昨年のこのレースを見ると、実力よりもいかにスタートダッシュを決めるかどうか、そして超短距離に適性があるかどうかで決まったように思う。
ここは佐賀のガルホームが勝負になるのではないか。3歳ながら前走は北海道スプリントカップJpnIIIに遠征し、スタートでそれほど気合を入れることなく2番手につけ、3コーナーからサマーウインドがハナを奪ったハイペースながら、直線まで2番手をキープした。結果、9着に敗れたが、そのときと同じ53キロで、今度は地方馬同士の争い。2ハロン近く短くなる距離なら、最後までもたせられるのではないか。長距離輸送と連闘の影響がなければだが、中央の一線級と走った経験は生きるはず。
相手には園田1230メートルで2戦2勝のタガノブリガデイロ。一昨年、昨年と兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIに出走し、ともに勝ち馬から1秒以内の差。昨年の4月以降、連対を外したのはダートグレードの2戦のみと安定感も抜群だ。
スタートダッシュならエイシンマロニエも抜群。ここ2戦ともに4コーナーまで楽な手ごたえで直線突き放し、1230メートル戦を連勝。兵庫に移籍してからの成績を見るとムラがあるように見えるが、惨敗は1400メートル戦で、1230メートル戦に限れば馬券圏内を外していない。
高知から遠征の2頭、シーアクロス、ブレーヴキャンターは、それぞれ福永洋一記念3、4着で、このメンバーに入ってどこまでやれるか。ここ2戦でエイシンマロニエの2、3着に好走しているダイワデュークも1230メートル戦で好成績を残している。
◎ガルホーム
○タガノブリガデイロ
▲エイシンマロニエ
△シーアクロス
△ブレーヴキャンター
△ダイワデューク
昨年末以前にこのメンバーであれば、迷うことなくカネサブラックが中心だっただろうが、帯広記念を勝って以降は、かつてないほどの不振に陥っている。
そこで狙ってみたいのは、調子を取り戻してきたナリタボブサップ。長期休養から昨年11月に復帰し、当初はオープンの下のクラスでも精彩を欠くレースが多かったものの、年明けからはオープン1組でも互角の勝負をしている。前走大雪賞は、障害を先頭で越え、ホクショウダイヤに交わされたものの最後までバテることなく接戦のゴールだった。ホクショウダイヤとは前走5キロ差だったのが、今回は10キロ差。この重量なら、今の調子なら早め障害から押しきれる。2010年12月のドリームエイジカップ以来の重賞制覇に期待したい。
とはいえ目下絶好調のホクショウダイヤも怖い存在。今季は、ばんえい十勝オッズパーク杯こそ2着に敗れたものの、それ以外は3戦3勝。今年2月のチャンピオンカップが9歳にしての重賞初勝利で、今が充実期なのかもしれない。
カネサブラックは、チャンピオンカップで9着に敗れて以降、勝ち星どころか2着もない。とはいえ、ここ3戦は連続して3着。特にここ2走は勝ったホクショウダイヤとほとんど差がなく、復調気配は見える。
キタノタイショウは、前走大雪賞こそ5着に敗れたものの、それまでは上記3頭と常に差のないレースを続けているだけに力的に差はない。
710キロでばんえい十勝オッズパーク杯を制したホッカイヒカルは、この重量で、しかも別定10キロ増でどこまでやれるか。
◎ナリタボブサップ
◯ホクショウダイヤ
▲カネサブラック
△キタノタイショウ
△ホッカイヒカル
金沢の古馬2強、ナムラダイキチとジャングルスマイルが、スプリングカップ以来の対戦となる。
その間、ジャングルスマイルは笠松のオグリキャップ記念に遠征、輸送を克服して見事逃げ切り勝ち。ライバルと目されたタートルベイがうしろからの競馬で、ナムラダイキチのように早めに競りかけくる馬がいなかったため、楽にレースを運べた。今回は手の内を知られているナムラダイキチが相手だけに、楽な競馬にはならないだろう。ナムラダイキチの7連勝の可能性は高いと見る。
タートルベイが2頭の間に割って入れるかどうか。前走から再び金沢に戻り、今度はジャングルスマイルと同じ金田一昌厩舎の所属となった。吉原寛人騎手が長期の南関東遠征から戻ってきたが、さすがにジャングルスマイルはオグリキャップ記念を勝った平瀬城久騎手を替えるわけにはいかなかったのだろう、吉原騎手はタートルベイの鞍上となった。その鞍上がジャングルスマイルを知り尽くしているだけに、ナムラダイキチが早めに動いてジャングルスマイルをつぶしにかかれば、タートルベイが食い込むチャンスも。
前走でタートルベイを負かしているヒカルプリンス、下級条件からの上がり馬マイネルブラジリエらは3着候補。
◎ナムラダイキチ
◯ジャングルスマイル
▲タートルベイ
△ヒカルプリンス
△マイネルブラジリエ
中央勢に確たる中心的存在がなく、かといって残念ながら地方勢にもダートグレードで勝負になりそうな馬が見当たらず、中央4頭の争いではあろうが、狙いどころを絞るのは難しい。
ここはそろそろ復活を期待してサマーウインドから。59キロは楽ではないが、今やダート短距離ではほ無敵のセイクリムズン不在の今回のメンバーならチャンスはある。JBCに向けてここらあたりで勢いをつけたいところ。
セレスハントは、一昨年佐賀のサマーチャンピオンJpnIIIを制して、昨年は東京スプリントJpnIIIを制した。ダートグレード勝ちがあるのはサマーウインドとこの馬だけ。ムラ駆けな部分があって馬券的には狙いにくい馬だが、東京スプリントの大井と似たようなコースで力を発揮する。
タイセイレジェンドは、3走前に中山ダート1200メートルの千葉ステークスを勝利し、その後1400メートル戦を2戦続けて着外。とはいえダートグレードでも好走歴があるので、巻き返せるかどうか。
トウショウカズンは、昨年11月の準オープン勝ち以降、フェブラリーステークスを別とすれば、ダート1400メートル戦で6戦連続3着以内。前走さきたま杯JpnIIはスタートで出負けして自分のレースができなかったが、先手をとってマイペースならチャンスはある。
地方勢は実績的に厳しいが、2歳時とはいえ中央勢相手に好走があり、51キロの軽量で、まだ若い3歳ゆえ上積みがあればロクイチスマイルに上位に食い込む余地があるかどうか。
◎サマーウインド
◯セレスハント
▲タイセイレジェンド
△トウショウカズン
△ロクイチスマイル
中央から転入して2連勝のクロクモがまだ底を見せていない。初戦の1400メートル戦は早め先頭から大差圧勝。福山に遠征した2戦目の1600メートル戦でも3コーナーから後続をみるみる離すと、直線はほとんど流すような感じでのゴール。2着とは7馬身差だが、力差がそれ以上であることは間違いない。どちらも条件戦だが、まだまだタイムを詰めてくることはことは確実で、黒潮皐月賞の上位組とも十分に勝負になりそう。
ドンスキマーは、黒潮皐月賞では4コーナーで1番人気のヒロカミヒメをとらえると、直線で後続を突き放した。そのレースぶりから、距離が伸びればさらに力を発揮しそう。
ヒロカミヒメは黒潮皐月賞は3着だったが、直後でドンスキマーにつつかれる厳しい展開。1900メートルは全馬にとって初めての距離だが、ヒロカミヒメは古馬相手のマイル戦で3連勝。距離延長でその経験が生きる。
黒潮皐月賞2着のマンボフィーリングは、高知では12戦していずれも3着以内という安定勢力。門別では1700メートルも経験しているだけに、距離延長も心配ない。
ハナニナレは、道営未勝利から転入して3月と4月に勝利。それを含めここ5戦は、いずれも3着以内で、負けても勝ち馬からコンマ5秒差と安定した成績。1300メートルまでしか距離経験がないのは不安だが、穴を狙うならこの馬か。
◎クロクモ
◯ドンスキマー
▲ヒロカミヒメ
△マンボフィーリング
△ハナニナレ