11月に行われた競輪祭で悲願の GIタイトルを獲得した郡司浩平選手(神奈川99期)。2017年に平塚競輪場で行われた競輪界の頂上決戦KEIRINグランプリでは惜しくもベスト9に届かず 次点に泣き、辛い思いもしたといいます。そこから3年、今年のGPも舞台は同じ平塚競輪場。3年前に叶わなかった地元のグランプリ、今年はタイトルを獲って自分の力で出場を決めました。狙うは優勝のみ。その郡司選手に競輪祭を含め今年の振り返り、そしてGPへの意気込みも伺いました。
星野:競輪祭 優勝おめでとうございます。
郡司:ありがとうございます。
星野:タイトルホルダーになって、今どんな気持ちですか?
郡司:直後はふわふわした感じだったんですが、やっと気持ちも落ち着いてきて、今はグランプリに向けて、体調面など管理しながらゆっくり仕上げているところです。
星野:師匠でもあるお父様(郡司盛夫選手・50期 引退)も喜んでいらっしゃったんじゃないですか?
郡司:そうですね。一番喜んでくれていました。いつもバイク誘導をしてくれたり、練習も付き合ってくれていたので、いつかレースの成績として返していければと思っていたんですが、GIの優勝という最高の結果で返せた事は、僕自身とても嬉しかったですね。
星野:優勝したら、ゆっくりお酒を飲みたいと話されていましたが、実現しましたか?
郡司:先日、練習仲間と一緒にキャンプに行ってきたんです。ロケーションも天気も良くて、癒されましたし、色んな話をしながらゆっくりお酒も飲むことが出来ました。ここでリフレッシュ出来たことが、今のGPに向けての調整にはプラスになっています。
星野:一年通して、オフもないですし、そんな時間は大切ですね。さて、競輪祭のレースの事も伺いたいのですが、グランプリ出場に向けては準決勝戦がポイントだったかなと思うのですが、いかがですか?
郡司:そうですね。選手になったからにはGIで優勝したいと思ってたので、まずは決勝戦に進まないと権利もありませんから、気持ちも入りましたね。準決勝は、僕が先頭で後ろに和田さん(和田健太郎選手・千葉87期)の並びで、和田さんからは、いつも通りに走ってくれればいい、とだけ言われていました。
星野:お互いGPに向けての大切な一戦だったと思うのですが、そんな話はされなかったんですか?
郡司:お互いに心の中では思っていたと思いますが、いつも連携しているし信頼関係も出来ているので、特に言葉にはしませんでした。でも、気持ちは伝わってきていました。なので、絶対にワンツー決めたいと思っていたんです。それが、叶って、いつも以上に嬉しくて、レース後に「やったよー!!」って気持ちでお互いの肩を叩き合いましたね。
星野:すごく印象的なシーンでした。プレッシャー面もかなりあったかと思いますが。
郡司:いつも以上に気合いも入っていましたが、そこで空回りして失敗した経験もあるので、今は気合いの分、レースに集中して走るようにしています。デビューしてから10年、何百回も走っているので、その辺のコントロールは上手く出来ていたと思います。
星野:そして、決勝戦には南関東勢が3人乗ってきましたね。
郡司:決勝戦は僕が2番手で前に松井(松井宏佑選手・神奈川113期)後ろに和田さんの並びでした。普段、松井は飄々とした感じで面白い人なんですが、やはりプレッシャーを感じてくれていたのか、すごい気迫を感じました。レースも先頭に出きってから、松井のペースで踏んでくれたので安心して付いていました。後は別線の仕掛けに、どう対処するか迷いはあったんですが、動きを見てから落ち着いて仕掛けることができました。その分、ゴール前では粘れたかなという感じです。ダイヤモンドレース(4日目の優秀競走も決勝戦と同じ並び)も、そうだったんですが、目一杯行ってくれた気持ちが嬉しかったですね。
星野:それも、郡司選手の姿をずっと見てきたからじゃないですか?
郡司:それを感じ取ってくれていたら嬉しいですね。
星野:聞いた話ですが、レース後に松井選手が号泣されてたんですよね?
郡司:そうなんです(笑)ゴール後に嬉しさとホッとした気持ちで敢闘門に帰って来て、周りからの祝福で喜びを噛み締めて泣いてしまいそうになったときに、松井が号泣して敢闘門に引き上げてきたので、我にかえって、泣けなくなってしまいました(笑)ホントに熱いヤツですよね。そんな後輩も育ってきて、南関東地区ももっと盛り上がってくると思うので、自分も若くないし、これからは松井もGIで活躍していって欲しいですね。そして、僕も熱い彼を見て しっかりサポートしていきたい気持ちが強くなりました。
星野:私たちが見られないところでもドラマがあったんですね。さて、これで、松井選手はヤンググランプリに出場が決まっていますし、郡司選手と和田選手はグランプリへ出場することになりましたね。
郡司:昨年のグランプリは賞金争いで、最後まで結果を待つ立場だったんですけど、今年は堂々とグランプリへ行くことができます。しかも、2017年に賞金ランキング10位とベスト9に入れず、次点(補欠)で悔しい思いをした、 同じ平塚競輪場でのグランプリ。3年間、自分も成長出来たと思うし、その時の悔しさもまだ覚えています。平塚でグランプリが開催されると決まったときに、チャンスがやってきたと思っていたので、出場できる事が、チャンスを自分の力で得たことが嬉しいので、和田さんもいますし、昨年とは走り方も違って来ると思います。
星野:欲しくて欲しくてとおっしゃっていたGIのタイトルを手にして、次の目標はやはりグランプリでの優勝ですか?
郡司:目先の目標としてはグランプリでの優勝ですが、来年2月にホームバンクの川崎競輪場でGI全日本選抜競輪が開催されるんです。これが決まったときに、自分の中ではオリンピック位の気持ちで1年、2年かけてやってきました。なので、今の目標はここで優勝する事ですね。競輪祭も優勝出来たので、勢いそのままに2月まで駆け抜けたいと思っています。やっぱり、地元のファンの前で良いところ見せたいですからね!
星野:ファンの皆さんも待っていらっしゃると思います。さて、今年も後少しありますが、初めてのS級S班として走った2020年、ここまで振り返ってはいかがですか?
郡司:そうですね。今年は一発目の開催から落車して迷惑をかけましたし、こんな事で一年間やっていけるのかと、初めは迷いと葛藤がありました。でも、S級S班にふさわしい選手になるために、一生懸命 練習を重ねて、なんとか2年連続のS級S班にもなれました。高い位置をキープしていくことの難しさを実感する1年でしたね。
星野:本当にキープしていくことは難しいと思います。では、その1年の集大成ともなるグランプリへの意気込み含め、オッズパークの会員の皆様に最後にメッセージをお願いします。
郡司:3年前に悔しい思いをした、地元の平塚グランプリに走れるチャンスをもらえたので、最高のパフォーマンスを出来るようにしっかり準備をしていきます。これからも応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社