先日、豊橋記念(GIII)で見事逃げ切ってGIII2度目の優勝を決めた町田太我選手(広島117期)。今や先行選手として指折りの存在にまで成長した23歳の若武者が今の思いを訥々と飾らずに語ってくれた本音トークをお楽しみください。
橋本悠督:まずは豊橋記念(GIII)優勝おめでとうございます。ちょっと日が経ちましたけれども、今の率直な思いをまずは教えてください
町田太我選手:やっぱり嬉しいですね。
橋本:GIIIは2回目の優勝ですが協賛競輪と記念競輪では意味合いも違いましたか?
町田:そうですね。記念は初めてということなのでやっぱり、嬉しかったです。
橋本:周りからの声で何か印象的なものはありましたか?
町田:「逃げ切ったのは凄いな~」みたいな言葉は掛けてもらいました。
橋本:決勝戦も突っ張り先行で逃げ切り勝ちですから。
町田:でも、もう後ろの貴治さん(松本貴治選手・愛媛111期)のお陰でしかないです。
橋本:残念ながら、松本選手は失格になった訳なんですが。ところで、もうレース前からあの戦法(突っ張り先行)でいくっていうのは決めていたんですか?
町田:はい。前取って初手的に新山さん(新山響平選手・青森107期)が中団だったので川口さん(川口聖二選手・岐阜103期)を突っ張ってしまえば中団で川口さんと新山さんが並走してくれるだろうと。そう願いながら先行していました。
橋本:ということは、もう完全に思いどおりの展開には持ち込めたっていうことですよね?
町田:はい、そうですね。
橋本:元々「逃げさせたら手が付けられないぞ」っていう印象が、他の選手にもあった中で、更にそういうイメージが強くなったんじゃないかなと思うんですが、自分の先行を警戒されるということについてはどう考えていますか?
町田:いやぁ、そうですね...どうかなぁ。
橋本:他にまだまだ強い先行選手がいるぞっていう?
町田:はい、僕なんかよりもまだまだ強い選手はたくさんいると思うんで。
橋本:新山選手の勝ち上がりのレースなんかは見ていてどう感じましたか?
町田:逃げ切りが凄かったですね。
橋本:ということは、決勝戦で主導権を渡すわけにはいきませんね。
町田:そうですね。もう新山さんは日本一の先行だと思うので。
橋本:でも、その新山選手を相手に逃げ切って優勝ですから。これは、大きな自信になりませんか?
町田:いや、やっぱり貴治さんのお陰なので...最後、貴治さんが横ではなく縦に踏んでいたら貴治さんの優勝だった訳なので。
橋本:つまりは町田選手の中でラインの大切さっていうのを、より強く感じる大会になったということですか?
町田:はい、そうですね。ラインはとても大切だと思います。
橋本:これからもこのスタイル(先行)を変えずにやっていこうという思いですか?
町田:はい、スタイルは変えずに「逃げ一本」でやっていきたいと思います。
橋本:言い切りましたね~(笑)逃げ一本のスタイルは相手にも戦法が読まれるリスクもあると思いますし、普段逃げていればたまに打つ捲りが効果的だとも思うんですが。
町田:いや、もう捲りは出ないので、逃げるしかない、という感じです。
橋本:そ...それは脚質上ということなんですか?
町田:捲りの時はなんか道中余裕があるんですけど、なかなか車が進まないというか。
橋本:やっぱり横に牽制が入ったりとか、先手ラインの動きが気になると?
町田:ですね。難しいですね。
橋本:その辺りは例えば練習で松浦選手(松浦悠士選手・広島98期)からアドバイスをもらいながらみたいなことはないですか?
町田:アドバイスはもらうんですけど実戦になると練習と違って横の動きが多くなるんで。ビビっちゃうというか...。
橋本:特にやっぱりS級上位になるとすごいレースの中で波ができたりしますもんね。
町田:そうですね。はい、あれは怖いっすね(苦笑)
橋本:並走も苦手?
町田:はい、苦手ですね。
橋本:ということは、誰もいない中でタイムトライアルみたいなの方が、性には合ってるっていうことなんですかね?
町田:そうですね。でも、ゼロからのスタンディングが苦手で、1キロのタイムトライアルとかだとあまりタイムが出ないんです。でも誘導がいて、ある程度スピードに乗せてもらってからなら、得意かもしれないです。
橋本:なるほど、ということはスタートを取りにいくのは苦手だけど、ある程度スピードに乗っていく中で、そのトップスピードをキープする訳ですね。いや、それでふと思い出しましたが、豊橋記念(GIII)の初日ですよ。赤板ホームから。町田選手の得意な形ではあったと思うんですが、誘導早期追い抜きのギリギリのタイミングでしたね~。
町田:あれは正直やらかしてしまったと思いました(苦笑)
橋本:ほんとギリギリのタイミングでしたからね。
町田:もう、レースが終わった後、ランプが点灯しないか?審議じゃないだろうか?それだけが気になって仕方なかったですね。
橋本:でも、そこで命拾いしたのが優勝ですから。そういう運の巡り合わせみたいなのも面白いですね。そして、この優勝を機に更に上のステージでという意味では、新山選手のみならず北井選手(北井佑季選手・神奈川119期)のような存在も気になるとは思うのですが?
町田:いや、北井選手は横もできるので、全然僕よりは格上だと思います。
橋本:あんまり人前でこうやってインタビューを受けたりとか、もし仮にオッズパークライブに今後出演してください。みたいなのは苦手、だったりしますか?
町田:そういうのはあんまり得意な方ではないですね。人前に出て発言したりするのが苦手です。
橋本:例えばクラスで先生が問題を出します。「分かった人は手を挙げて答えてください」となりました。生徒の町田君は答えを分かっている。でも、手は挙げないってタイプですか?
町田:はい、挙げませんね。もう、当てられたら渋々立ち上がって「じゃあ答えを言います」って感じですね。
橋本:います、います!!司会者的にはめちゃめちゃ困るんですよ。今日お越しになったお客さんで大阪の方、手を挙げて!シーン。大阪より西にお住いの方!シーン。東の方!シーン。北の方!シーン。南!シーン。「おいおい君たち家ないんかいっ!どれも手を挙げないやないか」かいというね。
町田:僕も手を挙げないタイプですね。
橋本:何か、みんなでつるんで遊びに行こうみたいな友達とかいるんですか?
町田:あっ!!いますよ!遊びに行ったりする相手はいますいます。
橋本:ちなみに選手では?
町田:香川で同期の石原颯(香川117期)ですね。
橋本:気が合うんですね。でも同じ自力同士だ。これ一緒にレースになったりした時はどんな心境なんですか?中四国で別線もあると思うんですけど。
町田:基本は敵なので、こいつだけは絶対にやっつける。絶対に7着にしてやる!という思いが強いですね。
橋本:面白い(笑)仲はいいけどそこは別なんですね~。じゃあ、石原選手も同じような思いでいる可能性が高いですよね。
町田:そうですね。そうだと思います。
橋本:かなり意識し合う訳ですね。過去どうなんですか?一緒に戦った中で。
町田:そうですね~二回ぐらい戦った事あるような...松山の初日特選(2022年2月3日松山FⅠ初日特選12レース)だったと思うんですけど、赤板から先行争いをして、お互いが6着、7着でした(町田選手6着、石原選手7着)。
橋本:いやぁ、若々しくて実にいいですね(笑)何より本当にそういう相手がいるっていうのは素晴らしいと思います。
町田:まあ、こいつにだけはね。負けたくないんです。
橋本:なぜ石原選手にだけは負けたくないのか?仲がいいからだけではない他に特別な理由はあるんですか?
町田:負けたら、とにかく腹が立って仕方なくて。
橋本:そんなにですか!でもこいつにだけは、っていう気持ちはこれからどんどん練習しようというモチベーションにもなるだろうし。
町田:そうですね。
橋本:ということはですよ。直接対決じゃなくても、石原選手が他の競輪場で例えば優勝したりとか活躍すると腹が立つと。
町田:そうですね。腹が立って仕方ないです。
橋本:いやぁ、そうですか。でもいい関係ですね。お互いに思ったことを率直に言い合える関係性なんだろうなって。普通なら殴り合いの喧嘩になってもおかしくないですよ。
町田:一歩間違えればそんな感じですね(笑)
橋本:いやぁ、ということは今、豊橋記念(GIII)を町田選手が取って、石原選手がどう思っているか?が気になるところですね。
町田:多分、興奮しすぎて小田原記念(GIII)の2日目に落車してましたけどね(笑)
橋本:いやぁ、ケンカするほど仲が良いの典型的な形じゃないですか。ということは、今後タイトルを目指すと言うよりは、石原選手が強くなっていけば町田選手も負けじと頑張るし、町田選手がこうやってGⅢで勝つと石原選手も頑張るということにしておきましょう。ちなみに、石原選手の様な同型と対戦するのと、先行一車の構成と、どちらの方が好きですか?
町田:それは、もう、先行一車の方が嬉しいです(笑)
橋本:そうですか(笑)そりゃそうですね。ところで、寛仁親王牌(GI)がすぐ近くに迫っていますが、いいコンディションで臨めそうですか?
町田:それがちょっとですね...今(取材は10月14日)風邪をこじらせてしまっているので、ちょっとよく分からないところもあるのですが、体調をしっかり整えていけるところまでいきたいと思います。
橋本:ちなみに弥彦競輪場の印象はどうですか?
町田:弥彦は一回しか走った事がなくて、それも夏で。その時は軽くていいなぁとは思ったんですが、寒い時期は経験ないんで、ちょっと分からないですね。
橋本:分かりました。しっかりと親王牌(GI)での町田選手の走りをチェックさせて頂きます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
町田:いつも応援ありがとうございます。これからも先行一本で頑張りたいので応援よろしくお願いします。
橋本:ありがとうございました。
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※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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