昨年までは荒尾の九州ジュニアグランプリが未来優駿として行われていたが、荒尾競馬廃止にともない、今年から佐賀の九州ジュニアチャンピオンが未来優駿となった。
10頭立てで、そのうち6頭が東眞市厩舎。しかも同厩舎以外の馬は、前走すべて10月7日のシリウス特別で1秒以上の差をつけられて東厩舎のロマンチックに負けているという極端なメンバー構成。しかも。そのロマンチックが断然の存在かというとそうでもなく、ほかに4連勝、2連勝という馬がいるから、この2歳戦線の層の厚さはすごい。
それでもやはり距離やクラスの経験からすれば、ロマンチックが中心だろう。この距離の持ちタイムでも断然だ。東厩舎の6頭のうち5頭の前走に山口勲騎手が乗っていたのだが、その山口騎手がこのロマンチックに乗ってくるということでも期待をうかがわせる。
相手にはデビューから2連勝のクオーレフォルテ。2戦ともに後続を寄せ付けずという逃げ切りで、前走で1750メートル戦を経験しているというのも強みだ。
一角崩しがあるとすればカシノアルテミス。前走シリウス特別ではロマンチックに5馬身ちぎられたものの2着は確保。JRA小倉の芝1200メートルで5着という経験があるだけに、スピード勝負なら可能性はある。
まだ特別戦を経験していないが、6戦5勝、2着1回というオリンポスも気になる存在だ。
◎ロマンチック
◯クオーレフォルテ
▲カシノアルテミス
△オリンポス
JRA勢がすべて1勝馬で、しかもいずれも着外の敗戦があるというメンバーなら、3年ぶりに道営勢がタイトルを取り戻すチャンスだ。中でも出世レースの栄冠賞を勝ち、中央の芝でも勝利を挙げたシーギリヤガールが中心となろう。舞台が門別の1200メートル戦ならなお有利だ。
スピードならJRAのレディーが上手かもしれない。すずらん賞はシーギリヤガールの2着だったが、その後中山芝1200メートルのカンナステークスで、着順こそ4着だが1分8秒8という速いタイムを記録している。デビュー勝ちはダートで、あとは門別のコースが合うかどうか。
リリーカップで直線抜け出し、後続を寄せ付けなかったハニーパイも楽しみな存在。
そのほか、JRA勢では芝からダートに替って初勝利を挙げたヴェントスに、ダートに限れば3戦1勝2着2回のグランデタマ。
道営勢ではイノセントカップ2着トチノスカーレット、ダートでも中央の芝でも善戦を続けてきたベルフォーラヴらも力をつけていれば上位争いも。
◎シーギリヤガール
◯レディー
▲ハニーパイ
△ヴェントス
△トチノスカーレット
△ベルフォーラヴ
△グランデタマ
出走9頭中未勝利馬が4頭とは、ちょっとさびしいメンバー構成。調べてみると、第1回の4年前は未勝利馬の出走はなく、その後昨年までの3年間は未勝利馬がそれぞれ1頭だった。今年はちょっと特異な年なのかもしれない。
そんな中で、唯一の3勝馬で、しかも唯一連対を外したことがないエーシンクリアーの成績が目立つ。前走不良馬場とはいえ、1分29秒9という勝ちタイムは、過去4回のこのレースの勝ちタイムより速い。今回のメンバーでは抜けた存在だ。
そのエーシンクリアーに、唯一土をつけたのがトロイビーン。7月の姫路1400メートル戦では、直線で抜けだそうとしていたエーシンクリアーをとらえ力でねじ伏せた。勝ち星はその1勝のみだが、5戦して4連対と成績も安定している。
未勝利だが、リュウノタケシツウは4戦してすべて4着以内。しかも先着された馬で今回出走しているのは上記の2頭のみ。常に好位から粘りこむレースで、園田1400メートル戦のタイムもまずまずなだけに、ここで勝てなくても、勝利を挙げるのは時間の問題だろう。
デビュー戦を勝っているオレタチセッカチは、エーシンクリアーとの対戦では惨敗だったが、それ以外はまずまずの好走。3着争いにはからんできそう。
後方ままだった前走に目をつぶれば、前々走で勝利を挙げているフセノスズランにも可能性がありそう。
◎エーシンクリアー
◯トロイビーン
▲リュウノタケシツウ
△オレタチセッカチ
△フセノスズラン
ハカタドンタク、マンセイグレネード、ロックハンドパワーの3頭は、ここまでのところ勝ったり負けたりという力関係で、芝ならロックハンドパワーが一枚落ちることになりそうだが、今回はダートだけにどれという評価が難しい。デビューから2連勝のあと、惜しいところでなかなか勝ちきれないレースが続いているハカタドンタクを3頭の中では最上位にとる。今回は順番がまわってくるのではないかという、あまり根拠のない推測なのだが。
しかし、その3頭をまとめて負かす勢いがあるのがヴェルシュナイダーだ。1番人気に推された前走ビギナーズカップはゴール前半馬身まで迫ったが、10番人気のワタリルーブルに逃げ切りを許す結果になった。今回あらためてその実力を見せたいところ。菅原勲厩舎の重賞初制覇にも期待したい。
ワタリルーブルは前走のビギナーズカップが実力なのか、展開がはまったのか。ここは今一度様子見という評価としたい。
◎ヴェルシュナイダー
○ハカタドンタク
▲ロックハンドパワー
△マンセイグレネード
△ワタリルーブル
JRAからの転入馬が何頭かいて、また近走連勝かそれに近い成績の馬も多く、能力比較が難しい。
古馬との対戦でもまだまだ上を目指せそうなのが、MRO金賞で3着だったナムラプラトーンと同4着のアルドラ。春の北日本新聞杯はアルドラが1番人気にこたえて勝利し、対するナムラプラトーンは2番人気で8着と惨敗だったが、MRO金賞の結果や、その後に黒星がないことからもナムラプラトーンがここにきて力をつけていると見る。重賞初制覇のチャンスだ。
前々走で古馬A3特別勝ちがあるアルドラが格付けでは最上位。2歳時から重賞戦線で活躍を続け、とはいえ重賞で勝ちきれないレースも少なくない。
金沢生え抜きで底を見せていない怖さがあるのがパープルキング。今年5月とデビューは遅かったが、デビューから8戦して6勝、2着2回というほぼ完ぺきな成績。前走初距離だった1700メートル戦も4馬身差圧勝。さらなる距離延長でも期待できそうだ。
ナウンステージは、中央未勝利から転入して3歳の下級条件を圧勝したのみ。メッセージも中央未勝利から転入して3歳条件戦を3連勝中。同じく中央未勝利から転入のナムラヒーローは、転入当初はまったくいいところがなかったが、その後は12戦連続連対中。いずれの馬も金沢では同世代のトップクラスとの対戦はないが、上位に食い込むチャンスはありそう。
◎ナムラプラトーン
○アルドラ
▲パープルキング
△ナウンステージ
△メッセージ
△ナムラヒーロー