デビューして5年。数々の思い出のあるバンクで記念初優勝を勝ち取った森田優弥選手(埼玉113期)にお話を伺いました。
大津尚之:立川記念(GIII)優勝おめでとうございます。
森田優弥選手:ありがとうございます。
大津:記念初優勝のお気持ちはいかがですか。
森田:記念を獲るのは一つの目標だったので、嬉しいです。そこに眞杉(眞杉匠選手・栃木113期)も居てってのが更に嬉しいです。
大津:眞杉選手との連携は常日頃から考えていたんですか。
森田:眞杉は同期で同級生で先にGIの決勝にも乗ってたりしてて。けっこう目標にしていた選手なんで、前後はどうあれ一回連携はしてみたいとは思ってました。
大津:同期の中でも特別な存在だったんですか。
森田:競輪学校時代(現 競輪選手養成所)はそこまで意識はしていなかったのですが、デビューして眞杉の成績が自分より上がってきて意識をするようになりましたね。
大津:どのような意識で立川記念(GIII)を迎えられたのでしょうか。
森田:立川は年末年始に連続で失格をしてしまったので、まさか呼んでもらえるとは思ってませんでした。それでも呼んでもらえたので、その分もしっかり走らなきゃいけないって思っていました。
大津:初日は武田選手(武田豊樹選手・茨城88期)とワンツースタートでした。
森田:武田さんも頼もしい方なので基本的には力勝負をしていこうと考えていました。シリーズの入りとしては良い入りが出来たのでホッとしました。
大津:一走してみていかがでしたか。
森田:特に感じるものはなかったです。いつも通りって感じでした。
大津:手応えを感じたってのは二走目、三走目ではありましたか。
森田:準決勝の時に展開の運もありましたけど、自分が10レースで2着で勝ち上がれて、その後に眞杉や平原さん(平原康多選手・埼玉87期)が走るかたちだったので、関東勢に良い流れを作ることが出来たのかなって思います。手応えを感じたかって言われれば、そんな手応えを感じたってことはなかったですが。
大津:非常に強い勝ち上がりに見えたのですが。
森田:そうですね、自分が一番チャレンジャーの立場だったので力勝負をして勝ち上がれたのは良かったです。
大津:近況の森田選手のレースを見ていると後手に回って不発というケースが無いように感じます。
森田:9車だと後手を踏むとヤバいので意識して前々に踏むようにしてるからですかね。ラインを信頼してるってのもあります。競輪はラインで戦える競技なので、そこの信頼性もありますし、レースが終わった時に後悔したくないので「ああしとけば良かった」とか思っても、そのレースはそのレースしかないので力を出し切ることは心掛けてます。
大津:レース自体も非常に見えている印象があります。
森田:周りの選手のレースも見ますし、各選手の特徴や戦法もなんとなく分かるので、作戦会議の段階できちんと作戦を立てて臨めているからだと思います。
大津:作戦は自分から立てるタイプですか。
森田:自分で立てるときもありますけど、あまり経験もないので先輩方に聞いて、そこからお互いに意見交換をしながら作戦を考えることが多いですね。
大津:森田さん自身の強みは、どこだとお考えでしょうか。
森田:えー、なんだろうなぁ。そんなん思ったこともないんですけど。負けることを考えないってことですかね。
大津:それはどういうことですか。
森田:自分がダメでもラインを組んだ人が一着だったり勝ち上がれたりすれば、自分自身も負けだとは思わないので、そういう風に考えられると気持ちも楽になるのでレースを走る時に良い方向に向いている気がします。
大津:お話を戻させてもらいますが、準決勝は先に10レースで勝ち上がりを決めて、その後の眞杉選手のレースはどのようなお気持ちで観てらっしゃったんでしょうか。
森田:同じ関東ですし全力で応援していました。準決勝で眞杉は突っ張ってラインで上位独占でしたし本当に尊敬します。
大津:決勝戦は関東勢が5人勝ち上がりましたが並びはすんなり決まったんですか。
森田:すんなりは決まらなかったですね。自分と平原さんと高橋築さん(高橋築選手・東京109期)は埼玉東京ラインというのもありましたし、築さんも地元なんで自分がラインの先頭で、眞杉と佐々木さん(佐々木悠葵選手・群馬115期)で別でやったほうが良いのかなって思って、それを眞杉と平原さんに伝えに行ったんですが眞杉が「今回は森田の準地元でもあるし、俺は関東5人でも並びたいって思ってる」って言ってくれて眞杉が先頭を買って出てくれました。2年前くらいのFIで自分と眞杉が決勝に乗って、その時は7車立てってこともあって別線勝負をやったんですが、その時に二人で先行争いをして別のラインに捲られてしまったっていうレースもあったので、今回は皆で力を合わせて誰かが優勝出来るように関東でまとまりました。
大津:遂に眞杉選手との連携が決まった瞬間のお気持ちはどうでしたか。
森田:責任のある位置ですし緊張はありましたが楽しみでした。
大津:いつものレースと同じように迎えられましたか。
森田:それは大丈夫でした。夜も普通に眠れましたし、そこまで自分は緊張するタイプでもないので全然普通でした。
大津:オッズは見ましたか。
森田:僕オッズは見ないようにしてるんです。自分が人気してないだろうなぁって時はオッズを見るんですが、人気になってるかもしれない時は見ないようにしてます。自分は人気じゃない時のほうが燃えるので立川記念(GIII)の決勝の時は見なかったですね。
大津:決勝はどのようなことに気をつけていましたか。
森田:眞杉に離れないことです。あとは出切った後のラスト一周がポイントかなって思ってました。
大津:5車の番手は場合によっては狙われることもある位置ですが、そこの意識はありましたか。
森田:レースによってはありますけど今回に限っていえば、みんな力勝負をしてくる人たちばっかりだったので分断っていうのはあまり考えてはなかったです。万が一来られたとしても対処は出来るように準備はしていました。
大津:レース中、眞杉選手の背中はどのように映ってましたか。
森田:めちゃめちゃ眞杉も気合い入ってました。頼もしかったです。
大津:勝負所を振り返ってはいかがですか。
森田:正直集中しすぎててレースの記憶がないんですよね。離れちゃいけない、とか、相手が今どこに居て、とか考えてたとは思うんですが、ほとんど覚えてないんです。あとでビデオを見返して、ああいう仕掛けだったんだと。
大津:最後もあまり記憶には残ってないですか。
森田:最後は覚えてます。「ゴール線長っ!」って思いました。普段よりめちゃくちゃ長く感じました。目の前に記念初優勝のチャンスがあって自分の力を全部出しきれればって思って踏みましたけど、ゴールが遠すぎてビックリしました。
大津:ゴールした瞬間はいかがでしたか。
森田:佐々木さんに差されちゃったって思ったんです、自分としては。ビジョンでスローリプレイを見た時に、ようやく自分が1着だと分かりました。ファンの方にも「森田おめでとう」って言ってもらったりして、そこで確信しましたね。
大津:表彰式でも森田さんへの声援が凄かったですもんね。
森田:表彰式に向かう前の敢闘門のところで、沢山の方が待ってくれている姿が目に入ったので、記念で優勝したってのはもちろん嬉しかったのですが、それ以上にこんなに大勢のファンの人が待っててくれたんだ、ってのが本当に嬉しかったです。
大津:表彰式に出てくるときの森田さんがとても良い表情をされていました。
森田:そうとう嬉しかったですね、ほんとに。
大津:最後は胴上げもされました。
森田:初めて胴上げしてもらったんですが怖かったです。人って本当に持ち上がるんだって、めっちゃ怖かったです。
大津:立川バンクでの記念初優勝というのはいかがですか。
森田:デビューをしたのも立川ですし、A級の初優勝も立川で、多分僕の中で一番走ってる競輪場が立川なんです。連続失格したのも初めてですし、初めて記念獲ったのもここですから良い思い出も悪い思い出も沢山ありますね。立川はグランプリも行われる競輪場ですし、グランプリを走れるのが一番いいですね。
大津:今後の目標をお聞かせください。
森田:僕、目標って立てないタイプなんです。インタビュー的にはこういう時に「GIを獲る」って言ったほうが良いんですよね(笑)すみません。目標というか先のことを考えすぎず一戦一戦自分らしいレースを出来るように心掛けたいです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願い致します。
森田:いつも応援ありがとうございます。これからも自分らしいレースを頑張るので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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