9月25日に行われたばんえいプリンセス賞(特別)の1~6着馬が揃って出走。同レースでは、別定プラス20キロのダイリンビューティが勝ち、プラス10キロのツジノコウフクヒメが2着。3着以下はすべて別定の加増なし。今回、全馬670キロの定量戦とあれば、やはりこの2頭の地力が上位。
頭にするのはツジノコウフクヒメ。ばんえい菊花賞は7着だったが、その後B3-1組、B2・B3決勝混合で、ともにほとんど差のない3、2着と好調だ。
好調度では劣らないタケノビジンが、格上馬2頭に割って入る。ばんえいプリンセス賞を8番人気で3着と好走し、その後4戦連続連対で臨んだばんえい菊花賞は、これまた8番人気で2着。ヒザをつきながらも障害を先頭で越え、一旦は後退しながらもゴール前で二の脚を使い2着に盛り返すという競馬は見どころがあった。前走、ツジノコウフクヒメも出走(3着)していたB3-1組は1番人気で6着に敗れたものの、障害を越えるタイミングがやや遅れただけで、直線では上位馬とほどんど変わらない脚いろで、差のない競馬だっただけに、着順ほどは負けていない。この6着という数字で人気が落ちるならむしろ狙いだ。
ダイリンビューティは、ばんえいプリンセス賞を勝ったあと、ばんえい菊花賞の前哨戦、秋桜賞こそ3着だったものの、その後の3戦は、ばんえい菊花賞を含めて今ひとつの内容。今回のメンバー中もっとも高いB1-1組という格付けだけに仕方ないとも思えるが、上記2頭がB3級で好走しているのを見ると物足りない。
ヒロノクィンは今回が初めての重賞挑戦となるが、ばんえいプリンセス賞では3着のタケノビジンとわずかコンマ2秒差の4着だっただけに、今回も上位に食い込む可能性はある。
◎ツジノコウフクヒメ
○タケノビジン
▲ダイリンビューティ
△ヒロノクィン
今年も2位以下に大差をつけて金沢リーディングを走っている吉原寛人騎手が主戦の馬が3頭出走。そのうち、所属する宗綱泰彦厩舎の馬が2頭いて、残りの1頭ヒャクマンゴクはさすがに乗替りになってしまったが、デビュー3戦目から2着馬に1秒以上の差をつけて3連勝のこの馬の強さが目立つ。前走ストック特別も牝馬同士の一戦とはいえ、最後まで持ったままで2着に5馬身差をつける圧勝。金沢古馬4大重賞のひとつ、百万石賞と同じ馬名。牝馬ながら、将来的に「ヒャクマンゴクが百万石賞制覇!」となるほどの成長が期待されているのだろう。
ほかは近走勝ったり負けたりの馬が多く順番をつけるのが難しいが、その吉原騎手が選んだザハヤテオーを相手に。デビュー2戦目となった前走は1番人気で3着に敗れてしまったが、先行して他馬にからまれる厳しい展開で、向正面までほとんど最後方だったワイラニフカレテにゴール前で差し切られてしまった。厳しいレースを経験しただけに、そのぶんの上積みにも期待したい。
3番手には、これまた吉原騎手が主戦だったサンダーウォリア。1戦未勝利のまま出走した兼六園ジュニアカップは9着だったが、その後は一方的なレースぶりで2連勝と力をつけている。
シンカンタカフジは、兼六園ジュニアカップこそ5着だったが、それを除けば4戦2勝、2着2回と安定した成績。前走はザハヤテオーと競り合いアタマ差先着しての2着だった。
ダンシングサクラは兼六園ジュニアカップ4着で、今回の出走メンバー中では最先着。前々走はシンカンタカフジの3着、前走はヒャクマンゴクの2着と、この世代のトップクラスのメンバーに入って常に上位争いの力はある。
◎ヒャクマンゴク
○ザハヤテオー
▲サンダーウォリア
△シンカンタカフジ
△ダンシングサクラ
JBCスプリントを仕上がりきらずに回避したラブミーチャンが地元のここに出走してきた。そして、ダートグレードや地方の広域交流など全国区で活躍する馬たちも顔をそろえ、まさに「グランプリ」と呼ぶにふさわしいレースとなった。豪華なメンバーがそろったぶん、1着賞金350万円がちょっと寂しい気はするが。
地元での出走ということで、応援の意味もこめてラブミーチャンが本命。スタートダッシュの速さでは、おそらくこのメンバーならどの馬もついてこられないだろう。あとは1400メートルを粘りきれるかどうか。6月の北海道スプリントカップJpnIIIでJRA一線級の古馬と対戦し、3着という結果を残しているだけに、ここでの好勝負も必至だろう。
ラブミーチャンの末が甘くなるようなことがあれば、差し切るのはマルヨフェニックス。ダートグレードを除けば、昨年5月のローレル争覇以降で負けたのは、川崎・報知オールスターカップでの4着と、シアンモア記念の2着のみ。6歳でもまったく衰えることなく、4走前の東海桜花賞、そして前走姫山菊花賞は、ともに中団追走から直線で後続を突き放す圧巻のレースぶりだった。快速を飛ばすラブミーチャンに対し、どのあたりから動いていくのかが見どころとなりそう。
近走の好調ぶりではイイデケンシンもヒケをとらない。昨年のこのレース、そして今年は前哨戦のスプリントを勝ち、むしろ地元園田よりも笠松のほうで力を発揮しているのではないか。地元勢にとっては強敵だ。
今年5月、水沢に遠征したシアンモア記念でマルヨフェニックスを半馬身差で競り落としたのがキングスゾーン。その後距離が2000メートルに延びたみちのく大賞典ではアタマ差で逆転を許したが、力は互角。ただここ3戦は勝ち馬から1秒以上の差をつけられての敗戦が続いているだけに、状態が気になるところ。
以上4頭にはダートグレード勝ちか、ダートグレードで上位を争った実績があり、その他6頭が割って入るのは難しいように思う。
◎ラブミーチャン
○マルヨフェニックス
▲イイデケンシン
△キングスゾーン
地元東海勢にこれといって目立った成績を残している馬がないだけに、兵庫から遠征のリジョウクラウンを中心にする。2日前に地元で行われた兵庫ジュニアグランプリJpnIIには目もくれず、確実にタイトとるを重ねようとここを狙ってきた。園田プリンセスカップは、向正面から一気にまくって出て完勝。前走兵庫若駒賞は末脚不発で3着に終わったが、今回は再び牝馬同士の対戦となるだけに見せ場をつくるだろう。
ミラノボヴィッチは、ホッカイドウ競馬で2勝を挙げ、シーズン終了を前に笠松に移籍してきた。前走笠松初戦となった2歳3組戦を快勝。ホッカイドウ時代には重賞にも出走し、中央にも遠征。北海道でこのレベルなら、即通用してもおかしくはない。
モエレトゥループは6番人気でジュニアクラウンを制したが、その後は今ひとつの成績。重賞勝ちは展開がはまった可能性があり、ここでも中心視はしにくい。
兵庫から遠征のマンボビーンは、園田プリンセスカップでリジョウクラウンの3馬身差2着、前走兵庫若駒賞では3着のリジョウクラウンにクビ差までせまって4着。6戦して勝ったのはデビュー戦のJRA認定競走のみだが、前走以外は3着以内と常に好走しており、ここでも上位争いにはからんできそう。
◎リジョウクラウン
○ミラノボヴィッチ
▲モエレトゥループ
△マンボビーン
北海道2歳優駿JpnIIIを制したカネマサコンコルド、エーデルワイス賞JpnIIIで1、2着のリアライズノユメ、マツリバヤシが揃って出走し、JpnIIの格にふさわしいレースになった。
中心はカネマサコンコルド。北海道2歳優駿は5番人気とあまり注目されていなかったが、直線で馬群をこじあけて抜け出すレースぶりは際立っていた。デビュー戦2着のあと、ダートに限れば4連勝。まだまだ上を目指せそうだ。管理する堂山芳則調教師は、道営記念まで制して今シーズン重賞9勝と活躍が際立っていた。ホッカイドウの調教師リーディングでも、トップと1勝差の2位で最終日を迎えたのだが、道営記念を含め3勝を挙げ、逆転でリーディングに輝いた。ちなみに、北海道2歳優駿、道営記念、ともに1番人気に支持されたのも堂山厩舎の馬だったのだが、それが負けても人気薄のほうで勝ってしまうのだから、まさに今シーズンの勢いというべきだろう。
相手にはエーデルワイス賞を制したリアライズノユメ。芝で初勝利まで5戦もかかっただけに軽視されたが、初ダートにもかかわらず門別1200メートルの2歳コースレコードで圧勝。このときは、レースに備えて1頭だけ1週間前から門別に入厩していたそうだ。さすがにダートグレードに数多く遠征している森秀行厩舎。牡馬相手でも、頭まであっておかしくない。
マツリバヤシは、デビュー勝ちのあと重賞ばかりを5戦して2着2回、3着3回。勝てずとも常に善戦。牡馬と対戦したブリーダーズゴールドジュニアカップでの3着も直線一旦は先頭に立って見どころのあるレースだった。
タビトは、前々走東京ダート1400メートルの未勝利戦で、6馬身差圧勝のレースが目立っていた。
笠松のマルヨコンバットは、断然人気となった金沢の兼六園ジュニアカップでエルウェーオージャの2着に敗れたが、このときは4コーナーで外に逸走し、そこから立て直しての2着。普通にレースをすれば、人気にこたえて勝っていただろう。前走船橋の平和賞は8着だったが、慣れた右回りに戻ってどんな走りを見せてくれるか。
芝で2勝を挙げているファームクリームは今回が初ダートとなるが、岩田康誠騎手の起用で一発があるかもしれない。
◎カネマサコンコルド
○リアライズノユメ
▲マツリバヤシ
△タビト
△マルヨコンバット
△ファーマクリーム