奈良競輪開設69周年記念春日賞争覇戦(以下、春日賞)を優勝した松谷秀幸選手(神奈川96期)。
2017年4月西武園記念競輪を制してから約3年振りの記念制覇となりました。松谷選手に春日賞の振り返りや2020年の意気込みなどを伺いました。
大津:春日賞優勝おめでとうございます。
松谷:ありがとうございます。
大津:周りの反響はいかがでしたか。
松谷:久しぶりの記念優勝だったので師匠の佐々木龍也さん(神奈川57期元選手)は凄く喜んでくれました。
春日賞に行く前にも師匠にバイク誘導などをしてもらっていたので、結果を出して恩返しをすることが出来て良かったです。
大津:長期欠場明け2戦目で結果が出たというのも大きいのではないですか。
松谷:まさかいきなり優勝出来るとは思わなかったのですが、今開催は全て流れが良かったように感じます。
大津:今大会にはどのような思いでのぞみましたか。
松谷:奈良は特殊なバンクなので後手を踏まないように意識して走りました。
あと僕は奈良が得意というか相性が良いんです。なので良いイメージを持ってのぞめました。
大津:松谷さんは大阪出身ですし、その辺りも関係あるのでしょうか。
松谷:そうですね、実家から一番近い競輪場なので。
小さい頃はよく生駒遊園地に連れて行ってもらったりしてましたし、そういうのもあるかもしれないです。
大津:奈良もそうですが、短走路の相性は特に良いように思います。
松谷:333の成績は良いですね。
日頃も街道練習ばかりでバンクには入らないですし、バンクに入ったとしても400バンクなので自分でも何故333の相性が良いかはわからないんですが、気づけば短走路では結果が出ていますね。
大津:では、「333の松谷秀幸」はお客さんからしたら、「買い」ということですね。
松谷:そうですね、狙ってもらいたいです。
大津:冒頭のお話の中で春日賞は流れが良かったと仰っていましたが、まず初日特選が2着と好スタートを切りました。
松谷:自分で後ろから動いて一度仕掛けたことが大きかったです。
平原康多選手(埼玉87期)が強すぎて、その上を行かれてしまったんですが、自分が仕掛けたからこそ、そのあとに平原選手を追いかけられたのだと思います。
大津:ジャンでは平原選手を捌く動きがありました。松谷選手の持ち味が活きたようにも感じました。
松谷:奈良で後方になったら勝負圏がなくなってしまいますからね。強い気持ちで攻めました。
大津:ご自身の中で手応えもあったのではないですか。
松谷:自分自身そこまで調子は良くない感じだったんですが、レース終わった後に
同県の和田真久留選手(神奈川99期)たちから「松谷さん調子いいですね。」「仕上がってますね。」など言われて、そこで気持ちが乗せられた気はします。
大津:今シリーズは残念ながら無観客でのレースとなりましたが、一走してみて普段の競走と違いなどはありましたか。
松谷:無観客と聞かされた時は、どういう感じになるんだろうと思っていましたが、いざレースになると集中しているので全く普段のレースと変わりはなかったですね。ただ、顔見せの時に声援などなかったので、そこが寂しかったです。
他の選手とも話したのですが、無観客だからいつもと違うという人はあまりいませんでした。
大津:二日目の二次予選競走Aが今開催のポイントにもなったレースに思えます(結果6着で勝ち上がり *6着は一名しか準決勝に進めない)
松谷:6着と7着では大きく異なりますからね。
昨年の防府記念では初日特選で1着を取ったんですが、二次予選競走で7着に敗れてしまいまして、そういうのもあって最後はシビアに早めに踏ませてもらいました。
大津:前年の春日賞も村上博幸選手(京都86期)が二次予選競走を6着で勝ち上がり優勝していました。
松谷:そういう巡り合わせがあるのかもしれませんね。
レース後に記者さんからも「6着で勝ち上がれたんだから運があるんじゃない。」って言ってもらえたんですが、やはり流れが良かったのかもしれません。
大津:そして準決勝は後方から捲って2着で決勝進出を決めました。
松谷:あのレースは組み立てに失敗したんですが、その中で平原選手の動きだけ集中して見ていました。
大津:決勝戦は南関東勢が平原選手に付ける連係になりましたが、並びはすんなり決まったのでしょうか。
松谷:南関東勢が3人いたので自分が前で戦おうかとも思ったのですが、(決勝で後ろを固めてくれる)伊勢崎さん(千葉81期・伊勢崎彰大選手)や萩原さん(静岡80期・萩原孝之選手)が「平原さんに付けれるなら付いたほうが良いだろう。」と言ってくれて平原選手と連係することになりました。
大津:平原選手の反応はいかがでしたか。
松谷:単騎で気楽に走ろうと思っていたのにって言われました(笑)
大津:その決勝戦を振り返っていただけますか。
松谷:まずは平原選手の判断力ですよね。
先行はないだろうなぁって思ってたんです。位置を取って捲る平原選手の得意パターンで勝負するんだろうなと考えていました。
それがジャン前から仕掛けていったので「えー、これ行っちゃうの。」ってビックリしました。
大津:それも外からではなく内からの先行でした。
松谷:外に行けないと思ったら、すぐに頭を切り替えて内から行きましたから、咄嗟の反応は、さすがだなと勉強になりました。
大津:最終バックでは松谷選手も後ろを振り返るような動きがありましたね。
松谷:先行してくれるとは思ってもいなかったので、その走りに答えるためにも誰か捲ってくる選手がいれば絶対に止めなければいけないと何度も後ろを確認していました。
大津:最後の直線では優勝の確信はありましたか。
松谷:平原選手も余裕あって踏み返されたんで、抜けるか抜けないかという感じでしたね。
あまりに奈良の直線が短かったので抜けるっていう確信はなかったです。
大津:これで平原さんと連係して2戦2勝ですね。
松谷:200勝を達成したのも平原選手の番手なんです。それが昨年の競輪祭だったんですけど、その時も先行してくれて感謝しかないです。なので今回も獲ったというより、獲らせてもらったって気持ちです。だって初日は平原選手と別線で、その平原選手を僕が捌いてっていう競走があったのに決勝戦は番手に付かせてくれて、しかも先行までしてくれたんですから。
器の大きさが違いますよね。
大津:今年はダービーが静岡、GPが平塚、来年の2月にはホームバンクの川崎で全日本選抜競輪が行われます。
松谷:南関東勢にとっては負けられない1年ですよね。
今年は郡司(神奈川99期・郡司浩平選手)がSSになって、良い流れを作ってくれているので、自分としても流れに乗っていきたいです。
大津:具体的な目標はありますか。
松谷:まずはGIの決勝に乗ることです。決勝に乗って、その雰囲気を味わいたいです。
大津:昨年の競輪祭では惜しくも準決勝戦4着でした。
松谷:最後にコースを空けてしまい、自分の甘さが出たように感じます。一つの判断のミスがビッグレースでは大きく響いてしまうと実感しました。
大津:決勝戦に乗るために今、ご自身の中で意識されていることはありますか。
松谷:レースや練習を大切にするというのはもちろんのことなのですが、私生活も見直していかなければと思っています。
大津:といいますのは、どのようなことでしょう。
松谷:脇本くん(福井94期・脇本雄太選手)や平原さんみたいな脚があれば違うんでしょうが、自分みたいな選手は脚だけでなく、運だとか全ての要素が噛み合わないと決勝戦には乗れないと感じているので、競輪以外の部分でも「神様は見ている。」と思い、普段の生活の時も意識して過ごしています。
大津:決勝戦で走る松谷選手の姿を楽しみにしております。それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願い致します。
松谷:今年一年一戦一戦集中して車券に貢献出来るよう頑張りますので、今後とも応援の程宜しくお願い致します。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
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