今年は夏のJRA北海道シリーズの番組が大幅に変更され、それにともなって道営の2歳馬がJRAに挑戦するローテーションや出走資格にも変更があった。7月14日のJRA函館2歳ステークスへは、6月14日と27日のウィナーズチャレンジ、そしてこの栄冠賞、それぞれの1着馬に出走権が与えられる。
経験の浅いこの時期の2歳馬だけに比較は難しいが、アウトジェネラルのデビュー戦は圧巻だった。直線だけで楽に後続を突き放し2着馬に大差(2.1秒)をつける圧勝。ノーザンファームの生産で、父アドマイヤドン、おじにカネヒキリがいるという血統からも、ダートでの活躍が期待できそうだ。
相手にはシーギリヤガール。直線持ったままで先頭に立ち、楽に突き放したこの馬のレースぶりも印象的だった。父スターリングローズで、祖母がダービー卿チャレンジトロフィーを勝ったオギティファニーというスピード血統だ。
コルチナも生産がノーザンファーム。不良馬場とはいえ、今年の馬場を考えれば1200メートル1分13秒4は優秀だ。
ニイカップクイーンは、ウィナーズチャレンジは4着に敗れたものの、デビュー戦のフレッシュチャレンジは楽に逃げ切って9馬身差をつけての圧勝だった。そのスピードなら巻き返す可能性はある。
ラブキンゾウのデビュー戦も直線後続を突き放しての楽勝。ブラックタイドの初年度産駒としても注目度は高い。
◎アウトジェネラル
◯シーギリヤガール
▲コルチナ
△ニイカップクイーン
△ラブキンゾウ
出走8頭中7頭が6月3日のライラック賞に出走していたというメンバーで、負担重量もそのときから全馬が50キロ増。
そのライラック賞は、4頭ほどがほぼ同時に障害を先頭でクリアした中から、トップハンデのオイドンが抜け出しての完勝。1頭だけキャンターのように走っていたのが印象的だった。しかも2着が、今回は不出走だが、メンバー中最軽量でオイドンより60キロも軽いヘイセイオトメだけに、オイドンの強さが際立った。ここは再びオイドンの舞台となりそうだ。
同じメンバーで何度かレースをすれば、その都度着順が変わりそうで難しいメンバーだが、ライラック賞は1番人気に支持されながら7着に敗れたレットフジが相手筆頭。続く前走B1級で差のない2着と、やはり力はある。
ライラック賞で2着争いを演じた牝馬のブラックパール、アアモンドマツカゼも軽ハンデを生かせば好走が期待できそう。
以下は難しいが、タッピイサム、フナノコーネルあたりが3着に入って穴候補。
◎オイドン
○レットフジ
▲ブラックパール
△アアモンドマツカゼ
△タッピイサム
△フナノコーネル
福山のこの世代は、クーヨシンかアグリノキセキかという争いだが、ここは高知から単騎遠征のクロクモに期待。中央未勝利、しかも最高の着順が8着という成績だったが、高知に移籍後、高知と福山で、いずれも一方的なレースで連勝。1番人気に期待された高知優駿は残念ながら見せ場をつくれず6着。転入後2連勝のレースぶりからは、高知優駿での惨敗はとても実力とはいえず、一度経験したコースでもあり、あらためて期待したい。
福山ダービーは先手をとったアグリノキセキがクーヨシンに5馬身差をつけて圧勝。クーヨシンの出負けもあって、アグリノキセキにとってはすべてがうまく運んだレース。積極的に他地区に遠征もしているクーヨシンをもう一度上にとる。
モリデンヴィーナスは3歳1組から古馬C1級で4連勝中、同じく3歳1組から古馬C1級で6戦連続連対中のホッカイキコチャンらが力をつけているが、格付け的にもクーヨシン、アグリノキセキとはまだまだ差がありそう。
◎クロクモ
○クーヨシン
▲アグリノキセキ
△モリデンヴィーナス
△ホッカイキコチャン
なんと!岩手ダービーダイヤモンドカップを制したばかりの3歳馬アスペクトが、この時期に古馬重賞に挑戦してきた。もし勝てば、3歳馬によるみちのく大賞典制覇は史上初のこととなる。ただし舞台は水沢。盛岡ダートでは8戦全勝だが、水沢では金杯でのまさかの惨敗があった。はじめての古馬一線級との対戦でもあり、ここは相手候補まで。
中心は、昨年の3歳チャンピオン、カミノヌヴォー。昨年のこの時期は南関東に所属していて岩手ダービーダイヤモンドカップには出走せず。しかし岩手に戻って不来方賞とダービーグランプリを制したばかりか、桐花賞で古馬をも一蹴した。その活躍からすると今季の3戦は案外の結果だが、2000メートルに距離延長のここで復活と見る。
相手にはトーホクキング。格上挑戦だった桐花賞こそ4着だったが、その後は連対を外さず、当然のようにA級まで出世してきた。あすなろ賞は惜しくもオウシュウサンクスにアタマ差2着に敗れたが、前走1番人気に支持されたA級戦でツカサゲンキと同着優勝。重賞初制覇も狙える。
オウシュウサンクスはB1級から6連勝であすなろ賞を制した。勢いならこの馬が一番。
冒頭でも触れた3歳のアスペクトだが、初の古馬との対戦もあるが、3コーナーからびっしり叩き合った岩手ダービーダイヤモンドカップから中2週で、その反動も心配なだけに△まで。
桐花賞2着だったコアレスランナーは、昨年11月から8戦連続で3着を外さない堅実な成績。
今季中央から転入したツカサゲンキは、ここにきて2連勝と調子を上げてきた。ただその連勝が盛岡コースで、その前の水沢での2戦は4、7着という成績だっただけにコース適性に疑問が。
◎カミノヌヴォー
○トーホクキング
▲オウシュウサンクス
△アスペクト
△コアレスランナー
△ツカサゲンキ
ラブミーチャンが万全の状態なら、何かアクシデントでもない限りまず負けることはないだろう。かきつばた記念JpnIIIでは、今やダート短距離では無敵とも思えるセイクリムズンと真っ向勝負で3着。出走予定だったさきたま杯JpnIIは、追い切り後に跛行が見られて回避。しかしそれほど深刻な状況ではなかったようだ。トライアルのハナ差決着がキングスゾーン、ニシノコンサフォスで、その2頭は昨年差をつけて楽々と負かしている。ともに年齢的に上がり目があるとは思えず、このメンバーならスピードが1枚も2枚も違う。
相手にはキングスゾーン。前走のトライアルは、4コーナー外を回って4番手とやや不利なところからニシノコンサフォスとの叩き合いを制した。ラブミーチャンを負かしに行くなど無理をしなければ2着は確保できる。
新興勢力では、B級で3連勝中のフィールドポップに期待。前走800メートル戦は、小雨の良馬場ではあるが、トライアルのキングスゾーンの勝ちタイムを0秒6上回っている。
昨年、ラブミーチャンに4馬身差の2着だったニシノコンサフォスが12歳になってどこまでやれるか。
ダイアエンパイアは、金沢では上級クラスになると短距離戦がほとんどないのが厳しいところ。前走はそれゆえの北海道スプリントカップJpnIII遠征だったのではないか。中央時代はダート1200メートルを中心にオープンで活躍。この距離で一発という場面もあるかもしれない。
◎ラブミーチャン
○キングスゾーン
▲フィールドポップ
△ニシノコンサフォス
△ダイワエンパイア