今年に入ってから出走したほとんどのレースで決勝に乗り、先日の松戸・日本選手権競輪では初のGI決勝へ。南関東を代表する自力選手である渡邉雄太選手(静岡105期)。GI決勝の振り返りと、この後のビッグレース高松宮記念杯競輪へ向けての意気込みをお伺いしました。
山口:松戸でのGI決勝、ご自身で振り返ってみていかがでしたか?
渡邉:何と言うか、決勝はたまたまだと思います。
山口:初日が特選だったというのも有利でしたね。
渡邉:そうですね。結果は9着でしたが、負けても二次予選というのは気持ちの部分では「先行しても良いかな」と思っていました。もちろん3着以内でゴールデンレーサー賞に進めたら良かったですけどね。
山口:二次予選、道中は外の太田竜馬選手(徳島109期)と位置取り争いもありましたね。
渡邉:インコースだったら大丈夫かなと思っていました。太田にかぶされていたんですが、踏んでいたらちょうど前の村上義弘選手(京都73期)も前に踏みあげていったのでラッキーと、自分もついていきました。
山口:インで詰まってしまっても不安はないですか?
渡邉:外での併走は嫌ですが、自分がインで外が自力の選手だったら対応は出来ると思います。自力で外の方が併走はきついですし、追い込み選手相手だと併走で適わない部分もありますが自力選手だと大丈夫ですね。
山口:準決勝を走る時は、決勝へという意識はありましたか?
渡邉:準決勝は自分の思っていた展開とは全く違いました。単騎の古性優作さん(大阪100期)が前を切った時に誰もついていかなかったのがまず想定外でした。
2番手に入った深谷知広さん(愛知94期)が先行しに行って自分は4番手にいたんですが、平原康多さん(埼玉87期)が仕掛けてきて僕の所まで来たら、それに合わせて捲ろうと思っていたんです。でも平原さんはまだ仕掛けていなかったから、BSから自分のタイミングで捲りにいきました。
山口:決勝を決めた時はいかがでしたか?
渡邉:準決勝、うしろには和田真久留さん(神奈川99期)がついてくれていたんですが、僕が捲る時に一気にいけずインコースからのあおりを真久留さんがうけちゃって申し訳なかったです。ただ、深谷さんの先行も凄かったので、自分もいっぱいでした。
山口:初めてのGIの決勝でしたね。脇本雄太選手(福井94期)とは日本選手権競輪では対戦はありませんでしたが、いかがでした?
渡邉:脇本さんは、今はナショナルチームの事やオリンピックの事もあると思うので、アクシデントなどを避けるために後方に構えてからの捲りだと思っていました。僕が先に切って清水裕友(山口105期)をいかせて4番手を取りたかったんですが、清水も同じ事を考えていたんだと思います(苦笑)なかなか仕掛けてくれず残り1周半になったので、この位置からなら先行した方が良いと思い踏み込みました。
山口:番手で地元の田中晴基選手(千葉90期)もブロックして渡邉選手を援護していました。
渡邉:晴基さんなら、先行しても捲りでもいつも一番いい形に持っていってくれるので安心していました。連携しやすかったです。それもあったので先行も考えていました。
山口:走り終えて、次へ繋がるものはありましたか?
渡邉:自分も調子が良かったのでGIで力を発揮できたことは良かったと思います。ただ前回の全プロ記念競輪(松山)初日にゴール後に落車してしまったのが少し不安材料ですが、今は体調を整えて臨めるようにしています(取材時は6月前半)
山口:次回のGI高松宮記念杯競輪も東日本特別選抜予選からのスタートですね。
渡邉:高松宮記念杯の特選スタートを狙えるくらいの所に去年いたので、その時はかなり意識をしていました。特選からというのは有利ですね。
山口:競争得点なども高いですし、今後のビッグレースなどにも繋がっていきますもんね。
渡邉:いつもビッグレースは初日をどう勝ち上がるかが課題でした。なので特選からスタートというのは気持ちの面でとても楽です。
今までは先行をしても勝ち上がれなかったりでしたが、そろそろ結果を出していきたいので、何でも出来るようにしたいと思って頑張っています。
山口:南関東の中での、今のご自身の立ち位置などはどのようにとらえていますか?
渡邉:根田空史さん(千葉94期)とか山中秀将さん(千葉95期)のようなスピードのあるタイプは一発狙っていく爆発力がありますが、自分はとにかくパワーがないんです。なので後方にならないように、いつも前々にいて勝負するというのは気をつけています。
山口:それで今、好成績をおさめていらっしゃいます。
渡邉:他の選手にはまだ僕の先行のイメージがあるんだと思います。だから今は成績も安定はしているかもしれません。でもそういう戦法でたたかうには先行もしないと他の戦法が読めてしまうと思うので、なんでも出来るように。出来れば基本的には先行で勝負したいですけどね。
山口:「自分が南関東を引っ張っていく!」という思いはありますか?
渡邉:そこまでの気合や自信はないんですが、でも南関東の強い選手の中にはいたいと思います。
山口:代表して名前が挙がるくらいに?
渡邉:......郡司浩平さん(神奈川99期)の次くらいで良いです(笑)
山口:そうですか(笑)郡司選手は戦法も渡邉選手と似ているイメージがあります。
渡邉:はい。意識もしていますし、南関東だったら郡司さんみたいな選手になりたいですね。自分で攻めていって勝てるようなレースが理想です。
山口:今の課題は何でしょうか?
渡邉:たくさんあります。スピードを付けるのもそうですし......。(かなり考えて)今は位置取りを強化していきたいです。絶対良い位置を取る、という事ではないですが、「渡邉雄太は位置取りも、ある程度は出来ますよ」と他の選手に思わせられたら良いですね(笑)
山口:そんなにすぐに引かないよ、と(笑)そうなると展開も動かしやすいんでしょうか?
渡邉:絶対に前々にいた方が有利ですからね。競技規則が一部改正になりレースもチェックをしていたんですが、自分が見た限りでは僕の戦法にはそこまで大きな影響はないのかなと思いました。
山口:渡邉選手の改正後一走目が高松宮記念杯競輪ですもんね。今のところは不安はないですか?
渡邉:そうですね。大丈夫だと思います。
山口:今後の目標は何ですか?
渡邉:現時点で、賞金ランキングが割と上位にいるので(6月前半で11位)、あと何回かGIも頑張ったらKEIRINグランプリが見えてくるのかなと思います。
山口:昨年、静岡でのGP開催でしたもんね。
渡邉:いや、その時は全然自分なんかが出られるとは思っていませんでした。ただ去年、同期の清水がポンと出ちゃったので、自分も頑張ったらいけるんじゃないかと思っちゃいました。
山口:清水選手の去年からの躍進は、刺激になっていますか?
渡邉:そうですね。自分がいま清水を追いかけている立場で、追われるよりは追っかける方が好きなので、清水が良い目標になっています。
山口:そうですか。今後もビッグレースでお二人の対戦が見られるのは楽しみです。
渡邉:走る方はあまり一緒には走りたくないですけどね(笑)
山口:強力な敵になりますもんね(笑)お客様は楽しみかと思います!では、最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
渡邉:高松宮記念杯競輪も決勝へ乗って、今年のKEIRINグランプリに出場できるように頑張ります!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター/MC/キャスター/声優。
競輪関係では取手競輪中継司会、松戸競輪リポーターをメインに各競輪場で活動中。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社