続いてインタビューしたのは、優勝戦にも出場した松尾啓史(マツオ ヒロフミ)選手。
:松尾選手は、どうしてオートレーサーになったんですか?
「親がバイクとかオートレースが大好きで、子供の頃から見に行ってたんですよ。それで、かっこいいなと思ってて」
:実際レーサーになってみてどうですか?
「お客で見ていた印象より、ずっと難しかったですね。普通のバイクと全然違うから。
ブレーキはないし、ギアもローとトップの2つだけ。
学校の時、最初は怖かったですよ」
:バイクを近くで見ると、本当に必要なものしか着いてないって感じですもんね。
「普通のバイクと比べたら、かなり軽いです。だから加速力がすごいしね」
:松尾選手の、レーサーとしての持ち味は?
「スタートがあんまり良くないので(苦笑)...、追い込みですね。あきらめないところと、後ろからさばいて行くところかな」
:なるほど~。
あの、専門誌によく出て来る『ドドドが来る』ってどういうことですか?
「バイクに乗ってて、まさにドドドって感じでバイクが暴れるんです。そうなったらもうバイクを抑えることに必死で、他の選手を抜いたりする余裕はなくなるんですよ。
はっきりした原因はわかってないんですけど、タイヤやエンジンやネジなど、色んな要素があると思います。
レースのバイクは、さっきも言ったように最小限の必要なものしかないので、ショックを吸収するところがないんですよ。
それで、最大限のスピードを出すわけだから、本当に小さなことで『ドドドが来る』んです。
僕はドドド持ちなんで、常に考えてますよ」
:ドドド持ち?!そういう表現するんですね。勉強になりました!
それでは、開催休止中に募金活動を行っていましたが、その時の印象を教えて下さい。
「ファンの皆さんと直接触れ合うことが出来て、すごく良かったです。思った以上に皆さんが温かくて...。これからも、どんどん行っていきたいですね」
とても温かい眼差しで、穏やかに話す姿が印象的でした。
募金活動の時にも、レース中に着用する重い防具をずっと着けて、街頭に立ったそうです。
その人柄から、地元ファンの人気が高いというのも納得です。
続いては、若手の中野政則(ナカノ マサノリ)選手。
:バイクのフレームが、4月1日からすべて統一になったそうですね。
「そうなんですよ。今までは3種類あったんですけど、1つになりました。
エンジンもみんな一緒ですけど、整備で全然違って来ますからね」
:そんなに違うんですか?
「違いますよ。変えていいところと、変えちゃいけないところがありますけど。
あと、検査員立会いのもとじゃないと、開けちゃいけない部分があるんですよ。一人では封印を解いちゃいけないんです」
:自分のバイクなのに、かなり制約があるんですね。
あと気になってたのがバイクの名前なんですけど、皆さんどういう感じで付けてるんですか?
「それはもうまちまちですね。7文字以内で、常識的な範囲だったらなんでもいいんです」
:なるほど。
今回はかなり開催が開いてましたが、その間はどんなお気持ちでしたか?
「初めて経験する大災害で、一概には言えないんですけど...。開催がないと、もっとダメになってしまうと思いました。
僕たちに出来ることは募金活動だったから、そういうことはやりましたけど、やっぱり開催して頑張って、僕たち自身も支援金を捻出しないと。
いつ始まるかもわからなかったし、オートの場合練習も出来ないから、自己管理だけしっかりやる...という毎日でした」
:ファンの方の反応はどうでしたか?
「もう本当に温かかったですね。すごく良くして下さって。
もっとそういうふれあいの場みたいなものがあってもいいと思いました」
レース場からバイクを外に出せないため、普段練習が出来ないというオートレース。
開催がないということは、レースが出来ないのはもちろんですが、バイクに触れる機会もなくなる、ということですから、選手の皆さんはとても不安な日々だったんだと、改めて感じました。
続いては、角南一如(スナミ カズユキ)選手に道具を見せていただきました。
こちらがオリジナルの勝負服です!
上半身はこの上に防具や枠服を着ますが、皆さんそれぞれのデザインで、言葉やロゴなどが刺繍されていました。
ちなみに、バイクも入れて、道具はすべて自前なんだそうです。
1つ1つのものが、かなり高価なようでした。
こちらはブーツ↓
左足のみ、鉄が着いてます。
持たせていただいたんですが、これがかなりの重さ!
コーナーコーナーで足を下ろして、ピットと擦れて火花を散らしていますから、けっこう削れて鋭くなっている部分もありました。
これを装着して歩くと、すごく大きな足音がします。
各ロッカーから、レースに向けて集合するわけですが、一人一人、鉄の足音を響かせながらやってくる姿は、とても勇ましかったです。
こちらは、優勝戦に向かう、我らが伊勢崎の大スター・高橋貢(タカハシ ミツグ)選手↓
勝負服・防具・ヘルメットと、すべて赤で統一!
シャー様みたいで、めちゃくちゃかっこよかったです。
そして、レース前は穏やかな表情でリラックスしていた、船橋の池田政和(イケダ マサカズ)選手も...
レースに向かう姿は、キリリと表情が引き締まり、戦闘モードに入ってました!
優勝戦前には、必ず集合写真を撮るそうで、時間になると、自然とみなさん並んでスタンバイ。
レースを目前に控えて、緊張感漂う中での撮影でした。
そして、見事優勝を果たした人見剛志(ヒトミ タケシ)選手。
集合写真では、白の枠服に身を包んでいますが、表彰式に登場した時には、ピンクのオリジナル勝負服姿でした!
レースに関してのレポは、山陽オート&佐賀競馬の旅(1日目)に書きましたので、ここでは番外編をお送りします。
:レースを終えて、どんなお気持ちですか?
「すごく体が痛いです」
:え?どうしてですか?
「筋肉痛ですよ。久しぶりにレースしたから、メチャクチャ筋肉痛です」
:えええ?レースすると筋肉痛になるんですか?
「そうですよ。見た目では楽そうに乗ってるかもしれないけど、けっこう体使うんですよ。
あ、ちなみに筋肉痛なの、俺だけじゃないから。絶対他の人もなってるから、そこはちゃんと書いといてね」
完全優勝を果たした人見選手でしたが...、最後にお茶目な一面も見せてくれました。
オートレーサーの皆さん、ご協力ありがとうございました!