枠順を一目見て、あきらかにウイニングウインドの実績が抜けている。ダートグレード以外の重賞なら常に人気になる存在であることはわかっているが、重賞を7勝もしているとは思わなかった。しかもこの距離9戦して6勝、2着1回、3着2回というほぼ完璧な成績。よほどのアクシデントでもない限り負けるわけにはいかないという一戦だろう。
相手は展開次第でどの馬にもチャンスがありそうだが、好調度でトミノダンディ。前々走、前走とA級4組を連勝。オープンクラスで勝ち負けという馬がウイニングウインド以外ではほとんどいないだけに、このあたりのクラスで連勝していれば十分勝負になりそうだ。ただ、おそらく逃げるのはこの馬だろうが、ウイニングウインドに早めに来られてつつかれるようだと厳しい展開になるかもしれない。
オープンクラスで好走しているのがエイシンセイテン。笠松に移籍後5戦、前々走川崎遠征は9着だったが、それ以外の笠松・名古屋での4戦はいずれも4着以内。3走前にはA1の東海クラウンも勝っている。2着候補はトミノダンディかこの馬だろう。
ヒロショウグンは笠松に転入後5戦して4着が最高という成績だが、東海ゴールドカップ6着、白銀争覇5着のときより、ウイニングウインドを別格とすればメンバー的には軽くなっているだけに、3連複・3連単の3着なら十分可能性はある。
◎ウイニングウインド
○トミノダンディ
▲エイシンセイテン
△ヒロショウグン
馬券的にはどうだろう。ウイニングウインドからトミノダンディ、エイシンセイテンへの2点でプラスになるのかどうか。3連単の3着に穴を狙うという手もあるかもしれない。
ばんえい競馬は、4月から翌年3月までが1シーズン。各世代、各クラスの中で、4月のシーズンスタートから終盤に向けて負担重量がだんだんと重くなっていく。
イレネー記念は明け3歳馬による重賞だが、1シーズンを通してみれば、このシーズンにデビューした、いわば2歳シーズン最後の大一番となる。
かつてはナナカマド賞、ホクレン賞、そしてこのイレネー記念で2歳三冠となっていたものが、残念ながら予算などの関係でナナカマド賞は特別に格下げ、ホクレン賞はレース自体がなくなってしまった。
この世代、そのネーミングのインパクトとも相まってまず注目を集めたのが、オレワスゴイだった。今年度の第1回能力検査を1番時計で合格し、評判通りのレースぶりでデビューから3連勝。4戦目からしばらくは苦戦が続いたものの、シーズン終盤の特別戦が行われるようになってから盛り返してきた。
そして2着馬に46秒7の大差をつける衝撃のデビューで、この世代を引っぱってきたのがホクショウジャパン。たとえ負けても大崩れしない安定したレースぶりで、シーズンを通して賞金の格付順位1位をキープした。
そのホクショウジャパンだが、ここ2戦は4、6着に敗れているものの、賞金別定で負担重量を課せられてのもの。それだけに定量で行われるここは不動の中心となる。2歳馬としては過酷とも思える670キロ(牝馬は650キロ)のソリを曳くことになるが、馬体重を1トンの大台に乗せてきているので心配はないだろう。
相手筆頭にはマルモスペシャル。10月28日のナナカマド賞を7番人気で勝ったときには驚かされたが、その後は2歳のA-1やオープンで常に上位争い。前走えぞりす特別は10着に敗れたが、第2障害で最初に仕掛け、天板に前脚がかかるかかからないかのところでレースをやめてしまったためで、これは参考外。1番人気に推された前々走ジャニュアリー特別は、5番手あたりで障害をクリアすると、逃げるウメノタイショウを追い詰めたものの、ゴールライン上で止まって4着。十分に見せ場はあった。
オレワスゴイも世代トップクラスの実力で、一発があってもおかしくはないが、ムラ駆けなタイプのため▲まで。
年明け後のオープンで2戦連続2着があるニシキエース、ハンデ差があったとはいえ1月28日の若駒特別、2月11日のつばき特別でオレワスゴイと1、2着を分け合ったニシキボスが連下候補。ちなみにそのニシキボスだが、3歳のこの時期ですでに馬体重1100キロ前後もあり、メンバー中最高体重での出走となりそうだ。
◎ホクショウジャパン
○マルモスペシャル
▲オレワスゴイ
△ニシキエース
△ニシキボス
スプリングカップは、出走12頭中、重賞勝ち馬がケイゾクの1頭のみというやや寂しいメンバー構成になった。最近では地方同士の交流や、中央への遠征が増えているため仕方のないこととは言える。
ゴールドジュニアを制したケイゾクを負かせるという存在は見当たらず、この馬が本命。古馬B2級との対戦で、8馬身差で圧勝をしていることも心強い。そもそもメンバー中、古馬に編入されて対戦しているのもこの馬しかいない。
重賞初挑戦は5頭だが、その中からもこれといった上がり馬は見当たらず、相手候補も既存勢力から。
金沢のマツノヴェイロンは、2歳時のサラブレッドチャンピオンで8着だったとはいえ、その後のJRA認定レースを6馬身差で圧勝しているだけに未知の魅力はある。年明け緒戦で中央のダート1800メートル戦を経験(12着)しているのもプラス材料。
ゴールドジュニアでケイゾクから1馬身半差の2着だったトミノジョーンズもこのメンバーなら。
重賞初挑戦組からは、ともに2連勝中のサウスファングに、ロードグリン。
個人的には今年注目(と騒いでいるのはぼくだけかもしれないが)のカルラネイチャー産駒、ケイゾクが引き続き重賞を勝ってくれることを期待したい。
◎ケイゾク
○マツノヴェイロン
▲トミノジョーンズ
△サウスファング
△ロードグリン
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六甲盃は、サラブレッドのレースとなって以降は園田1870メートル、または姫路2000メートルだったが、昨年からは園田2400メートルで行われている。
中心は、中央から移籍2戦目となるアルドラゴン。前走移籍緒戦は、スタートでハナを奪うと、直線でもリードを保ったまま危なげない勝利。チャンストウライやベストタイザンなど、ダートグレードでも活躍している兵庫の一線級不在のメンバーなら、ダートグレード勝ちの経験が生きるはず。
ただ断然の本命というわけではなく、2番手以下もそれほど差はない。
新春賞3着のあとS1を連勝しているタマモアーチスト、1月の笠松・白銀争覇を勝ったエイシンダイオー、ここ2戦連続でタマモアーチストの2着というマグマサイン、川崎記念JpnIに遠征(7着)したゲットゥザサミット、さらに印は回らなかったが新春賞で中越豊光騎手に兵庫での重賞初勝利をもたらしたバンブージーコあたりまで、展開次第でどれが勝ってもおかしくない。
◎アルドラゴン
○タマモアーチスト
▲エイシンダイオー
△マグマサイン
△ゲットゥザサミット
ファン選抜の大阿蘇大賞典。
大晦日の肥後の国グランプリを勝ったエランセに、3着のワイルドコマンダー、その前日の裏番組・師走特別を勝ったケイウンヘイロー、条件戦で好成績を続けるナガノコバン、テットウテツビなど、まさにファン選抜というバラエティーに富んだラインナップとなった。
ここはエランセと、このレース連覇を狙うケイウンヘイローの争いだが、昨秋に中央から転入以来、常にトップクラスと対戦してきたエランセが中心。肥後の国グランプリに続いて年明けの荒尾金盃も勝利。さすがに佐賀記念JpnIIIはレベルが高く7着だったが、レコード決着のハイレベルなレースの経験は大きなアドバンテージになっているはず。
ケイウンヘイローは、昨年10月から今年2月まで8連勝という成績があるが、オープンからC級を行ったり来たり。A級やオープン勝ちがあるものの、一線級相手というわけではなく、エランセと比べるとやはり経験的に見劣る。前走の大阿蘇賞も2着とはえいサンライズビートから4馬身離され完敗だった。
昨年10月の九州記念を勝ったノースダンシングが逆転候補。
以下、近5走連続で2着か3着のガッツホーラー、昨年のこのレース3着のあとB〜C級で常に上位のテットウテツビ、C級格付けだが堅実な成績のナガノコバンなども3連単の連下なら十分に可能性はある。
◎エランセ
○ケイウンヘイロー
▲ノースダンシング
△ガッツホーラー
△テットウテツビ
△ナガノコバン
ところで対抗にしたケイウンヘイロー。昨年のこのレースで重賞を勝っているのだから今ごろ気づくなという話だが、母の父が有馬記念3年連続3着などイマイチくんとして大人気だったナイスネイチャ。こういう血統がちゃんと残っているのが、いかにも地方競馬という感じでうれしくなる。しかもこの馬、2006年後半には中央入りし4戦しているのだが、このとき所属していたのが、ナイスネイチャの主戦騎手だった松永昌博調教師。さらに以前の成績を遡ってみれば、九州ジュニアグランプリ2着、荒炎賞2着という成績があり、大一番ではやっぱりイマイチなのかなあという気はする。
今シーズンの重賞勝ち馬のみが出走できるチャンピオンカップ。
まず驚いたのが、負担重量の差。カネサブラックとナリタボブサップがオープン馬の中でも今シーズンの獲得賞金が多いため800キロ。そして最軽量は250万クラスのエリザベスライデンで680キロ。その差なんと120キロ!
ばんえい競馬で100キロを超える重量差は初めて見たような……。
ちなみに昨年も上が830キロ、下は740キロと、90キロもの差があったが、しっかりトップハンデのトモエパワーが2着を確保していた。
しかし今年は120キロ。さすがにこれだけの差があれば、軽い馬が狙い目だろう。というわけで、トップハンデの2頭より110キロも軽く、しかも近走好調のペガサスプリティーから。
もう1頭、軽量を生かして早めの展開からそのまま押し切りそうなのがニシキガール。
この2頭からオッズを見て手広く流す。
結果はともかく、上下120キロもの重量差があって、どんな展開になるのかも楽しみ。
◎ペガサスプリティー
○ニシキガール
▲カネサブラック
△ナリタボブサップ
△ツジノコウフク
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福山では昨年から今年にかけて、これまでアラブのレースとして行われていたレースが次々にサラブレッドのレースに変わっていっている。
この福山マイラーズカップも今回からサラブレッドのレースとなった。
中心は、やはり快進撃を続けているナムラベンケイで動かしがたい。不安は斤量差だが、このメンバーで3キロ差なら問題なく克服できるだろう。
相手は、北海道から移籍し4戦3勝のリスティアグリー。
ナムラゼウスも相手候補。福山移籍後は未勝利も、3走前の寒菊特別(2着)、2走前の椿賞(3着)ともにナムラベンケイとそれほど差のないレースをしている。その2戦では2キロ差だったのが、今回は3キロ差に広がるだけに、どこまで差を詰められるか。
同じレースでやはり好走しているコスモハードリカーも展開次第では。
◎ナムラベンケイ
○リスティアグリー
▲ナムラゼウス
△コスモハードリカー