3連勝中のマイネルアラバンサに人気が集まりそうだ。地方のダートに徐々に慣れてきたのか、前々走名古屋記念、前走ウインター争覇は、ともに圧勝。とはいうものの、その2戦ともに重賞としてはややメンバーが軽かったように思う。実際に、転入初戦の東海菊花賞でちぎられたヒシウォーシイ、キングスゾーンとは、そのとき以来の対戦となる。
ここは南関東や福山遠征も含めて5戦連続連対中のキングスゾーンから狙ってみたい。昨年は名古屋・マイル争覇、水沢・みちのく大賞典と2つの重賞勝ちがあるとはいえ、秋ごろまでは今ひとつのレースぶり。しかしここ3戦は、先行して粘るかつてのキングスゾーンが戻ってきた。特に前走福山に遠征してのマイル争覇は、3コーナーで先頭に立つと、東海地区の重賞を勝ちまくっているベストタイザンを半馬身差で振り切ってコースレコードでの勝利。マイネルアラバンサにも勢いがあるが、キングスゾーンも好調だ。
大晦日の東海ゴールドカップでキングスゾーンをアタマ差でしりぞけて勝ったのがノゾミカイザー。前々走のターコイズオープンでは、マイネルアラバンサの1/2馬身+ハナ差と差のない3着。昨年9月以降、6戦2勝ですべて4着以内と堅実なだけに、この馬にもチャンスはありそう。
兵庫から遠征のキクノアローが木村健騎手でどんなレースを見せてくれるか。
東海菊花賞でキングスゾーン、マイネルアラバンサに圧勝したヒシウォーシイは、1月のオープン2戦がいまひとつのレースぶりだっただけに、巻き返しなるかどうか。
◎キングスゾーン
○マイネルアラバンサ
▲ノゾミカイザー
△キクノアロー
△ヒシウォーシイ
明け3歳牝馬による重賞。定量戦のため普通なら格付け上位の馬が有利となりそうだが、A-1のホクショウシャネル、ダイリンビューティらは近走いいところがなく、逆に好調なのはA-4やA-5を勝ってきたシークレットライヴやシルクロード。ここまでの勝ち星を見てもホクショウシャネルのみ5勝だが、4勝馬が6頭、3勝馬が3頭と、力差もほとんどなさそう。どの馬が勝ってもおかしくない混戦だ。
ところで話は突然変わるが、2月12日に笠松で行われたゴールドジュニア。2歳馬として史上初のNARグランプリ年度代表馬となったラブミーチャンが出走し、道中まったく追われることなく完勝。平日にもかかわらず笠松競馬場には多くのファンが来場し、JRA桜花賞へ向けて期待が高まる壮行レースともなった。
今年の3歳牝馬は、なぜか「チャン」ブーム。ラブミーチャンはもちろんのこと、1月24日には京都の3歳500万下牝馬限定戦をハニーメロンチャンが勝ってデビューから2連勝。さらに、2月7日中京の萌黄賞を勝ったのがカレンチャンで、この馬は新馬戦2着のあと2連勝。さて、JRAの桜花賞には「チャン」の付く馬が何頭出てくるでしょう。
というわけで、ばんえいの3歳牝馬によるこの重賞も、アオノラブチャンで。11月15日の南北海道産駒特別ではダイリンビューティとの接戦を勝利。その後A-1ではやや苦戦が続いたが、ここのところのA-2ではまずまずの好走。格上の馬を再び破って重賞制覇のチャンス。
近走いまひとつの成績でも、牝馬同士での対戦となればやはり格上位馬を評価したい。ダイリンビューティとホクショウシャネルはここのところ互角の勝負だが、10月の白菊賞、12月の2歳A-1・2決勝で先着しているダイリンビューティのここ一番の勝負強さに期待。ホクショウシャネルの出走がなかったヤングチャンピオンでも牝馬では最先着の6着だった。
もちろんメンバー中最多の5勝を上げているホクショウシャネルが勝ってもまったく不思議はない。ばんえい競馬の年間最多勝記録を更新し、その記録をどこまで伸ばすのだろうという鈴木恵介騎手の勢いも味方しそうだ。
格下でも好調のシークレットライヴ、シルクロードもこの混戦ならいきなり上位争いの可能性もありそう。
◎アオノラブチャン
○ダイリンビューティ
▲ホクショウシャネル
△シークレットライヴ
△シルクロード
NARグランプリで史上初めて2歳馬による年度代表馬となったラブミーチャンの地元笠松凱旋レース。
ラブミーチャンはもともとコパノハニーという馬名で中央に入厩したものの、調教が合わなかったのか出走までには至らず、未出走のまま笠松に移籍してきた。その際、馬主のドクター・コパさんは馬名がよくなかったのかもしれないということで、ラブミーチャンという今の馬名に変更された。
笠松に来たらその持てる能力を存分に発揮したようで、能力検査でとんでもない時計を出してしまったため、デビュー予定のレースには出走馬が集まらず、一度はデビュー戦が流れてしまったということもあったそうだ。
その後の活躍はあらためて書くまでもないだろう。中央でのレコード勝ちにも驚いたが、その後の兵庫ジュニアグランプリJpnII、全日本2歳優駿JpnIの逃げ切りにはさらに驚かされた。その2戦でラブミーチャンに直線で迫り、結局は振り切られてしまったアースサウンドにしても、東京ダート1300メートルでレコード勝ちをしていた馬なのだ。
かねてから言われているように、ラブミーチャンの目標はJRAの桜花賞。3月14日のフィリーズレビュー(阪神)3着以内でその権利を目指す予定となっている。
さすがに今回はアクシデントでもない限り負けることはないだろう。
相手は重賞勝ちのあるパラダイスラビーダ、エーシンシャウラ、コロニアルペガサスになるが、中でも重賞2勝のパラダイスラビーダが筆頭。中央遠征を除けば3着を外したことがないという安定感も魅力だ。
ただ今回のように抜けて強い馬が1頭いるレースでは、実力どおりの結果となるかどうかは難しい。2番手、3番手の馬はその強い馬を負かしにいかなければならず、真っ向勝負を挑んだときに惨敗するようなパターンもめずらしくないからだ。そうしたときに、着狙いでうしろのほうをついていった馬が2着や3着に入るというケースがよくある。さすがにそれでどの馬がラブミーチャンに勝負を挑んで、どの馬が漁夫の利的に上位に来るかということまでは予想できないので、予想の印は実績順としておきたい。
◎ラブミーチャン
○パラダイスラビーダ
▲エーシンシャウラ
△コロニアルペガサス
中央枠5頭のところ出走は3頭、それに地方最有力と思われたマルヨフェニックスが回避してやや寂しいメンバーになった。
中央3頭の順列ははっきりしている。ロールオブザダイスは東京大賞典でJpnI・3着のあと平安ステークスGIIIで重賞初制覇。フサイチピージェイは前々走ベテルギウスステークスでダートオープン勝ち。重賞経験はないものの、08年9月以降ダート10戦はいずれも3着以内という安定した成績。ラッシュストリートは前走でようやく準オープンを勝ったが、フサイチピージェイほど成績が安定しているわけではない。
実績最上位のロールオブザダイスは地方での経験が豊富な上に、昨年のこのレースでスマートファルコンの2着。フサイチピージェイとラッシュストリートには地方の経験がないことを考えれば、やはりロールオブザダイスが断然と言わざるをえない。
地方勢では笠松のトウホクビジンがダートグレードで強い相手と戦う中でだんだんと力をつけてきている。前走川崎記念JpnIはさすがに相手が強すぎたが、その前のTCK女王盃JpnIIIでは着順こそ7着とはいえ、直線半ばまで逃げ粘り、勝ったユキチャンからコンマ8秒差。兵庫のカラテチョップは、地元で元中央オープンのハスフェルと差のない競馬。この2頭は中央3頭の一角を崩して3着なら食い込む可能性はある。
地元佐賀の筆頭は中島記念を制したヘイアンレジェンドだが、中央1000万クラスで頭打ちの成績ではこのメンバーに入ると厳しい。
上位2頭に人気が集中しそうなだけに、馬券は相当絞らなければならないだろう。
◎ロールオブザダイス
○フサイチピージェイ
▲ラッシュストリート
△トウホクビジン
△カラテチョップ