルヨフェニックスから。昨年の六甲盃以降は3戦していまひとつ勝ちきれないレースが続いているが、それでも勝負にはじゅうぶんからんでいる。何より園田は得意としているコースで、重賞ばかり6戦して負けたのは09年のJBCクラシックのみ。地方同士では負けていない。ここで勢いを取り戻したいところ。
相手にも笠松のエイシンフレンチ。芝ではあるものの中央オープンの実績があり、移籍後も東海菊花賞、東海ゴールドカップと東海地区の主要重賞で2勝を挙げ、実際に東海ゴールドカップではマルヨフェニックスを3馬身ちぎっている。
兵庫勢で期待したのは4歳のホクセツサンデー。オオエライジンには歯が立たなかったものの、昨年秋以降に力をつけ、終盤には楠賞、園田金盃と古馬相手の重賞を連勝。新春賞ではクールフォーマにアタマ差とらえられたが、実力的にはオオエライジンに近づいたといってもいいかもしれない。
中央から転入してA1特別を2連勝のパーフェクトランも、園田では底が割れていない怖さがある。
クールフォーマは前走こそパーフェクトランの4着に敗れたが、それまでは中央から転入後3連勝。その3連勝目となった新春賞ではホクセツサンデーやエーシンブランを負かした実績があるだけに、ここでも首位を争う力はある。
◎マルヨフェニックス
○エイシンフレンチ
▲ホクセツサンデー
△パーフェクトラン
△クールフォーマ
厩舎で猛威を振るっているコロナウイルスの影響かどうか、連覇を狙うカネサブラックが残念ながら熱発で回避。北見記念を制したギンガリュウセイも回避となった。
今シーズンは狙い続けると言っていたギンガリュウセイだが、帯広記念以降、果たしてばんえい記念でも本命にしていいものかどうかずっと悩んでいたのだが、回避によってちょっと肩の荷が降りた。
よく言われることだが、ばんえい記念だけは特別なレースで、1トン(980キロ)をこなせるかどうかで取捨が決まる。
ズバリ、今年のメンバーで1トンをこなせるのは、ニシキダイジン、フクイズミ、ナリタボブサップの3頭だけ。トモエパワーは07~09年に3連覇という輝かしい記録があるが、09年の北見記念で勝ったカネサブラックから8.1秒差の6着以降、重賞ではすべて20秒以上の大差で負けている。特に今シーズンの重賞ではすべて40秒以上の差をつけられている。残念ながら全盛時の力には程遠い。
カネサブラック不在のここは、2年ぶり2勝目を狙うニシキダイジンが断然の中心。昨年のゴール前、カネサブラックとの大接戦はほんとうに見応えがあった。今シーズンは11月以降勝ち星から遠ざかっているとはいえ、その後はチャンピオンカップで大敗した以外は、いずれも勝ち馬とは10秒以内の差。帯広記念3着は、トップハンデのものだけにむしろばんえい記念に向けてという意味ではプラスにとらえるべきだろう。鈴木恵介騎手のばんえい記念初勝利で、引退レースを飾る可能性はかなり高いと見る。
相手には昨年3着だったフクイズミ。昨年は、前2頭から離されたとはいえ、980キロでも確実に追い込んでくる脚は見せた。乗替りとなった松田道明騎手にとっては連覇がかかる。
ナリタボブサップは長期の休養があって、今シーズンの始動は11月。それでも帯広記念でカネサブラックから11秒9差の4着。ここにきて3連勝と調子を上げている。ばんえい記念は過去に4度挑戦して2010年の3着が最高という成績だが、実績を考えればここで一発という場面はあるかもしれない。代打のアベケンもちょっと怖い。
以上3頭の勝負だろうが、連下候補としてホクショウダイヤを挙げておく。チャンピオンカップで念願の重賞初制覇となったが、800キロ台後半以上の重量はちょっと厳しい。とはいえ、上記以外のメンバーとの比較では、高重量戦の経験が豊富なことはアドバンテージになる。手綱は、現役騎手ではばんえい記念最多の5勝を挙げている藤野俊一騎手。
◎ニシキダイジン
◯フクイズミ
▲ナリタボブサップ
△ホクショウダイヤ
大高坂賞は、クラマテングが地元の意地を見せて逃げ切り完勝。重賞は10勝目だが、他地区との交流となるとなかなか勝つことができず、これが初勝利だった。今回強敵となるのはただ1頭の遠征馬グランシュヴァリエ。グランシュヴァリエは地区への遠征を続け、昨年秋以降でも、日本テレビ盃JpnIIで5着、そしてJBCクラシックJpnIでは地方最先着となる4着と、南関東のトップクラスと互角の勝負をしている。大高坂賞では人気になった高知勢がクラマテングに敗れたが、実力ではそれらより一枚上と見る。
地元勢ではクラマテングが断然なのはあらためて言うまでもない。グランシュヴァリエ相手にどんなレースを見せてくれるか。
3番手にはナリタチャレンジ。福山大賞典ではクラマテングにコンマ1秒差の3着、大高坂賞でも3着と、クラマテングにはかなわないものの、確実に重賞で上位争いをしている。
グラスヴィクターは、マイル争覇5着、いろは丸賞4着のほかは福山で負けなし。3度目の重賞でどこまで上位に迫れるか。
フレアリングマリーは、明けて4歳になったばかりの福山大賞典で、クラマテングにあわやハナ差まで迫って2着。しかしその後の重賞ではいまひとつの成績。福山大賞典の再現があるかどうか。
◎グランシュヴァリエ
◯クラマテング
▲ナリタチャレンジ
△グラスヴィクター
△フレアリングマリー
地方勢は地元名古屋3頭に高知からの遠征が4頭だが、ダートグレードで通用というレベルにはなく、JRA勢とは力の差がありそうなメンバー構成となった。名古屋大賞典の過去の成績を見ても、ここ3年連続で3着までをJRA勢が独占という結果で、今年もその傾向は継続されそうだ。
狙ってみたいのは、小倉大賞典で重賞初制覇を果たしたエーシンジーライン。ダート実績は未勝利勝ちのみで、しかも久々の実戦となるが、ほかにこれといった逃げ馬がなく、ダートでもマイペースで逃げられれば小回りの名古屋コースだけに押しきれるのではないか。岩田康誠騎手にとっては過去6年で3勝と相性のいいレース。直前の黒船賞をセイクリムズンで制した勢いもある。
ニホンピロアワーズは昨年末に名古屋グランプリを快勝。2500メートルから1900メートルに距離短縮となるが、同じようにペースは落ち着くであろうことから、距離は問題にはならないだろう。デビュー以来ダートの中長距離のみを使われ、3着を外したのはGI・JpnIのジャパンカップダートと川崎記念のみというきわめて安定した成績。あえて死角を挙げるなら、他馬より2キロ以上重い57キロという斤量だろうか。
ダイシンオレンジは中央で行われたダートグレード2勝の実績があり、地方には今回が初遠征。重賞では対戦相手のレベルが少し上がると惨敗が目立つが、今回は中央勢4頭の争いとなりそうなだけに、上位争いにどこまでからんでくるか。
3歳時、同世代同士の重賞ではタイトルを争ったボレアスだが、上の世代の一線級との対戦ではやや分が悪い。
◎エーシンジーライン
○ニホンピロアワーズ
▲ダイシンオレンジ
△ボレアス
JRA勢では唯一重賞未勝利だが、トウショウカズンがスピードで押しきれると見る。人気はスーニだろうが、前走兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでは、59.5キロという斤量もあってスタート後は後方に置かれた。対してトウショウカズンは今回別定56キロ。根岸ステークスGIIIでは好スタートから3番手に控え、ゴール前ではシルクフォーチュンに交わされたものの、その後フェブラリーステークスGIを制すテスタマッタを抑えて2着と好走。地方は初遠征だが、馬場さえこなせば他の中央馬との比較しても見劣りはしない。
スーニは一昨年のこのレースも59キロで制していて、前走兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでも59.5キロで完勝という内容だった。目下4連勝中。どこまで連勝を伸ばすか。
セイクリムズンにとってダート1400メートルは得意の舞台。兵庫ゴールドトロフィーJpnIII(2着)は58キロでスーニと1.5キロ差だったものが、今回は57キロでスーニとは2キロ差となり、若干ではあるが有利になる。
昨年オーバルスプリントを勝って8歳にして重賞初制覇を果たしたダイショウジェット、芝の重賞勝ちにダートでもオープンを勝っているアイルラヴァゲイン、中央オープンの実績がある兵庫のエーシンエフダンズあたりが連下争いに加われるかどうか。
◎トウショウカズン
◯スーニ
▲セイクリムズン
△ダイショウジェット
△アイルラヴァゲイン
△エーシンエフダンズ