ガールズケイリン史上初のGI『パールカップ』が6月岸和田競輪場での『高松宮記念杯競輪』で行われ、先日、出場選手が発表されました。出場が決まった吉川美穂選手(和歌山120期)にお話を伺いました。
山口:パールカップ出場について、決まった時はいかがでしたか?
吉川:今年はそこまで調子が良くなかったので、出場が決まって良かったです。
山口:初のGIで注目も集めると思いますが、ご自身ではどう感じますか?
吉川:注目されるのは私ではないと思うので、そこまで緊張などはないですが、できる限りのことはやりたいです。
山口:近畿での大会ですが、気合いなどはいかがですか?
吉川:どの地区で大きなレースがあるかなどはまだ把握してないんですが、近畿で大きいレースをするのは良いことですし、和歌山でもやってくれたら嬉しいですね。
山口:『高松宮記念杯競輪』と同様のガールズケイリンでも東西に分かれての勝ち上がりです。それについてはいかがでしょう?
吉川:西の選手たちとはよくレースでも一緒になります。そこまで思うところはなく「いつもより濃いメンバーだな」くらいです。東西に分かれていても、両方とも強い選手たちが揃っているので、どちらになっても厳しい戦いになりますね。
ガールズは男子とは違いラインがなくみんなが単騎です。人数が増えてきてはいますが一度は対戦しているので、そこまで普段との違いは感じないですね。
山口:ビッグレースへ向けての特別な調整は何かしますか?
吉川:いえ、特別なことはしないですね。しっかりと練習をしていきたいです。
山口:岸和田は今まで2回走っていますが、印象はいかがですか?
吉川:以前走った時は、とても風が強かったイメージです。でも風が強いのは地元の和歌山も同じ、いや和歌山の方が強いと思うので(笑)、それも気にならないです。
山口:前回『ガールズフレッシュクイーン』の前にお話しを伺った時は「ベースを強化したい」と仰っていましたがその辺りの手ごたえや、練習状況はいかがですか?
吉川:前回お話ししたベトナムのロードレースに参加したことも含めて、練習は充実してできているので、ベースは上がってきていると思います。街道練習自体は行く機会は少ないんですが、競輪場での練習でも持久系をメインにした練習を多くしています。
レースの周回中の感覚も、以前に比べて良くなってきているので、少しずつですが中距離のナショナルチームにいた時のように戻ってきていると思います。
山口:練習について、他の選手と情報交換などはされますか?
吉川:あまりしないです。競輪選手は基本的に短距離の練習がメインで、街道や中距離の練習をするとダッシュが落ちると考える方も多いです。私は以前も話しましたが、周回中に脚をためて、スピードが上がっても楽にいたいと考えているので中長距離の練習をしたい。考え方が違うので情報交換はしないですね。
あと、練習方法としては、男子選手の後ろに付かせてもらうことも多いです。追走しているだけで強度が高い練習になっています。和歌山の選手の皆さんは一緒に練習してくれているので助かっています。
山口:男子選手の追走だと、どんな練習の時がきついんですか?
吉川:ギアがかかっていてペースが速い時がきついですね。軽いギヤで男子のスピードに追走すると一瞬で離れてしまうんですが、ある程度のギヤをかけてギリギリついていけるところで踏んでもらうと、良い練習になります。
この間は、師匠(稲毛健太選手)に騙されたというか、私の聞き間違いだったんですが、、、男子のプロ選手の皆さんが重いギヤでしているところ、私だけ軽いギヤでの練習だと勘違いをしてしまい、練習についていけませんでした。
その時は「さすがS級選手!足も回っているし、私は一瞬でおいて行かれちゃうな」と思っていたんですが、後から聞いたらギヤ比が違っていました。その練習は地獄のようにきつかったです(笑)結果としては良い練習になったんですけどね。
山口:吉川選手はきつそうですが、良い雰囲気の練習状況なんだとわかります(笑)
吉川:はい。バンクにいらっしゃる方とは一緒にしています。
山口:一人で練習をすることもありますか?
吉川:たまにあるんですが、一人での練習はあまり得意ではないんです。追い込み切れなかったりするので、どなたかがいる時間に合わせて練習をしています。
ウェイトトレーニングもしたいんですが、気持ちがなかなかのらずに集中してはできないです。本当はした方が良いんでしょうけどね。
山口:今後は取り入れる可能性もありますか?
吉川:そうですね。ナショナルチームにいた時もウェイトトレーニングはしていたので、取り入れていきたいですね。自分が一番走れていた時期がナショナルチームの時期だと思うので、その練習に近づけていく、というのは理想ですね。
バランスよく、ウェイトトレーニング、中距離、短距離の練習をできるのが理想です。
山口:ベースは上がっているというお話がありました。レース中の感覚の違いは近況はありますか?
吉川:奈良、伊東温泉と33バンクでしたが、周回中の余裕はできたように感じます。奈良の決勝は先行したんですが、先行が慣れていないからかペース配分がわからず粘り切れなかったです。
山口:奈良の予選2の捲りを合わされてしまった、という修正が決勝の走りに繋がりましたか?
吉川:そうです。もし自分が動かなかった場合、2日目と全く同じ展開になりそうだと思ったので動きました。でも太田瑛美選手(三重120期)が真後ろにおりそれが気になったり、状況を色々見てマイナス思考になってしまい、思い切り仕掛けられず中途半端なカマシになったんです。自分のメンタルの弱さが出たなと思いました。
もし打鐘すぎに思い切り仕掛けていけたら、もっと後ろと距離を離せたり、結果はわからないにしろ、もう少し自分に有利な展開を作れたんじゃないかなと思うんです。
プラスの面は「先行をしよう」と思えたこと、そしてできたことですね。それは次に繋がると思います。
山口:着外ではなく3着に粘っていますもんね。
吉川:理想は逃げ切りですが、普段していないことはやっぱりできないんだなと思いました。これからも試していきたいですね。でもメンタルの弱さで思い切れないのもよくわかりました(苦笑)
山口:決勝で先行はなかなかできないと思うので良い経験になったのではないでしょうか。
吉川:そう思って頑張ります。
山口:私の勝手な印象なのですが、「中長距離出身の選手は長い距離を踏めるから、早めに前に出た方が良い」というイメージでした。それは違うんでしょうか?
吉川:私は中長距離の選手の中でも、持久力タイプよりも瞬発力タイプで、一瞬の爆発力でゴールを目指す感じでした。なので個人追い抜きなどの一定ペースで踏むのは得意なのですが、緩急がつくと苦手なのでこれからの課題です。
「前を抑えて先行し自分のペースで走っても、最後に差されるのではないか?」と思うとなかなか前に出られないんです。
山口:競輪は相手がありますもんね。
吉川:はい、その辺りを普段から先行して逃げ切れている選手のように、うまくペースをつかめると良いなと思います。
山口:フィジカルとメンタルと両方の強化なんですね。
吉川:はい、心が弱いので、頑張らないといけないです。
山口:そうは感じないです、意外でした!それはナショナルチームにいた時からですか?
吉川:そうですね。ナショナルチームの最後の方は、団体戦はいけても個人種目は「どうせ私なんか勝てないし・・・」と弱い部分がたくさんありました。
山口:そうでしたか。これからうまく折り合っていけるといいですね。
吉川:自信を持って走れるように頑張りたいです。
山口:今日も貴重なお話を伺いました。ありがとうございます。では最後に、オッズパーク会員の皆様へ、パールカップへの意気込みをお願いします。
吉川:今回はパールカップという初めてのGIに走ることができます。しっかり走って、まずは決勝に上がることを目標に精一杯頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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