人気はカネヒキリに集中するだろうが、馬券的な妙味もふまえてシルクメビウスを狙ってみたい。前走、雨の不良馬場、京都ダート1900メートルで行われた東海ステークスGIIは、直線1頭だけ他馬と違う脚色で追い込んでの差し切り勝ち。さすがに昨年のジャパンカップダートGIでも2着に突っ込んできただけのことはあった。東海ステークスで強い勝ち方をしたにもかかわらず、帝王賞では補欠1番ながら除外されてしまったのがなんとも残念。それだけに今回こそはという意気込みだろう。
カネヒキリは14カ月ぶりの実戦となった帝王賞JpnIでフリオーソの2着と激走。相手の軽くなったマーキュリーカップJpnIIIは圧勝だった。ただ盛岡のダートコースは実力差以上に着差のつきやすいコース。それに加え、カネヒキリ以外の中央馬の凡走が目立ったっだけに、あの圧勝をそのまま評価するのはちょっと危険なように思う。
シルクメビウスにとっては、東海ステークスの調子を維持しているか、さらに上向きであればカネヒキリを負かせる可能性は十分にあると思う。
マイネルアワグラスは、2000メートル前後のダートグレードで常に好走も、勝ち星は08年11月のブラジルカップ以来遠ざかっている。上記2頭に割って入るのは難しそう。ただ3連単の3着争いでは筆頭だ。
船橋に転厩したアドマイヤフジは、規定により帝王賞には出走できず、その2日後に行われた武蔵野オープンで2着。転厩してダート2戦目での変わり目があれば上位に食い込んでくる力はありそう。
ロールオブザダイスは年明けの平安ステークスGIIIで強い勝ち方を見せたが、ここ3戦、地方に遠征してのダートグレードはいずれも勝ち馬から1秒以上の差をつけられての敗戦。そのレースぶりから馬券圏内は難しそうだが、人気薄で好走するという意外性があるので注意は必要だ。
◎シルクメビウス
○カネヒキリ
▲マイネルアワグラス
△アドマイヤフジ
△ロールオブザダイス
1勝馬同士の争いだけに、難解な一戦。
シルバーラビットのデビュー戦は、スタートしてすぐにハナを奪うと、道中は何度か後続との差を測りながら、直線は楽に突き放して5馬身差の勝利。
イチバンボシは、好ダッシュから一旦は単独でハナに立ったが、3~4コーナーで後続を引きつけ、直線を向くと再び徐々に後続を突き放していくという味のある勝ち方。
マニエリスムは、やや離れた4番手を追走し、4コーナーから目一杯に追い出されると、直線ではぐいぐいと伸びて2着馬を9馬身も突き放した。まだまだ力を出し切っていない感じで、距離的にはもっと長いほうがいいように思える。
スクランブルエッグは、スタートこそあまりよくなかったものの、ハナを奪ってマイペースに持ち込むと、直線はそれほど強く追われることなく完勝。
以上、フレッシュチャレンジ勝ちで臨む4頭ともに伸びしろがありそうで、どれが勝つかは難しいが、着差は別として、もっとも余裕を持って勝ったように見えたシルバーラビットを最上位とする。
2戦以上経験している馬では、前走の1000メートル戦を、重馬場とはいえ1分を切るタイムで勝ったダークリバースを挙げておく。
◎シルバーラビット
○イチバンボシ
▲マニエリスム
△スクランブルエッグ
△ダークリバース
アルドラゴンは佐賀のサマーチャンピオンJpnIIIでも選定馬になっていたのだが、確勝を期してか、こちらにまわってきた。サマーチャンピオンは過去5年で地方馬が1勝、2着1回、3着2回と、地方馬が上位に食い込むことも可能なレース。アルドラゴンのハンデが55キロと発表されていたので、これならと期待していたのに、ちょっと残念だった。そのアルドラゴンは、昨年7月から12戦して9勝、2~4着が各1回という成績。4着は、その中で唯一のダートグレード黒船賞JpnIIIで、キングスゾーンに先着して地方馬最先着。今回、59キロは楽ではないだろうが、実績的には負けられない一戦。木村健騎手にとっては腰痛のため長期戦線離脱して手綱が戻ってきた一戦で、地元戦でもあり、きっちり勝っておきたいところだろう。
バンバンバンクは、前走の神戸ビーフ特別では向正面からまくって勝ちパターンに持ち込んだが、57キロの斤量もあり、直線伸びずに5着に敗れた。今回も56.5キロが微妙だが、アルドラゴンを別とすれば十分に勝ち負けになっていい相手関係。
ハンデ戦だけに、軽量52キロで狙ってみたいのはランスロットル。中央2勝から転入して3連勝のあと、前走A2特別で2着。距離的には、中央で芝1800メートルを一度使ったことがあるだけなので微妙だが、ハナを奪ってマイペースに持ち込み、粘り込みたいところ。
同じく中央からの転入組、マルサンチーフは転入後4戦3勝。一度の敗戦は、福山・西日本グランプリの4着。前走、今回と同じ園田1700メートルのA2特別で7馬身差の圧勝だっただけに、ハンデ54キロなら上位争いも可能だろう。
同じく54キロのタマモリターンも、前々走A2特別を勝ち、前走A1特別でキヨミラクルの2着。その2戦ともに園田1700メートル戦だっただけに、距離的な実績は十分。
ゲイリーディライトは、前々走の園田フレンドリーカップであわやというところまで粘ってアルドラゴンの2馬身差2着。しかし近走は1700メートル以上の距離で成績を残していないだけに、今回は見送りが妥当だろう。
◎アルドラゴン
○バンバンバンク
▲ランスロットル
△マルサンチーフ
△タマモリターン
レコード決着だった函館のラベンダー賞。ホッカイドウ競馬からの参戦では、ヤマノラヴがハナ、ハナの差で惜しい3着だった。それは単に惜しいという言葉で片付けられるものではなく、地方馬にとっては2着なら函館2歳ステークスに出走できただけに、あまりに大きなハナ差だった。そのヤマノラヴは、ラベンダー賞出走のホッカイドウ所属馬の中では、栄冠賞でもっとも下の着順だっただけに、やはり芝とダートは別物なのだなあと、あらためて思わされた。
で、今回狙ってみたいのはキモンレッド。ラベンダー賞では、やはり芝のペースにはついていけいなのかというレースぶりだったが、上がり3ハロンは4着のタイセイファントムと並んでメンバー中最速の34秒5。着順は10頭中9着で、レースぶりもいかにもサウスヴィグラス産駒らしい、やっぱり芝はダメかというものだった。しかしラベンダー賞で経験したペースと上がりタイムは、ダートに戻ってこそ生きてくるだろう。
デスティニーホープもラベンダー賞では34秒6という上がりをマークして6着。栄冠賞もラベンダー賞もキモンレッドに先着しているが、ここは血統的な面からキモンレッドのほうを上にしてみた。
新興勢力では、ラスワロフスキー、エクアトール、ソワールなどが前走JRA認定レースを好タイムで勝ってきているだけに、上位争いにからんでくる可能性も十分。
今回のメンバーで栄冠賞最先着はマツリバヤシの3着だが、芝の速いペースを経験していないぶん、狙いを落とした。
◎キモンレッド
○デスティニーホープ
▲ラスワロフスキー
△マツリバヤシ
△エクアトール
△ソワール