まず11日の佐賀記念。兵庫のチャンストウライは、馬名のとおりようやくチャンスを生かして念願のダートグレード初制覇となった。
2コーナーポケットからのスタートで、断然人気のマコトスパルビエロとミツアキタービンが競り合う形で、スタンド前まではこの2頭が後続を引き離してハイペース。チャンストウライは3コーナーあたりから一気に進出し、4コーナーほとんど持ったままで先頭のマコトスパルビエロに並びかけたときは、これは勝ったなと思って見ていたのだが、結果はそれ以上のもので4馬身差、コースレコードでの完勝だった。
レース後、下原騎手に聞いたところによると、4コーナーで持ったままに見えたのは、早めに先頭に立ってしまうと気を抜くところがあるので、かなり我慢をしていたのだそうだ。
帝王賞の4着、そして名古屋グランプリではその後に川崎記念を勝つフィールドルージュに1馬身半+1馬身半差の3着は、やはりダテではなく、地方競馬からまた楽しみな馬が出てきた。
次走は、名古屋大賞典JpnIIIと阪神大賞典GIIを両睨みでいくそうだ。
さて、園田ユースカップは、名古屋から3頭、福山から2頭、笠松から1頭の遠征があるが、地元馬は3頭で9頭立ての少頭数となった。
地元勢は、どうやらアルアルアルが相手では分が悪いと見て出走馬が少なくなったようだ。そのアルアルアルは、兵庫ジュニアグランプリJpnIIでは果敢に先行し、地方馬最先着となる3着と好走。続く園田ジュニアカップは貫禄の逃げ切り。このレースぶりでは、やはり地元勢が恐れをなすのも仕方ない。
相手には、北海道からの移籍組で、兵庫のニックバイエフオーと、名古屋のサチコゴージャス。
ニックバイエフオーは、北海道では勝利を挙げられなかったものの11戦して掲示板を一度も外したことがないという堅実タイプ。兵庫に移籍し1、2着のあとに臨んだ園田クイーンセレクションでは直線豪快に追い込んで快勝。
サチコゴージャスも北海道では1勝を挙げたのみだが、名古屋に移籍後2着のあと新春ペガサスカップを制し、前走の3歳1組戦を逃げ切った。
ライデンリーダー記念、中央の3歳500万下を続けて取消したアイファーダイオーも北海道からの移籍組。12月24日のに2歳1組戦を勝って以来の実戦になるが、移籍後に好成績を残している北海道からの移籍組は、やはり要注意だ。
◎アルアルアル
○ニックバイエフオー
▲サチコゴージャス
△アイファーダイオー
当初の登録馬には、ブルーコンコルド、ボンネビルレコードというGI馬に加え、平安ステークスを勝ったクワイエットデイがいて、昨年の勝ち馬サイレントディールが補欠になってしまうという、中央馬はおよそJpnIIIとは思えないような豪華メンバーになるのかと思わせた。しかし何のことはない。当たり前といえば当たり前だが、前記3頭はいずれもフェブラリーステークスに出走するとのことで回避してしまった。
そもそもこの佐賀記念は、川崎記念とフェブラリーステークスに挟まれているため、例年JpnIIIらしいメンバーになっているのだが、果たして今年もそのようなメンバーに落ち着いた。
ただ地方勢は例年より格段に楽しみなメンバーが揃った。岩手現役古馬最強のテンショウボス。昨年の帝王賞4着、名古屋グランプリ3着で、ともに地方最先着の兵庫・チャンストウライ。GII・2勝があり脚元が完調なら実績上位のミツアキタービン。そして地元からは目下9連勝中で、九州大賞典、中島記念を制しているワンパクメロ。いずれにも十分チャンスはありそうだ。
過去10年の結果を見ると、連対馬はいずれも4番人気以内で、馬連複が4桁配当になったのはたった一度しかないという堅い決着のレース。ただ今年は、中央馬4頭に、先に挙げた地方馬4頭にも可能性があり、4番人気までの組合せで当たるような簡単なレースにはなりそうもない。
中心にはマコトスパルビエロ。平安ステークスでは3番手を追走し、ゴール前しぶとく伸びて、勝ったクワイエットデイからタイム差なしの3着。2着のメイショウトウコンは、ジャパンカップダート4着、東京大賞典3着とGI(JpnI)で確実に上位に食い込んでいる実力馬。他の中央馬3頭がグレード別定で斤量が増量になるのに対し、マコトスパルビエロだけは重賞未勝利で斤量的にも有利。
もう1頭、このメンバーなら勝って不思議はないのがチャンストウライ。今まで何度か書いたような気がするが、ここはほんとにチャンス到来ではないか。
キクノアローは昨年のダイオライト記念で新星誕生を予感させたが、その後はイマイチ。7カ月の休み明けは割引だが、仕上がっていれば圧勝もある。
岩手のテンショウボスも地元でのレースとはいえ、マーキュリーカップ4着、クラスターカップ3着と、いずれも地方最先着。グレード実績があり、特にこの秋から冬にかけて格段に力をつけている。
いつ走るかわからないクーリンガーも押さえておきたい。
連覇を目指すサイレントディールだが、昨年のこのレース以降は見せ場がなく、さすがに印が回らない。
地元期待のワンパクメロだが、全国レベルでのレースが初めてでは、ちょっと厳しそう。
◎マコトスパルビエロ
○チャンストウライ
▲キクノアロー
△テンショウボス
△クーリンガー
兵庫牝馬特別が重賞として行われるようになったのは昨年から。遠征馬は6頭までという枠があるのかどうか、それとも単なる偶然なのか、昨年も今年もフルゲート12頭の半分、6頭が他地区からの遠征というメンバー構成。
昨年は2番人気の金沢・チヨノドラゴンが、1番人気笠松のニッシングリンをクビ差でしりぞけ、上位4頭(3着は同着で2頭)を他地区からの遠征馬が占める結果。地元兵庫勢にとっては厳しい結果となった。
今年も遠征経験豊富な他地区からの遠征馬に分がありそうだ。
中心は当然のことながら昨年11月に兵庫クイーンカップを圧勝した笠松のクインオブクイン。たびたびダートグレードで入着している実績は、このメンバーに入れば断然。
普通に考えれば兵庫クイーンカップ2着で、その後も2連勝というノーメイクが相手ということになるのだろうが、その兵庫クイーンカップでクインオブクインにつけられた5馬身もの差が気になる。
そこで狙ってみたいのは金沢のリュウヨウ。兵庫クイーンカップでは4番人気で6着と完敗だったが、その後、中日杯5着をはさんでA1特別を2勝。昨年暮れから力をつけたと見る。ただ金沢のシーズン終了後にここまで、どこでどんな調教をしているのかは気になるところ。
地元勢では、C級から前走A3まで4連勝中の上がり馬キーポケットがこのメンバーに入ってどこまで。前走から田中学騎手を起用しているのは期待の表れだろう。
TCKディスタフ6着とはいえ勝ち馬から0秒6差と着順ほどは負けていないマルヨスーパーラブ、それにノーメイクまで。
クインオブクインから馬連で、どんなオッズになるのだろうか。
◎クインオブクイン
○リュウヨウ
▲キーポケット
△マルヨスーパーラブ
△ノーメイク
馬インフルエンザの影響で、かなり遅れて先週行われた霧島賞に続き、こちらは予定どおり行われる3歳の九州産馬による重賞・たんぽぽ賞。
97年から中津も含めた九州3場の持ち回りで行われ、02年からは荒尾固定での開催となっている。97、98年は荒尾所属馬が連勝したが、以降荒尾勢は勝利から見放されている。JRA勢は500万以下に限られているものの、これまでの11回で7勝とやはり強い。特にここ6年では5勝、残りの1勝も勝ったのは兵庫所属馬と、近年では九州勢は厳しい戦いとなっている。
トライアルのノカイドウ特別を勝ったクリノダイシスと、ミヤマキリシマ特別を勝ったカシノヨウスケが揃って出走してきた。
印象的だったのは逃げ切り5馬身差圧勝のカシノヨウスケだが、水の浮く不良馬場で前残りの展開に助けられた感じで、この圧勝はちょっとうたがってかかる必要がありそう。
そしてクリノダイシスのノカイドウ特別も逃げ切り勝ち。今回は前に行く馬が何頭かいそうで、好位から差せる馬から狙ってみたい。
で、中心にするのがカシノオウカン。ノカイドウ特別はゴール前で行き脚の鈍ったクリノダイシスとの差を詰め1馬身半差の2着。100メートル距離が伸びる今回、前がやりあえばこの馬の出番が十分ありそうだ。
人気がなければおもしろそうなのがハンターキリシマ。2歳時、JRA小倉のひまわり賞は3/4馬身差の2着。小倉2歳ステークスも10着とはいえ勝ち馬からは1秒3しか離されていない。このメンバーに入れば能力上位だろう。ただ前走休み明けの初ダートでしんがり負けしているだけに、ダートはまったくダメという可能性はある。
ノカイドウ特別、ミヤマキリシマ特別と連闘で出走し、ともに3着だったスズノクロヒョーも連下なら。
ノカイドウ特別で1番人気に支持され4着に敗れたテイエムワッゼエだが、道中追走に一杯で、中央のペースについていけなかったようで、今回は見送る。
◎カシノオウカン
○クリノダイシス
▲ハンターキリシマ
△カシノヨウスケ
△スズノクロヒョー
福山で初のサラブレッドの重賞としてスタートしたこの椿賞も、早いもので3回目を迎えることになった(第1回は重賞ではなく特別として行われた)。
それまでアラブのレースとして行われてきた重賞も、この1年でほとんどがサラブレッドの重賞へと替った。
そういえば、かつていくつかあった1周1000メートルの競馬場も、今ではこの福山競馬場しか残されていない。
昨年あたりから福山のサラブレッドでも他地区に遠征する馬が出てきたが、この小さくてコーナーのきつい競馬場からダートグレードや中央の重賞を勝つ馬が近いうちに出てくるだろうか。
さて椿賞だが、ここは福山大賞典を制したナムラベンケイで仕方ないような……。昨年9月に兵庫から移籍し、福山では7戦4勝、2着3着各1回というほぼ完璧な成績。前走1月20日のA1寒菊特別は雪の不良馬場でタイムが出やすかったこともあるが、この日のメインレースとして行われたA2の重賞・新春賞で出たコースレコードをすぐに塗り替えた。
相手は、福山菊花賞でそのナムラベンケイをクビ差で斥けているファニーカイザー。前走寒菊特別こそ6着に敗れているが、それ以外はA1で常に安定した成績を残している。
前走A2の重賞新春賞を勝ったヤングブレイヴはどうだろうか。北海道から転入してここまでに3戦。福山での初勝利が重賞勝ちとなり、その勢いがあればここで馬券にからんでもおかしくない。
A1特別で好走したり凡走したりあまりアテにならないのがナムラゼウスとコスモハードリカーだ。成績にムラはあるものの、両馬ともにA1で上位に食い込む力は持っているので、人気がないようなら押さえておきたい。
ナムラベンケイから堅いところに絞るか、それとも2着や3着ならどの馬にもチャンスがありそうなので薄めに手広くいくか、ということになるだろう。
◎ナムラベンケイ
○ファニーカイザー
▲ヤングブレイヴ
△ナムラゼウス
△コスモハードリカー