JBC後の古馬ダート中長距離路線は、浦和記念JpnII、ジャパンカップダートGI、名古屋グランプリJpnII、東京大賞典JpnIとレースが続く。それゆえメンバーが分散傾向にあり、今年の名古屋グランプリもそんな感じのメンバーになった。
ワンダースピードは、一昨年のこのレースを制し、昨年も2着。そしてマイネルアワグラスは昨年3着と、ともにこの路線で上位を争う常連。ワンダースピードの復帰後の2戦がいまひとつの成績なだけに、今回はマイネルアワグラスを中心とする。勝ち星からはしばらく遠ざかっているものの、ダイオライト記念JpnIIではマコトスパルビエロやフリオーソなどの実績馬に先着する2着。ブリーダーズゴールドカップJpnIIでは、シルクメビウス、カネヒキリに続いての3着という成績がある。その後中央での3戦は5、10、5着に敗れているが、着差はそれほど離されているわけではない。
相手筆頭はもちろんワンダースピードだが、馬券的に狙っておもしろそうなのがシビルウォー。マーチステークスGIIIではマコトスパルビエロの3着があり、その後オープンの関越ステークスを制した。上位2頭が1年以上勝ち星から遠ざかっている現状を考えれば、この馬に一発のチャンスもある。
東京ダービーを制して中央に戻ったマカニビスティーは、その後プロキオンステークスGIIIで11着、ジャパンカップダートGIで15着という成績。今回、その2戦より相手が軽くなったとはいえ、古馬相手のダートグレードで勝負になるかどうか。
牝馬ながら北海道3歳3冠馬となったクラキンコは、1番人気で臨んだ道営記念は勝ち馬から僅差の5着。東海菊花賞2着の地元マルカハンニバルとともに、中央勢上位独占の一角を崩せるかどうか。
◎マイネルアワグラス
○ワンダースピード
▲シビルウォー
△マカニビスティー
△クラキンコ
△マルカハンニバル
00年から04年に行われていたオールスターカップと同様、世代別の対抗戦で、負担重量の差が大きいだけに馬券的な妙味が増す一戦。古馬のオープン馬が貫録を示すか、最大80キロのハンデ差を味方に3歳馬がスピードで押し切るか。
ここはオープンの一線級でも互角に戦えるまでに力をつけたライデンロックを狙ってみたい。トップハンデのカネサブラック、ナリタボブサップより30キロも軽いのは断然有利。今回と同じ760キロだった正月の天馬賞では、やや湿った馬場とはいえ1分52秒2というタイムをマーク(3着)。スピード勝負の3歳馬が相手でも押し切れそうだ。前走はカネサブラックの3着に負けているものの、当時15キロの差が今回は30キロに広がるだけに、まず逆転は間違いないだろう。
相手は軽量でスピード勝負の3歳馬トレジャーハンター。ばんえい菊花賞3着も含め、ここ8戦のうち7戦で3着以内を確保と好調。
トップハンデだがスピード競馬にも対応できるカネサブラックにもチャンスは十分。
キタノタイショウは同世代同士の重賞をすでに4勝。4歳世代のナンバー1として実力を示したいところ。3走前の狩勝賞では、今回と同じ20キロ差のカネサブラックを接戦の末に負かしているだけに、ここでも勝負になる。
もう1頭の3歳馬ホクショウバトルは、勝つときと負ける時がはっきりしているだけに、あっと言わせる場面も考えられるが、今シーズン不利と言われる10番枠を克服できるかどうか。
◎ライデンロック
○トレジャーハンター
▲カネサブラック
△キタノタイショウ
△ホクショウバトル
金沢の古馬戦線に役者が揃ってきた。金沢所属馬は、いまだダートグレードの勝ち星がないが、中央と南関東のオープン級が移籍してきているだけに、そうした馬たちの争いのなかで力をつけていけば来年あたりはタイトルをもたらす馬が出てくるかもしれない。
中心はジャングルスマイル。白山大賞典JpnIIIは勝ち馬からは離されたものの2着。とはいえ、あのメンバーならなんとか勝てなかったかと今でも思う。JBCクラシックJpnIはさすがに相手が強く惨敗だったが、そうしたトップクラスとの厳しいペースを経験し、前走の地元A1特別はまたまた圧勝。さらに力をつけている印象だ。
中央オープンから転入し、2連勝で北國王冠も圧勝したタートルベイと、ジャングルスマイルの直接対決が今回いよいよ実現。シーズン最後の古馬の大一番が、まさに金沢の頂点を決める一戦となる。
2頭に割って入れるかどうかというのがシャレーストーン。南関東ではもう少しのところでタイトルに届かなかったが、今年7月には中央から転厩初戦のアドマイヤフジをしりぞけて武蔵野オープンを勝ち、続くサンタアニタトロフィーでも勝ち馬から0秒4差の5着。そして金沢転入初戦のA2特別は、3コーナーからみるみる後続を突き放し、最後は流すような感じでのゴールは大差の圧勝。前走はジャングルスマイルを差し置いて同斤量ながら1番人気に推されたが、ジャングルスマイルに6馬身離されての2着。ただこのときは水の浮くドロドロの馬場だっただけに、着差がそのまま力差とは考えにくい。あらためて真価が問われる一戦。ただ、南関東時代はマイル前後の距離を中心に使われていただけに、2300メートルという距離が不安ではある。
3頭のどれかが崩れたときに馬券にからむ可能性があるのは、ともに今年夏以降にA1特別を勝っているキタイセユニヴァースとネヴァデザート。
◎ジャングルスマイル
○タートルベイ
▲シャレーストーン
△キタイセユニヴァース
△ネヴァデザート
やはり実績ではムツミマーベラスが断然だ。ここまで17戦15勝。負けた2戦、福山ダービー2着は休養明け初戦からの連闘、鞆の浦賞はレース中の鼻出血と、ともに敗因ははっきりしている。その鼻出血明けの前走、古馬A2特別もきっちり勝っているだけに、普通にレースができれば、同世代相手なら負けないだろう。
相手は、やはり福山ダービーでムツミマーベラスに土をつけたフォーインワン。この世代はムツミマーベラスがほとんどのタイトルを持っていっているような印象があるが、フォーインワンもいつの間にか重賞4勝。前走のA2特別ではムツミマーベラスに1馬身半差で2着に敗れているが、重賞実績のある5歳牝馬サンディナナ(3着)には7馬身もの差をつけた。この2頭はすでに古馬オープンでも戦える力があると見てよさそうだ。
2強の一角崩しを狙うのが、重賞初挑戦となった鞆の浦賞でフォーインワンをクビ差でしりぞけたウィークリーショウ。今年4月以降、急激に力をつけクラスを上げてきた。ここで2強と真っ向勝負なら、その実力は本物だ。
ビクトリーヒマワリは重賞勝ちこそないものの、重賞には8回出走していずれも掲示板を確保。通算でも35戦して掲示板に載れなかったのはたった1度だけという安定した成績。連下なら可能性はある。
マリンケハラッショも、重賞に2度出走して、福山チャンピオンシップ、鞆の浦賞でともに3着と好走している。
◎ムツミマーベラス
○フォーインワン
▲ウィークリーショウ
△ビクトリーヒマワリ
△マリンケハラッショ
誰がどう見てもアルドラゴンの実績が断然だ。目下6連勝中で、今年だけでも重賞を5勝。対する相手7頭は、いずれも重賞未勝利というメンバー。定量戦でもあり、アクシデントでもない限りアルドラゴンが負ける場面は想像できない。
それだけに相手探しは容易ではないが、筆頭はスマイリングフィル。前走、楠賞ではバンバンバンクと一騎打ちとなり、惜しくもハナ差2着は見どころがあった。それを含め重賞で2着4回という成績でも、アルドラゴンを別格とすればメンバー中では最上位の実績。
マイネルマニセスは、ここ2戦こそ結果を残せていないものの、今年はオグリキャップ記念、西日本グランプリでともに2着と、遠征競馬で結果を残している。
今年中央から転入し、A1特別で2勝を挙げているスペラーレも馬券圏内を狙えそうだ。
◎アルドラゴン
○スマイリングフィル
▲マイネルマニセス
△スペラーレ