昨年は怪我もあり苦しんだデビュー1年目でしたが、年明けから優勝を積み重ね現在、賞金ランキングは9位という位置につけている吉川美穂選手(和歌山120期)。
ご自身二度目のビッグレース、競輪祭での『ガールズグランプリトライアル2022』へ向けての意気込みや現在の調子を伺いました。
山口:直近の豊橋は完全優勝おめでとうございました。
吉川:ありがとうございました。
山口:近況、何度も優勝をされています。現在の調子はいかがですか?
吉川:調子は良くなってきていると思います。
山口:去年は怪我もあり苦しまれたと思いますが、今年はここまで振り返っていかがでしょう。
吉川:怪我から復帰して調子も戻ってきていると思います。今年の後半で何度か優勝もさせてもらっていますが、脚の感じが良いというよりは、レースに慣れてきたという感じですね。
山口:慣れてきたというのは、具体的にはどういうことですか?
吉川:実は去年は一度も優勝していないんです。(本格デビュー後の初優勝は今年最初の伊東温泉)最初の頃は他の選手がどういう動きをしてくるかわからずに戸惑いもありました。
でもレースを重ねるごとに、それを覚えてきて自分がどのように対処していって良いかがわかってきました。そこから少しずつ結果が出てきたのかなと思います。
山口:今年の7月からは新人選手も入ってきましたが、それはいかがですか?
吉川:新人選手が入ってきても今まで通り、自分の走りをするだけですね。
山口:他の選手がどう、などは気にしないですか?
吉川:上位の選手がたくさんいる開催などはどう走るかはたくさん考えなくてはいけないですが、基本的にはどのレースも自分の力を出すだけです。
山口:取材時は賞金ランキング9位です。この順位はどう受け止めていますか?
吉川:まさか自分が年末になってまでこの順位にいられるとは思っていなかったので、1、2か月前からはオッズパーク杯ガールズグランプリを意識し始めました。
「今年の最初から意識してたらもっと良かったのにな」と思ってしまいました(苦笑)
山口:2年目でのここまで躍進できるとは、ご自身では予想していなかったんですね。
吉川:そうですね。こんなに優勝できるとは思っていなかったです。
9位でグランプリトライアルを走るにあたり、佐藤水菜選手(神奈川114期)など賞金ランキングは下位のナショナルチームメンバーも優勝を狙ってくると思うので、私はちょっと厳しくなるのかなと正直思っています。
山口:ビッグレースは今年はガールズケイリンフェスティバルを経験され、その時は決勝に進みました。その経験は今回に繋がりますか?
吉川:ガールズケイリンフェスティバルとトライアルレースではメンバーも勝ち上がりも違うので、自分にとっては今回の方がやりにくいと思います。
雰囲気も違うと思いますし、レースを想定した時にフェスティバルよりも頑張らないといけないなと感じています。
山口:メンバーをご覧になっていかがでしょうか?
吉川:まだ詳しく全員を見ている訳ではないのですが、強い選手がそろっているのでまずは決勝にのれるように頑張ります。
山口:吉川選手の強みは何でしょうか?
吉川:比較的、自由自在に流れに乗れるところかなと思います。
山口:戦法については意識はどのようにしていますか?
吉川:自分のいけるところから仕掛けたいと思っています。展開によっては位置を取ったりもありますが、基本は仕掛けたいです。
山口:理想の展開はどのようなパターンですか?
吉川:ベストは一番脚のある選手の後ろにいられれば勝ちやすいかなと思うんですが、実際はそう上手くいくことは滅多にありません。その中で自分がどう動いて位置を取って戦っていくかを考えています。
山口:ビッグレースになると動くタイプの選手がたくさんいますが、走りにくさはありますか?
吉川:動くタイプがたくさんいるのは、私にとってはそこまでマイナスにはならないと考えています。逆に全く動きがないレースよりは走りやすいです。
山口:今回、小倉バンクは初めてですね。
吉川:そうなんです。でも前橋は走っていますし、ガールズケイリン選手になる前のナショナルチームの時には伊豆の250バンクも走っています。
ただ400バンクのドームは初めてなのでどんな感じなのかわかりませんが、ドームは苦手ではないので問題ないと思います。初めてのバンクでも「初めてだから嫌だな」というのはないので大丈夫です。
山口:吉川選手は自転車経験が長いですが、それが活かされていると感じる時はありますか?
吉川:経験だけで走っている感じです。競技は長くやっていたので、スキルや考え方などは活かされていると思います。
山口:グランプリトライアルの目標は?
吉川:まずは決勝に乗ることが一番の目標です。
山口:2年目でのグランプリトライアル出場ですが、目標にしていたんでしょうか?
吉川:7月のガールズケイリンフェスティバルも今回のトライアルも「出られたら良いな」とは思っていましたが、具体的に狙っていた訳ではないです。日々のレースを積み重ねて、後半は何度も優勝させてもらっていたので、トライアルは出られるかなと思っていました。
山口:出場が決まった時はいかがでしたか?
吉川:出られて良かったなと思いました。
山口:他の選手のレースは見ますか?
吉川:じっくりとチェックするまではいきませんが、その日にあるレースは全部見ています。
山口:レースでは捲りを差しての1着も多々ありますが、前々にいるよりもそちらの方が得意パターンですか?
吉川:いや、基本的には前々を意識しています。後ろに取り残されたら勝負にならないことが多いですから。でも「この人ならいけるかな」という時は決め打ちでマークしたりしますが、それ以外で後方になった時は、位置を求めて動こうという意識があります。
山口:直近、豊橋の2走目は内側に包まれてピンチのように見えましたが、どうでしたか?
吉川:一旦引こうと思ったんですが、後ろに選手が続いていたので躊躇してしまいました。結局は引いた方が楽だったのかなと思います。
山口:前にいた中野咲選手(愛知110期)の捲りに続いての追い込みでしたね。
吉川:あのまま内に包まれて終わるということもあり得たので、危なかったなと思います。
山口:トライアルレースの前にそういうピンチをしのげたのは経験になりますか?
吉川:トライアルで私のことをわざわざ内に閉じ込めようという選手はいないと思うんですが、でも今後あのような形になった時には落ち着いて対処できるようにしていきたいです。
山口:では最後にグランプリトライアルへ向けての意気込みを、オッズパーク会員の皆様へお願いします。
吉川:トライアルレースは私にとって二度目のビッグレースです。しっかり決勝を目指して頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA