地元馬に重賞上位実績馬はなく、兵庫2頭、浦和、船橋、佐賀から各1頭という遠征勢が中心となりそう。
兵庫のサラキャサリンは、前走兵庫クイーンセレクションでは後続を寄せ付けず逃げ切っての完勝。さすがにデビューした門別でJRA認定ウィナーズチャレンジで2着2回という実力を見せた。今回のメンバーで重賞勝ち馬は唯一で、能力上位といえそう。その兵庫クイーンセレクションが人馬ともに重賞初制覇となった松木大地騎手が、アウェーの地・名古屋でどんなレースを見せるか。
キューティロメラは昨年7月に門別デビューでフレッシュチャレンジを勝ち、盛岡のプリンセスカップで3着。浦和に移籍しての年明け初戦、3歳一組戦は、逃げたものの直線一杯になって4着。復帰2戦目の上積みがあれば勝負になりそう。新・名古屋競馬場ですでに重賞4勝という吉原寛人騎手にも期待だが、◎サラキャサリンも含めて逃げて好成績を残している馬が多いだけに先行争いもポイントになりそう。
ポーチュラカは船橋デビューでここまで2勝。前走3歳牝馬の特別戦は1番人気に支持されるも逃げて5着だったが、2番手でマークしていた勝ち馬が強く、接戦の2着争いの中での5着だった。人気を落とすなら馬券的に妙味がありそう。
兵庫のエイシンレゲンダは、デビューした門別では2歳牝馬の1000メートルの重賞・フルールカップで3着があり、前走兵庫クイーンセレクションがサラキャサリンから差のある4着。さすがに逆転までは難しそうで、ここは連下争いまで。
地元馬では兵庫から転入初戦となるエイシンメヌエットに期待か。デビューした門別から兵庫ではここまで14戦して1勝も、3着以内を外したのは2回だけ。重賞初挑戦でも侮れない存在だ。
佐賀生え抜きのブラックサンサンは、ここまで8戦4勝。一気の相手強化でどこまで。
◎4サラキャサリン
○9キューティロメラ
▲3ポーチュラカ
△12エイシンレゲンダ
△8エイシンメヌエット
△2ブラックサンサン
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地方競馬では新年度となる4月以降、全国で11名の新人騎手がデビューする。
所属地は、北海道から2名、岩手、船橋、大井、金沢、笠松、名古屋、兵庫、高知、佐賀から各1名。近年、新人騎手は南関東からのデビューが多く、特に1年前は南関東8名のほかは佐賀2名という状況だったが、今年は北海道が2名のほかは全国に分散した。
その要因として、地方競馬教養センターのほうでデビュー地を分散させたいという意向もあったようだが、それ以上に、各主催者とも熱心に新人騎手を誘致したことも大きかったようだ。
地方競馬では、慢性的に騎手が不足気味の競馬場も少なくない。騎手はただレースで騎乗するだけでなく、日々、馬に調教をつける役割としても貴重な戦力だ。そのため近年になってほとんどの競馬場で、新人騎手を積極的に誘致するための優遇措置を講じている。デビューの際には馬具を準備するのにかなりの費用がかかるが、その購入費のための補助金を支給したり、デビューから当面の間、1騎乗ごとや1開催ごとに手当を支給するなどだ。
もうひとつ、昨年は地方競馬全体で年間の売上が過去最高を記録したように、売上好調なことも要因としてあるだろう。10年ほど前まで地方競馬は廃止が相次ぎ、財政基盤が大きくない競馬場では廃止という不安がつきまとった。それゆえ、比較的経営が安定していて賞金も高い南関東の所属を希望する新人が多かった。しかし現在ではどの競馬場でも賞金や手当がある程度満足できるレベルになり、そういう状況であれば、騎乗機会を得られやすい南関東以外の競馬場を希望するという新人騎手も少なくない。
後列左から、宮内勇樹(北海道)、所蛍(船橋)、加藤翔馬(金沢)、大畑慧悟(名古屋)、阿部基嗣(高知)
前列左から、阿岸潤一朗(北海道)、佐々木志音(岩手)、木澤奨(大井)、松本一心(笠松)、山本屋太三(兵庫)、合林海斗(佐賀)
ここではオッズパーク対象の競馬場に所属する7名を紹介する。
■佐々木志音(ささき・しおん/05.6.8生) 岩手・佐藤祐司厩舎
家が水沢競馬場の近くで、中学2年のとき競馬場に行って、人馬一体となってコースを駆け抜けている騎手を見て憧れた。
小学1年から5年まではサッカー、その後は空手や柔道をやっていたというスポーツ少年。自身の性格は「いつも明るく元気で負けず嫌い」という。目標は、岩手競馬のリーディング。勝ちたいレースはマイルチャンピオンシップ南部杯とのこと。
勝負服(胴白・赤縦縞、そで黒・赤一本輪)は、佐藤祐司調教師に考えてもらった。
■加藤翔馬(かとう・しょうま/05.4.24生) 金沢・加藤和義厩舎
父(加藤和義調教師)が騎手を引退するときのレースを見て憧れたという。最初は反対されたが、騎手になる覚悟を伝えたところ、賛成してくれたという。
自身の騎乗技術では、馬上でのバランスがよく、そこを追求していきたいとのこと。目標は、全国の重賞に呼んでもらえるような騎手になること。勝ちたいレースは、金沢で唯一のダートグレード、白山大賞典。
勝負服(胴橙・白十字襷、そで橙・白星ちらし)は、自分でデザインを考え、オレンジは自分のラッキーカラーとのこと。
■松本一心(まつもと・いちと/05.6.13生) 笠松・加藤幸保厩舎
小さい頃から騎手である父を見て憧れ、騎手を目指した。父(松本剛志騎手)と同じ厩舎の所属となり、父のことは「兄弟子」と呼ぶ。
自身について、「馬に対して柔らかく乗れる。馬を楽に走らせることができる」と長所をアピール。目標は、「東海リーディングを獲れるようにがんばります」とのこと。
勝負服(胴水色・白山形一本輪、そで赤・白二本輪)は、父の勝負服(胴青・桃山形一本輪、そで白・青二本輪)と同じデザインで色違い。
■大畑慧悟(おおはた・けいご/05.6.25生) 名古屋・倉地学厩舎
おじ(大畑雅章騎手)を小さい頃から見ていて憧れた。両親は「やりたいことをやればいいと賛成してくれた」という。
「ハミを抜いてリラックスさせて走らせることができる。ただ、手綱が長くなって雑になってしまうことがあるので、そこは改善したい」と自身を分析する。目標は、厩舎の兄弟子・丸野勝虎騎手のように結果を出せる騎手になりたいとのこと。勝ちたいレースは、東海ダービー。
勝負服(胴緑・黒ダイヤモンド、そで黒)は、丸野騎手と同じ色でデザイン違い。
■山本屋太三(やまもとや・たいぞう/05.12.6生) 兵庫・坂本和也厩舎
家が川崎で、川崎競馬場に連れていってもらい、小学3年のときの体験乗馬がきっかけで騎手を目指した。両親は最初から賛成して応援してくれたという。
小学3年から中学2年まで体操をやっていて、市の大会で総合2位に。最初は川崎の所属を希望したが縁がなく、公募で坂本和也調教師が手を挙げてくれたとのこと。目標は、誰からも信頼され、地方競馬の雄になること。勝ちたいレースは、賞金が高くなった地元の園田金盃。
勝負服(胴白・紫縦縞、そで紫・白一本輪)は、坂本調教師の騎手時代の勝負服のそでに白一本輪を付けた。
■阿部基嗣(あべ・もとつぐ/05.4.30生) 高知・西山裕貴厩舎
中学2年のとき、父と初めて東京競馬場に行って、騎手と馬との息の合った走りに感動したという。
小学1年から5年まではサッカー、その後は中学3年まで野球をやっていたという。出身は静岡県だが、売上が上がっていて注目される中で競馬がしたいと高知を希望した。目標は、誰にでも信頼され、憧れられるような騎手になること。勝ちたいレースは黒船賞。
勝負服(胴白・青十字襷、袖青・赤一本輪)は、高知では誰も使っていないデザインで、西山裕貴調教師の騎手時代の勝負服の色使った。ちなみに、ばんえいの菊池一樹騎手とまったく同じデザインだが、決めたあとに知ったとのこと。
■合林海斗(ごうばやし・かいと/04.6.14生) 佐賀・土井道隆厩舎
家は大分県で、祖父が中津競馬の騎手だった。小学6年のとき、父に小倉競馬場に連れて行ってもらい、かっこいいと思って騎手を目指した。
趣味がスケートボード、バス釣りという個性派で、目立つことをやりたかったという。目標は、佐賀競馬を代表するような騎手になること。勝ちたいレースは佐賀記念。
勝負服(胴紫・白玉ちらし、袖紫・白二本輪)は、自分の好きな色で、佐賀競馬の騎手では使われていないデザインにした。
調教師試験に合格し、今月限りで引退する大井の真島大輔騎手が、中央2勝クラスから転入3戦目のアイリッシュセンスに騎乗する。転入初戦の九重連山賞(1800メートル)は、抜群の手応えで3コーナー過ぎで抜け出すと、直線は後続を寄せ付けずの完勝。前走はがくれ大賞典は7着だったが、遠征勢が強かった。中央時代はダート1400/1600メートルのみを使われ、13戦2勝、2着5回。負けてもほとんどのレースで勝ち馬から1秒以内の差と堅実に走っていただけに、距離短縮の1400メートルなら力を発揮する。
年末には期待にこたえて中島記念を制したリュウノシンゲン。転入後に負けたのはダートグレードと距離が長すぎた九州大賞典だけ。適距離は1600〜1800メートルあたりだろうが、昨年吉野ヶ里記念を勝っているように1400メートルも守備範囲。
スーパースナッズは昨年第1回として行われたこのレースで3着に入ったが、その後夏は調子を落とした。それでも10月以降は復調したか、10戦して1勝も2着5回で、3着以内を外したのが3回だけ。ロトヴィグラスとのハナ争いがどうかだが、1番枠からすんなり逃げられれば粘り込む場面はありそう。
大井B2級から再転入してウインターチャンピオンを制したダイリンウルフだが、その後の3戦がいまひとつ。巻き返しのかかる一戦。
ロトヴィグラスは、年明けのゴールドスプリントこそ惨敗だったが、その後は2連勝と好調。ただ良績は900メートルに集中しており1400メートルの距離がどうか。
ミスカゴシマは昨年末の中島記念で久しぶりに中距離戦を走って3着と好走。続く2000メートルの雷山特別を制した。本来得意だったはずの1400メートルに戻って復活があるかどうか。
◎4アイリッシュセンス
○9リュウノシンゲン
▲1スーパースナッズ
△2ダイリンウルフ
△5ロトヴィグラス
△10ミスカゴシマ
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中央オープンもしくは3勝クラスからの転入馬が半数以上というメンバーが、今の高知のレベルの高さを物語っている。
モダスオペランディは、転入後圧倒的な強さで2連勝したが、だるま夕日賞では内をうまく立ち回ったガルボマンボをクビ差とらえきれず。黒船賞JpnIIIでも地元馬最先着のガルボマンボに1馬身及ばず。今回はそのガルボマンボが不在となっただけに負けられない一戦だ。
重賞では黒潮スプリンターズカップの4着が最高というアポロティアモだが、その後3連勝と急上昇。同厩舎のモダスオペランディとは初対戦で、ともに赤岡騎手の手綱だったため、今回は重賞のスポット騎乗で吉原寛人騎手がどんなレースを見せるか。
昨年、建依別賞で重賞初制覇となったアメージングランは、大高坂賞がモダスオペランディの2着で、黒潮スプリンターズカップがイグナイターの2着。地元馬同士なら能力的に差はない。
中央オープンから転入して条件戦で6戦5勝と底を見せていないショームは、一気の相手強化でどこまでやれるか。
黒潮スプリンターズカップ、だるま夕日賞でともに3着のジョウショーモード、中央3勝クラスから転入して11戦すべて3着以内でA級までクラスを上げたダノンロイヤル、中央3勝クラスから転入初戦の1400メートル戦を楽勝したエースレイジングなど、可能性を感じさせる馬が多数。
サノハニーなど印が回らなかった馬もいて、レベルの高い混戦といえそう。
◎12モダスオペランディ
○1アポロティアモ
▲2アメージングラン
△4ショーム
△9ジョウショーモード
△10ダノンロイヤル
△11エースレイジング
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中央オープンから金沢に移籍初戦のトランスナショナルが参戦。昨秋、障害未勝利戦を走ったあと、ダートの3戦はいずれも掲示板外だったが、2走前の師走ステークスは勝ち馬から0秒8差、前走アルデバランSは1秒3差。その実力で、しかも前走から1カ月半という間隔ならいきなりでも通用しそう。あとは笠松の砂と小回りコースをこなせるかどうか。
地元東海勢では、ロッキーブレイヴに期待がかかる。名古屋所属にもかかわらず昨年秋以降は笠松を中心に使われ、オータムカップ、ウインター争覇と重賞2勝。笠松の中距離に限ると3戦してその2勝のほか、東海ゴールドカップは3着だが、勝ち馬とは0秒4差。トランスナショナルとの比較がどうかだが、それ以外のメンバーでは能力上位。
ウインハピネスは、一昨年秋に大井から再転入後、笠松で12戦してすべて3着以内。昨年のオータムカップではロッキーブレイヴの3着で、今回は3カ月ぶりの実戦だけに逆転まではどうだろう。
テーオーエナジーは一昨年、中央オープンから兵庫に移籍し、初戦となった笠松・オータムカップで大差圧勝。さすがの実力を見せたが、その後は勝ち星なし。休み明けの前走特別戦でも10着だっただけに、どこまで調子を戻しているか。
同じく兵庫から遠征のコスモバレットは、重賞勝ちこそないものの、昨年の新春賞が3着で、今年は4着。北海道から兵庫に移籍した山本咲希到騎手が、この馬に初騎乗でどんなレースを見せるか。
このレース連覇のかかるナムラマホーホだが、その後は前走特別戦を勝ったのみ。昨年ほどの勢いは感じられない。
◎2トランスナショナル
○1ロッキーブレイヴ
▲4ウインハピネス
△6テーオーエナジー
△3コスモバレット
△7ナムラマホーホ
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