フレッシュチャレンジ勝ちで1戦1勝という馬が5頭いるが、中でもリーチのレースぶりが際立っていた。前半は好位馬群の中を追走していたが、直線を向いて抜け出すと、他馬を一瞬にして突き放す伸びがすばらしかった。上り3ハロンは36秒4だが、最後の400mは24秒を切るようなタイムで走っているのではないだろうか。1000メートルの勝ちタイム1分0秒5は、今シーズンここまでの2歳戦では最速。ただ5月下旬以降はだいぶ時計がかかるようになっているので、今の馬場状態で能力が発揮できるかどうか。
6月4日のウィナーズチャレンジは、直線を向いて先頭に立ったラジアントエンティに、3番手からサイダイゲンカイが追いかけ、交わせるような勢いではあったものの、ラジアントエンティがアタマ差で振り切った。3番手以下は離れており、やはりこの2頭の能力は高い。位置取り、展開次第でサイダイゲンカイは逆転可能と見る。
トウキョウボーイは、前走の2歳オープンでは直線残り200メートルからエイシンビッグボスとの追い比べとなって、最後は半馬身差で屈した。その厳しいレースを経験しての上積みに期待する。
フレッシュチャレンジを勝ったラッキードリームは、4コーナーで外に持ち出してからの直線での伸びが際立っていた。同じくフレッシュチャレンジで直線後続を寄せ付けなかったハートプレイス。ともに2戦目の上積みがあれば勝ち負けまで期待できそう。
◎9リーチ
○6サイダイゲンカイ
▲10ラジアントエンティ
△4トウキョウボーイ
△5ラッキードリーム
△8ハートプレイス
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東北優駿で9着に沈んだマイランコントルだったが、グランコージーのハナを叩いてハイペースとなっての共倒れ。ここは巻き返しのかかる一戦。ただ名古屋から再転入初戦となるエイシンハルニレもハナを主張するタイプ。2頭が競り合う展開となれば、笠松・新緑賞でエイシンハルニレの2着だったダルマワンサが展開的には有利になりそう。ここはおそらく控えて様子をうかがうダルマワンサを狙ってみたい。
ただマイランコントルのひとつ内枠に入ったエイシンハルニレがすんなり先頭でマイペースなら逃げ切ってしまう可能性もおおいにある。
ようはマイランコントルの出方次第。ただ同じ馬主のエイシンハルニレ&ダルマワンサ連合対、マイランコントルという争いになると、前者のほうが有利と見てこのような印になった。それでも能力的にはマイランコントルにもチャンスは十分ある。いずれにしてもこの3頭の勝負と見る。
レールガンは、ORO開幕特別でマイランコントルの3着、東北優駿でも展開に恵まれての3着があり、上位3頭のどれかが崩れたときの連下候補筆頭。
スターオブホープは前走がデビュー17戦目での初勝利だが、ここに来てようやく力をつけてきた。
◎9ダルマワンサ
○7エイシンハルニレ
▲8マイランコントル
△11レールガン
△5スターオブホープ
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このレース連覇のかかるタガノカピートは5月28日の820メートル戦を勝ち、登録にもあったので出ていれば当然人気の中心になるはずだったのが、回避となってしまった。
ダノングッドは中央オープンから南関東のオープンでも上位入着があった。そして高知移籍初戦となった前走A-2の1600メートル戦はまったく持ったままの楽勝だった。高知所属馬はこのレース過去に3回勝っており(一昨年は1着同着)、今回も期待できそう。なおコロナの影響で遠征を自粛していた金沢の吉原寛人騎手だが、都道府県境を越えての移動自粛要請が解除されたからということだろう、これが3月18日の大井以来、久々の他場遠征となる。
エイシンエンジョイは昨年のこのレースで2着のあと、笠松・園田で1400メートルの重賞を3勝と実績を重ねてきた。今回真ん中の7番枠だが、内にハナを主張しそうな馬もなく、すんなりハナをとれればそのまま押し切る可能性は十分。
スリングショットは前走でスタートからタガノカピートにぴたりと追走、直線では並びかける場面もあって3/4馬身差の2着。この距離での適性を示した。
そのレースで3着だったのがコンドルヒデオ。やや離れた3番手を追走して直線でも食い下がっており、前が崩れる展開になればチャンスはあるかもしれない。
中央1勝クラスから転入してA級の1230メートル戦で好走しているエレスチャルは上位に食い込めるかどうか。
◎6ダノングッド
○7エイシンエンジョイ
▲11スリングショット
△4コンドルヒデオ
△12エレスチャル
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地方競馬の各地に根ざした重賞レース名について紹介する第2回は、名古屋から(第1回はこちら)。
名古屋といえば、交流JpnIIIのレース名に採用された、かきつばた(杜若)は、愛知県の花。愛知県の公式サイトによると、在原業平が『伊勢物語』で、
から衣
きつつなれにし
妻しあれば
はるばる来ぬる
旅をしぞ思ふ
と、「か・き・つ・ば・た」の5文字を句頭に入れて読まれたところから、1954年に県の花に選定されたとある。
名古屋には、地名に由来する重賞レース名が、ほかには名港盃くらいしかないのがなんとも残念。
名古屋には、梅桜賞、若草賞、東海桜花賞、東海菊花賞など、季節ごとの木や花などのレース名が多く、また新春盃、梅見月杯、スプリングカップ、秋の鞍など、季節そのものを表すレース名も多い。
名古屋ではかつて年に2度、クラス別定の尾張名古屋杯というレースが行われていた。春はゴールデンウィーク、冬は大晦日の日程で、"年の終わりに尾張名古屋杯"というのはとても語呂がよかったのだが、2011年度からは大晦日ではなく正月に移行されてしまったのはなんとも残念だった。
笠松は、その土地にちなんだレース名が、見事にない(正確には、なかった)。お盆の時期に、くろゆり賞が行われているので、岐阜県の花なのかと思いきや、黒百合はなんと石川県の花で、岐阜県の花は、れんげ草だと。
(正確には、なかった)とカッコ書きしたのは、2018年にぎふ清流カップ、2019年に飛山濃水杯が新設された。地元以外の人にとっては何やらあまり聞き慣れない名称だ。
ぎふ清流カップは、美濃加茂市にある『ぎふ清流里山公園』から。もとは2003年にオープンした、昭和30年代の里山をイメージしてつくられた『日本昭和村』という公園だったのが、2018年に『ぎふ清流里山公園』としてリニューアル。それを記念して第1回の重賞が行われた。
一方の『飛山濃水』は、「わたしたちの岐阜県」という県のウェブサイトから引用する。
<南部の美濃地方は濃尾平野の一部である美濃平野を木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)が流れており、海抜0mの水郷地帯に及んでいます。このように、緑と水に恵まれている岐阜県は、古くから「飛山濃水(ひさんのうすい)の地」と呼ばれています。>ということでの飛山濃水杯。
ただかつては、飛騨地方には山が多く交通が不便、土砂災害や豪雪など自然災害が多く、また美濃の木曽三川では常に水害に悩まされるなどネガティブな意味で使われていた言葉だったのが、現在では岐阜県の自然や地形を表す言葉として使われるようになったとのこと。
笠松競馬場は、木曽三川のひとつ木曽川のほとり、河川敷にあるので、まさに飛山濃水というその地形を表す言葉は、重賞レース名としてふさわしい。
金沢では以前から行われている重賞に、伝統の古馬重賞・百万石賞と、2歳馬による兼六園ジュニアカップがある。
百万石賞は、『加賀百万石』とよく言われるように、加賀藩がいかに大きな大名であったかを示す言葉でもある。加賀から能登、越中を治める前田家は、外様大名ながら百万石を超える最大の石高があったとされる。
日本三名園のひとつ兼六園は(ほかは水戸・偕楽園、岡山・後楽園)、金沢城の外郭につくられた庭園。17世紀半ばから幕末まで200年ほどをかけてつくられた、加賀百万石の文化を伝える歴史的文化遺産とされている。
そして金沢競馬では昨年から今年にかけて、その地の歴史を感じさせる重賞がいくつか新設された。
昨年、牝馬重賞として新設されたのが、徽軫賞。「徽軫」を初見で「ことじ」と読める人はそうもいないだろうし、パソコンの変換でも出ない。徽軫は、兼六園のメインスポットでもある徽軫灯籠(ことじとうろう)から。徽軫灯籠という名称を知らなくても、写真を見れば「ああ、あれか」と思う人も多いのではないだろうか。
ちなみに金沢では2004年まで、アラブ系の重賞として、ひらがなの『ことじ賞』が行われていた。それと混同しないため、今度は漢字を使ったと想像するのだが、どうだろう。
さらに今年、利家盃、お松の方賞が新設された。歴史に興味のある方には説明の必要もないかもしれない。『利家』は、加賀藩主前田家の祖、前田利家のこと。『お松の方』は、利家の正室『まつ』のこと。利家盃が百万石賞のトライアル、お松の方賞が牝馬重賞(北陸・東海交流)となっているのは、ちょっと気が利いている。ちなみに2002年にはNHKの大河ドラマで『利家とまつ〜加賀百万石物語』が放映された。
さらに今年新設された3歳牝馬重賞にノトキリシマ賞がある。ノトキリシマはツツジの一種で、14世紀末ごろ九州のミヤマキリシマが能登へ渡ってノトキリシマとなったらしい。ちなみに佐賀競馬場では、九州産馬によるJRAとの交流重賞・たんぽぽ賞のトライアルとしてミヤマキリシマ特別が行われている。
また白山大賞典トライアルとして今年16回目となるイヌワシ賞のイヌワシは石川県の鳥。
金沢だけでだいぶ長くなってしまったので、さらに(つづく)。
百万石賞のトライアルとして新設された利家盃の再戦というメンバーで、別路線組にもこれといった有力馬がいないことから、利家盃の上位馬にどう順番をつけるか、ということになりそう。
その利家盃で人気も上位で1、2着となったサノサマー、ティモシーブルーは、レース序盤から先行集団でお互いを意識しながら、3コーナーでティモシーブルーが先頭に立つと、サノサマーが直線で難なくとらえて2馬身差。中央オープンから大井のオープン特別でも5着があったサノサマー優位は変わらないのではないか。
一方のティモシーブルーは、昨年のこのレースが重賞初制覇で、年末の中日杯も制した。ファストフラッシュが逃げてティモシーブルーが好位という、利家盃と展開はそれほど変わらないと思われ、サノサマーに対して 逆転するには早め単独先頭から押し切るパターンだろうか。
サウスアメリカンは、昨年11月の北國王冠で4着だったときは川崎からの遠征で、今年4月に金沢に転入。利家盃ではティモシーブルーを徹底マークで食い下がったが、直線で置かれてしまった。ただ、ペースや展開ひとつで勝負になりそう。
利家盃では直線外を伸びて3着に入ったトウショウデュエル、枠順的にも今回も逃げるであろうファストフラッシュらはどこまで食い下がれるか。
◎5サノサマー
○7ティモシーブルー
▲9サウスアメリカン
△8トウショウデュエル
△3ファストフラッシュ
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