競輪の頂上決戦は一発勝負。ライン戦が有利とされる中、単騎で闘いに挑むのは、南関東から唯一人出場を決めた郡司浩平選手(神奈川99期)。一年間、一緒に戦って来た仲間への感謝の気持ちを胸に、南関東の代表として闘うグランプリ。そこに向けての今の心境を伺いました。
星野:グランプリ出場おめでとうございます。
郡司:ありがとうございます。
星野:今年のグランプリ戦線は改めていかがでしたか?
郡司:2年前の賞金争いは、あと少しの所で気負ってしまって、僅差でグランプリに出場できず、本当に悔しい思いをしました。今年は、自分の望む形ではなかったですが、嬉しいですね。せっかくこうやって出場できるチャンスが巡ってきたので、今はおもいっきり走りたいと思っています。
星野:競輪祭ではアクシデントもありました。その辺りはいかがですか?
郡司:11月は体のケアの為に休んだんですが、12月に入ってからいつも通り練習も出来ているので大丈夫です。それに、競輪にはオフがないので、競輪祭から1ヶ月も空いたと前向きに考えています。なかなかそんなにじっくりと練習できませんから。しっかりとした目標もあるのでモチベーションも維持できています。
星野:今年は6月に行われた高松宮記念杯競輪(GI)でもアクシデントがあって、2ヶ月ほど欠場されていましたが、その後の復帰戦、オールスター競輪(GI)で決勝進出されましたね。強さを感じました。
郡司:あの時は、もう少し早めに復帰しても良かったんでしょうけど、100%の力を出せるか、というと不安もあったので、時間をかけての復帰だったんです。ケガは付き物ですし、それを引きずっていても仕方ないので治すことに専念して取り組んだ結果でした。それはGIの決勝に乗れただけでなく、そのあとの小田原記念の優勝にも繋がったと思います。
星野:伺っていると、メンタル面も強いのかなと思うのですがいかがですか?
郡司:どうですかね。緊張とかはしますが、平常心でいることが大切だと思っているので、今は緊張し過ぎて何も出来ないって事はないですね。グランプリにしてもタイトルを獲っての出場でもないですし、最後の最後までどうなるのか分からなかったですし、気持ち的には乗れてラッキーなんですよ。だから、失うものなどないですし、雰囲気を楽しめれば、普段通りに戦えるのではと思っています。
星野:出場が決まって、お父様(郡司盛夫元選手・神奈川50期 2018引退)も喜ばれていたんじゃないですか?
郡司:競輪祭の時は父の方がヒヤヒヤしていたと聞きました。周りからも、父の応援が凄かったと(笑)その分、決まってからは「おめでとう」と喜んでくれて、素直に良かったなと思いました。
星野:親子であり師弟でもあるからこそのお話ですね。
郡司:そうですね。父が現役の時は練習でも顔を合わせましたし、皆の前では「師弟」としてやっていましたので、気の抜く場所がなかったんです。でも、その父も今は引退して、ガイダンスコーナーなど競輪関係の仕事はしているんですが、前ほど接点はなくなり、師弟より親子の関係の方が強くなりました。昔に戻ったみたいです。競輪選手になるきっかけをもらったのも、1から教えてくれたのも父なので、感謝の気持ちを持ってグランプリは走りたいですね。
星野:さて、そのグランプリのメンバーをご覧になってはいかがですか?
郡司:いつも戦っているメンバーなので、特別な感じはないですね。いつも通り走ることができれば結果も付いてくると思います。
星野:南関東地区からは一人ですね、戦い方はどうですか?
郡司:単騎での闘いになると思いますが、自分は自力選手なので、ここっていうところで仕掛けていければなと思っています。今年一年やって来て、グランプリは一人の力でたどり着いたものではないので、それは一年間一緒に戦って来た仲間のおかげ、ラインのおかげだと思っています。単騎でも南関東の代表として戦えば、一人じゃないし、また来年の南関東勢の活躍にも繋がるのではないかと思います。
星野:来年はS級S班として、郡司選手自身も、更に南関東を引っ張って行く立場になると思います。
郡司:そうですね。ただ、S級S班にはなれたけど、その分プレッシャーもあると思いますし、不安な面も正直あります。出来るだけ余裕を持って一年を過ごせたらなと思っています。
星野:その為にも何かリフレッシュ法はありますか?
郡司:練習の合間はマッサージに行ったり体を休めることに重点を置いているので、なかなかお休みはないんです。お酒を飲んだり美味しいものを食べに行ったりも好きなんですが、最近はなかなか行けていませんね。だから、今すぐは無理ですけど、来年は次の日を気にせずに思いっきり楽しめる、そんな時間を作って、余裕のあるS班になりたいです。
星野:来年も活躍を楽しみにしています。では、皆様に最後にメッセージをお願いします。
郡司:S級S班として恥ずかしくない走りを心がけて全力で頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリを優勝し、今年1年は女王として戦ってきた児玉碧衣選手(福岡108期)。4年連続で今年もガールズグランプリへ臨み、初の連覇を狙います。今年の振り返りとガールズグランプリへの意気込みをお伺いしました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
児玉:ありがとうございます。
山口:賞金ランキング1位での選出です!
児玉:はい、5月にガールズケイリンコレクションを優勝したことでほぼ決まったかなと思えたので良かったです。
山口:今年を振り返っていかがでしたか?
児玉:昨年末にグランプリを優勝してから3月のコレクション(大垣)までは、レースへの意欲が減少してしまっていました。グランプリを優勝したことに満足して完全に燃え尽き症候群でした。なので、練習も身が入らず中途半端な状態でレースに臨むような数か月だったんです。
でも3月のコレクションで優香さん(小林優香選手・福岡106期)にゴール前で差されてしまいました。そのことで「万全じゃない今の状態でちょっと差されて2着なら、しっかり練習したら優香さんに勝てるんじゃないか」と気持ちが盛り上がってきたので、遅いんですがそこで今年のスイッチがオンになりました。
その後に5月のコレクション(松戸)は優勝できましたが、ガールズケイリンフェスティバル(別府)やガールズドリームレース(名古屋)は優勝できませんでした。それについては、悔しい気持ちよりもその後を見据えてレースをしていたので過程としては悪くなかったと思います。
山口:その先を、というのはガールズグランプリへ向けて、ですか?
児玉:そうです。5月のコレクションを優勝した時にほぼグランプリも決まったかなと思ったので、そこからは年末へ向けてどう走っていくかというモードに切り替わりましたね。ガールズケイリンの場合はビッグレースをひとつ優勝するだけでグランプリへ向けてかなり賞金として有利になりますから、早い段階でグランプリを意識してビッグレースを走れたのは意味があることだと思います。去年優勝しているので連覇できるのは私だけですから、もちろん狙っていきたいですしね。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースはいかがでしたか?
児玉:優勝はできなかったですが、自分の中ではやれることはやったし満足いく走り、次に繋がる走りでした。なので、1年通してみると、前半3か月は気合が入っていませんでしたが、その後はしっかりグランプリ連覇へ向けて走れていたと思います。
山口:ガールズグランプリを連覇している選手はいませんもんね。
児玉:そうですね、まだ連覇は誰もしていないので、かなり意識をしています。
山口:先ほどお話に出た小林優香選手は同門ですが、途中までガールズグランプリやグランプリトライアルレースへの参加は明言されていませんでした。参加すると知った時はいかがでした?
児玉:トライアルレースは別グループだったのでそこまで意識はしていませんでしたが、グランプリで対戦するだろうなと思ったので注目はしていました。優香さんはナショナルチームのブノワコーチのもとで日本代表として練習されています。優香さんと私は師匠が同じなんですが、私は師匠のもとで練習をしています。
しっかり積み上げてきたものが発揮されたと感じたのは、今年のオールスター競輪でのガールズドリームレースです。私は先行し、寛子さん(石井寛子選手・東京104期)にゴール前で差されはしましたが優香さんよりは先着できました。ビッグレースで逃げて2着に粘れたのは「自分には力がついてきている」と思えて自信に繋がりますね。
なので、グランプリも戦えるなと思えました。
山口:あの後、オッズパークの『競輪選手インタビュー』で石井寛子選手にお話を伺った時に「たまたま優勝できたけど碧衣ちゃんの強さを実感した」と仰っていました。
児玉:そういう風に思ってくださっているのを聞くとモチベーションが上がりますし、自信にも繋がりとても嬉しいですね。グランプリもそんな感じで頑張りたいです。
山口:ガールズグランプリまであと1開催ありますね。(インタビュー時は12月初頭)
児玉:はい。武雄のナイターなんですが、走ってしっかり優勝してグランプリへいきたいです。
山口:今の調子はいかがですか?
児玉:寒くなってきてなかなか夏のようなタイムは出ませんね。でも全く出ない訳ではないので問題ないです。
山口:寒さとバンクの重さについてはいかがでしょう。
児玉:私、毎年グランプリを走る時に、寒さを感じたことがないんです。アドレナリンが出ているのか「寒っ!」と思ったことがないので問題ないですね。次に走る武雄ナイターもかなり寒いと思うのでそこで寒さに慣れてその感じのままいきたいですね。
山口:立川でのガールズグランプリは2016年に走っていますが、印象は残っていますか?
児玉:あんまり印象に残ってないので良くないレースだったんだと思います。私、良いレース以外は見直さないようにしているんです。悪いイメージはさっさと忘れて良い印象だけを残しておく(笑)。だから(悪いイメージを忘れた)今は、印象も悪くはないです。
山口:他の選手についてはいかがですか?
児玉:新たに佐藤水菜ちゃん(神奈川114期)が入ったり、奥井さん(奥井迪選手・東京106期)は昨年いなかったですが、今年は出場されたりと変動はありますが、毎年凄いメンバーが集まっているなと思いますね。自分の中では誰がどう走るかと何となく想像はついていますね。なので、その中で自分が力を出し切って優勝しているイメージトレーニングを今はしています。
山口:お客様にどんな走りを見せたいですか?
児玉:昨年優勝した時に泣いてくれているお客さんがいたんですよ。こう言っては言葉が悪いですが、別に身内でもないのに泣いて喜んでくれる方がいて本当に感動しました。それがずっと忘れられないんです。そういう感動を自分ももう一度味わいたいですし、お客さんにも味わってほしい。勝ちだけにこだわるレースじゃなくて、しっかり自分の持ち味を出したレースをして勝ちたいんです。なので【攻め】の姿勢の私を見てほしいです。
山口:お客様の声はしっかり届いているんですね。
児玉:はい、応援があるのとないのとでは自分の発揮できる力も変わるのがわかりますね。本当に応援は力になります。
山口:練習仲間や師匠、周りの方からは連覇については何か言われましたか?
児玉:全くないです、普段通りですね。私があんまりプレッシャーをかけられるのが好きじゃないので、みんな言わないでいてくれるんだと思います(笑)。余計なことを言われると「わかってるから!」と私がすぐへそを曲げるのを皆さん知っているから(笑)。
山口:わかってくださっているんですね(笑)。
児玉:はい。ありがたいですね(笑)。
山口:今年は昨年のガールズグランプリ優勝をした【女王】として1年走られましたが、そのあたりの意識はありましたか?
児玉:新聞などで【女王】と大きく書かれているのをみると実感しますが、今年優勝しなければそうやって書かれなくなるんだろうなと思うと寂しいです。なので今年も優勝して来年も【女王】と書いて欲しいですね。
そうやって扱ってもらえるのがとても嬉しいし、モチベーションも上がります。【女王】というプレッシャーは感じずに、モチベーションに変えてのびのび走れました。
山口:また来年もそこへ向けてですね。では最後にオッズパーク会員の方へガールズグランプリへの意気込みをお願いします。
児玉:いつもたくさんの声援ありがとうございます。ガールズグランプリを連覇できる権利は私にしかないので、しっかり優勝してお客さんの前へいきたいです。そこで喜んでいる私の姿も見て欲しいし、お客さんの喜んでいる顔も見たいので今年も頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
2019年、立川記念優勝でスタートした清水裕友選手。その後、怪我で苦しい時期もありましたが、それも乗り越え、S級S班として高い位置で戦った1年でした。今年の目標は賞金王。その為にも、験の良い立川バンクで目指すは優勝。そのグランプリに向けての意気込み、そして一年の振り返りを伺いました。
星野:初めてのS級S班として走った2019年を振り返っていただきたいんですが、まず今年は立川記念で優勝からのスタートでしたね。
清水:そうでしたね。そこで気持ちが落ち着いたのが良くなかったのか、そのあとはケガもあり苦しい時期もありました。
星野:鎖骨骨折を初めて経験されたんですよね。
清水:どうなるか不安もあったんですが、ここまでは勢いで来たところもあったので、ここからが勝負だなという気持ちもありました。流れがなくなって自分の本領が試されるな、とも思っていました。
星野:そんな思いの中、結果は2019年のベスト9に入りました。本領発揮ですね。思い出に残っているレースはありますか?
清水:やはり地元の防府記念ですね。赤いパンツをはいているので結果だけを求めていきました。地元で気合いも入っていたのでホッとしましたね。
星野:そして、この優勝で競輪祭にも弾みがついたと思いますが、競輪祭はどうでしたか?
清水:自分がというより、準決勝は松浦さん(松浦悠士選手・広島98期)がグランプリに出れるかどうかの所だったので緊張しましたね。
星野:決勝戦では、位置を取り切り、すかさず踏んでいきました。
清水:いろいろ考えた中で、一つでも前の位置の方が良いと思って位置を取ったのですが、そのあとは自分でもなんであんなに早くに行ったのか分かりませんが、勝手に体が動いていました。
星野:松浦選手は清水選手が4コーナー勝負なら抜けてなかったとおっしゃっていましたよ。
清水:いやぁ、それでも差されていたと思いますよ。車間も空けてもらっていなかったら自分は3着だったと思いますし、松浦さんは強いですからね。でも、連携すると仕事もしてくれるので安心感もあります。
星野:グランプリではどうでしょう。
清水:どうやっても差されるイメージしかないんですよね。本当に松浦さんは強いので、もう半分諦めています(笑)
でも、まだ時間はあるので今はしっかり押しきれるようにも練習しています。
星野:そんな強いと認めている松浦選手とゴールデンコンビだと言われていますが、その事についてはどうですか?
清水:それは嬉しいですね。来年も多く連携できると思うので、その時の調子やメンバーにもよりますが、松浦さんが前の展開も考えられますし、楽しみですね。
星野:さて、グランプリのメンバーを見てはどうですか?
清水:かなり厳しいですね。隙もないメンバーなので、全員に気を使って考えて走らないといけないなと思っています。
ダービーでは脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)との力の差も感じましたし。
星野:ダービーの時とは季節も違いますし、ステージも立川バンクですし、それに清水選手のパワーも増してるのではないですか?
清水:どうでしょ。更に差が開いてるんじゃないかな、と思うこともあります。
ただ、立川は直線が長いですし、自分も夏より冬場の方が良いので、その辺りはプラスですね。作戦は色々考えて臨望みます。
星野:そして、メンバーには憧れの佐藤慎太郎選手(福島78期)もいらっしゃいますね。小さい頃に将来グランプリで一緒に走りたいとファンレターを書かれたんですよね。
清水:夢が叶いましたね。自分がそこに行けたというよりも十数年前なのに、そこからずっと一線で戦われていることが本当にすごいと思います。
星野:次に叶えたい夢は何ですか?
清水:グランプリで優勝して賞金王になりたいですね。
星野:そうなったら自分に何かご褒美しないといけませんね。
清水:実はもう今年一年のご褒美に車を買ったんです。なので、その分もグランプリは気持ち入れてがんばろうと思っています。
星野:2019年、立川記念の優勝でスタートして、立川グランプリの優勝で締めくくる。最高のストーリーになりますね。
清水:流れありますね。
星野:では、グランプリに向けての意気込みをお願いします。
清水:立川競輪は好きなので一生懸命走ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
先日行われた競輪祭でタイトルを手にし、競輪王となったた松浦悠士選手(広島98期)。 その喜びに浸る間もなく、すでに気持ちは次の戦いGPへ。信頼できる清水裕友選手(山口105期)のこと、そしてGPに向けての意気込み、さらには2020年のビジョンなども話していただきました。
星野:競輪祭 優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
星野:優勝して暫く経ちましたが、何かご自身の中で変化はありましたか?
松浦:今年は何度かGIの決勝戦にも乗って、悔しい思いもしてきたので、嬉しいという気持ちもあるんですが、これを続けて行かなきゃいけないという、責任感のような気持ちの方が強くなりました。タイトルを獲ったからといって、やることは変わらないですし、すぐにグランプリもあるので。ただGIを獲ったらこうなるのかという忙しさはありますね。
星野:改めて、競輪祭を振り返っていただきたいんですが、準決勝ではかなり緊張したと伺いました。
松浦:自分もあそこまで緊張するとは思ってませんでした。競輪祭は優勝というよりも目標はGP出場だったので、これで勝ち上がれれば目標達成できるという気持ちが緊張に繋がったんだと思います。その分、決勝戦ではいつも通りの気持ちで、自分のレースが出来たと思います。
星野:その決勝戦は清水選手が2番手に粘ってそこからすかさず仕掛けていきましたね。後ろで見ていてどうでしたか?
松浦:粘ったのは作戦の一つにあったので、がんばれと思って見ていました。そこを取りきるとどちらかがタイトルを獲れると思っていましたし、すかさず行ったのは後ろで見ていてすごいなと。取りきって4コーナー勝負なら僕は抜けなかったと思います。
星野:結果ワンツーで、松浦選手も最後は車間空けていらっしゃいましたね。
松浦:そうなんです。車間を空けて清水を残したいと思ったんです。自分が優勝したかったら早くに踏むだろうし、でも、あの瞬間に自分がって気持ちより、清水と決めたいって気持ちが大きかったんです。
星野:清水選手にしても自分が優勝したいとだけ思っていたら、取りきってからの仕掛けも、もしかしたら遅かったかもしれませんね。お話を伺っていると清水選手と松浦選手はゴールデンコンビだなと思いました。
松浦:そう呼ばれたいと思っていたのもありますが、平原さん(平原康多選手・埼玉87期)、武田さん(武田豊樹選手・茨城88期)のようにまだまだ実績も足りませんし、お互いがタイトルをしっかり獲っていきたいですね。今回は自分が獲ったので次は清水が獲ってほしいって思いがあります。
星野:清水選手に対してそう思えるきっかけはあったんですか?
松浦:僕がここまでこれたのは清水のおかげだし、昨年の防府記念の決勝戦で清水と連携して、僕は離れてしまったんですが、その時にこれについていって差せばタイトルが獲れるという確信に近い感覚があったんです。そのビジョンを見えたのが今に繋がっていると思います。
星野:県も違うんですが、レース以外での交流もあるんですか?
松浦:最近は僕が防府に行くことが多いんですが、お互いに往き来して一緒に練習しています。何かあると聞いたり聞かれたりしていますね。GPまでにも何度か防府競輪場に練習に行く予定です。
星野:GPでは清水選手との連携になりそうですが、他のメンバーを見てはどうでしょうか?
松浦:平原選手(平原康多選手・埼玉87期)や郡司選手(郡司浩平選手・神奈川99期)の近況のレースは把握していますが、ナショナルチームはオールスターから見ていません。でも、知らない、わからないと言うのはある意味、恐れもないので良いのかなと思っています。それに、自分の状態も上がっていますし、何より清水がいるのでチャンスですね。闘える自信はありますね。
星野:そうなんですね。今は本当にGPに向けてだとおもいますが、優勝されて賞金は何かに使われましたか?
松浦:まだ何もないんです。欲しいなと思っていた鞄があるのでGP前に買おうかなと思っています。でも、そうゆうのは自分へというよりも、師匠とかいつもお世話になっている周りの人に使いたいですね。先日、師匠にはゴルフクラブをプレゼントしました。
星野:以前、「周りのすべての人に感謝して」この事を大切にしていると伺いましたが繋がりますね。
松浦:元々感謝の気持ちはあったつもりですが、本気では思えてなかったんです。それも含め、自分がどうして行きたいのかどうしたら強くなるのかを必死で考えた時に、強くなるためにはそういうことも意識しないと、と思いました。
そうしたら成績もあがったんです。うわべじゃなくて本気で心から思うことが大切だと思います。
星野:GPが終わったら、ゆっくりできる時間はありますか?
松浦:GPが終わったらすぐに次の開催もあるので、ゆっくりは出来ないですね。でも、ゆっくりするなら温泉旅行にいきたいですね。
星野:いいですね。では、皆さんにGPへの意気込み含めメッセージをお願いします
松浦:GPに向けては清水がいるので信頼してサポートをして、優勝目指してがんばります。そして、今年一年、僕のレースを見ていて下さった方には成長した姿をはっきり分かってもらえたと思います。来年ももっと成長した姿を見ていただけるように精一杯頑張りますので、レースを楽しんで見ていただけたらなと思います。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
2年ぶり4回目のオッズパーク杯ガールズグランプリ出場を決めた奥井迪選手(東京106期)。今年は地元ホームバンク立川競輪場での開催。最後まで賞金争いで苦しんだ今年の振り返りとガールズグランプリへの意気込みを伺いました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
奥井:ありがとうございます。
山口:最後まで賞金争いがありましたね。
奥井:はい。特に今年のグランプリは地元ホームバンクの立川での開催です。なので、年齢的にも地元で走るグランプリは今年で最後かもしれないと、気持ちの入れようは強かったです。だからこそギリギリの戦いはきつかったですね。
正直、競輪祭でのグランプリトライアルレースの時には自分では出られないと思っていました。だからこそ決まった時は嬉しかったです。
山口:賞金争いの相手が、同じ立川がホームバンクの小林莉子選手(東京102期)だったのも辛かったと思います。
奥井:そうですね。本当に複雑でした。2人で出場できたら一番良かったんですけど、そこは辛い立場でしたね。たぶんお互いがそう思っていたと思います。
山口:そうですよね。でもお互い負けられない戦いだったんでしょうね。
奥井:お互い地元だからこそ気持ちも入っていたと思いますし、莉子ちゃんも怪我を押してまで走っていたのも知っているので凄く複雑でしたね。
山口:決まった時はどんな思いでしたか?
奥井:本当に出られるとは思っておらず、しばらく信じられなくてぼーっとしていました。駄目だと思っていたので。
競輪祭グランプリトライアルレースの決勝直後は自分でも賞金ランキングがどう変わったかがわかっていなくて帰り際に記者さんに聞きました。じわじわと出られる実感がわいてきました。
山口:昨年はガールズグランプリ出場ができませんでしたが、どんな思いで見ていらっしゃいましたか?
奥井:とても悔しい思いでしたね。だからこそ今年の立川は出たいと強い気持ちがありました。去年のグランプリを見たお客様に「奥井のいないグランプリは面白くない」と言ってもらったんです。その言葉がもう一度私を奮起させてくれました。
「またあの舞台で先行をしたい」と思えましたし、立川でのグランプリで先行がしたいというのは今年の初めから自分での目標にしていました。
山口:では、ガールズグランプリでの戦法は決まっているんですね。
奥井:そうですね。その思いが強いですね。
山口:地元だからこそ結果を求めに、という気持ちがあるのかなと思っていました。
奥井:きっとたくさんの方は「地元だから優勝を狙いにくる」と思っているんでしょうが、自分の中では存在価値はそこ(先行)なのかなと思うんです。「あの大舞台でも先行できる」というのが私の良さでもあり私にしかできないことかなと。
馬鹿だな、優勝狙いにいけばいいのに、と思う方もいらっしゃると思いますけどね。
山口:いえいえ、それこそ魅力だと思います。実際に2017年平塚ガールズグランプリでの、先行して2着は「逃げ切れるのでは!?」と思いました。
奥井:走る時にも、先行したら勝てないというのは思っているんです。でも先行して惜しい結果になった時に「先行して逃げ切って勝つんだ!」という強い思いがないから負けたんだなとあの時に強く感じました。本気で思えてなかったんだなと。
山口:立川でのグランプリは2016年に続き二度目ですが、前回の時と思いは違いますか?
奥井:全然違いますね。まず、選出のされ方が今年はギリギリまで賞金争いがありましたから。他も感じ方は大きく違います。どこがどう違うかは言葉にするのは難しいですけど。
山口:昨年は出場できず、今年は苦しい戦いを勝ち抜いての出場だからでしょうか。
奥井:そうかもしれません。以前は賞金争いもギリギリまでではなかったですし、立川グランプリで先行して勝ちたいという気持ちが大きくそれも少し余裕がありました。でも出られるからには気持ちは同じように高めていきたいです。
山口:昨年からガールズグランプリへのトライアルレースが競輪祭で始まりましたが、あの舞台はいかがですか?
奥井:正直に言うと私はあの舞台には疑問を感じながら臨んでいます。レースの存在意味、2つのトーナメントで、一発でグランプリ出場者が2名決まるのは、2年目の今年も複雑な気持ちでした。1年間頑張ってきた意味ってなんだろうと思ってしまいます。
もちろん決まったからには真剣に、優勝を目指して走るんですが、疑問が残るのが正直な気持ちです。
山口:奥井選手は、グランプリトライアルレースで逆転して決めよう、ではなく1年間賞金を積み重ねてガールズグランプリに出たいという気持ちが大きいんですね。
奥井:そうですね。小倉で決めるというよりは、ガールズケイリンコレクションなどを勝ってグランプリを決めたい気持ちが強いです。
山口:今年1年を振り返っていかがでしたか?
奥井;自分の力のなさを感じる1年でしたね。コンスタントに結果も出せてなかったですし、大きいレースで力負けすることもありました。どこかでは「こんな力のない自分がグランプリに選ばれて良いのかな」という思いもまだあるくらい、今年の自分のレースには手応えが感じられない1年でした。
山口:そうですか。その思いをうまく変換してガールズグランプリへぶつけられたら良いですね。
奥井:そうですね。ガールズグランプリを目指してやってきたからこそ、大舞台でやってきたことをぶつけたいですね。結果には繋がっていなかったけどやれることはやってきたので、最後の締めで良い走りができたらなと思います。
山口:以前コメントで「先行を貫いていても結果が出ない、ファンの方に支持されないなら意味がないかもしれない」と仰っていたのを拝見し戦法に迷っているのかなと感じました。それについてはいかがでしょうか。
奥井:まだすごく葛藤がありますね。自分の中ではまだ決めきれてなくてはっきりしない部分があります。先行だけでは駄目だと感じながら、自分の中では先行したいという気持ちも大きいんです。葛藤はまだこれからも続くのかなと思います。
山口:勝ちやすいという点ではどうでしょうか。
奥井:普段の開催で優勝している時は捲りが多い気がします。でも、大きい舞台では私の捲りが通用するかと言われるとそうではないので、難しいですね。
山口:他の6選手の対策はいかがでしょうか。
奥井:先行するにしても、タイミングや駆け方があると思うので考えたいですね。最終バックを先頭で通過し、優香(小林優香選手・福岡106期)や碧衣ちゃん(児玉碧衣選手・福岡108期)のようなスピードのある捲りを合わせきれたら一番良いですけど、きっとそう簡単にはいかないです。残された時間でやれることをやりたいです。
山口:現状の調子はいかがでしょう?
奥井:凄く良いという訳ではないですが、グランプリへ向けてやることをやって直前にピークを持っていきたいです。あと1開催あるので走って確かめたいですね。(インタビュー実施は12月初頭)
山口:そうですか。走られるんですね。
奥井:はい、冬場の寒い中でのレースは最近走っていなかったので、そのコンディションの中でレース勘を付けたいです。
山口:立川はホームバンクですから、走り慣れていますね。
奥井:はい、冬の立川の厳しいコンディションは一番わかっていると思いますし、慣れているので走りやすさはあります。
山口:先日はお客様の前で壮行会があったそうですが、いかがでしたか?
奥井:たくさんの地元ファンの方にあたたかく応援してもらいました。前回の立川グランプリの時にも私への声援がとても大きくて「もう一度この舞台で走りたい」と思わせてくれたのは、地元ファンの方のおかげです。今年もファンの方の気持ちも一緒に持って走りたいです。
山口:どんな走りをしたいですか?
奥井:自分にしかできない走り、というのは先行だと思います。そのために残りの時間を大切にしたいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へガールズグランプリへの意気込みをお願いします。
奥井:地元立川でのガールズグランプリなので、いつも以上に気持ちを込めて走ります。当日はぜひ現地で声援を送ってください!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA