
鈴木圭一郎がグランプリ初制覇
鈴木圭一郎がグランプリを制して、史上7人目のSGグランドスラムも達成した
最終日6日目は良走路で開催が始まったが、第8レースが降雨に見舞われて最終12レース決勝戦も重走路で争われることとなった。
オッズは、準決勝戦を勝利し今節無敗の5連勝を決めて、決勝戦の枠番選択を最初に選ぶ権利を獲得して1枠を選べた黒川京介が1番人気。3連単や2連複は2号車の青山周平を相手に採る車券が多くの人気を集めた。ただひとり3.5秒台と断トツの試走タイムを計時した鈴木圭一郎も高い支持を受けた。
頂上決戦が発走した。黒川京介は前輪をわずかに浮かせたが先手を守り抜き、準決勝戦を終えた後のインタビューで雨よりも良走路を希望と語っていた青山周平も枠ナリに続こうとしたが、1周回バックストレッチから3コーナーにかけて5号車の鈴木圭一郎と6号車の金子大輔がアウトを伸びて2・3番手を奪取。しかし3~4周目から金子大輔は離され始めて、黒川と鈴木圭による一騎打ちの様相が濃くなってきた。
大きなコース取りで逃げ込みを図る黒川、その斜め後ろにピタリと貼り付いて仕掛けどころをうかがう鈴木圭。息詰まる熱戦が何周も続く。
決定機は7周回3コーナーにやってきた。鈴木圭が黒川の内へ車を競り込ませて、ついに先頭へ立った。終盤は1周ごとに2車身くらいずつ黒川との車間を拡げて、ゴールでは10メートル近い差を付ける圧勝、完勝といえるレース内容で、5つ目のSGタイトルを獲得。そして史上7人目のSGグランドスラマーの称号も手にした瞬間だった。
大雨の夜空へ祝福の花火が次々と打ち上がる。それを見つめる勝者の視線の先には、雨に打たれながらメインスタンド前を埋め尽くす大勢のファンの姿。誰も帰ろうとしないのは、勝者を心から称えたいから。喜びを分かち合いたいから。
勝者は涙、いや雨を勝負服の袖で拭うと再び愛車にまたがり、大粒の雨の中をウイニングランへ飛び出した。
文/鈴木