昨年、このレースを単勝1.2倍の圧倒的人気にこたえて制したセイクリムズンは、しかしその後はしばらく勝ち星に恵まれず、負のスパイラルに入ってしまったかのようだった。それでも今年の黒船賞JpnIIIで昨年のこのレース以来久々の勝利を挙げると、東京スプリントも連勝と勢いを取り戻した。JRA勢は東京スプリントからスーニが抜けただけというメンバーだけに、負けられない一戦。
相手には約4カ月ぶりの実戦になるがラブミーチャン。昨年は直線まで逃げ粘ったものの、セイクリムズンにあっさり交わされると、ミリオンディスクにもゴール寸前でとらえられて3着だった。昨年と同じ52キロでもあり、マイペースで逃げてどこまで粘れるか。
セレスハントは好走と凡走を繰り返し、忘れたころにポツポツと勝つタイプ。それゆえ通算10勝のうち1番人気での勝利は2度しかない。そればかりか4番人気以下での勝利が6回もある。狙い続けて高配当をもたらしてくれるタイプ。
60キロを背負うスーニは登録のみで回避したが、サマーウインドは60キロでも出走してきた。基礎重量54キロに、GI(JpnI)勝ち馬のプラス5キロ、それに重賞勝利数でさらに1キロ加算されての60キロ。庄野調教師によると、ほかに使うようなレースもなく、今年はJBCの開催が川崎で、JBCスプリントが1400メートルで争われるために、そこに向けてということのようだ。それにしてもセイクリムズンと3キロ差はいかにも厳しい。
エーシンクールディは、4か月ぶりとなった前走東海桜花賞で外枠からやや強引にハナを奪って3着。ダートグレードの経験も豊富で、ひと叩きの上積みがあれば馬券圏内も。主戦の岡部誠騎手が怪我で休養中につき、前回は兵庫から木村健騎手が呼ばれたが、今回は所属する笠松の尾島徹騎手が手綱をとる。
ジーエスライカーは、ラブミーチャンと何度か対戦してハナを叩けるほどスタートダッシュは抜群。昨年のさきたま杯JpnIIでは2着に逃げ粘った経験もある。今回は4番枠で、同型のエーシンクールディやラブミーチャンがさらに外にいるだけに、楽にハナを奪えるかもしれない。
ナイキハイグレードの名を久しぶりに見た気がする。09年の羽田盃を制し、昨年のかきつばた記念JpnIII(6着)のあと高知に移籍。今年3月に復帰して下級条件を3連勝中。いきなりここで通用するかは難しいが、高知所属での出走で、船橋から川島正太郎騎手がわざわざ呼ばれての騎乗にはちょっと驚いた。
◎セイクリムズン
○ラブミーチャン
▲セレスハント
△サマーウインド
△エーシンクールディ
△ジーエスライカー
オオエライジンが、ゴールデンウィークに行われる伝統の一戦に満を持して出走してきた。中央馬相手に堂々の1番人気で臨んだ佐賀記念JpnIIIは、3コーナーから逃げたタカオノボルをとらえにいき、そのタカオノボルが直線まで粘ってくれたので、オオエライジンにとっては遊ぶこともなく勝ちパターンになったかに思えたが、意外にも直線伸びずに後退して5着。とはいえ、勝ったピイラニハイウェイから0秒3差。あらためてダートグレードのタイトルを目指すためにも、ここらあたりで負けるわけにはいかない。
パーフェクトランは9歳だが中央準オープンから転入して3連勝で六甲盃制覇。園田コース得意で連覇をめざしていたマルヨフェニックスを1馬身差でしりぞけての勝利だった。今度はオオエライジンに真っ向勝負を挑む。
連覇を狙うのはレッドゾーン。重賞タイトルは昨年のこのレースのみだが、地元園田での重賞に限れば掲示板をはずしたのは姫山菊花賞のみと常に好走。後方から直線に賭けるタイプだけに、展開次第でチャンスも。
エリモアラルマは、中央1000万から転入して5着のあとA2からA1で3連勝中。初めての重賞でどこまでやれるか力試しの一戦。
新春賞を制したクールフォーマは、2400メートルの六甲盃で8着と惨敗。前走A1特別はエリモアラルマに3馬身差をつけられての勝利だけに、連下争いに加われるかどうか。
◎オオエライジン
○パーフェクトラン
▲レッドゾーン
△エリモアラルマ
△クールフォーマ
重賞実績馬や古馬との対戦で好走している馬など、地区限定重賞としては高いレベルで混戦となりそう。
重賞初勝利を狙うノゾミカイソクから。新春ペガサスカップで2着。さらにスプリングカップでも兵庫から遠征のエーシンユリシーズにゴール前で半馬身まで迫っての2着は見せ場をつくった。前走、古馬A4・B1特別3着は、メンバー中もっとも高い格付けでの好走だけに評価できる。
アウヤンテプイは、ゴールドジュニアを圧勝して1番人気で臨んだ前走新緑賞は、3頭の競り合いで僅差の2着。デビュー戦を除けば勝ち馬から離されての敗戦は中央のデイリー杯2歳ステークスと船橋の平和賞のみ。同世代同士の地区重賞では常に勝ちを意識できる存在。前走先着されたマイネルセグメントに雪辱を果たしたいところ。
3番手には、そのマイネルセグメント。2歳時のライデンリーダー記念に続いて新緑賞と重賞をすでに2勝。東海地区の今年の3歳はまだまだ混戦なだけにここでリードしたいところ。
オーリーライアンのタイトルは2歳時のゴールドウィング賞。それより前の金沢・兼六園ジュニアカップでは5着に敗れたものの、それ以外はオール連対。まだ底は見せていない。
ブライトシンプーは、重賞ではやや苦戦が続いてきたが、ここに来て古馬B4戦からB2特別を連勝。確実に力をつけている。
ヴィグラスサウンドは、スプリングカップでは6着だったが、その後は3歳1組特別で2、1、1着。力をつけていれば上位争いも。
◎ノゾミカイソク
◯アウヤンテプイ
▲マイネルセグメント
△オーリーライアン
△ブライトシンプー
△ヴィグラスサウンド
地元兵庫勢のこの世代は2頭の期待馬がいて、ここでの直接対決が期待されたのだが、両馬ともに姿を見せずちょっと、いや、かなり残念。菊水賞を勝ってデビューから5戦全勝としたポアゾンブラックは、常に脚元の不安がつきまとい、まだ目いっぱいに仕上げられたことがないという。ここで無理せず、目標は兵庫ダービーとのこと。中央1戦1勝から2歳時に転入し、園田ユースカップ、名古屋・スプリングカップと連勝したエーシンユリシーズは、菊水賞の直前追い切りで骨瘤が出てしまった。現在は放牧に出ていて、復帰は未定とのこと。そのほかの地方勢は、笠松・名古屋からの遠征も含めて重賞実績に乏しく、中央勢同士の争いとなりそう。
初ダートになるが、前走皐月賞10着からの挑戦になるスノードンに期待したい。2歳時には未勝利戦でのレコード(基準タイム)勝ちに続き、萩ステークスは最低人気での勝利。上り33秒9というキレる脚を見せた。朝日杯フューチュリティステークス以降は重賞のみを使われ、京成杯の5着が最高という成績だが、今回のメンバーでは、経験、能力という面では抜けているはず。あとはダートと小回りをこなせるかどうか。
ダート実績では、オースミイチバンが一番。未勝利での大差勝ちに続き、500万下でも好位から抜け出して楽勝。ともに1800メートル戦だったというのもプラス材料。過去の傾向では、ダート実績でナンバー1でも、小回りコースにとまどったりで意外な凡走も少なくない。しかしそれさえ克服できれば圧勝まである。
エイシンキンチェムは、鞍上の岩田康誠騎手に期待。あらためて言うまでもなく、園田コースは庭のようなもの。昨年も伏兵のエーシンブランを逃げ切りで勝利に導いた。
タイセイシュバリエは、前走初ダートの500万下を勝利。クロフネ産駒はダートでの活躍馬も多く、今後ダートでさらに力を発揮する可能性はある。
プーラヴィーダは、2歳時にダートで2勝。とはいえ、ここ2戦のダートオープンでは7、10着と結果を残せていないだけに、あまり強くは推せない。
◎スノードン
◯オースミイチバン
▲エイシンキンチェム
△タイセイシュバリエ
△プーラヴィーダ
クラス別定の重賞で、以前は斤量差を生かしてB級からも勝ち馬が出ていたが、09年の年末からは5回連続でA級格付け(牡57kg、牝55kg)の馬が勝利。今回もB級C級に勢いのある馬がなく、A級の実績馬が中心となりそうだ。
重賞実績のあるミサキティンバーが中心。4歳になった今年、ダートグレードはともかく梅見月杯はブービー10着に敗れているが、A2特別では勝利を挙げるなど常に上位争い。今回のメンバーに入れば威張れる実績だ。
注目は7連勝中のエーシンサンダー。2010年に中央未勝利から転入し、着実にクラスを上げてきた。3走前のB2戦で6馬身差、2走前のB1特別で7馬身差と2走連続で圧勝し、前走初のA級挑戦となったA3特別、JRA500万クラスとの条件交流では、好位から4コーナーで先頭に立って押し切る完勝といっていいレースぶり。ここ数戦で確実に力をつけており、さらに上のクラスでも勝負になりそうだ。
デジタルゴールドは、重賞ではやや荷が重いが、前走A3特別を5馬身差で圧勝。実力的には見劣りしない。実際に4走前のJRAとの条件交流は3着で、ミサキティンバー(5着)に先着している。
セイピーシーズは、今年1月2日に行われた尾張名古屋杯で大接戦の2着。その後A3特別での勝利もあり、A2特別でも上位争い。1600メートルの距離でも結果を残している。しかし今回は、前回のこのレースよりも相手は手強そう。
モエレウェバリングは、前走B2の一般戦で勝利したが、特別戦となるとやや苦戦。斤量差を生かしてどこまで食い下がれるか。
◎ミサキティンバー
◯エーシンサンダー
▲デジタルゴールド
△セイピーシーズ
△モエレウェバリング