11月になり男子も女子も賞金争いが激しくなってきました。11月22日からは小倉競輪場で『ガールズグランプリトライアル2022』が行われます。
10月末の富山で完全優勝をした久米詩選手(静岡116期)もグループBで出場します。近況の振り返りとトライアルレースへの意気込みを伺いました。
山口:10月末の富山、完全優勝おめでとうございました。
久米:ありがとうございました。
山口:完全優勝は久しぶりだったんですね。
久米:はい、1年以上していなかったので、久しぶりにできて良かったです。
山口:9月の四日市での優勝もありました。こちらも1月以来の優勝と意外でした。
久米:はい、久しぶりに優勝できて少しずつ復調してきているのかなと思います。
山口:ここまでは何か変化はあったんですか?
久米:優勝のない期間に特に変えようと思っていたことはないです。ずっと同じことを続けていたのですが、結果が出るのが少し遅かったですね。いろんなものが良い方へ繋がってきての優勝だと思います。
山口:SNSでウェイトトレーニングの写真を拝見したんですが、重点的に取り組んでいるんですか?
久米:はい、デビュー直後からウェイトトレーニングはこまめに練習メニューに加えるようにしています。
山口:肉体改造も取り組んでいるというお話も聞きましたが、それはいつくらいからですか?
久米:去年の11月、ガールズグランプリトライアルが終わった頃です。
山口:言える範囲で構いません。どのあたりを強化していたんですか?
久米:体格に恵まれている方ではないので、それを筋力でカバーしたいなと思っていました。世界のトップ選手は体格が良い選手が多いので、まずは底上げという意味で筋力の増量を重点的にしていました。
山口:現在も続けているんでしょうか?
久米:そうですね。引き続き取り組んでいます。
山口:いろんな部分が繋がっての優勝というお話でしたが、10月から完全にスポーク車輪に変わりました。久米選手はそれについてはどう感じていますか?
久米:特には変化はないかなと思います。元々スポーク車輪の方が得意でしたし。ただ以前よりスピードは出にくくなるので、力勝負はしやすくなるのかなと感じています。
山口:ウェイトトレーニングなどで筋力アップすると、力勝負もしやすいんでしょうか?
久米:そう思います。
山口:では、完全優勝の富山のレースを振り返らせてください。33バンクというのは意識されましたか?
久米:はい、33バンクなので立ち遅れないように注意していました。前の選手の様子を見つつ、前が仕掛けがないなら自分で仕掛けていこうと準備はしていたの、タイミングよく仕掛けられたと思います。
山口:初日は残り1周からのカマシ先行で、増田夕華選手(岐阜118期)と踏み合いになる形でした。先行も考えていたんですか?
久米:はい。ただ前にいた増田選手はダッシュ力があるので、前で合わされてしまうと嫌だなと思っていました。流れで出てしまう形になり中途半端な仕掛けになってしまいました。
山口:その後、増田選手の後ろにはまった後の判断はいかがでしたか?
久米:私の後ろが車間が少し空いていたので、展開に恵まれてはまったという感じでした。
山口:決勝は近況対戦のあった坂口楓華選手(京都112期)が初手、久米選手の後ろの位置でした。それは意識されましたか?
久米:初手の並びで後ろにいるのは確認していました。後は後ろの選手の仕掛けを気にしつつのレースでした。
山口:前もどんどん仕掛けていっていましたが、差したタイミングも良かったんですか?
久米:そうですね。よかったと思います。
山口:完全優勝での手応えはいかがですか?
久米:連勝で決勝に上がるというのも久しぶりだったので、この完全優勝で良い流れを掴むきっかけになったかなと思います。
山口:9月の四日市、10月の富山と2回の優勝がありますが、ご自身の思いに違いはありますか?
久米:四日市は久しぶりの優勝だったので「優勝できてほっとした」という気持ちでした。富山はそれよりは余裕があって喜びの方が大きかったです。
山口:優勝していない期間は焦りなどもありましたか?
久米:かなりありました。
山口:どんな気持ちで過ごされていたんですか?
久米:結果が出ない以上はやるしかないなと思っていました。「前回の優勝(2022年1月)からもうすぐ1年経つな」と思いつつも耐えていました。
山口:賞金争いも終盤、勝負の時期だと思いますが、ここで結果が出たのは良い流れではないですか?
久米:はい、競輪祭のグランプリトライアルに向けてなんとか間に合わせるように、少しずつできているのかなと思います。
山口:直近のビッグレースのお話も聞かせてください。今年は初めてのガールズドリームレースを走りましたが、いかがでしたか?
久米:繰り上がりで走らせてもらったんですが、「ファンの皆様のおかげで走らせてもらえる」という気持ちが大きかったので、来年も出られるように頑張りたいなと思いました。
山口:アルテミス賞レースは昨年走っていますが、違いはありましたか?
久米:いえ、どちらもファンの皆様のおかげで出られるレースなので、自分の中で差はないです。でも昨年より順位を上げられたというのは、それだけファンの方からの評価をいただけているのかなと感じました。
山口:ナショナルチームの選手もいたレースでしたが、走り終えていかがでしたか?
久米:完全に良いコンディションではなかったというのと、自分のやりたいレースが思うようにできなかったので、自分が思っている以上にトップの選手との差を見せつけられました。
ただそれをモチベーションにして「また頑張ろう」と思える、きっかけのレースになりました。
山口:言える範囲で、具体的な収穫は何かありましたか?
久米:全体的に脚力の差がかなりあるので、技術や展開の作り方などに底上げが必要だなと感じました。
山口:ありがとうございます。では競輪祭でのグランプリトライアルについてですが、グループBですがメンバーを見て印象はいかがでしょうか?
久米:どちらに入っても強い選手ばかりなので、自分のやりたいレースをできれば良いかなと思います。
山口:久米選手は参加選手のレースをVTRなどで見て対策は立てるタイプですか?
久米:対策は、競輪場に入ってメンバーを見てからですね。相手が誰でも、まずは自分のやりたいレースをしたいと思っています。
山口:オッズパーク杯ガールズグランプリへ向けての思いはいかがですか?
久米:優勝もあり、少しずつ調子も上がってきているので、トライアルレースはグランプリへのラストチャンスだと思ってしっかり仕上げて行けたら良いなと思います。
山口:2020年のトライアルレースでは決勝進出もありましたね。
久米:その年は初めて走ったので、みんなから警戒されていなくて比較的走りやすかったんですが、次の年は警戒されていた分、力を出しにくかったです。
どちらのパターンも経験しているのでその中で自分の力を出し切れたら良いなと思います。
山口:直近の3日制のビッグレースだと、7月ガールズケイリンフェスティバル(玉野)と、6月のガールズ10周年記念レース(平塚)も強い選手が揃っていたと思いますが、そこでの経験値は生かされそうですか?
久米:ビッグレースだけではなく、全てのレースで力を出し切ることを前提でやっているので、相手がどうだからというのは関係ないです。
山口:組み立ても走っていて瞬時に考えるんですか?
久米:そうですね。流れを見ながら組み立てています。
山口:直近のレースで「これはうまくいったな」というレースがあれば教えてください。
久米:富山の開催の2日目と決勝は、立ち遅れもせず、仕掛けてくる選手に反応できていたと思います。ビッグレース・通常開催関係なく、同じような動きができたら自分にチャンスが回ってくる可能性が高くなるので、そういうレースをしたいです。
山口:静岡の決勝では石井寛子選手(東京104期)と位置取り争いで並走もありました。その形の場合はどうでしょうか?
久米:あのレースの場合だと技術が必要になってくるので、技術でカバーしないといけないですね。それは課題でもあります。
山口:では現在の調子はいかがでしょうか?
久米:コンディションは上がってきているので、まだ少し時間はあるのでリカバリーをしながら引き続き調子を上げていきたいです。
山口:開催が詰まっていますが、それは問題ないですか?
久米:日程が詰まっていることで、得意不得意はないです。斡旋が出た段階でスケジュールを立てています。
山口:グランプリトライアルへ向けて強化していきたいポイントは何ですか?
久米:短期間で強化することは難しいので、状態を良くすることだけを考えています。
山口:「ファンの皆様のおかげ」という話が何度も出ていましたが、SNSでグッズプレゼントの企画をされていました。お客様から直接メッセージを受け取っていかがでしたか?
久米:ハガキで応募していただく形にしたので、直筆でメッセージをいただくのはSNSとは違った嬉しさがあり新鮮でした。応援を力に変えて頑張りたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方に、グランプリトライアルへの意気込みをお願いします。
久米:グランプリに繋がるラストチャンスなので、年末に良い走りができるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA