鬼の居ぬ間に優勝を!
この開催の直前にSG日本選手権が行なわれている関係で、今回もS級とA級の主力勢は不在。普段は優勝のチャンスが少ない選手にとって絶好のシリーズ。SG日本選手権の直前に行なわれた、同様のメンバー構成による飯塚一般開催では、松尾隆広が優勝。今回も参戦しており、連続優勝がかかっている。
開催地区である山陽で、今回出場するランクトップは丸山智史。31期の中では中堅で、これまで2回優勝の経験がある。1級車に乗り換わったころはスピードタイプだったが、その後はしばらく伸び悩んだ。しかし、ここ数節はエンジンが好調な事もあり、乗り手が気持ち良く走れている印象。本来の軽快なスピードが出ている。今回は後方から追うレースが多くなるが、捌きの方も徐々に身に付いている様子。
その1期後輩の長田恭徳は現在、成長の壁に当たっている。ツボに入った時は素晴らしい走りをするので、それが安定して出てくるようになれば成績も付いてくるハズ。松生信二、松井大和ら若手と共に成長していきたい。他にも山陽勢はベテランの畑吉広、速攻タイプの番田隆弘、変則走法で粘る西久保英幸、堅実な走りがある竹中一成などに注目。
外来勢では飯塚が元気良い。先述の通り、前走の地元で優勝したのは松尾隆広。4日間のシリーズでは雨2走、晴れ2走をこなしオール連対での優勝だった。この時期、天候に左右されない強みは大きな魅力。晴れでもタイムが出ていたので、2節連続優勝も十分あり得る。松尾の2着で準優勝だったのは辻大樹。今回出場するメンバーの中でもランクはトップで、総合力も最上位級だ。スタート、重走路、スピードの3点に置いて不安要素はなく、今回は同期の松尾にリベンジを果たしたいところ。飯塚勢は他に、根本将人、竹中修二、青山文敏、室田泰利らもエンジンは上々で、優勝争いに参加してきそうだ。
川口からは篠崎実が来場。前々走の地元では準優勝だった。惜しくも最年長優勝記録の更新はならなかったが、まだまだ走りは闘志に溢れている。前走の3日間開催でもオール連対でまとめており、機力も気力も最高潮だ。女子レーサー片野利沙も上昇気配。前走の飯塚ミッドナイトで2勝を挙げる活躍。
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主な出場予定選手
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丸山 智史〔山陽 A-56(31期)〕
長田 恭徳〔山陽 A-69(32期)〕
畑 吉広〔山陽 A-74(20期)〕
吉松 憲治〔山陽 A-88(21期)〕
辻 大樹〔飯塚 A-20(28期)〕
松尾 隆広〔飯塚 A-50(28期)〕
青木 勝美〔伊勢崎 A-72(19期)〕
篠崎 実〔川口 A-118(9期)〕
鈴木圭一郎が選手権連覇を達成!
第49回SG日本選手権は地元の鈴木圭一郎が圧巻の走りで連覇を達成した。2日目の2着以外は全て1着と、ほぼ完全優勝と言ってもいいレース内容。現況の勢いがそのままレース結果に表れたかたちだ。
試走は一番時計タイの27。1枠の木村武之も同様のタイム。次いで、金子大輔が28。29が藤岡一樹、佐藤貴也、山田達也、中村雅人。有吉辰也が32と、やや数字を落とした。
スタートは2枠から鈴木が飛び出す。最内から木村も離されずに続く。佐藤と藤岡が3番手争い。外枠勢は好位を奪えず後方からのレース。前半4周までは鈴木の逃げに木村がピタリとマークし、仕掛けるタイミングをうかがっていたが、5周目あたりから徐々に間隔が開きつつあった。6周目以降は、抜く態勢を作るどころか差を広げないよう走るのが一杯だった木村。更に離れて3番手で粘る藤岡に対し、金子も攻撃の手立てを失っていた。5周目以降、木村を引き離して逃げる鈴木がそのまま1着ゴール。上がりタイムは今節最高の3・335だった。まさに文句のつけようのない勝利。
それにしても、今回は鈴木の強さを見せ付けるシリーズだった。5日間の試走は27か28のみ。エンジンは連日仕上がっていた。上がりタイムも2着に敗れた2日目が3・381。初日は3・368。3日目以降は3・34を切る素晴らしい数字を立て続けにマーク。スピード面は今、間違いなく日本一。スタートに関しても7枠から先行した準決、2枠からシッカリと決めた優勝戦を見る限り日本一。捌くレースが少なかったので分かりにくいが、捌きに関しても日本一クラス。すでにSG5Vだが、デビュー5年目の若手は、まだまだ成長の伸びシロが大きい。これからどのような選手になっていくのか。オート界の勢力図が大きく変わっていくのは間違いない。
鈴木圭一郎が選手権連覇へ万全の仕上がり!
第49回SG日本選手権も優勝戦の日を迎えた。ここまで4日間、好天の下レースが行われ、準決でも激しいバトルが繰り広げられた。そんな厳しい勝ち上がりを抜けていった8人はそうそうたるメンバー。走りに特徴のある選手も優出しており、優勝戦は一筋縄ではいかないか。
準決で最も動きが目立ったのは鈴木圭一郎。7枠と不利な位置からのレースながら、好スタートを決めてしまった。その後もバイクの影を踏ませることなく独走で逃げ切った。最終レースでタイムが出やすい条件とは言え、上がり3.339は驚異的数字。3日目も同じ上がりタイムをマークしており、エンジンは完調の仕上がり。
次に、準決の動きが気になったのは木村武之。こちらも鈴木と同じ7枠からの発進だったが、スタートは5~6番手といった所。しかし、そこから怒涛の攻めを見せる。わずか1周で中団に割り込み2番手を奪取。そこからは、独走態勢を築いていた有吉辰也のインに軽々と入ってしまう。そのまま逃げ切りゴール。上がりタイム3.373は鈴木圭に遠く及ばないが、第9レースでの結果なので、それを考慮すれば立派な数字。最終の12レースだったらもっとタイムが出ていただろう。そして、タイム以上に走りに気迫を感じさせた。
そして、藤岡一樹。ここ数節、というより近年は以前のようなスピードで走れていなかった藤岡だが、この準決では完全復活。爆発的スタートからの圧倒的激走。これが今回の準決で戻ってきた。同期の金子大輔が2番手でピタリとマークしていたが、付け入る隙を与えなかった。通常の金子なら冷静に状況判断をして、捌くタイミングを逃さないものだが、そのタイミングが全くなかった。それだけ藤岡の走りがキレていた証拠。優勝戦でも同じスタート、そしてスピードで走れれば...。
最後に佐藤貴也。準決は5枠からトップスタートを決めた佐藤。よくあるSGの準決なら、先行した選手は大きなコースを走り、ペースを上げて後続を引き離しにかかるもの。しかし、今回の佐藤は1周目から小さいコースを通り、インを締め上げる走法を選んだ。もちろんペースは上がらなかったが、直後に付けていた山田達也は仕掛け所がなく追走一杯。その後ろにいた選手達も行き場を失い、番手を上げることはできなかった。結果的に佐藤はそのまま押し切りゴール。準決を1着で通過してみせた。上がり3.393は、他の準決の1着タイムから大きく数字を落としているが、レース内容は優勝戦を想定するときに簡単にはいかせない走りだった。
当ブログでの本命には鈴木圭を推す。準決では7枠からスタートを決めたように、今の鈴木は枠不問で猛ダッシュを炸裂させることができる。トップスタートを決めれば、日本一のスピードでそのまま逃げ切り。仮に2~4番手のスタートになっても10周戦を落ち着いて乗り切り、首位に浮上してきそうだ。スタート、スピード、捌き、乗り手のリズム、全てを取っても鈴木圭がナンバー1だ。
相手には木村を挙げる。木村はこれまで3回制したSGの中で、選手権は実に2回。他のSGよりも相性のいい大会と言える。更に今回は地元で気合の方もパンパンに高まっている。レース序盤で鈴木圭を抑え込める展開を作れれば、同大会3度目の制覇も見えてくる。それだけエンジン状態は良い。3番手は金子大輔。準決では藤岡に仕掛ける態勢を作れなかったが、こういう時の金子は必ずエンジンに上積みを図ってくる。整備巧者の金子は準決よりも良いエンジンを作ってくるだろう。次に中村雅人。準決は鈴木圭を追い詰めることができなかったが、その内訳には伊藤信夫の抵抗にあっていた点も上げられる。仮に、誰にも抵抗されず鈴木圭を追えていたら、ここまで差は広がらなかっただろう。舞台が大きくなるほど、力を出せるのが中村だ。最後に藤岡一樹。準決同様、一気のスタートを決めるようならSG初Vのチャンスはグッと近づく。
印は回らなかったが、佐藤貴の動きにも注意を払いたい。スタートの切れはよく、先頭に立ってしまうようだとレース展開が大きく変わってくる。準決のようにインをビッシリ抑えそうなので、後続は大渋滞ムード。悪い意味でツボにハマらず、冷静に対処できる選手に栄冠が待っている。逆に、誰も冷静に走れなくなってしまうと佐藤貴が、あれよあれよと、逃げ切ってしまうかもしれない。
◎鈴木圭一郎
○木村武之
△金子大輔
△中村雅人
▲藤岡一樹