ホッカイドウ競馬の古馬戦線というと、有力馬には中央からの転入馬など高齢の目立っていたが、今回の道営スプリントは若いメンバーが揃った。生え抜きの3歳馬が4頭もいるばかりでなく、最高齢が6歳。ホッカイドウに限らず、地方の古馬重賞ではめずらしいのではないだろうか。
そして中心は3歳馬。3歳1冠目の北斗盃を制したラブストレングスは、3冠戦線には向かわず古馬との短距離路線へと向かった。古馬との初対戦となったエトワール賞を好タイムで勝ち、前走のトライアルは昨年の道営スプリントの覇者セイウンドーバーを振り切って逃げ切り勝ち。今回はそのトライアルより2キロ増が課題となるが、53キロならスピードで押し切れるだろう。
対抗にも3歳馬バンブーエルトリ。北斗盃ではラブストレングスのクビ差2着で、今シーズンは地元に限れば4戦3勝、2着1回で、先着されているのはラブストレングスのみ。前走9月17日のA3特別では、今回と同じ55キロでセイウンドーバーに2馬身差をつけて勝っている。
セイウンドーバーは昨年のこのレース以来勝ち星がないが、中央の一線級相手の北海道スプリントカップJpnIIIを除けば2着4回、4着5着各1回と堅実に走っている。
一昨年の覇者で昨年2着のアドミラルサンダーは実績上位だが、北海道スプリントカップJpnIII以来の実戦に加え、今シーズンは3着が最高という成績だけに連下まで。
勝つのは上位3頭のどれかだと思う。
◎ラブストレングス
○バンブーエルトリ
▲セイウンドーバー
△アドミラルサンダー
ユキチャンが出られないのは返す返すも残念だった。ユキチャンが出ていたら、平日の金沢競馬場にどのくらいのお客さんが入っただろうか。
白山大賞典は、同時期の南部杯に一線級がまわることもあって、年によっては中央のメンバーが手薄になることもあり、ダートグレード1勝(関東オークス)の実績のみのユキチャンにとっては最適のレースと思ったのだが……。もしかして補欠になるかなということは考えていたのだが、まさか補欠5頭の中にも入れないとは驚いた。
というわけで出走したシリウスステークスGIIIは、3番手を追走しながら直線で馬群に沈み8着という結果。先行勢総崩れの展開はさすがに厳しかった。やはりゆったり流れる地方のダートグレードでこそという馬だろう。どこかできっかけをつかんで、地方のダートグレードでも除外されないようになれば、レマーズガールやグラッブユアハートのような活躍もできると思うのだが。
出ない馬の話が長くなってしまったが、ここは勢いのある3歳馬スマートファルコンから。皐月賞にも出走したが、ここまでダートでは5戦3勝、2着2回。ダイナミックグロウとのハナ争いがカギとなりそうだが、KBC杯では楽に突き放しているだけに、勝負付けはすんでいる。ただ今回は大外枠に入っただけに、ダイナミックグロウに先に行かれるかもしれないが、2〜3番手からでもゆったりした流れになれば問題はないだろう。
地方勢はマルヨフェニックスが中央勢を相手にどこまで食い込めるか。帝王賞JpnIでは勝ったフリオーソから0秒4差の4着だけに、このメンバーなら勝ち負けになってもまったく不思議はない。
実績ではサカラートが最上位だが、別定59キロはいかにもきびしい。好位から中団を追走して、どこまで差を詰められるか。
ダイナミックグロウは内枠から先行して粘ってどこまで。東海ステークスGIIはいかにもフロックっぽかったヤマトマリオンも連下なら。
トライアルのイヌワシ賞を勝った笠松のトミノダンディ、笠松に遠征してオータムカップを勝った地元金沢のマヤノオスカーらにも期待したいころだが、中央勢が相手では掲示板が精一杯で、馬券にからむまでは厳しいだろう。
◎スマートファルコン
○マルヨフェニックス
▲サカラート
△ダイナミックグロウ
△ヤマトマリオン
岩見沢記念というと、「そろそろ秋だなあ、高重量戦の季節だなあ」という感じがする。秋といっても、帯広競馬場ではすでにジェットヒーターがごうごうと音を立てて燃え盛っているらしいけど。
というわけで、岩見沢記念。
基礎重量840キロに、今シーズンの賞金120万円ごとに10キロ増という別定戦。ばんえい十勝オッズパーク杯を勝ったカネサブラック、ばんえいグランプリを制したニシキダイジン、旭川記念と北斗賞を制したナリタボブサップと、今シーズン重賞勝ちのある3頭がプラス10キロ。
このレース連覇のかかるトモエパワーが中心。今シーズンは、例によってここまで未勝利。「例によって」というのは、昨シーズンもこの岩見沢記念が初勝利だった。それどこか、勝ち星は岩見沢記念とばんえい記念のわずか2勝のみ。ばんえい記念3連覇を狙おうという現役チャンピオンホースが、500万とオープンの混合戦に出られたりするのがばんえい競馬のおもしろいところ。しかし、全馬が800キロ台というレースとなると、この馬の出番。今もっとも勢いのあるナリタボブサップ、カネサブラックの2頭が10キロ余計に負担しているだけに、ここはチャンス。狙っているレースは昨シーズンと同じ、ということかもしれない。
相手は迷うところだが、ナリタボブサップが筆頭。ばんえいグランプリはまさかの4着。ゴール前まで先頭を歩きながら、ゴールライン上で止まって後続に続々と交わされるという、らしくないレース。昨シーズンは、北見記念、帯広記念という、より負担重量の重いレースで台頭してきただけに、ここで巻き返したいところ。
この重量なら、スーパークリントンが穴馬としておもしろそう。
フクイズミは07年のチャンピオンカップを800キロで勝っているが、今シーズン大崩れはないというものの、もどかしいレースが続いている。820キロという重量でどうか。
カネサブラックは大事に使われながら、今シーズン連対を外したのが1度だけ。そのたった1度の旭川記念が、唯一10キロ増量されていただけに、今回もそれがネックになりそう。
◎トモエパワー
○ナリタボブサップ
▲スーパークリントン
△フクイズミ
△カネサブラック
JBC指定競走となっている姫山菊花賞だが、JBCでは地元園田勢として注目の存在となるチャンストウライ、アルドラゴン、ベストタイザン、いずれもが出走してこなかったのは残念。
ベストタイザンは短距離路線ゆえ当然ともいえるが、帝王賞JpnI6着以来休養しているチャンストウライはどうしたのだろう。アルドラゴンは10月7日の金沢・白山大賞典JpnIIIに登録があるが、前走9月18日1400メートルのS1特別で、ベストタイザンに7馬身差をつけたレースぶりから、JBCはどうやらクラシックではなくスプリントのほうに出走するのではないかという話も聞こえてきた。
さて、姫山菊花賞だが、同じ園田1700メートルで争われた摂津盃(8月14日)の1、2着、モエレトレジャーとアグネスミステリーの力が抜けている感じ。
その摂津盃は、勝ったモエレトレジャー57キロで、3馬身半差をつけられ2着のアグネスミステリーは56キロ。それが今回は同じ56キロになるのだから、普通に考えればモエレトレジャーが圧倒的に有利。
2頭の争いは間違いないが、今回はアグネスミステリーを中心にしてみたい。重賞にはこれまで8回出走して、2着3回、3着2回、4着3回と、勝ち切れないまでも安定した成績。地元で行われるJBCヘ向け、ここはぜひとも勝っておきたいはずで、その意気込みを買う。
一角崩しの可能性は、中央から転入後5戦3勝でS1特別まで勝っているゴールデンエビス、3走前の1700メートル戦でアグネスミステリーに先着の2着があるリワードパットン、マイペースで先行できたときのクィーンロマンス。
◎アグネスミステリー
○モエレトレジャー
▲ゴールデンエビス
△リワードパットン
△クィーンロマンス