昨年デビューの2年目ながら、見事グランプリ初出場を決めた児玉碧衣選手。まだ大きなタイトルはないものの、勢いは一番の選手でしょう。大一番に向けて、現在の心境をお聞きしました。
赤見:グランプリ初出場おめでとうございます!
児玉:ありがとうございます。グランプリに出場することを目指していたので、出場が決まって本当に嬉しいです!今すごくいい感じで練習もできているので、このまま万全の態勢で臨めるようにがんばります。
赤見:児玉選手は小・中・高とバレーボールに打ち込んでいたそうですね。そこからどういう経緯でケイリンの道に進んだんですか?
児玉:高校3年生の時、進路希望の書類を提出しなきゃいけなかったんですけど、大学に行きたいとかもなかったし、『未定』で提出したんです。それを聞いた母が、「あんた、ケイリン目指しなさい」って。その一言で決めました。
赤見:え?お母さまはケイリン好きだったとか?
児玉:いえいえ、ケイリンのケの字も知らなかったんですよ(笑)。でもヤフーニュースでガールズケイリンが始まったっていうニュースを見て興味を持って、母なりにいろいろ調べたみたいで。わたしは体を動かすことが好きだったし、体格もいいので合っているんじゃないかって。
赤見:突然「ケイリン目指しなさい」って言われて、戸惑いませんでしたか?
児玉:それがですね、なぜか全然戸惑わなかったです。「あ、わかった」みたいな(笑)。今考えれば、団体競技よりも個人競技の方が合っていたんですよね。
赤見:具体的に、どんなところがですか?
児玉:わたし、基本練習キライなんですよ(笑)。けどバレボールって、監督がいて練習時間も練習内容も決められているんです。みんなに合わせてみんなのペースでやるっていう。自転車の場合は自分の好きなタイミングで自分のペースでできるので、そこが合っていると思います。
赤見:でも先日トークショーで、師匠の藤田剣次選手が「児玉は練習キライって言われるけど、やる時はやります」って仰ってましたよね。
児玉:練習キライっていうか、練習を始めるまでがグダグダしちゃって時間掛かるんですよ。自転車に乗ってしまえば集中するんですけど、乗るまでがね。師匠はずっと見ててくれるので有り難いです。
赤見:女王・小林優香選手とは同じ師匠で姉妹弟子になるんですよね?
児玉:そうです。練習は一緒にはしていないんですけど、絶対女王が近くにいる環境に居られるっていうのは嬉しいです。存在が大きいですし、切磋琢磨してがんばれますから。
赤見:児玉選手はデビュー2年目ですが、グランプリ出場も決めてすでにトップ選手の仲間入りですね。
児玉:いえいえ、まだまだです。わたし、競輪学校時代は自転車があんまり好きじゃなかったというか、カリキュラムが決まっててただそれをこなしているという感じだったんですよ。今振り返ったら、もっと意識をもってやればよかったなと。
デビューしてからは『ファンの方がお金を賭けている』ということで責任を痛感して、気持ちが変わりました。野次とかも飛んでくるし、結果を出せば声援ももらえるし。プロとして走ることに責任を持つようになりました。
赤見:デビューしてから快進撃が続いています。
児玉:偶然ですよ。思ったよりは順調に来れてますけど、まだ大きいタイトル獲れていないし。最高でも2着なんですよね。あと一歩で優勝できないのは、まだまだ足りない部分があるからです。
赤見:どんなところが足りないと感じますか?
児玉:わたしは瞬発力の方があるタイプなので、持久力をもっとつけられればと思っています。トップスピードで長い距離をもがけるように練習しています。
レース中は特に何も考えていないんですけど、予選ではなるべく長い距離を自力でもがくようにしています。予選でキツいレースをした分、決勝では先行であろうとマクリであろうと余裕ができるので。
赤見:厳しい世界ですが、ケイリン選手になって良かったですか?
児玉:もちろんです!キツいけど、がんばればがんばっただけ自分に返ってくるので、すごく楽しいですよ。母もこの仕事に就いたことを喜んでくれていますし。親孝行したいと思って、何が欲しいか聞いたんですけど、『特にない』って言われてしまって。だから、両親の好きなビールを段ボールで買いました。
赤見:優しい娘さんですね。では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
児玉:グランプリで優勝するために、今練習で気持ちを高めて仕上げています。今年だけじゃなく、毎年常連のトップ選手になれるようにがんばります!
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※インタビュー / 赤見千尋
※写真提供:公益財団法人 JKA