デビューからわずか2年で平安賞(GIII)を優勝した北井佑季選手(神奈川119期)に喜びの声を伺いました。
大津尚之:平安賞優勝おめでとうございます。
北井佑季選手:ありがとうございます。
大津:お気持ちはいかがですか。
北井:今年中にGIIIを優勝したいという目標を立てていたので、それを達成出来て良かったなぁっていう気持ちです。
大津:8月の富山GIIIでは準優勝という好成績で北井選手の強さが際立っていたように思いました。
北井:自分の中で積極的な競走が出来たなって部分が多かったのと、富山は僕の戦法が活きるバンクだったので、それで結果も伴ってきたのかなって感じます。
大津:もうそろそろ優勝出来るという手応えもあったのではないですか。
北井:富山も優勝したいって気持ちでは臨みましたけど、優勝と2着の差っていうのはとんでもなく大きいなって思いました。
大津:そこからのオールスター競輪はいかがでしたか。
北井:GIIIとGIは全くの別物というのは始まる前から思っていましたし、富山で良い結果が残せても、そんな簡単ではないなって考えていて、ポイント制というのも難しくて勝ち上がれず、まだまだ足りない部分も多いなと痛感したシリーズでした。
大津:平安賞は追加参戦でしたが、連絡はいつ入ったのですか。
北井:オールスター競輪の最終日に追加の連絡はいただきました。
大津:調整などは問題なかったですか。
北井:僕は普段から競走に向けて特別に調整はしていないので、普通通りに練習して普通通りにレースに臨んだって感じです。
大津:シリーズ始まる前の状態面はいかがでしたか。
北井:状態は普段と変わらずだったんですが、富山を良い形で終えてオールスターでやっぱり力がないなって感じて、その後の向日町だったので富山や西武園よりも強い気持ちを持っていかないと優勝っていうのは出来ないだろうなって臨んだ大会でした。
大津:初日は特選からのスタートでした。
北井:初日特選っていうのは普段あまり出来ないレースを試す人もいますし、勝ち上がりのレースより展開が読みづらいので難しいレースになるなってのは感じてました。実際にレースではすんなり先行はさせてもらえませんでした。
大津:北井選手も特選競走では意識が変わりますか。
北井:僕自身は普段やってないことを試してみようとか、普段以上に思い切っていこうとか、良くも悪くもそういう気持ちはなくて、予選でも特選でも決勝でも自分のレースをして1着をとりたいなって思ってます。
大津:京都向日町競輪場は初めての参戦でしたが走ってみていかがでしたか。
北井:初日は僕も捲りになったのですが、捲りは届きにくいと感じたのと2日目は先行したんですが、逃げれば逃げ切りやすいなと感じましたね。
大津:そのお言葉通り準決勝戦も逃げて別ラインを完封しました。
北井:準決勝はどうしても皆勝ち上がりたいから普段より仕掛けが一つ遅くなったりする中で、思い切って行けたのが結果的に良い着に繋がりました。
大津:最後は微差で佐藤慎太郎選手(福島78期)に交わされたものの本当に力強いレースでしたね。
北井:状態は凄く良かったですし、2日目に逃げてみて走りやすいバンクだなって感じたので3日目は、より自信をもっていけたのが良かったです。終わった段階で慎太郎さんも「抜けるかどうか分からなかった」って言ってくださったので、しっかりゴールまで踏めてたのかなと思います。ラインで決められる走りというのに拘ってやっているので上位独占出来たのも良かったです。
大津:決勝戦の並びはすんなり決まったんですか。
北井:まず最初に慎太郎さんが僕の番手って言ってくださって、和田圭さん(和田圭選手・宮城92期)と尾形さん(尾形鉄馬選手・宮城107期)がどうするかってなりました。和田さんが慎太郎さんの後ろにいくなら尾形さんも4番手を固めるって言ってくださったんですが、ただ4番手の位置は優勝から遠くなってしまうので、それはちょっとってなりまして、空いている自力選手がいるのでそこにそれぞれが分かれて付けば全員にチャンスがあるんじゃないかって、あの並びになりました。
大津:決勝戦はどのようなことを意識して走ったんですか。
北井:まずは自分の持てる力を精一杯出し切って走るっていうことと、自力型が沢山いる中で慎太郎さんが僕の後ろを選んでくださったので「北井の後ろでよかったな。」って思ってもらえるような走りをしたいなって思っていました。
大津:スタートは前からではなく自重したように見えました。
北井:牽制が入ったら前を取るつもりでした。3分戦ですと一つ目のラインを突っ張れば、次のラインが来るかどうかなんですが、決勝戦は細切れ戦だったので前ではなく後ろからのほうがチャンスがあるのではないかと考え、スタートは取りにいきませんでした。
大津:ジャン前に叩く前に一度後ろを振り返りましたが、どういうことを確認されていたのでしょうか。
北井:僕が先行するだろうって他の選手は思っているので、僕が動いた時に後ろに付いてくるのか、それよりも先に切って僕を待とうとしているのかというのを確認していました。
大津:スパートした時には3番手以降が大きく車間が空きました。
北井:正直あそこまで離れているとは思っていなかったんですが、山田さん(山田久徳選手・京都93期)に出来るだけ脚を使わせるように前に出ていきました。ハイペースの中から僕もカマシたわけではなかったので、僕自身そこまで脚を使ってなかったのと、練習でもこのようなことは数多くやっていて、あそこからだったらこのペースで行けるってのは分かっているので思い切っていけました。
大津:最後は堂々と押し切りました。
北井:映像も観ましたが最後まで力強く踏めていた気がします。慎太郎さんからもレースが終わった後に「抜く気が失せるくらい北井の気持ちがこもった先行だったよ。」って言ってもらえました。
大津:これで年頭の目標が叶ったわけですが、実際に優勝した時はどのような思いが湧き上がってきたのでしょうか。
北井:一番最初に思ったのは僕の後ろを固めてくださった慎太郎さんへの感謝の気持ちでした。あとは先行選手としての走りが出来た中で獲れたというのが凄く嬉しかったです。
大津:周りの方の反響はいかがでしたか。
北井:師匠からは「おめでとう。ただ、まだGIIIひとつだから満足はしてないと思うから、また一緒に頑張っていこう。」という言葉をかけてくださいました。
大津:デビューして2年でのGIII優勝はどのように受け止めていらっしゃいますか。
北井:僕は特進した時も8連勝で失敗してというのも過去ありましたし、トントン拍子でここまで来たとは思ってないですが、正直自分の中ではGIIIはもっと早く獲れるとは思っていました。
大津:記念を獲ったことで、その後のレースに変化はありましたか。
北井:逃げ切りで優勝できた分、もっと大きいレースでもより積極的なレースをしていかないといけないという先行選手としての責任感が自分の中に生まれました。
大津:共同通信社杯(GII)の最終日には同期の犬伏選手(犬伏湧也選手・徳島119期)とプライドの激突がありましたね。
北井:あのレースは僕も犬伏も3着以内に入れていないので周りからすると賛否両論があるかもしれませんが、自分の走りをして1着を狙いに行った結果で僕自身も強い気持ちを持っていましたし、犬伏も僕が前にいる時点で構えるはずはないって思っていたので、お互い力勝負が出来て僕は嬉しかったです。僕は犬伏のことを認めていますし、犬伏も僕のことを認めてくれているからお互いがああいう走りになったのだと思います。
大津:オッズパークLIVEでも北井選手と犬伏選手の対決はレース前からファンの方も盛り上がっていましたし、レース後も「外れたけど良いものが見れた。」というコメントもありました。
北井:僕は9着だったので末着だった人間が「嬉しいです」って言ったらいけないんですが、それは公営競技を超えた何かがあったのかなって思えるので本当に嬉しいです。
大津:最後に今後に向けての意気込みを教えてください。
北井:今年は目標として掲げていたGIII優勝は達成することが出来ましたが、まだ特別競輪での決勝進出がないので、まずは一番近くの目標としては今年の内にGIで決勝に乗りたいです。あとは自分のレーススタイルを貫く中で車券に貢献したいという思いと、一人でも多くの方に実際に競輪場で「北井のレースを見たい」と思ってもらえる選手になりたいと思うので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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