会心の走りで伊藤信夫が優勝をもぎ取った!
第24回SGオートレースグランプリは、浜松の24期・伊藤信夫が制した。試走タイムは青山周平が一番時計で30。次いで佐藤貴也、伊藤信夫、永井大介が32。高橋貢が34、有吉辰也と金子大輔が35、内山高秀が最も悪くて38だった。
肝心のスタート争いは2号車の有吉が先行。これに伊藤が乗っていく。永井は3番手に付け、単独10線の青山は前を叩くことができなかった。
レースは伊藤が有吉を素早く交わして逃げ態勢に入る。有吉は必死の追走。付かず離れず続いていく。永井は3番手から様子をうかがう。青山は1車ずつ、じっくりと交わして番手を上げていく。道中で動きがあった。有吉が伊藤のインに突っ込む。しかし、これは立ち上がりで軌道を乱し、伊藤がすぐさま差し返す。その後の有吉は追走一杯。永井も車を進めることができず、最後方からやってきた青山に交わされてしまう。結果的に伊藤が1着ゴール。有吉が2着、青山が3着に食い込んだ。佐藤は今節イマイチだったスタートを優勝戦でも決めることができず中団のまま。内山、金子、高橋は見せ場を作ることなくゴールを迎えた。
伊藤は2007年に全日本選抜オートレースを制して以来のSGタイトル。オートレースグランプリは初めてSGで勝った1999年と、2003年に制して以来3度目の戴冠となった。若手の突き上げが著しいオートレース界において、伊藤のスピードはまだまだ健在だった。今回の上がりタイム3・412は、数字こそ驚くほどのものではないが、夏場のこの時期としては十分なもの。かつてスピードキングと言われ、未だ破られていないオートレースの上がりタイムレコードとなる3・284を叩き出した伊藤は完全復活を遂げた。これでSGは通算5度目の優勝。青山周平と鈴木圭一郎の2強時代に一石を投じた伊藤は、この数字をこれからも積み上げていきそうだ。
川口VS伊勢崎対抗戦!
今回出場するのは地元川口と伊勢崎のみ。対抗戦の様相だが、直前にSGが行われているのでS級選手は不在。いつもは優勝から縁遠い選手にとっても優勝のチャンスがある。レースは激しい争いになりそう。
出場する地元選手の中でランクトップは森谷隼人。前走となる浜松では優勝戦まで進んでいた。結果は6着だったが、スタートの切れが良く、レース序盤で好位置に付けられるのは魅力。道中の仕掛けに強気な面が出てくれば、もっと成績を上向かせられるだろう。ランク次位は影山伸。前走も悪くなかったが、その前の節では優出していた。こちらは森谷とは逆のタイプで、レース序盤の位置取りには不安残るが、その後の仕掛けは積極的。混戦になっていても力強く車を進める事ができる。この両者が今回は地元勢を盛り上げる存在になるか。
勢いとしては岩田裕臣や吉田祐也も悪くない。岩田は前々走で優勝戦まで進み2着の結果。デビュー時からスタートには定評があり、速攻が決まり出すと成績も上向く傾向がある。吉田も同じ優勝戦に乗っていた。結果は7着だったが、持ち味のスピード力はある程度見せる事ができた。今回出場する中では車速上位。序盤で抜け出せれば、後続の選手を引きちぎれる。
佐藤正人や掛川和人は試走タイムが出なくても、レースでは渋太い走りができるタイプ。近況は成績も上位でまとまっている。篠崎実は年齢を感じさせない熱い走りを披露している。競り合う展開になっても全く引けを取らず、むしろ果敢にイン突っ込んでいける。逃げる展開なら片野利沙、コースを抑えて着を拾えているのは岩佐常義あたり。直線の伸びが良く、好走できているのは佐々木敏夫、丸山浩信だ。
対する伊勢崎勢で、今回出場する中でランクトップは田中賢。前走の浜松でもそこそこの走りをしていたし、今回のメンバーの中ではスピードがある方だ。最後方からのレースになる事が想定されるが、車速に乗って前団を捲っていくシーンが思い浮かぶ。ランク次位は鈴木聡太。前走の浜松はイマイチだったが、その前の地元では準優勝を決めている。エンジン自体は上位の部類だ。
その浜松で優勝してきたのは伊藤正真。3日間開催でオール連対の安定感だった。課題とされているスタートに一定の改善が見られ、その後のレース展開につながっている様子。デビュー時から着実に力を付けており、スピードだけならかなりのモノ。捌きも徐々に成長が見られている。その優勝戦には桜井晴光も乗っていた。結果は6着だったが、ツボにはまった時のスピードは脅威。同じくスピードなら白次義孝も豊富。スタートでハンデが後ろの選手に叩かれなければ、ぐんぐんとペースを上げていける。
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主な出場予定選手
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森谷 隼人〔川口 A-20(29期)〕
影山 伸〔川口 A-32(22期)〕
篠崎 実〔川口 A-38(9期)〕
岩田 裕臣〔川口 A-68(31期)〕
田中 賢〔伊勢崎 A-6(29期)〕
鈴木 聡太〔伊勢崎 A-33(29期)〕
桜井 晴光〔伊勢崎 A-61(26期)〕
伊藤 正真〔伊勢崎 A-64(33期)〕
優勝争いは極めて難解!
今回の山陽オートは昼間4日間開催。直前に伊勢崎でSGが行われている関係で、今回はS級は不在。A級とB級による戦いになる。混沌としている優勝争いの行方は...。
今回出場する中でランクトップは地元山陽の長田恭徳。近年はSGに出場していてもおかしくない成長を見せており、前走の地元でもしっかりと優出していた。スピードに加えて捌きも上達。追い込むレースが多くなる今節でも大いに活躍できるだろう。同じくSGに出ていても不思議ではない実力の持ち主なのは人見剛志。エンジンが仕上がらず、その機会を逃しているが、前々節は優勝戦まで進んでいた。今回のメンバーの中では捌き断トツ。エンジンが並の状態でも、車群を割って浮上してくるだろう。
まだまだ元気なのは穴見和正、西村義正、水崎正二といったあたり。穴見は最重ハンからハンデが軽化する場面も見られ、レース展開はグッと楽になっている。変わらぬイン走法で前団も後続も苦しめる事ができる。西村義は前走の浜松3日間開催でオール連対。準決は2着ながら1着のみ優出の条件だったため、優勝戦には進めなかったが、奮闘している様子が窺える。水崎は前走の地元GIで2回の白星。好スタートからのイン封じ込みが得意のパターン。
前回の山陽で優勝したのは吉松憲治。4日間の開催で全て車券に絡めていた。走りに豪快さや派手さはないが、堅実に車を操り、じっくりと番手を上げていけるタイプ。今はエンジンも絶好調なので、初日から狙ってみたい一人。その優勝戦には山下知秀も乗っていた。結果は7着だったが、初日から3連勝を決めていた。デビューから数年間は将来を見込まれていたが、やや成長の壁に当たり伸び悩んでいた時期もあった。しかし、元々は高いセンスを持っているので、ここらで再び注目を集めるか。
飯塚A級では佐藤裕児が健闘している。レース後半は伸びを欠くケースも多いが、スタートを含めてレース序盤の動きは冴えている。桜木公和は、車速はそこまででもないが、しっかりとインを突いていけるタイプ。混戦になるほど威力が増してくる。実力的には辻大樹、牧瀬嘉葵、藤川幸宏が楽しみ。若手では森本優佑、木山優輝あたりが伸び盛り。
B級では西久保英幸、井上秀則、杉本雅彦が粘り強さを武器に着をまとめている。スピード的には丹村司がB級ながらA級に匹敵するモノを持っている。独走力は畦坪孝雄。才能が開花しつつある松尾彩。前走の地元ミッドナイトで優出した花元初美も善戦している。
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主な出場予定選手
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長田 恭徳〔山陽 A-5(32期)〕
人見 剛志〔山陽 A-22(28期)〕
穴見 和正〔山陽 A-35(12期)〕
西村 義正〔山陽 A-77(17期)〕
吉松 憲治〔山陽 A-132(21期)〕
山下 知秀〔山陽 A-185(28期)〕
佐藤 裕児〔飯塚 A-45(32期)〕
桜木 公和〔飯塚 A-97(24期)〕