「未来優駿」のシリーズに組み入れられ、昨年より時期が1カ月うしろにずれた福山2歳優駿。
ムツミマーベラスはデビューから5連勝と、ここまでまさにマーベラスな成績。特に前走は先頭から15馬身ほども離れた最後方を追走し、4コーナーでもまだ5馬身ほどの差があったものの、ゴール前で逃げ粘るビクトリーヒマワリをとらえると、楽々と2馬身差をつける完勝となった。逃げる競馬も控える競馬もできるだけに、福山の現行勢力では当面の間無敵だろう。ひとつ上の半兄はムツミイングランド。その世代には、福山の同世代同士の重賞を全勝というアグリヤングの存在があり、重賞戦線ではもう一歩のところで勝ちきれていないだけに、その兄の分まで勝ちまくりたいところ。
相手は、6戦3勝、2着3回のナカドイセンプー。先着を許しているのはムツミマーベラスのみで、逆転候補の筆頭はこの馬だが、3馬身より差を詰めたことがないので、その可能性も少なさそうだ。
3番手はビクトリーヒマワリ。ここまで8戦して、勝ったのはデビュー戦のJRA認定レースだけだが、3着を外したのは1度だけと大崩れがない。
やはり4戦して3着を外したのが1度だけというフォーインワンも3着候補。
成績がはっきりしているだけに、人気が集中するだろうから、馬券的には馬単1点か、3連単なら1、2着固定の3着2頭という2点程度での狙いとなるだろう。
逆にムツミマーベラスかナカドイセンプーが凡走するようなことがあれば大荒れになるだろうから、穴党にとっては、そうしたわずかな可能性を狙って手広くいく手もある。
◎ムツミマーベラス
○ナカドイセンプー
▲ビクトリーヒマワリ
△フォーインワン
4歳牝馬による重賞。昨年の3歳牝馬3冠馬ニシキエースが450万クラスで700キロ、そこから1クラス下がるごとに10キロ減という別定重量で、上下40キロ差がついた。
6月20日に同じ4歳牝馬による特別・紅バラ賞が行われ、ここでもニシキエースがトップハンデで最軽量馬とは40キロの差があった。さすがにこの重量差はこの時期の牝馬には厳しく、ニシキエースは30キロ差のユーファンタジーから10秒以上も離される5着だった。そのレースから4カ月もたっているだけに、当時の力関係がそのままということはなく、力関係の変化と重量の増減がポイントとなりそうだ。
中心は、紅バラ賞を2番人気で制したユーファンタジー。ニシキエースとの比較では、当時30キロ差だったのが今回は20キロ差に縮まった。一見ユーファンタージーには不利だが、しかしここ3走の自己条件のレースを見ると確実に力をつけている。成長分で縮まった重量差はカバーできると見る。
ユーファンタジー以外に近走で力をつけたような馬が見当たらず、そうなればトップハンデでも実績にまさるニシキエースの出番も十分にありそう。
スマイルダンスは紅バラ賞では5番人気で2着。ニシキエースとは今回も変わらず30キロ差で、ならばそのまま上位争いのような気もする。ところが紅バラ賞に続く3・4歳牝馬のオープンでは50キロも重いソリのニシキエースに先着されているだけに、紅バラ賞の結果をそのまま信頼もできない。しかしその後の自己条件でも勝ったり負けたりの落差が大きいだけに、一発があるタイプなのかもしれない。
9月に120万未満を連勝して180万クラスに上がったカネサローズは、その後馬券にこそからめていないが、それほど差のない安定した競馬を続けている。今年デビューの菊池騎手にとっては、ばんえいプリンセス賞でのスーパーコマチ(7着)に続く2度目の重賞挑戦となるだけに、気合も入っていることだろう。
一足早くナナカマド賞で重賞制覇を果たしている長澤騎手のキタノハヤカゼも、紅バラ賞3着のときと同じくニシキエースとは40キロ差。上位争いに食い込んでくる可能性はある。
◎ユーファンタジー
○ニシキエース
▲スマイルダンス
△カネサローズ
△キタノハヤカゼ
岩手の古馬戦線は、3歳ながら青藍賞を制したマヨノエンゼルがトップに立ったと見てよさそうだ。南部杯でも勝ち馬から大きく離されたとはいえ、地方最先着の6着。好走といえる結果ではないが、地方の他地区勢には先着を許さず、一応の面目は保った。今回、マヨノエンゼルにとっては未経験の2500メートルという長丁場で、距離適性の問題もあるが、とりあえずは南関東から遠征してきた2頭との比較ということになる。
船橋のリュウノキングダムは、水沢開催で行われたシアンモア記念を制し、みちのく大賞典でも2着と、すでに岩手で存在感を示している。みちのく大賞典で半馬身先着されたキングスゾーンは、すでに全盛時の力はないとはいえ、全国区の活躍馬。その馬と好勝負で、しかも地元岩手勢を問題にしていないとなれば、やはりこの馬が中心となるだろう。2500メートルは初めてだが、血統的にも距離延長は心配なさそう。
相手は当然のことながらマヨノエンゼル。南部杯で厳しいレースをしたあとで、その反動が心配にはなるが、ここは地元の意地を見せてほしいところ。
地元勢でまだ底が割れていないのが、中央準オープンから転入3戦目となるゴールドマイン。前走芝のOROカップは度外視。転入初戦のA一組を勝っているだけに、いきなりマヨノエンゼルに先着する場面もありそうだ。
中央から転入後2連勝のドリームスナイパーも気になるところ。ただ中央時は未勝利戦で2着が最高で、転入後に連勝したといっても岩手のB2クラス。いきなりこのメンバーに入ってとなると、勝ち負けまでは厳しそう。ただ中央では一貫して1800メートル以上を使われ、唯一の連対が2400メートル戦だったことから、距離適性の面では強調材料となる。
◎リュウノキングダム
○マヨノエンゼル
▲ゴールドマイン
△ドリームスナイパー
実績ナンバーワンはナムラベンケイだが、今年の勝ち星はA1特別での2勝のみで、重賞勝ちからはしばらく遠ざかっている。しかも他馬より3キロ以上重い斤量を背負うことから、今回は中心には推しにくい。
どの馬も一長一短というメンバーだが、今回はクラマテングを本命にする。昨年秋の鞆の浦賞、そして今春の福山桜花賞と、今回と同じ舞台の重賞を制している。前走はちょっと負け過ぎだったが、近走で惨敗だったのはほかに西日本グランプリのみ。常に上位を狙う力はある。
ゴールドイチモンジは、前走がA1特別での初勝利。A級の下のクラスでもなかなか勝ち切れないことが多いが、西日本グランプリでは地元最先着の4着という実績もある。ホッカイドウ競馬在籍時に、中央の芝2600メートルを経験(13着)しているものの、ダートで2000メートルを超える距離は西日本グランプリに続いて2度目。マイルより1800メートルのほうが成績もいいだけに、距離適性に期待してみる手はある。
ナムラベンケイは、58キロに加え、近走不振のため3番手評価とした。
福山桜花賞3着のトミノプラネットは、ここ7戦、A1~A2クラスでなかなか勝ち切れないものの、掲示板を外さない堅実な走り。
サンディナナは5戦連続連対中で、A1特別まで制して好調。ただ、古馬の牡馬との重賞となると、まだちょっと力不足のように思う。
◎クラマテング
○ゴールドイチモンジ
▲ナムラベンケイ
△トミノプラネット
△サンディナナ
グランシングの3冠なるかが最大の焦点だが、春と違って上がり馬あり、さらには今年から近畿・中国との交流になったことで他地区からの遠征ありで、そう簡単にはいきそうもない。
そこで中心はリワードブライトン。デビュー2戦目の高知優駿は5着だったが、その後古馬E級で2着のあと5連勝。九州3冠目にあたる佐賀のロータスクラウン賞に遠征し、勝ち馬からは離されたものの2着を確保した。前走10月9日のE4戦は、外枠から難なく先頭に立つと、直線でもほとんど持ったままで楽々と後続を突き放し、4馬身差の圧勝となった。3歳馬同士の争いとなるここで、春からの成長を示してくれるだろう。リワードブライトンは11月3日のJBCクラシックにも登録があり、22日の時点で補欠の9番目なので、さすがにそこから繰り上がるのは無理だろうが、雑賀正光調教師に聞いたところ、選ばれたら出る予定だったとのことで、そうした期待の大きさもうかがえる。
グランシングは、例年の高知の3歳馬と比較しても、かなり高いレベルにあるのは間違いない。8月の建依別賞では、勝ったスパイナルコードには4馬身離されたとはいえ2着を確保。3歳のこの時期に古馬重賞で互角の争いをしたことには驚いた。今回は、その建依別賞以来2カ月ぶりの実戦となるのがどうか。
地元高知勢にとって強敵となりそうなのが、兵庫から遠征のスーパーフライ。6月から8戦連続連対中。近2走は古馬B2、B1を連勝と成長著しく、ここもあっさりという場面があっても不思議はない。ただ中距離は3走前に1700メートル戦を一度経験したのみで、そこで2着に負けているだけに、1900メートルという距離に苦しむ可能性も考えられる。
春の2冠で2、7着だったガーランドも、7月以降は7戦連続連対と力をつけている。前走古馬B3でクビ差の2着と善戦しており、この馬も例年と比べて高いレベルにある。
高知優駿でグランシングに1馬身半まで迫る2着だったミルクケーキは、その後古馬C3で1勝。逆転までは厳しいだろうが、連下なら十分に可能性はある。
◎リワードブライトン
○グランシング
▲スーパーフライ
△ガーランド
△ミルクケーキ