桐花賞は3冠馬ロックハンドスターの圧勝だった。そのロックハンドスターは春までお休みということで今回は不在。桐花賞組は、2着のマヨノエンゼルをはじめ3頭が出走してきたが、今回と同じ水沢1600メートルが舞台だった12月19日の白嶺賞上位3頭の争いとなりそうだ。
中心はマヨノエンゼル。09年度は3歳2冠に加え、古馬相手に青藍賞とトウケイニセイ記念を制して岩手の年度代表馬となったが、今シーズンはまったくの不振に陥り、ここまで勝ち星なし。しかし前々走の白嶺賞で2着に入って今シーズン初めて連対を確保すると、前走の桐花賞でもドロドロの馬場にもひるまず直線馬群を割ってよく伸び、ロックハンドスターの2着。復調と見ていいだろう。白嶺賞から中11日で桐花賞、そして今回は中9日での出走と、年末年始の変則開催でやや厳しいローテンションだが、昇り調子であればむしろ間隔を詰めて使ったほうが結果が出ることもある。1年ぶりの勝利がこのレース連覇となるかどうか。
2番手にはゴールドマイン。今シーズンはずっと菅原勲騎手が手綱をとり、10戦して3着を外したのが2回のみという堅実な成績。白嶺賞は2着のマヨノエンゼルに3/4馬身及ばすの3着だけに、逆転は十分に狙える。
8番人気で臨んだ白嶺賞を見事に逃げ切ったダイメイジュエリーが、今回も同じように逃げ切れるかどうか。その前走は2番枠からコーナーワークでハナを奪い、3~4コーナーでは後続を離して最後まで粘り切った。今回も4番枠なら枠順的には悪くない。さらに、上記2頭が白嶺賞と同じ57キロなのに対し、ダイメイジュエリーは1キロ軽い54キロ。さすがに前回のようり楽に逃げさせてはくれないだろうが、引き続きドロドロの馬場が予想されるだけに、軽量の先行脚質は有利だろう。
以下はやや離れるが、船橋から移籍3戦目となるサウンドサンデー、同じく船橋からの移籍馬で、11月に特別の栗駒賞を勝っているリュウノキングダムあたりが連下争いに加われるかどうか。
◎マヨノエンゼル
○ゴールドマイン
▲ダイメイジュエリー
△サウンドサンデー
△リュウノキングダム
トーセンマエストロに笠松初勝利&重賞初制覇のチャンス。中央準オープンから夏に笠松に転入し、ここまで6戦してA2特別で2着、重賞で3着が2回という成績。その重賞での2度の3着は今回と同じ笠松1400メートル。11月の笠松グランプリでは、マルヨフェニックス、キングスゾーンという全国区の活躍馬に続く3着だっただけに、重賞としてはやや軽いメンバーとなった今回はチャンス大。前走、船橋に遠征した総の国オープンは、着順こそ8着だったが勝ったキングスゾーンからコンマ7秒差とそれほど負けているわけではない。
エーシンアクセランにもチャンスは十分。地元笠松の重賞で2着、3着という善戦が何度もあり、昨年6月のサマーカップでようやく重賞初制覇。10月のスプリントではトーセンマエストロ(3着)に先着する2着。3走前の笠松グランプリでは、3着のトーセンマエストロからコンマ7秒差の7着に敗れた。いずれも斤量は57キロと同じで、勝ったり負けたりの互角の成績。ただエーシンアクセランはここ3戦ともに勝ち馬から1秒以上の差で負けているだけに、トーセンマエストロのほうを上位にした。
昨年終盤、中央から金沢に転厩したトウショウガナーは、その初戦となった金沢A2特別を勝利。中央準オープンの力があれば、今回のメンバーなら十分に勝負になる。
連下の穴的な狙いなら兵庫から遠征のゲイリーディライト。秋以降はいまひとつの成績だが、6月の笠松・サマーカップでは9番人気ながら、エーシンアクセランの2着があった。今回のメンバーもサマーカップと同じようなレベルなだけに、好位から粘れる展開になれば上位争いに食い込んでくる可能性はある。
◎トーセンマエストロ
○エーシンアクセラン
▲トウショウガナー
△ゲイリーディライト
地方競馬の重賞などには、各地の地名にちなんだレース名が少なくない。このプリンセスカップは、レース名こそどの競馬場にもありそうな、いわばありきたりのものだが、金沢地方にちなんだ名前の馬が、カカビジン、ノトノイチバンボシ、ヒャクマンゴクと3頭も出走してきた。
そのうちの1頭、ヒャクマンゴクの実力が抜けている。デビューからの2戦こそ人気になりながらあまりいいところがなかったが、その後の5戦では4勝、2着1回。勝つときはいずれも2着馬に1秒以上の差をつけての圧勝だ。ヤングチャンピオンは2着に敗れたものの、出走していた牝馬には圧倒的な差をつけていた。牝馬同士のここは負けられない一戦。
2番手以降は勝ったり負けたりの混戦だが、その筆頭にはナエマ。兼六園ジュニアカップでは前2頭からは離されたものの、地元勢では最先着の3着。その後中央への遠征では惨敗だったものの、厳しいペースの経験は生きるはず。前走はジーニーにも先着を許す3着だったが、1番人気で勝利したザハヤテオーに次ぐ2番人気に支持されていたのは、その素質を期待されてのものだろう。
ジーニーは未勝利だが、ここまで10戦して2着4回、3着2回と常に堅実な走り。重賞は今回が初めてだが、この世代の重賞上位馬との対戦もたびたびあり、今回も上位争いにはからんできそうだ。
前走のヤングチャンピオンでは4、5着のフブキサクラコ、ファンシーザットは、同2着のヒャクマンゴクに逆転までは難しいだろうが、牝馬同士なら連下争いも可能。
◎ヒャクマンゴク
○ナエマ
▲ジーニー
△フブキサクラコ
△ファンシーザット
ハンデ54キロならシンワコウジに久々重賞制覇のチャンス。昨年は5月の尾張名古屋杯、名港盃をともに57キロで制し、その後休養。秋に復帰した2戦は勝ち馬から1秒程度離されての敗戦だったが、前走12月15日のA2特別では58キロで5馬身差圧勝と、この馬の強さが戻ってきた。今回は手強い相手が何頭かいるが、ハンデ差を生かして先行逃げ切りを決めたいところ。
57キロでもマルカハンニバルは好勝負だろう。前走名古屋グランプリJpnIIでは、中央4頭にはやや離されたものの、地方最先着の5着。中央から転入してそれまでの6戦では連対を外していなかった。東海菊花賞では、定量でヒシウォーシイに半馬身差と迫る2着。そのヒシウォーシイは大晦日の東海ゴールドカップを楽勝しているだけに、ここはこの馬の出番があってもいい。
船橋の総の国オープンを勝って、まだまだ元気なところをアピールしたキングスゾーンだが、今回の59キロはいかにも厳しい。船橋や岩手では強いレースをするのだが、地元ともいえる名古屋・笠松ではなぜか1年以上勝ち星から遠ざかっているというのもマイナス材料。それにしてもここまでの有力3頭がいずれも先行タイプ。その点でも、54キロのシンワコウジがいかにも有利ではないか。
カモンネイチャは重賞3勝の実績だが、いかにも相手が軽かった。前走笠松グランプリでは8着に敗れているように、東海地区や兵庫の一線級が相手となるとやや見劣る。斤量的には恵まれた53キロだけに、どこまで迫れるか。
ともに近走はA1特別で入着級のノゾミカイザー、ショウケイらも、ハンデ差を生かして入着までだろう。
◎シンワコウジ
○マルカハンニバル
▲キングスゾーン
△カモンネチャ
△ノゾミカイザー
△ショウケイ
明けて5歳だが、4歳シーズンの3冠最終戦は、定量戦だけに実績にまさるキタノタイショウが不動の中心。昨シーズンの3歳時はばんえい菊花賞とばんえいダービーの2冠制覇。4歳1冠目の柏林賞は7着に負けたが、これは3歳2冠で賞金を稼いだためトップハンデを課されてのもの。しかし2冠目の銀河賞ではトップハンデながら、僅差とはいえ勝ったのだから実力的には抜けた存在。前走、新設のドリームエイジカップでは、ナリタボブサップ、カネサブラックという古馬頂点の2頭に、20キロ軽いだけでそれほど差のない3着に入ったのにも驚かされた。
相手筆頭には、この世代ではナンバー2の存在ともいえるホクショウバンク。3歳時はばんえい菊花賞3着に、ばんえいダービー2着。柏林賞はやはり重量が堪えて8着と惨敗だったが、このレースのトライアルともいえる3走前のイルミネーションカップでは、キタノタイショウに次ぐハンデを背負いながら3着と好走した。今シーズンは11月に1勝を挙げたのみだが、後半はA1やオープンの2組で勝ち馬と10秒差以内にたびたび好走しているだけに、同世代同士の定量戦なら当然上位争いの力はある。
3番手以下は迷うところだが、柏林賞3着、銀河賞4着と、今シーズンここまでの2冠で好走しているアアモンドヤマト。その間には、3・4歳混合の重賞、はまなす賞でハンデに恵まれたとはいえ勝っている。ドリームエイジカップでは3着のキタノタイショウとコンマ6秒差の5着だったが、このときは重量差が30キロもあった。同重量になってどこまで迫れるか。
銀河賞5着のフクドリは、それ以降、14戦して3着以内が10回と好調続き。ホクショウマドンナ、トモエエーカンなどとは、微妙な負担重量の上下で着順が入れ替わっているだけに、いずれも展開次第で連下争いのチャンスはありそう。
◎キタノタイショウ
○ホクショウバンク
▲アアモンドヤマト
△フクドリ
△ホクショウマドンナ
△トモエエーカン